2024.08.25
THE MICRO HEAD 4N’S@赤羽ReNY alpha
THE MICRO HEAD 4N’S 13th Anniversary Tour「まだ僕らを知らない君へ」
2011年に始動し、これまでに三度のヴォーカルチェンジを経ながら、そのたびに再生を果たしてきたTHE MICRO HEAD 4N’S。2024年は再び彼らに試練が訪れたが、5月開催のツアーを通して一つの大きな壁を乗り越えたことで、よりバンドとしての結束力を高め、6月開催のKEKE(Vo)バースデーライブでツアーへの期待値をMAXまで引き上げていった。
このたび行われた13周年アニバーサリーツアーは、6月に初のメジャーレーベルからリリースし、オリコン週間ROCKシングルランキング9位を獲得した最新シングル『まだ僕らを知らない君へ』を引っ提げたもの。文字通りより多くの“君”に出会うべくTHE MICRO HEAD 4N’Sは各地を巡ってきたわけだが、その最終夜においてKEKEが序盤に発した「自分らでも言っちゃうくらい、このツアー1本1本が最高を更新していて。それで今日を迎えているので、このツアーの中で一番良いライブをやっちゃうんじゃないかなと思っております!」との言葉が物語るように、周年というファクターを抜きにしても、このツアー自体がバンドにとって良い結果をもたらしたことは間違いない。
事実、リーダーでメインコンポーザーのkazuya(G)は「僕的には気持ちの部分が大きかったなと思っていて。ペルソナ=仮面ってわかる? 例えば子供の前、旦那さんの前、会社の人の前とか、皆も色々な顔があると思うんだ。僕も社長さん、ミュージシャンとかいっぱいあって、仮面を被りすぎて自分がよくわからなくなっちゃっていて。今回のツアーはそれを一回取ってみて、僕らは皆を楽しませてあげたい側ではあるんですけど、一緒に楽しみたいなという気持ちでやらせていただいているんです。そしたら、めっちゃ楽しいんですよ」と述べており、その感覚がメンバー間の共通意識となった結果、バンドの内面の変化が自ずとステージに表れたのだと言えよう。つまり、先述の活動の流れがあったうえで、このツアーは現在のTHE MICRO HEAD 4N’Sの形をより強化させ、未来へ向かうための一つのマイルストーンとなったのだ。
もちろん、ステージ構成の軸となったのは「まだ僕らを知らない君へ」だけでなく、13周年ツアーであることを踏まえた選曲。本ツアーの全公演において1曲目を飾ったのが、THE MICRO HEAD 4N’Sの始まり及び現体制の始まりの曲「HELLO MY CLONE」だったわけだが、最終夜ではMVを背景に演奏するという印象的な幕開けとなった。なお、その映像は現体制初のMVであったことに加えて、当夜の会場である赤羽ReNY alphaで撮影されたもの。ゆえに13周年であることと同時に、現体制の発表(KEKEの加入)から丸2年が経過したことも実感させられる、より感慨深いスタートとなった。
そして、本ツアーは周年にふさわしく、活動第一期から第四期までの楽曲をほぼ同じ曲数で振り分けたスペシャルなセットリストで展開していることは前回お伝えした通り。大枠の流れは全公演で共通していながらも、各公演で数曲の入れ替えがありつつ、当夜では最終的に一期6曲、二期5曲、三期6曲、四期5曲の全22曲が繰り広げられることとなった。
一期の楽曲が並んだ序盤、ライブチューン「I surrender」恒例のメンバーコールセクションにおいて、KEKEが「うち、5人編成なんですよ。SHUN.って呼んでもらっていいですか!?」と促すなど、随所で2月より療養中のSHUN.(G)の存在を感じられる場面もあれば、「REBIRTH -the 3rd form-」を皮切りに三期のハードチューンの連投となったブロックでは、「FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!」と「LiaR」の間にTSUKASA(Dr)のドラムソロ、さらに中盤の聴かせるブロックに入る「Nocturne」の前には、kazuya SoloとしてZERO(B)、TSUKASAと共に温かなインストが披露されるという、当夜ならではのシーンも見られた。
なお、中盤以降は二期と四期の楽曲が見事に混ざり合った構成となったが、kazuya SoloからKEKEのアカペラで「Nocturne」へと繋ぎ、オールインと共に満点の星空が映し出された光景はあまりに美しく、さらにそこへ「浮雲」「眠れる森の前奏曲 ~REVOIR~」が続いたことで、映像も相まって星、雲、森というネイチャー感溢れる流れが実に素晴らしい景色を描き出したのだった。
その後ガラリとムードを変え、「前のめりで来いよ!」というKEKEの絶叫から突入した後半戦。「Labyrinth」でのヘドバン、折りたたみ、拳で白熱の応戦ぶりを見せたオーディエンスに対し、メンバーが笑みを浮かべれば、皆で振りを楽しんだ「MOON & BUTTERFLY」、フロアにタオルが旋回した「REGRET」を経て、音源としては現体制初のオリジナル曲であった「LAST」をプレイ。昨年下半期のステージで演奏を重ねてきたナンバーであり、気持ちの面で、これが最後になってもいいという意味合いが込められたメッセージも含め、四期を象徴する楽曲の一つと言っても過言ではない。
「このバンドが13年間続いていることが本当に奇跡だなと心の底から思うんですよ。他のバンドに比べたら、THE MICRO HEAD 4N’Sが歩んできた13年間の足跡というのは、あっちに行ったりこっちに行ったり、大変だったと思うんです。僕は加入してまだ2年ですし、このバンドが色々辛い思いをしてきた100%はわからないけど、過去は変えられなくても未来は当然変えられるわけだし、これからもがむしゃらに皆さん含めたメンバーで、もっともっと良い形に、そしてKEKEで良かったなと思ってもらえるように頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願いします! これからもワクワクすること、そしてスリルを皆さんに与えていくので、一緒に頑張っていきましょう!」(KEKE)
そんな言葉の後、「マイフォと言えば、かず兄が生み出す美メロでしょ! 全員で一緒にマイフォ一番の武器のハーモニーを奏でようぜ!」と、「上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~」を、そしてメッセージソング「まだ僕らを知らない君へ」を贈り、温かな空気が充満する本編の締め括りとなったのだった。
アンコールを待つなか映像が映し出され、今冬にメジャー第2弾シングルとなる『星屑のアルぺジオ』をリリースすること、11月2日に会員限定ライブ、12月にシングルと同タイトルを冠した全4公演のツアーを開催することが一挙に発表されると、再登場したメンバーから言葉が届けられた。
「2011年8月24日、恵比寿の居酒屋で…(中略)あれから13年、今もこうしてマイクローン(ファンの呼称)とのファミリーで楽しませていただいています。長いようで短かった13年。あっという間だったなと思います。ヴォーカルチェンジも繰り広げられ、今はKEKE君という最高のヴォーカリストが引っ張ってくれています! だけども忘れちゃいけないのが、SHUN.さんという存在ですね。(なぜかアポロ13号に例えて)だから、SHUN.さんも帰ってくる!」(TSUKASA)
「12周年、13周年と誰かが欠けているライブになってしまいましたけど、12周年の時、俺の分までSHUN.さんが頑張ってくれていたのを配信で観ていたし、今度は俺がSHUN.さんの場所を守ろうと思って、SHUN.さんのピックを毎回用意して、ファンの皆が会いに来てくれた時に何か持って帰ってもらえるようにとしました。これからもそうやってSHUN.さんの思いも、THE MICRO HEAD 4N’Sの14周年に向けても、温かくお祝いしてくれる皆のためにも、最高の13周年ライブをやって帰ろうと思います。たくさん発表がありましたけど、俺たち止まらないんで。お前ら絶対について来いよ」(ZERO)
「13年。中途半端だけど、僕にとっては大きいです。前やっていたバンドが13年で終わって、まさかそれに追いつくとは思っていなくて。このまま行くと、来年抜いちゃうんですよ。それってすごいなと個人的にグッと来るものがあります。先ほど『星屑のアルペジオ』の情報が発表されました。個人的には究極的に良い曲ができていると思います。僕の曲のテーマは『涙』なんだ。夜、不安な時ってあるじゃん。その背中を押してあげられる曲を作りたいと、ずっと思っていて。だからTHE MICRO HEAD 4N’Sの曲って全部それなんだ。悲しい涙だけじゃなくて、笑えるけど泣ける感じ、あれが多分THE MICRO HEAD 4N’Sなんだと認識できたツアーでした。なので、これからもそういう曲をどんどん作っていきたいし、皆も家に帰ったら色々あるわけじゃん。またここに来て一緒に遊ぼうよ。うちらが全力で抱きしめるから、いつでも遊びに来てください。僕らは思いのこもった演奏や歌を皆に届けられるように、これからも野音とか色々な共通言語を皆で作って、一緒に遊びたいと思っています」(kazuya)
「(12月15日Spotify O-WEST公演について)去年、たくさんの方が集まってくれたんですけど、どうしてももう一度やらせてくださいとお願いして、押さえさせていただきました。O-WESTは野音に行く一つの通過点じゃないですか。そういうところで僕らはリベンジして、夢に向かっていきたいなと思います。ただ、今のスタンスのままじゃO-WESTの数字を埋めるのは難しくて、僕は泥臭くてもいいから必死にがむしゃらに、目標に向かって頑張っていこうと思っています。去年とはまた違った泥臭さを見せちゃうかもしれないですけど、皆さんもちょっとでもいいから力を貸してもらえたら嬉しいです。
僕らに明日が当たり前に来るということは約束されていなくて。だから、後悔のないように、皆さんも毎日を必死に生きてもらいたいなと。それが難しかったりするんですけど、そんな時に俺を見て『アイツ、スゲー泥臭くやってんな』って、皆さんの背中を少しでも押せたらいいなと思っているので、THE MICRO HEAD 4N’S、そして僕の背中を見ていてください! 僕らは笑顔を大切にしていきたいバンドなので、皆さんの心にちょっとでも寄り添えたら嬉しいなと思っています。そして、もっと大きな会場で、たくさんの人の前でTHE MICRO HEAD 4N’Sを共有していきたいなと思います。皆も後悔のないように、自分たちの毎日の世界をこれからも生きてください」(KEKE)
こうして届けられたのは「この先ずっと… 〜Ballad version〜」。THE MICRO HEAD 4N’Sが過ごしてきた日々を辿る数々のスナップ写真を背景にした演奏は、どうしたって胸を打つもので、曲終わりに「Our story still continues.」の文字が浮かび上がれば、そこに「REMEMBER」が続き、バンドとオーディエンスの温かな大合唱を聴くことができた。そんな感動的な2曲を経て、「まだ暴れ足りないやついるだろ!?」(KEKE)と「FLY TO REBORN」を、そして全員の明るい未来に向かって、皆で片道切符を握りしめた「銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~」をもって輝かしいラストシーンを描き出したのだった。
さらに鳴り止まないアンコールに応え、フロアの声で決まった「Curtain Call」を最後にプレイ。THE MICRO HEAD 4N’S自身のことが描かれたこの楽曲は、これまでも幾度と彼らの重要な局面で演奏されてきたが、周年ライブのラストナンバーとして、マイクローンからのリクエストによって選ばれたという事実が何とも感慨深く、〈5人→『TMH4N’S』に成り(僕ら一つになり)〉の一節でメンバー、フロア共に人差し指を高く掲げた光景も忘れ難い。
かくしてこの記念すべき一夜は終幕を迎えたわけだが、THE MICRO HEAD 4N’Sの物語はここから先も続いていく。〈まだ僕らを知らない 世界線で生きている 名前も知らない君へ 届くように〉。
◆セットリスト◆
01. HELLO MY CLONE
02. The Wings Of Wind
03. I surrender
04. イカレタリアル
05. REBIRTH -the 3rd form-
06. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
〜TSUKASA Solo〜
07. LiaR
08. BABEL
〜kazuya Solo〜
09. Nocturne
10. 浮雲
11. 眠れる森の前奏曲 ~REVOIR~
12. Labyrinth
13. MOON & BUTTERFLY
14. REGRET
15. LAST
16. 上弦の月のオーケストラ ~Stella Note Magic~
17. まだ僕らを知らない君へ
En1
01. この先ずっと… 〜Ballad version〜
02. REMEMBER
03. FLY TO REBORN
04. 銀河鉄道の夜 ~STARDUST EXPRESS~
En2
01. Curtain Call
(文・金多賀歩美/写真・春川眞)
【配信情報】
●THE MICRO HEAD 4N’S 13th Anniversary Tour「まだ僕らを知らない君へ」
8月25日(日)赤羽ReNY alpha
アーカイブ配信中
チケット販売期間:9月1日(日)21:00まで
視聴期間:9月1日(日)23:59まで
【リリース情報】
●New Single『星屑のアルぺジオ』
2024年冬発売
【ライブ情報】
●FEST VAINQUEUR 2024 2MAN LIVE「VERSUS-vol.5-」
9月16日(月・祝)高田馬場CLUB PHASE
●DaizyStripper × THE MICRO HEAD 4N’S共同主催ツーマンLIVE「SYNCHRONICITY〜FACE TO FACE〜」
9月23日(月・祝)渋谷REX
●「Crazy Monsters Halloween Party 2024」
[DAY2]10月27日(日)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、メトロノーム、CLOSE、Little Vampire、Neu:NOIZ、VAMPIRE ROSE、司会:団長(NoGoD)
●会員限定ライブ「Clone Voter」
11月2日(土)
●THE MICRO HEAD 4N’S TOUR 2024「星屑のアルぺジオ」
12月1日(日)HEVEN’S ROCK宇都宮2/3(VJ-4)
12月6日(金)名古屋ハートランド
12月7日(土)心斎橋BEYOND
12月15日(日)Spotify O-WEST