現体制初のフルアルバム『ULYSSES』を完成させ、3月末より全15公演にわたるツアー「defspiral tour 2024 “ULYSSES”」を開催中のdefspiralが、5月6日、ツアー9本目となる目黒鹿鳴館公演を行った。
改めて補足すると、defspiralはhideに見出されたことがきっかけで音楽シーンに躍り出たバンド(当時はTRANSTIC NERVE)。1998年5月2日にhideがこの世を去ってから、毎年同日に開催されているメモリアルイベントにも欠かすことのできない存在であり、27回忌となった今年も大役を果たしたばかり。そんな彼らとhideの出会いのきっかけとなったのが、この目黒鹿鳴館なのだ。
彼ら曰く「人生が大きく変わった場所」だという目黒鹿鳴館。当初、このツアーには組み込まれていなかったが、ビルの老朽化により2024年末で同会場の退去が決まったことを受け、急遽入れてもらったのだそう。つまり、defspiralにとっておそらく現在地のラスト鹿鳴館となったこの日、メンバーのみならず彼らを愛する人たちも特別な思いで迎えることとなったに違いない。
作品同様にタイトル曲「ULYSSES」で幕を開け、本編ではアルバムの世界観を存分に表現。アンコールでは、先に記したイベントや鹿鳴館について触れる中で、「26年前の98年。5月22日に鹿鳴館でのイベントに出ることが決まっていて、そこにhideさんが観に来ることになっていた」とRYO(B)。そして「これからも楽しい時間を重ねていきましょう」(TAKA/Vo)と、hideの楽曲「ever free」「HURRY GO ROUND」のカバーを披露したのだが、そこに〈サヨナラ愛しい人よ また会えるその日まで〉と歌う「GALAXY」、さらに〈出会えた喜び〉を歌う「IRIS」が続いた場面は何とも胸を打つもので、TAKAは「忘れられない夜になりました」と告げたのだった。
なお、実は2階関係者エリアのセンターには「hide様」と記した特等席が用意されており、これはdefspiralが鹿鳴館でライブを行う際の恒例なのだとか。MASATO(G)が「hideさん見てますか!? defspiralカッコいいでしょ!?」と投げかけたシーンも印象深い。
「まだまだ皆と見たい景色があるんだ」(TAKA)と、「AURORA」「LOTUS」をもってこの夜は幕となったが、「いずれ移転先でのこけら落としもあるでしょう。ぜひやらせてほしいな」とTAKAが吐露していたことも付記しておこう。また、本ツアーは残すところあと6公演。ファイナルは始動記念日の5月26日、2022年に和樹(Dr)が正式加入した地でもある赤羽ReNY alphaにて行われる。ぜひ彼らとより多くの時を重ね、待望のアルバム『ULYSSES』の世界を堪能してほしい。
(文・金多賀歩美)
【リリース情報】
●New Album『ULYSSES』
2024年3月22日(金)配信
2024年4月14日(日)CD発売
[CD](3面デジパック仕様・ブックレット20P)SSCPC-0027 ¥3,500(税込)
※ライブ会場&オフィシャルサイトにて販売
[収録曲]
01. ULYSSES
02. VIVA LA VIDA
03. FLASH
04. ALEGRiA
05. EUPHORIA
06. ARCANA
07. 夢見る蜉蝣
08. 光の世界
09. 明日への階段
10. 流星
11. SATELLITE
12. 月の荒野
【ライブ情報】
●defspiral tour 2024 “ULYSSES”
5月10日(金)名古屋ell.FITS ALL
5月11日(土)柳ヶ瀬ants
5月18日(土)仙台spaceZero
5月19日(日)郡山CLUB #9
5月23日(木)初台DOORS ※3月24日の振替公演
5月26日(日)赤羽ReNY alpha