2025.03.21-03.22
defspiral@初台DOORS
「defspiral tour 2025 “CHRONO TRAVELER”」
Day1:BRILLIANT VOYAGER/Day2:GALACTIC BUTTERFLY


defspiralが初の試みとして、Day1「BRILLIANT VOYAGER」、Day2「GALACTIC BUTTERFLY」というコンセプトを設けた各会場2daysでの「defspiral tour 2025 “CHRONO TRAVELER”」を開催。全5ヵ所10公演のファイナルが3月21〜22日、初台DOORSで行われた。
本ツアーの開幕と同時に、その冠と同名のシングルをリリースしたdefspiral。「CHRONO TRAVELER」=“時の旅人”と掲げ、2025年5月に迎える活動15周年を前に、バンドの15年間の軌跡を辿りながら、現在進行形のdefspiralを示すツアーとなった。具体的には、彼らの歴史を彩ってきた楽曲たちを2daysで活動前期と後期に分け、そこに両日共通の最新曲が加わる構成で展開されることに。つまり、最新曲を除けば二日間で被り曲一切なしのメニューとなった結果、第一夜21曲、第二夜23曲、二日間で合計44曲(共通曲を差し引くと41曲)もの楽曲が披露されたのだった。こと、2022年に加入した和樹(Dr)にとっては初めてプレイする楽曲もあったわけで、完遂した彼に拍手を送りたい。


また、このようなコンセプトであることから、各地で様々な時代の衣装が用いられたことも、オーディエンスにとって楽しみの一つとなっていた模様。東京公演の第一夜では、TAKA(Vo)は「いろんな意味で大きな節目だったライブで、気合を入れて一から作ってもらった衣装だった」という2020年の10周年公演のもの、MASATO(G)は2016年のツアー「EXPLOSION」時のもので、「(同年開催の)『VISUAL JAPAN SUMMIT』でも着た衣装で、個人的にも思い入れがある」と述べた。
RYO(B)は2015年のシングル『Dream of You』の衣装で、当時「思い切ったことをやってみよう」と、豹柄のライダースと赤い口紅にしたそうで、「当時は髪の毛が黒くて長かったので、金髪で着てみると印象も変わります」と話せば、和樹は「初台DOORSと言ったら『ULYSSES』かなと。良くも悪くもすごく思い出がありまして」(同会場でのツアー初日に和樹が体調を崩して振替となった)と、2024年のアルバム『ULYSSES』の衣装に。そして、第二夜は4人が最新ヴィジュアルの衣装で臨んだ。ちなみに、各地方では第一夜を最新衣装、第二夜を歴代衣装としており、東京公演のみ逆の形をとったことは、最新のdefspiralの姿でこのツアーを締めくくりたいという彼らの意志だったのではないだろうか。


15周年、2daysで回りたいという思い、昨年のリリースツアーで北海道、九州に行けなかったこと、そんな様々なファクターが重なった末に、「今までの曲を網羅するというか、再構築、再解釈というか、今の自分たちが二つの物語を二日間に分けて、皆で色々な思い、ストーリー、景色を感じられたらいいな」との思いで始めたという本ツアーではあったが、その終着地での第一夜、TAKAが「音楽で二つのストーリーを作ろう、ミュージカルのようなライブをやろうじゃないかというのが軸ではあるんですけど、皆の声を聞いていると、一人ひとりにいろんな感情があって、1曲1曲それぞれ愛してもらえていたんだな、楽しんでもらえていたんだなというのを、すごく感じることができました。元々、皆の中に物語があって、それを一緒の時間・空間で楽しめたツアーだったなと思います」と述べたように、このツアーはdefspiralにとってコンセプトを超えた特別な意味を持つものとなったようだ。
両日の共通曲として披露されたのが最新の3曲で、幕開けを飾ったのは今ツアーのために制作されたであろう「CHRONO TRAVELER -overture-」。時を刻む秒針の響きを思わせる音とともに楽器隊が姿を現し、3人の演奏による厳かなムードが漂う中、最後にTAKAの登場で歌が重なるという、まさにこの舞台の始まりを示す印象的な序曲となった。そして、随所にフックの効いたプレイを含みつつも華やかかつ疾走感のあるナンバー「CHRONO TRAVELER」は、今ツアーの核にふさわしく両日の本編ラストを担い、同曲とともに最新シングルに収められた80’sロックンロールナンバー「IGNITE THE NITE」は、アンコール1曲目に配された。前ツアーから演奏を重ねていたことに加え、このたびの音源化によって、より一層浸透した2曲で、フロアが抜群のノリを見せていたのも印象深い。


改めて各日のサブタイトルについて触れると、Day1の「BRILLIANT VOYAGER」はアルバム『Voyage』(2013年)、『BRILLIANT WORLD』(2015年)、Day2の「GALACTIC BUTTERFLY」は『TO THE GALAXY』(2017年)、『TO THE GALAXY -RECONNECT-』(2018年)、『ULYSSES』(2024年)から派生したものであると考えられ、それらの収録曲を中心とした選曲で構成されていた。
活動前期に当たる楽曲の中で、例えば「花とリビドー」は、不協和音のアンニュイなギターフレーズから始まり、ダークで妖艶かつシアトリカルなムードが、『ULYSSES』を彷彿とさせる現在のdefspiralに通じるものを感じられたし、「MASQUERADE」「CARNAVAL」「Arcoromancer」といった現在のステージでも度々登場するライブチューンが、これほど長い歴史のある楽曲だったということを再認識する機会にもなった。また、2010年発表の1stシングル収録曲「DIVE INTO THE MIRROR」「INNOCENT」が組み込まれたことは、このツアーならではと言えるだろう。


後期の楽曲たちは当然記憶に新しいものばかりだが、本編中盤で『ULYSSES』の楽曲に挟まれる配置となったミディアムナンバー「COLD SLEEP」は、その曲調はもちろん〈蒼い花〉が描かれたリリックを含め、前後を繋ぐ美しいストーリーを作り上げていたのが実に見事だった。そして、終盤において〈出会えた喜びに ホラ世界 “こんなにも”輝いている〉と本来の歌詞に歌い足す場面もあった「IRIS」、その曲終わりに「これからも同じ時を生きて、見つめて、歩いて行こうぜ!」(TAKA)と叫び、確かな熱量をもってエモーショナルに届けられたバラード「HALO」と、最上級の愛に溢れた2曲が奏でられた場面は何とも忘れ難い。
また、第二夜のアンコールでは、前ツアーで初披露された温かく包み込むような「Nitefall」、第二夜唯一の活動前期の楽曲であるキラーチューン「LOTUS」が演奏されたが、実は当初「SATTELLITE」がラストナンバーとなり、第一夜と同じ曲数になる予定だったところ、前日に急遽この2曲の追加を決めたという。その真意は、未来を感じられる終わり方にしたかったこと、最終夜を特別なものにしたかったことだと、終演後のTAKAは語ってくれたが、その根底にあるのは何よりファンへの愛情に違いない。

最後に、第二夜のアンコールで届けられた各メンバーの言葉を記しておきたい。
「最初に自分が想像していた何倍もの充実感があって、すごく心に残る素晴らしいツアーになったなと思います。昔の衣装を引っ張り出して、当時のスタイリストさんに連絡を取って、補修をしてもらった時に、当時の思いをすごく語ってくれて。関わってくれるスタッフ皆が、そんなに熱い思いで僕らに関わってくれているんだなと再確認して、今回のツアーはサイン会でも皆さん(ファン)から熱い思いを聞かせてもらうこともできて、本当にこの15年、皆と一緒に歩んできたんだなという思いが込み上げています。まだまだ頑張っていくので、これからも歴史を繋いでいきましょう」(MASATO)
「同じライブとか全くなくて、全部楽しかったです。今日は何よりもファイナルにふさわしいライブですね。皆も楽しんでくれているのが伝わりました。僕にとっての新曲もいっぱいやって。頑張ったよ」(和樹)
「5ヵ所10公演、そこまで大規模ではないですけど、15周年イヤーのスタートにふさわしいツアーになったと心から思います。やってみて思ったんですけど、15年やっているということが別にすごいわけではなくて、僕たちはこうやって音楽を作って、皆さんに発表して、その人たちに何か影響を与えているんだなと再確認できたツアーでした。コンセプトツアーってやったことがないので、初めはどうなることやらと思っていましたけど、すごく充実感がありました。僕たちの人生は意味があったなって。でもやっぱり、僕たちのやりたいことはまだまだ無限にあって、これからも新しい作品を作り続けていくし、毎回最高を更新するライブをお約束しますので、これからもdefspiralをよろしくお願いします」(RYO)
「皆さんの人生、日々の中に我々defspiralの音楽があってくれたんだなというのを感じることができた、素晴らしいツアーでした。15年、この4人の後ろにはたくさんの人がいて、我々を、やりたい音楽・表現を後押ししてくれる、ステージに送り出してくれる人たちがいて、こうやって皆と楽しい時間が過ごせているということもすごく感じました。そして、そんな音楽を、ステージを、皆さんが噛み締めてくれていることを感じるツアーでした。まだこれは15周年の始まりですから。ここから新しいdefspiralに続いていきますので、2025年、まだまだ楽しみにしていてください。最高の2025年にしようぜ」(TAKA)

大きな意義のあった今ツアーを経て、「次はあの男をいっぱい祝おうね」とのRYOの言葉があったように、defspiralの次回公演は4月15日にSpotify O-WESTで行われるTAKAの節目のバースデーライブ「HALLELUJAH」。そして、5月26日にはいよいよ15周年を記念した特別公演「MOONLIGHT SYMPHONIA」がSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催される。さらに、下半期に向けて新たな音源を作るという宣言も。defspiralの15周年イヤーはまだ始まったばかり。ぜひこの記念すべき年を楽しみ尽くし、この先も彼らと共に時を重ねてほしい。
◆セットリスト◆
【Day1:BRILLIANT VOYAGER】
01. CHRONO TRAVELER -overture-
02. FAR AWAY
03. READY OR NOT
04. THANATOS
〜Interlude(Only a Dream)〜
05. 花とリビドー
06. STORM
07. VOYAGE
08. MASQUERADE
09. INNOCENT
10. LOST IN SHADOW
11. MELODY
〜SE(the theme of “REASON”)〜
12. REASON
13. トワイライト
14. SILVER ARROW
15. CARNAVAL
〜Instrumental(After the CARNAVAL)〜
16. ESTRELLA
17. CHRONO TRAVELER
En
01. IGNITE THE NITE
02. Arcoromancer
03. STORY
04. DIVE INTO THE MIRROR
【Day2:GALACTIC BUTTERFLY】
01. CHRONO TRAVELER -overture-
02. STARDUST
03. MOBIUS
04. LABYRINTH
05. HYSTERIA
06. ARCANA
07. 夢見る蜉蝣
08. COLD SLEEP
〜SE(RE-CONNECT)〜
09. ULYSSES
10. VIVA LA VIDA
11. PULSE
12. AFTER GLOW
13. 明日への階段
14. AURORA
15. IRIS
16. HALO
17. CHRONO TRAVELER
En1
01. IGNITE THE NITE
02. ALEGRiA
03. 流星
04. SATTELLITE
05. Nitefall
En2
01. LOTUS
(文・金多賀歩美/写真・Day1:@Lc5_Aki、Day2:加藤和可女)
【ライブ情報】
●defspiral presents TAKA Birthday Live 2025「HALLELUJAH」
4月15日(火)SHIBUYA Spotify O-WEST
出演:defspiral、Luv PARADE
Special Guest:TAL & MASAKI(TRANSTIC NERVE)
●defspiral 15th Anniversary Live「MOONLIGHT SYMPHONIA」
5月26日(月)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
Guest Musician:横山和俊(Key、Noise/H.U.G)、Rookie Fiddler(Vn)、Jumpei(Vn/Nostalgic Cinema)、斎藤孝太郎(Vc)