2021.05.08
HOWL@西永福JAM(無観客配信ライブ)
「ボクラノシンフォニー」
今年の秋、結成3周年を迎える4人組ロックバンド、HOWL(Vo.真宵、G.よっぴ、B.ゆうと、Dr.yuki)。エモさ溢れるハードチューンからダンスナンバー、超キャッチーなポップロックまでこなす、幅広い音楽性が持ち味だ。圧倒的な歌メロのよさに加え、聴く者をポジティブな気分にさせるライブパフォーマンスで、ジワジワとファンを増やしている。2.5次元レベルと評されるメンバーのビジュアルも大きな人気要素だ。
そんな彼らが3周年アニバーサリーに向け、攻めのスケジュールを発表。その第1弾が5月8日に西永福JAMで開催されたワンマンライブ「ボクラノシンフォニー」である。当初はガイドラインを遵守した上で前売りチケット購入者&当日来場者(=入場無料)を入れての有観客、さらには配信も行う予定だった。当日券を無料にしたのは、自分達のファンでなくとも、気軽にライブを体験して欲しかったからだという。だが、4月25日、東京都に緊急事態宣言が発出される。結果、「ボクラノシンフォニー」は配信のみのライブに変更を余儀なくされた。これも、コロナ禍における音楽活動の難しさということか。さらに、追い打ちをかけるようにドラムのyukiがコロナに感染(ちなみに無症状)するという事態も降りかかる。ただでさえ、心折れる状況だが、PCR検査で無事に陰性が証明された他の3人は、yukiのドラムを打ち込みで流す形での配信ライブを敢行! 転んでもただでは起きないメンタルの強さを見せた。
無観客配信とはいえ、彼らは気合十分! ライブのスタート時間(18時30分)の直前には、全員がステージにスタンバイ。真宵が「今日は3人ですけど……」と前置きしつつも、円陣を組み、元気に掛け声で気合を入れる。こうして、3人だけという逆境の中、現状打破をポップに歌い上げる「ふぁぼって人生。」で配信がスタート。2曲目もファンキーなサウンドをフィーチャーした「迷宮ディスコニック」で、アゲアゲな展開。観客がいたら、一気にテンションが爆発していたに違いない。
最初のMCで真宵は東名阪のツアーファイナルであり、3周年記念のワンマン公演となる渋谷WWWでのライブを正式発表したことについて、「WWWの前でアー写を撮ってみました!」と語り、本日欠席のyukiについても「さっき電話したし、とにかく(みんなに)安心して欲しいです」と報告。そして、その流れで究極の自己肯定応援ソング「生きてるだけで褒められたい。」へ。ポップなノリで盛り上げたあとは、「honey❤︎drunker」や「極楽浄土」といった、アグレッシヴなサウンドでハードな側面を見せていく。ただ、どれだけエモい楽曲でも、必ずサビには印象的なメロディーを乗せ、あくまでキャッチーな曲に仕上げているのはHOWLらしいところ。6曲目の「メルティナイト」は、雰囲気を変えてミディアムナンバーを披露。真宵が甘く歌い上げる。彼らのレパートリーには、気持ちのいい転調も多いのだが、この曲でもサラリと転調を取り入れている。激しい曲でも、決してグロウル(いわゆるデスボイス)に逃げず、クリーンな歌声で勝負する真宵の良さが出た楽曲だ。その佇まいからヴィジュアル系にカテゴライズされる彼らだが、もはや2.5次元系と言えそうな華やかさは大いなる武器だろう。
中盤のMCタイムでは、自宅で配信を見ているyukiと電話をつなげて生トーク。「生きてるよ! 元気だよ! 今日は中華丼食べました」というyukiの明るい声にファンも安堵したに違いない。
さて、ここからは後半戦。「An inch ahead」「先天性君症候群」など、グイグイくる楽曲でメンバーの演奏も熱を帯びていく。ちなみに「An inch ahead」では配信画面に自宅でドラムを叩くyukiが登場。嬉しいサプライズとなった。遠隔ながらフルメンバーになったことで、よっぴ、ゆうとも絡んだり、動き回ったりと、有観客さながらの熱演を繰り広げる。9曲目の「PRAYER」はキラキラのサウンドながら、聴き手に寄り添う歌詞が印象的。“「君が信じた僕を信じたい。」また走り出すための 理由なんてもうこれで十分だ”……そんな歌詞が染みる。
その後、ライブ告知の映像が流れたあと、「#prologue」へ。〈仕合せとか不仕合せ なんて超えられた場所で 僕らはまた歌おう〉という歌詞そのものが、大きな決意表明となって響いていく。続くMCタイムには、改めて各メンバーから10月1日の渋谷WWWに向けての意気込みが飛び出す。yukiは再度電話の向こう側からリベンジの意味も込め、「yukiバ(6月2日@渋谷MilkyWayでのbirthdayライブ)も、WWWの前の無料ワンマン(7月&8月)もツアー(9月14日@西永福JAM、9月21日@名古屋今池3star、9月23日@大阪アメリカ村Clapper)も楽しみ!」と語り、ゆうとは「やっと夢への第一歩!」、よっぴは「結成3年以内で(WWWを)やろうと決めてた。4月3日のソールド(@池袋BlackHole)があって、やっとつかめた夢! 一緒に夢をかなえたいと思います!」と、思いを語った。真宵は「キャパが大きくなって大変だけど、絶対(WWWを)ソールドさせたい!」と力強く断言し、ラスト2曲の「愛情絶対値」と「ボクラノシンフォニー」へつなげる。「ボクラノシンフォニー」は銀テープの演出が似合うブチ上がるナンバー。画面の向こうのファンも、次なるライブに向けての思いが、一層高まったのではないだろうか。コロナ禍によって予定が立てにくい世の中ではあるが、逆境にもめげずに未来を見つめる若きバンドマン達の決意は清々しい。“生きてるだけで褒めてくれる”ようなHOWLの音楽が、ますます大きな場所で、そして多くの人達の前で響く未来に期待したい!
(文・海江敦士)
HOWL オフィシャルサイト
https://howl-official.com/