2024.05.25
THE MICRO HEAD 4N’S@池袋EDGE
THE MICRO HEAD 4N’S TOUR 2024「evolution」
THE MICRO HEAD 4N’Sがこの5月に開催したツアーは、新作アルバム『NEW ERA -evolution-』リリースに伴うものであることは紛れもない事実だが、それだけにとどまらない大きな意味合いを持つものとなった。
既にお伝えしている通り、『NEW ERA -evolution-』は2月よりSHUN.(G)が療養中のなか4人で完成させた作品であり、本ツアーも4人で行ってきた。「今日を皮切りにどんどん攻めていきますので!」「このツアーで新曲を皆で育てていきましょう!」とは、初日のKEKE(Vo)の言葉だが、5月25日、池袋EDGEにて迎えた最終夜において、「当初の予定とは違う意味合いになったかもしれないけど、進化を遂げることができました」と述べる一幕があった。そこに至るまでの経緯は、当夜のアンコールで各メンバーから語られた言葉が全てだと言っても過言ではないが、まずはこの日のステージについてお伝えしたい。
『NEW ERA -evolution-』はメインコンポーザーであるkazuya(G)に加えて、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)が作詞作曲を担ったナンバーも収録されていることがトピックスの一つ。それぞれ異なる表情のライブ映えする楽曲揃いであることから、それらが適材適所に配されたことで、既存曲と見事なグラデーションを描き出したのだった。
アルバム同様に1曲目を飾ったkazuya作曲の「REGRET」は、二部構成のような展開が興味深く、サビではフロアにタオルが旋回すれば、間奏やアウトロでのトリッキーなギター&ベースのユニゾンが何とも魅力的。TSUKASA作曲のダークかつヘヴィーなバラードナンバー「焼け堕ちた世界」は前半戦の聴かせるブロックで供され、リズム隊の地鳴りのような重低音が響けば、マイクスタンドを操り歌い上げるKEKEの歌唱がドラマティックで、そこに妖艶なムード漂う既存曲「PERSONA」が続いたことは実に自然な流れだった。そして、「さぁマイクローン(ファンの呼称)、ここからだ!」とのKEKEの言葉を合図に突入した、怒涛のライブチューンの連投に組み込まれたのがZERO作曲による疾走感ある「INSPIRE」で、ベースソロからギターソロに繋ぐセクションはまさにステージ映えの1シーンとなった。
また、後半戦のライブチューンブロックでは、「I surrender」においてメンバーコール&各ソロパートのセクションも入り白熱の展開を見せたが、ここにソロパートが加わったのは今ツアーからの新たな試み。なおかつSHUN.のターンでは、KEKEが「SHUN.さんそろそろ寂しいよー!」と叫び、「うるせぇ!」とSHUN.の声が同期で流れるという仕掛けも。また、「懐かしい曲を」(KEKE)と演奏された「PRISONER」では、腕をクロスさせながら折りたたむフロアの揃った動きが美しい景色を生み出すなど、今ツアーならではの光景も繰り広げられた。
さて、先述の通りアンコールでの各メンバーの言葉は、このツアーと当夜がどのような意味合いを持っていたのか、そしてバンドの今後に対するTHE MICRO HEAD 4N’Sの意志が真っ直ぐに伝えられたものであったため、少々長くなるが可能な限り記したい。
「SHUN.さん不在の中でもメンバー皆で力を合わせて、スタッフの皆さんのお力を借りて、こうしてマイクローンの皆さんと一緒に過ごせて本当に嬉しく思います。SHUN.さんが帰って来るまで、THE MICRO HEAD 4N’Sは前に進むことを決意して今、活動しています。ですので、SHUN.さんが帰って来る場所を守りつつ、ガンガン攻めていきたいなと思いますので、一緒に野音への道を歩んでいけたらなと思っております」(TSUKASA)
「下手に俺一人ですけど、いつもSHUN.さんのパワーをもらっているつもりで、この場所(立ち位置)を借りて二人分頑張ってライブをやっています。『INSPIRE』の歌詞は自分を鼓舞する意味で〈ただ立ち尽くした者に 未来はこない〉という言葉を書いていますけど、どんな形であれ、一歩を踏み出さなければ未来には辿り着けない。そこにはSHUN.さんへの気持ちも込めているので、届いたらいいなと思っています。皆さん一生懸命THE MICRO HEAD 4N’Sを応援していただいて、俺たちと皆の未来を一緒に作っていけたらなと思います。とりあえず、SHUN.さんの帰りを待ちましょう」(ZERO)
「リーダーとして、友人として、彼に接していた自分の言動は正しかったのかな?と、ずっと反省していて。それと、SHUN.ちゃんがお休みするとなった時のバンドの空気が、守りに入っていると感じたんだ。それらを踏まえて、僕は13年間で初めて辞めようと思いました。もう無理だなと。そんな中でアルバムを作る時に、僕は常に前を向いて攻撃的にいきたいという話をして、そこでメンバーから保守的な意見が出たら終了だなと思っていたけど、意外と前向きな感じで、ちょっとホッとしたんですよね。
タイアップやメジャーの話は、このきっかけでメンバー、スタッフ、ファンの皆が一つになれるんじゃないかなと。最後に僕がメンバーにしてあげられることかなと思ったんです。マイフォを広めたいとかは二の次で、それよりもメンバーがマイフォやりたいよなとか、スタッフがやっぱりマイフォいいな、マイクローンの皆がやっぱりマイフォ好きだなと、そういう風に一つになりたいというだけの理由で決めました。
KEKEもそういう空気を感じていたんだと思うんですよ。ツアー中の名古屋でメンバーと飲みに行って熱い会話をして、結論、マイフォをやりたいのか?ということをKEKEが聞いた時に、メンバーはやりたいと言ってくれて。だったらもう一度、僕も辞めようという考えではなくて、このバンドに対して覚悟を持ってやらなきゃなと思いました。マイフォはこのメンバーが最終章だと思うので、このメンバーだったら僕の残りの時間を使っても悔いはないなと思って、続けます。
実は12月15日、O-WESTが決まりました。去年やって想定以上の方に来ていただけて嬉しかったけど、今年が去年を越えられなかったら、来年は厳しいかもしれないです。でも、今の僕らならもう一回戦える気がするんですよ。今回のツアーで、不安定な僕らの匂いを皆も感じていたと思います。僕はそう感じました。でも、この前の話し合いで、最強のマイフォがまた帰って来た気がします。当たり前だけど、僕らはずっと5人でマイフォです。僕らの夢、僕のバンドマンとしての最後の夢、野音。皆さん応援よろしくお願いします」(kazuya)
「SHUN.さんがいないのは僕らにとってすごく痛手だし、正直終わってしまうのかなと。SHUN.さんがいないステージでライブをするTHE MICRO HEAD 4N’Sが想像できなかったし、僕はくっつき虫のようにくっついていたので、SHUN.さんがいないということがよくわからなくて。でも、メンバーがいてくれて、かず兄がメジャーやタイアップのお話を持ってきてくれたり。僕は5人でマイフォをやりたいから、SHUN.さんが帰って来るまでマイフォを大きくして待っていたら、よくやったなと言ってくれるかなと思って、攻めることが最大の守備だと考えを変えてやっていくことを決めました。
THE MICRO HEAD 4N’Sが大好きだし、四期の始動の時にこのバンドをなくすのはもったいないと言ったけど、もっともっとその気持ちが強くなっていて。この先どうするかメンバーに聞くのは怖かったけど、やっぱり聞かないと始まらないし。でも、やめるわけないよねと、SHUN.さんが帰って来た時にもっと大きくなっていようぜという話し合いができて、やっぱりこのメンバー最高だなと思いました。
気持ちは5人ですけど、SHUN.さんのお休みに触れることは今日で一旦最後にして、ここからまた野音という僕らの夢に向かっていきたいと思います。夢に向かう途中で壁にぶち当たることってあると思うんですけど、一筋縄にはいかないからこそ、掴んだ時に達成感がある。そう簡単な夢じゃないし、皆も同じ気持ちで心を強く持って、一緒にこのTHE MICRO HEAD 4N’Sを大きくしていってほしいです」(KEKE)
THE MICRO HEAD 4N’Sはこれまで幾度と再生を果たしてきたバンドだ。時系列は前後するが、序盤でプレイした〈破れた翼広げ 何度でも羽ばたけ〉と歌う「REBIRTH -the 3rd form-」はまさに再生を掲げた楽曲であるし、先述の「焼け堕ちた世界」の歌詞にも〈再生〉の二文字が含まれる。また、例えば〈聞こえているかい 今 君を呼ぶ声〉と歌う「Calling」、〈百億以上の未来へと 僕ら道なき道を歩き続ける〉〈僕らたった1つの『今』を生きている〉と歌う「INFINITE ∞ FUTURE」など、今の彼らとリンクするようなメッセージ性の強い楽曲が並んでいたことも印象深い。
今夏に13周年ツアーを開催することを発表したアンコールでは、「新しい仲間をもっと見つけて、ここから総攻撃したいと思うので、応援よろしくお願いします!」(KEKE)と、6月19日に初のメジャーレーベルから発売されることが決定している、まさにタイトル通りのメッセージソング「まだ僕らを知らない君へ」を届けると、『NEW ERA -evolution-』収録のkazuya作曲による「浮雲」「FLY TO REBORN」へ。
「FLY TO REBORN」において本来の歌詞に付け加え〈“俺たちの”合言葉は HELLO MY CLONE〉と歌い叫び、そこに繋いだのは「HELLO MY CLONE」。THE MICRO HEAD 4N’Sの始まりであり現体制の始まり、再生を歌うナンバーをプレイした後、さらに「お前たちと俺たち“5人”で総力戦だー!」(KEKE)と、THE MICRO HEAD 4N’S自身を描いた「Curtain Call」をラストに届け、KEKEが感極まる様子もありながら「自信を持って言えます! これがTHE MICRO HEAD 4N’Sだー!」と締め括ったのだった。その後、鳴り止まないオーディエンスの声に応え、急遽予定になかったダブルアンコールが実現。再び「まだ僕らを知らない君へ」を披露し、メンバー全員の温かな笑顔をもってこの夜は終幕となった。
「Curtain Call」の歌詞にあるように、諦めない日々が奇跡を呼ぶことを幾度も証明してきたTHE MICRO HEAD 4N’S。極めて重要な局面を迎えた今ツアーであったが、結果的にバンドとしての団結力がより強固なものとなったことは間違いない。蛇足を承知で付け加えるならば、「FLY TO REBORN」「HELLO MY CLONE」「Curtain Call」には〈始まりの合図〉という共通のワードが含まれる。この夜の出来事は、彼らの新たな始まりだ。
◆セットリスト◆
SE. Starry night
01. REGRET
02. Labyrinth
03. REBIRTH -the 3rd form-
04. LAST
05. 焼け堕ちた世界
06. PERSONA
07. Calling
08. INFINITE ∞ FUTURE
09. 雪月華
10. I surrender
11. REINCARNATION
12. MONSTER’S ROAR
13. INSPIRE
14. PRISONER
15. VOLCANATION
16. 雷鳴
17. PARASITIC EMOTION
En1
01. まだ僕らを知らない君へ
02. 浮雲
03. FLY TO REBORN
04. HELLO MY CLONE
05. Curtain Call
En2
01. まだ僕らを知らない君へ
(文・金多賀歩美/写真・土屋誠)
【リリース情報】
●New Album『NEW ERA -evolution-』
2024年5月9日(木)発売
[PREMIUM BOX盤(個数限定)]¥10,000(税込)
内容:CD、オリジナルアクリルスタンド、スタンド缶バッジ(15cm)、オリジナルカード(ジャケットサイズ)5枚セット
[通常盤](CD)THIR-0096 ¥2,750(税込)
[CD]※共通
01. Starry night
02. REGRET
03. INSPIRE
04. 焼け堕ちた世界
05. FLY TO REBORN
06. 浮雲
●New Single『まだ僕らを知らない君へ』
2024年6月19日(水)発売
[PREMIUM BOX盤(個数限定)]¥8,000(税込)
内容:CD、DVD、PREMIUM Tシャツ、ジャケットカード4種、オフィシャルイベントQRコード付き応募カード
[CD]
01. まだ僕らを知らない君へ
[DVD]
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video KEKE Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video kazuya Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video ZERO Solo Ver.
・「まだ僕らを知らない君へ」Music Video TSUKASA Solo Ver.
[CD]
01. まだ僕らを知らない君へ
02. The Wings Of Wind
03. この先ずっと… 〜Ballad version〜
04. まだ僕らを知らない君へ Original Karaoke
05. The Wings Of wind Original Karaoke
06. この先ずっと…〜Ballad version〜 Original Karaoke
【ライブ情報】
●KEKE BIRTHDAY LIVE 「Worship god day」
6月30日(日)目黒鹿鳴館
●THE MICRO HEAD 4N’S 13th Anniversary Tour「まだ僕らを知らない君へ」
7月28日(日)池袋EDGE
8月3日(土)川崎セルビアンナイト(※THE MICRO HEAD 4N’S Still Night公演)
8月4日(日)川崎セルビアンナイト
8月11日(日)心斎橋DROP
8月12日(祝・月)名古屋ell SIZE
8月25日(日)赤羽ReNY Alpha