2023.08.26
「THE MICRO HEAD 4N’S & defspiral Coupling Tour 2023 9BALL GAMES -4th-」@新宿BLAZE

THE MICRO HEAD 4N’Sとdefspiralによるカップリングツアー「9BALL GAMES」が、両バンドのメンバーチェンジを経て5年ぶりに開催。その最終夜が8月26日、新宿BLAZEにて行われた。本ツアーでは、全9ヵ所10公演の内4公演で、四度目の「9BALL GAMES」にして初のゲストアーティストも参加。このファイナルではオープニングアクトにSPLENDID GOD GIRAFFE、ゲストにH.U.Gを迎え開催された。

「9BALL GAMES」の歴史を紐解くと、そのスタートは2015年(全9ヵ所18公演)。翌2016年(全9公演)、そして2018年(全11ヵ所13公演)と開催してきたが、「9BALL GAMES」は単なる対バンツアーではないということを、まず記しておきたい。オーディエンスを楽しませたいという思いを根底に、メンバー自身が主体となり様々な仕掛けを用意。お互いのステージへの飛び入りは風物詩であり、何より9BALL GAMESという名の合同バンドとしてオリジナル曲も存在する。まさに9人が一体となった盟友たちの旅は、THE MICRO HEAD 4N’S、defspiralにとってはもちろん、双方のファンにとっても特別なものとなっているに違いない。

また、今ツアー中、TAKA(Vo/defspiral)の新型コロナウイルス罹患により、中盤の3公演を8人で敢行するという事態に見舞われながらも、スリーピースでのdefspiralのステージに加え、KEKE(Vo/THE MICRO HEAD 4N’S)が当初予定になかった楽曲で急遽TAKAの代わりにヴォーカルを務めるなど、2バンドの絆で乗り越えてきた。迎えたファイナルでは、まさかのZERO(B/THE MICRO HEAD 4N’S)が同様の事態となり、THE MICRO HEAD 4N’Sは4人体制でステージに立つこととなったのだった。

オープニングアクトを務めたのは、KEKEの戦友であり今ツアーの名古屋公演にもゲストとして参加したSPLENDID GOD GIRAFFE。SEに合わせたフロアのハンドクラップがメンバーを迎え入れ、「TRIDENT」で威勢よくスタートを切ると、「お前らの本気見せてちょうだい!」と秀人(Vo)。「ISOLATION」でさらにギアを上げ、公佑(G)とTACC(B)もステージをスイッチしながら、堂々たるパフォーマンスを繰り広げる。

ピアノの音色から始まり、泣きのギターソロも印象的だったバラードナンバー「UNICORN」をしっとりと聴かせた後、「まだまだ体力あり余ってるよな!?」(秀人)と、SPLENDID GOD GIRAFFEの始まりの曲「EVE」へ。ジャキジャキとした公佑のギターと、動きのあるTACCのベースも際立つ。抜群のノリを見せるフロアに対し秀人が満足気に頷くと、サポートドラムの緩菜を含めた4人が向かい合ったキメで、フィニッシュとなった。

続いてのステージはゲストアーティストH.U.Gの登場。ryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani&Key&Per)により昨年始動したばかりのバンドだが、THE MICRO HEAD 4N’Sとdefspiralのメンバーらと同じ時代を生き抜いてきた、縁の深い面々が顔を揃える“ベテラン新人バンド”だ。お馴染みのNAOKI(B/FANTASISTA、ex.Kagrra,)、TAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)がサポートを務め、起爆力のある最新曲「HELIOS」で幕を開けた。

緩急のある展開が魅力的な「BLOOD PIN」ではフロアに満場の拳が上がり、「心に光を」というryoの言葉を合図に、轟音の中のキャッチーなメロディーが映える「HEART」、果てしなくドラマティックなバラードナンバー「LOVE THAT NEVER ENDS」と、愛の歌を続けて披露。

次いで、「声出していいんですよ?」とKaryuがオーディエンスを鼓舞し、各メンバーコールとソロ回しで場内の熱をさらに引き上げると、とことんヘヴィーなライブチューン「WHO IS THE ROMEO」でステージ、フロアともに騒ぎ倒した。そして「最後に僕たちが大切に育てている曲を」(ryo)と、1stアルバムのリード曲でもあるメッセージ性の高い「SEEDS」をもってこのステージを締め括ったのだった。

カップリングツアーファイナル公演の先攻はTHE MICRO HEAD 4N’S。ステージ袖から聞こえたメンバーの気合い入れの声に、フロアから早速拍手が湧き起こる。メンバーが舞台に姿を現し、ZEROの立ち位置には彼のベースが。現体制での新曲の一つであるスリリングかつメロディアスな「M-6」が幕開けを飾り、下手の空間を埋めるようにSHUN.(G)がいつにも増して大きなアクションを見せる。

kazuya(G)とSHUN.が交互に弾くギターフレーズ始まりが映える「WHITE SOUL」をプレイすると、「俺たち5人揃ってTHE MICRO HEAD 4N’Sなので、今日はZEROさんの形は見えないですけど、5人ステージにいるものだと思って楽しんでいってください!」とKEKE。次いで、甘く切ないミディアムナンバー「VANILLA」を届けた後、ムードを一変させ「最大のリスペクトを込めて演奏させていただきます!」(KEKE)と、TAKA、RYO(B/defspiral)を呼び込みdefspiralの「AURORA」へ。RYOがZEROのベースで演奏すれば、TAKAとKEKEによるツインヴォーカルが絶品のハモリを聴かせる。

後半戦、フロアにタオルが旋回したダンスチューン「I surrender」では、KEKEの先導でZEROの名前をコール&レスポンスする一幕も。さらにTSUKASAのドラミングから「REINCARNATION」に突入すると、defspiral のMASATO(G)と和樹(Dr)、SPLENDID GOD GIRAFFEの面々が飛び入りし、各メンバーのワチャワチャとした絡み合いも見られたのだった。

「この9BALL GAMES、助け合いながらやってきたんだなと思う」とKEKEが実感のこもった言葉を述べ、「ZEROさん今日めっちゃ出たかったと思うんですよ。(配信で)観ていると思うので、皆さんZEROさんの名前を呼んでください」と満場のZEROコールを。そして、ラストには「銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜」でセンターにフロント3人が集結する場面もありながら、オーディエンスの大合唱と共に明るい未来に向かって光り輝くエンディングとなった。

後攻はdefspiral。楽器隊が定位置に着くと、SEに乗せてMASATOがキュイーンとギターを鳴らす。TAKAの登場で「さぁ行こうか」という言葉を合図に、現体制で生み出された楽曲の中でも勢いのある「VIVA LA VIDA」、さらに「全部出し切って帰れよ!」(TAKA)と、RYOのベースからライブ登場率の高い「PULSE」が続き、序盤からフロアは見事な一体感を見せる。空間を一瞬で支配する重厚なロックバラード「明日への階段」は今宵もやはり圧倒的で、和樹の力強く華やかなドラミングも見所の一つだ。

ここでTAKAがZEROの欠席と自身も3公演を欠席したことに触れ、「皆が盛り上げてくれて、本当に素晴らしいツアーだったなと、今過ぎてしまえばそう思える日々になりました。そんな当事者でもある私ですが、何より皆の笑顔が最高のプレゼントというか、思いを届けることになると思いますので、最後まで楽しんでいってくださいね」と告げ、「ZERO君、楽しんでるぞ!」と画面越しに伝える一幕も。

色気たっぷりのシャッフル曲「Alegría」でフロアを揺らし、その歌詞に準えて「痺れるくらいの笑顔をもっと見せてくれよ、東京!」とTAKA。そして、KEKEとkazuyaを呼び込み「総力戦で行こうぜ!」(TAKA)とTHE MICRO HEAD 4N’Sの「Curtain Call」に突入すれば、フロアは拳を突き上げOiコールで応戦。〈僕らは今 同じstageに立つ仲間となり〉という歌詞がまさに真実味を持って響き、「THE MICRO HEAD 4N’Sに、最高の仲間たちに大きな拍手を!」というTAKAの言葉をもって二人を送り出したのだった。

その後、ミラーボールが輝く中タイトなサウンドかつ疾走感のあるロックナンバー「流星」を奏でると、「行こうぜ、ファイナル!」というRYOの掛け声からダンサブルな「LOTUS」へ。カラフルな光が場内を照らし出し、MASATOとRYOはステージをスイッチ、フロアは飛び跳ね、息の合ったハンドクラップを響かせdefspiralのステージは幕となった。

大トリはお待ちかねの9BALL GAMESセッション。「BLAZEラスト、ブチ上がっていけるかー!?」というKEKEの絶叫と共に幕が開き、オリジナル曲「FEVER」をメンバー全員でパフォーマンス。TAKAとKEKEが固く握手を交わし、「本当にKEKEのことが大好きになったツアーでした。ちょっと絡みにくいヤツかなと正直思った時期もあったんですけど(笑)、最高のヴォーカリストでした! 今日もZERO君がいなかったり色々なことがあるけど、皆で乗り越えてこられた最高のファイナルになりました」とTAKAが話せば、「メンバー、お客さんも一緒になって、皆さんでこのツアーを作れたなと思っています。ありがとうございます! このメンバーが大好きで、終わるのが寂しくて泣きそう」とKEKE。ラストにはSPLENDID GOD GIRAFFEも再登場し、大所帯で「NEW GAME」を。ステージ、フロアが一体となり大団円を迎えたのだった。

新体制にさらなる刺激が加わった盟友たちの旅の終着地で見えたのは、より強固になった9人の絆と愛情だった。とは言え、今ツアーでは完全体の「9BALL GAMES」が全10公演中6公演だったこともあり、この日TAKAが「理屈を並べても悔しさは残る」と述べたこともまた事実。だからこそ「またやりましょう。また会いに来てください!」というTAKAとKEKEの言葉を信じ、近い未来に完全体の9人に再会できる日が来ることを期待したい。

◆セットリスト◆
【SPLENDID GOD GIRAFFE(O.A)】
01. TRIDENT
02. ISOLATION
03. UNICORN
04. EVE

【H.U.G】
01. HELIOS
02. BLOOD PIN
03. HEART
04. LOVE THAT NEVER ENDS
05. メンバー紹介曲
06. WHO IS THE ROMEO
07. SEEDS

【THE MICRO HEAD 4N’S】
01. M-6(新曲)
02. WHITE SOUL
03. VANILLA
04. AURORA(defspiral)
05. I surrender
06. REINCARNATION
07. 銀河鉄道の夜 〜STARDUST EXPRESS〜

【defspiral】
01. VIVA LA VIDA
02. PULSE
03. 明日への階段
04. Alegría
05. Curtain Call(THE MICRO HEAD 4N’S)
06. 流星
07. LOTUS

【9BALL GAMES】
01. FEVER
02. NEW GAME

(文・金多賀歩美/写真・@Lc5_Aki、MAKOTO TSUCHIYA)


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H.U.G オフィシャルサイト
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