2021.05.30
THE MICRO HEAD 4N’S@赤羽ReNY alpha
「3rd story “LAST”」
THE MICRO HEAD 4N’Sが第三期の活動をスタートさせたのは2019年6月。同年にシングル2作品のリリース、2度の全国ツアー開催と精力的に活動を展開し、2020年以降のコロナ禍においても、再録音源の4ヵ月連続配信リリース、無観客配信ライブや様々なトーク配信企画、さらに2021年1月には第三期初のフルアルバム『The Unfinished Story』をリリースするなど、歩みを止めずに前進し続けてきた。無論、2020年3月以降の活動については、本来の予定通りではなく、多くの変更を余儀なくされた結果なわけだが、その中でも彼らは常にファンのことを思いながら、様々なエンターテインメントを発信してきたのだ。
そして4月24日には、実に約1年3ヵ月ぶりとなる有観客でのワンマン公演が実現。1年越しのSHUN.(G)のバースデーライブでありながら、衣装3パターン、新旧様々な楽曲、これまでの配信ライブの経験を活かした映像演出など、様々な要素を詰め込んだ濃密なステージを繰り広げた。なお、THE MICRO HEAD 4N’Sのバースデー公演は誕生日の当人が構成を考えることが恒例となっており、この盛りだくさんな内容は「久々のライブだから皆が楽しんでくれることをやろうと思って」というSHUN.の思いから生まれたものだった。
迎えた5月30日。今年2月に発表された通り、AMENO(Vo)がこの日をもってバンドを脱退、現メンバーすなわち第三期THE MICRO HEAD 4N’Sとして最後のライブとなる「3rd story “LAST”」が行われた。先に断りを記すと、このレポートではメンバー5人からの言葉をできる限り残したいと思う。彼らの真実を知ってもらうと共に、今現在のTHE MICRO HEAD 4N’Sを通して、未来のTHE MICRO HEAD 4N’Sが見えてくるはずだから。
会場は第三期始動ライブと同じ場所、赤羽ReNY alpha。定刻となり、舞台袖から5人の気合い入れの声が漏れ聞こえてきた。SEに合わせたオーディエンスの手拍子がメンバーを迎え入れると、起爆力抜群の「FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!」でこの日のステージは幕を開けた。次いで「今日は拳で応えてくれ!」(AMENO)とプレイしたのは「GLORIOUS BLAZE」。第一期からこれまでのあらゆる場面で披露されてきた“新しい時代の幕開け”を歌った楽曲は、今この瞬間も彼らの愛情と力強さを感じさせてくれるものだった。
その後も第三期で生み出した楽曲と再録した楽曲によって、様々な光景が繰り広げられていった。バラードナンバー「ローレライ」「陽炎」をエモーショナルに奏でれば、キャッチーな「Replicant」ではフロアの一人ひとりを見渡しながら笑みを浮かべるメンバーの姿が。楽器陣のトリッキーなユニゾンが魅力的な「THE END OF THE WORLD」、ピンク色に染まった場内にタオルが旋回した「SCANDALOUS」を経て、「LiaR」を皮切りに「UROBOROS」「NOW or NEVER」と怒涛のハードナンバーを連投。白熱の空間を作り上げれば、「こんなんじゃ足りないよな!? 遊び足りないか!?」(AMENO)と、さらに「EARNEST GAME」「VOLCANATION」で暴れ倒したのだった。
ここでAMENOから「脱退の理由を皆の前でちゃんと伝えておこうかなと思います。辞めた後に触れられない存在みたいになるのはすごく嫌なので。俺がいたってことも含めて未来に進んでいってほしいし」という言葉が。「僕にとって音楽というのは、自分の思いを伝えていくということだけじゃなくて、もっともっと前に進んでいこうという思いもあって。結果を求め過ぎたのかなと思いました。自分一人が勝手に突っ走って、メンバーに迷惑をかけてしまって、それでゴールに辿り着いたとしても、それってバンドにとって皆にとって幸せなのかなと思うようになって。だんだん自分勝手な自分のことを嫌になってきちゃって、どういう気持ちでステージに向かえばいいんだろうと思い始めちゃったんですよ。それで少しずつわだかまりみたいなものが大きくなっていった気がして。このまま限界まで進んで破裂するみたいなことになっちゃうと、一緒に音楽を作ったメンバーって仲間だと思うんですけど、そういうものでいられなくなっちゃう気がして。それならば自分が去ろうと思って脱退を申し出ました」
そして自身の今後について「この先バンドをやるかどうかはわからないです。それはなぜかと言うと、このメンバー以上にすごい人たちとバンドができることって、俺の人生でもうないと思うんだ。リーダーシップのあるkazuyaさん(G)がいて、面倒見がいいSHUN.さんがいて、どこまでもカッコいい、クールなZEROさん(B)がいて、ムードメーカーの、歌も歌えるドラムも叩けるTSUKASAさんがいて…そんなメンバーにこの先もう巡り会えないと思っているから、自分のバンド人生は一旦ここで終止符かなと思っています。ここへ連れてきてくれたメンバーと皆に本当に感謝しています。ヴォーカルでいさせてくれてありがとうございました」
この後語られた各メンバーの言葉の抜粋も記したい。
「『EARNEST GAME』の映像、2年前ここでやった時のままなんですよ。せっかくだからちょっとだけ変えようかなと思って作業していたんですけど、その時に2年前のステージのことを思い出して。あの時はAMENO君以上に俺は緊張していて、今日も多分メンバーの中で一番緊張していて、2年前と何も変わってないなと。でも、このコロナというものでライブを取り巻く状況が一変して、ライブをやること自体が厳しくなってはいますけど、4月24日のライブの時の皆が手を上げているシーンが目に焼きついていて、やっぱり何も変わってないなと。皆も何も変わってないな、ライブをすごく楽しんでくれている、嬉しいなと思って。その力をもらって僕もすごく楽しくて、やっぱりライブっていいなというのを痛感しました。そして今日もさらにそれを感じました。少しずつでいいので、以前のライブを皆で取り戻せたらいいなと思います。第三期は今日で終わりますけど、THE MICRO HEAD 4N’Sはまだまだ続きますので、また会えるその時まで待っていてください。今日は本当にありがとう」(SHUN.)
「俺は曲作りに関しては自信があるわけじゃないし、才能なんてないなと思って生きていますけど、そんな中でも第三期のフルアルバムでメンバー全員1曲出そうという話になった時に、第三期のイメージが俺の中でやりたいことに近いということもあって、自分なりに上手く曲が作れたなと。これが例えばAMENO君じゃなかったら、俺は曲を作ってなかったかもしれないし、そういうきっかけを与えてくれた、自信を付けさせてくれたというか。俺に影響を与えてくれた2年だったと思います。俺も約10年前、人生を賭けたと言っていいバンドが解散して、もうバンドはやらなくていいかなと思っていたくらいだったんですけど、kazuyaさんやSHUN.さんに声を掛けられて、やっぱり待ってくれている皆がいるということが…約12年間たくさんの人に応援してもらえて、「はい、これでさよなら」ということにはできなくて。だから皆のためにというのもあって今もバンドを続けていて、第三期は終わってしまいますけど、その気持ちは変わっていないので、この先も自分なりに突き進んでいきます。これからもよろしくお願いします。もちろん、AMENO君の今後の人生も応援してあげてください」(ZERO)
「AMENO君が入ってくれて活動できたこと自体が有り難いなぁと思っております。次を期待してほしいなと思います。このコロナ禍の中、応援してくださってありがとうございます。第三期が終わると聞いて、この後どうなるんだろうと悩んでいた方も多いと思うんですけど、僕個人的には音楽は絶対に辞めるつもりはないので、例えTHE MICRO HEAD 4N’Sがないとしても、僕は音楽をやるために生まれてきたと思っております。でも、10年前の素晴らしい出会いから始まって。ZERO君に手を引かれ、恵比寿の居酒屋へ。そこで契りを交わしたというか、あれは忘れられません。僕は二足の草鞋で演歌活動もやらせてもらっていますし、僕は音楽を作る自信があるんだなぁ! 三期は終わってしまいますけど、今後ともよろしくお願いいたします」(TSUKASA)
「三期が終わること、ファンの皆さん、スタッフの皆さん、本当にすみません。リーダーとしての自分の不甲斐なさだと思っています。夢を見させられなかったのかなと。お互いの正義が噛み合わなかっただけであって、その中で自分の何が悪かったのかなと考えたら、そういうことだったのかなと思いました。コロナ禍になって去年の今頃、このままいったら秋くらいに僕らの活動が厳しくなってくるなと思っていたんですけど、すごく皆に応援していただいて、今日もミュージシャンとして“kazuya”としてここに立たせてもらっています。僕はどうしても恩返しがしたいなとずっと思っていて。それで「Blue Moon」はなんとかできたけど、結果がこうなってしまったことに対して、本当に申し訳ないと思っています。でも何かで恩返しがしたいと今でも考えています。活動を止めないこともそうなのかもしれないし。僕らって本当に迷惑をかけるバンドだと思うんですよ。ヴォーカルも代わるしさ。「もういいよ」って去っていく人もいる、今日が最後という人も多分いると思うんです。でも、いつか帰って来てもいいように、いつでも帰って来られるこの場所を、俺とSHUN.、ZERO、TSUKASA、ファンの子とスタッフで、これからも守っていこうと思っています。桜って冬が厳しければ厳しいほど、春になったらすごく綺麗に咲くんだって。だから、僕らもいつか、どんな形かわからないけど綺麗な花を咲かせられるように、馬鹿にされようが泥臭くこれからも生きていこうと思います。そしていつか綺麗な花を咲かせて皆と喜びたいと、僕は本当に思っています。それまで色々あるけど、僕らと皆の物語はまだ続くので、これからもよろしくね。もうあと数十分で三期は終わりますけど、本当にありがとうございました。THE MICRO HEAD 4N’Sでした」(kazuya)
この言葉から最新アルバムのリード曲「REMEMBER」、そして昨年、クリスマスプレゼントとしてリリックビデオが公開された新曲「Blue Moon」が奏でられ、場内はこの上なく温かなムードに包まれた。コロナ禍の中でバンドとファン双方にとってより大切な楽曲となったに違いない2曲は、この先も多くの人たちの心を温め、支え続けてくれるだろう。そして、ラストには第三期の始まりの曲「REBIRTH -the 3rd form-」が放たれ、完全燃焼と言えるパフォーマンスが繰り広げられた。AMENOは何度も「ありがとう!」と叫び、最後に三本の指を高らかに掲げると、「ありがとうございました! THE MICRO HEAD 4N’S第三期でした!」と告げたのだった。
メンバーが去ったステージでは、第三期のドキュメント映像と全ライブスケジュール、5人からの直筆メッセージが映し出された後、様々な情報が一挙に発表された。この日の模様を収めたLIVE DVDとALL TIME BESTのリリース決定、7月30日ZERO Birthday Event、8月21日10th Anniversary Event開催、さらに「2021.6.20 THE MICRO HEAD 4N’Sが予想外の展開へ」という気になる文言も。
第三期の集大成となった一夜は、終わってみれば全21曲というフルボリューム。それに加えて今後の様々な展開の発表。これはTHE MICRO HEAD 4N’Sなりの愛情の示し方だろう。「挑戦したから転んでいるわけであって、挑戦しなければ転ぶこともない。だとしたら何度だって転べばいいし、何度だって挑戦すればいい。転んだら立ち上がればいい」とは2月の発表直後にkazuyaが配信の中で発した言葉であり、THE MICRO HEAD 4N’Sというバンドの根底にあるものだ。先述の通り、彼らは既に次のフェーズへと歩みを進めている。5人の未来が幸福に満ちたものになることを心から願うと共に、THE MICRO HEAD 4N’Sが描き出す新たな物語を楽しみに待ちたい。
◆セットリスト◆
01. FACT IS STRANGER THAN FAKE!!!!
02. GLORIOUS BLAZE
03. BABEL
04. DOWN
05. Deeper Than Black 〜闇色の翼〜
06. イカレタリアル -3rd insanity-
07. GENESIS
08. ローレライ
09. 陽炎
10. Replicant
11. NOISE
12. THE END OF THE WORLD
13. SCANDALOUS
14. LiaR
15. UROBOROS
16. NOW or NEVER
17. EARNEST GAME
18. VOLCANATION
19. REMEMBER
20. Blue Moon
21. REBIRTH -the 3rd form-
(文・金多賀歩美/写真・KURO)
【リリース情報】
●Best Album『ALL TIME BEST』
2021年8月24日(火)発売
(オフィシャルオンラインショップ/セブンネット/ヴィジュアルショップ)
THIR-0055 価格未定
CD2枚組
Disc1:ファン投票12曲予定(曲数は投票結果により多少異なります)
Disc2:メンバーセレクト11曲+未発表曲音源「Blue Moon」
『ALL TIME BEST』収録曲ファン投票はコチラ
投票受付期間:~2021年6月30日(水)23:59まで
●LIVE DVD『3rd story “LAST” 2021.05.30 at AKABANE ReNY alpha』
2021年8月24日(火)発売
(オフィシャルオンラインショップ)
THIR-0054 価格未定
【今後のスケジュール】
6月20日(日)Official YouTube Channelにて予想外の展開に・・・
7月30日(金)ZERO Birthday Event
8月21日(土)10th Anniversary Event
THE MICRO HEAD 4N’S オフィシャルサイト
https://themicrohead4ns.jp/