2022.07.22
mitsu@渋谷REX
mitsu ONEMAN TOUR 2022「SEVEN AS A TRIGGER」
7月22日(金)、渋谷REXにてmitsu ONEMAN TOUR 2022「SEVEN AS A TRIGGER」ファイナル公演が開催された。5月11日にスタートした都内ツアーは全7公演、ツアー途中の7月18日にはソロ始動7周年の記念日を迎えるという、7づくしのツアーだ。前ツアー「ZEAL 4 ROMANCE」から1ヵ月半ほどでスタートした今回のツアーは、mitsuをはじめ、メンバー全員が“前ツアーを一歩進めたもの”というイメージで臨んだという。確かに、メンバーのイメージどおり、激アツだった前ツアーの熱はそのままに4人のグルーヴはさらに高まり、多彩なサウンドを聴かせてくれた。
ライブは、このツアーを振り返るムービーからスタート。オフショット満載のムービーがファイナルの特別感を演出する。楽しかったツアーも今日で終わり…という感慨とともに、これから始まるライブへの期待感も自ずと高まる。1曲目は「エトリア」。パチッ!と勢いよくスイッチが入ったかのように、演奏が始まると同時に、フロアはステージに釘付け。爽やかな疾走感にあふれる曲が、彼らが奏でる音の世界へと一気に連れていく。続く「蛍」もこの日は爽やかさに重点を置いたアレンジ。続いて、曲が持つロックな部分を強調した「Live Your Life」は、拳を突き上げるmitsuの姿が印象的だった。
MCでmitsuは「この2ヵ月は、あっという間だったんだけど、長い旅をしているような時間でした。そういう気持ちを話そうとすると長くなりすぎるので、全部、曲で伝えます。耳で、心で、楽しんでいって!」と話す。MC明けは、すっかり馴染んだ感のある、横揺れで大人っぽいアレンジの「It’s So Easy」。この曲は楽器隊それぞれのソロがあるのも聴きどころだ。続いてはこのツアーでRENAが作曲した新曲。気怠い、ぐるぐるとめまいを起こしているようなイメージの新曲は、ツアー初期とは比べものにならないくらい格好良くなっている。これまでのmitsuの曲にはない雰囲気をまとう新曲は、mitsuの新境地を見せてくれた。ヘヴィーであやしげな格好良さを堪能できるこのパートは「MIDNIGHT LOVER」「蜃気楼」と続く。湿度の高い熱帯夜のような熱さが会場を包んでいたが、次の「じゃないか」で一転。明るくポップな曲で一気に除湿した。この4人に出せない音色はない!と見せつけんばかりのサウンドの違いに高揚する。
「遥か」では透明感に胸がぎゅっとなり、「Naked」では深い想いに心打たれる。そして「キンモクセイは君と」と、誰かを強く想う切ない曲が続き、それぞれにまったく異なる切なさを聴かせてくれた。ラブソングパートの締めは「君がいないなら」。こちらもこのツアーで生まれた新曲で、風弥の作曲だ。希望にあふれた曲で、前向きな気持ちにしてくれる。もしも会場にいる全員でこの曲を一緒に歌うことができたら、半端ない一体感を味わえるだろう。
MCで「人生で一番いい歌が歌えている」と話すmitsu。2本の都内ツアーを通して、音楽の楽しさに改めて気付いていると語る。風弥も「まだライブは終わっていないけど、間違いなく今日が一番いいライブ!」と断言。「今日ここでドラム叩けてよかった」と話す。mitsuも「ファイナルにこんなライブができるなんて、ちょっと出来過ぎ」と笑っていた。
RENAは「7周年に立ち会えて光栄です。mitsuが最後まで気持ちよく歌えるように演奏します。おめでとう!」と隠しきれない真面目さが滲む温かいコメントを贈った。
mitsuのソロ始動以前からの付き合いとなる夢時は「ライブを中心に活動しているミュージシャンは、みんな厳しい状況にある。その中でmitsuが呼んでくれるから、ステージに上がれる。ありがとう」と感慨深げ。「打ち上げの午前5時みたい(笑)」と照れ隠しも忘れない。
感動的な空気に包まれたMCの後は、ラストまで一気に駆け抜けるゴリゴリの激アツパート。前ツアーで誕生し、今回のツアーでさらにブラッシュアップされた「ZEAL 4 ROMANCEのテーマ」から、「Crazy Crazy」「Into DEEP」「ラストヒーロー」と、拳を突き上げ、暴れたくなる曲のオンパレード。何も考えずにリズムに乗り音を浴びる、ライブの楽しさをこれでもかとぶつけられるような、最高の時間だ。実際に、最高に楽しかった。ラストは「For Myself」。mitsuのソロ活動のスタート飾った曲で、ツアーファイナル兼7周年記念ライブを締めくくった。いつだってエモーショナルな気持ちにしてくれるこの曲だが、この日のこの曲はいつにも増して胸に迫るものがあった。
mitsuはこの2ヶ月、ツアーに加え、イベント出演やν[NEU]のライブなど、この2年間で最も忙しい日々を送っていた。mitsuはこの期間中に起こったさまざまな出来事が刺激となり、音楽の楽しさ、歌うことの楽しさに改めて気付いたと話す。実際に、mitsuの歌唱は今までと変わっている。単に技術が向上したというだけではない。歌詞の内容を超え歌声で想いを伝える、声でメロディーを奏でて曲を表現するといった、聴く者の心を震わせる歌を聞かせてくれるのだ。だから、切ない曲はより切なく、ポップな曲はよりポップに、ヘヴィーな曲はよりヘヴィーに、エモーショナルな曲はより感動的になった。
ファイナル当日、本番前のインタビューで「この4人なら絶対にカッコいい音が出せる!」とメンバー全員が感じていると話してくれた。まさしく、表現できない音はないんじゃないか思うような、ひたすらに格好良いライブを見せてくれた。ツアーは終わってしまったが、目覚ましい成長を遂げたmitsuは精力的に活動を継続する。ゲストヴォーカルとしてユナイト 2022 Oneman Live Tour「CONTiNUE?」に参加するほか、夢時と出演する「Unplugged Live #10」、今回のツアーメンバーで出演する対バンイベント「ホントノミリョク」、10月〜12月にはν[NEU]のライブと無料ワンマンライブを予定している。Mitsuの歌を聴くことができるチャンスはまだまだ用意されているので、ぜひ足を運んでほしい。彼の声で奏でられるメロディーを、音楽を、聴きにきてほしい。音楽の素晴らしさを、ライブの楽しさを、実感させてくれるから。
◆セットリスト◆
01. エトリア
02. 蛍
03. Live Your Life
04. It’s So Easy
05. 新曲(タイトル未定)
06. MIDNIGHT LOVER
07. 蜃気楼
08. じゃないか
09. 遥か
10. Naked
11. キンモクセイは君と
12. 君がいないなら
13. ZEAL 4 ROMANCEのテーマ
14. Crazy Crazy
15. Into DEEP
16. ラストヒーロー
17. For Myself
(文・板垣可奈子/写真・Intetsu )