インタビュー

plastic-treeインタビュー

Plastic Tree

Plastic Treeから有村竜太朗&長谷川正が登場!
切なくもいびつで美しいラブソング『くちづけ』を語る!

メジャーデビュー15周年第2弾作品としてPlastic Treeが生み落とすニューシングル『くちづけ』。切なさと美しさが同居する耽美な世界観を持つこの楽曲が生まれた背景、再構築された「トランスオレンジ」「クローゼットチャイルド」について二人に語ってもらった。さらに、前回、有村竜太朗(Vo)に答えてもらったあの質問を、今回は長谷川正(B)に尋ねてみた。

◆ケンケンが帰ってくるライブをつまらない結果にしたくなかった(有村竜太朗)

――早くも2ヶ月経過しましたが、まず武道館公演について率直な感想を聞かせてください。(※佐藤ケンケン(Dr)の緊急入院により、サポートメンバーで春ツアー「青の運命線」を敢行。ツアーファイナルの武道館公演でケンケンが復帰となった)

正:ケンケンのことがあったので、ツアー自体悩んだ部分もたくさんあったんですけど、結果的にすごくやって良かったなというツアーになりました。もちろんケンケンが参加して4人でツアーを回れたら良かったんですけど、手伝ってくれた友人ミュージシャンの想いだったり、何よりファンの人たちがすごく楽しみにしていてくれたんだろうなっていうのが伝わってくるツアーで。そういう中で、ファンの人たちにとってもケンケンのことがすごく心配だったろうし、プラ大丈夫かなっていう部分もあったと思うんですけど。そういうちょっとマイナスな面はありつつも、ちゃんとファンの人たちを安心させることもできたし、最終的に4人で武道館のステージに立ってツアーを締められたっていうのは、ドラマチックだなぁという感じがして。すごく思い出に残るツアーの一つになりましたね。

竜太朗:武道館に立つまでの道のりが…やっぱりケンケンがいなくて、武道館も立てるかどうか正直わからなかったので、そういった部分では普通のツアーファイナルとして武道館を迎えたっていう感じではなかったですね。武道館のステージにケンケンが立てることが決まってから短い期間だったけどリハに入って、ケンケンが帰ってくるライブをつまらない結果にしたくないなっていうのが本人も含めメンバー全員あって。その緊張感を武道館に持ち込んで、その日一日のライブとしてはかなり良いものに出来たので、良い意味で空気が張り詰めていて印象深いライブでしたね。

――そんな武道館公演でとても自然に「くちづけ」が初披露されましたが(武道館での初演音源を初回盤に収録)、1曲目に1stアルバム収録の「痛い青」、2曲目に最新曲「くちづけ」という曲順は、どなたの提案だったのですか?

竜太朗:「痛い青」は元々決まっていて。ケンケンも復帰してきたばかりだったし、新曲をやれるかやれないか自体も最初わからなくて。やれるって決まって、アキラ(G)が前半の方でやりたいなと言っていて、だったら2曲目とかでいいんじゃない?って。

正:さらっと決まりました。

――初披露の感触はいかがでした?

竜太朗:俺は緊張感の方が先走っていて、あんまり覚えてないんですよね…。

正:馴染み方がハンパないなというのはありましたね。「テント」っていう武道館でのライブ自体が、Plastic Treeとしては一番世界観が凝縮されている空間なので余計にっていうのはあったのかもしれないですけど。不思議な感じはしましたね。お客さんは「何この曲?」っていうのはあったと思うんですけど。

――そういう感じは受けました?

正:僕も演奏してて結構いっぱいいっぱいなところはあったので(笑)。とにかく音でしっかり伝えなくてはっていう。正直あんまり余裕はなかったんですけど。ただ空気感的な部分でいうと、新曲なのに不思議なくらい馴染んでるなぁっていうのはありましたね。

――音源で改めて聴いたら、緊張感はありましたね。

正:そうですよね。

竜太朗:緊張しますよね。初めての演奏ですから。とりあえず、こなれてる感じではないですよね(笑)。練習は相当したので、その成果はちゃんと出てるなと。

正:ああいう記録を残せるのはいいなと思いました。今後またライブで演奏していけば、変わっていくとは思うんですけど、ああいう感じってあの場でしか出せないと思うので。

――鍵盤のフレーズとコーラスがとても印象的ですが、デモ段階から正さんの頭の中にはそういう音のイメージはあったんですか?

正:ああいうフレーズみたいなものはあったんですけど、音色…例えばギターでやるのかピアノを使うのかっていうのは、メンバーみんなでアレンジし始めてからですね。これピアノの方がいいんじゃない?とか、そういうアイディアが出てきて。

――なるほど。この楽曲はどの部分から出来たんですか?

正:これは割りとわーっと全部作っちゃった感じですね(笑)。

――(笑)。Aメロの「呼吸する~」前の1.5秒程の無音がすごく緊張感を増幅させるなと思ったんですが、あの構成はいつ生まれたんですか?

正:あれはね、長年一緒にやってるエンジニアさんがいるんですけど、その人のアイディアで。今回はメンバーはもちろん、音の面でPlastic Treeに関わってくれているいろんな人のアイディアが散りばめられていて。そこがおもしろいなぁと。

――素敵ですね。では作曲者として特に正さんこだわりの部分は?

正:メロディーに関してはもちろん、ああいう曲だから余計に際立った感じにはしたいなと思っていたんですけど、曲そのものは、なんて言うんだろうなぁ…あのループ感というか。割りとシンプルだと思うんですよ、曲としては。そのシンプルな中にも気持ち良いループ感みたいなものがあったらいいなぁというのはイメージしましたね。

◆後ろめたい。でも綺麗!(長谷川正)

――このタイトルになった経緯というのは?

竜太朗:タイトルは一番最後に付けたんですけど、今回は曲の世界観が強かったから曲に呼ばれた言葉を出していって歌詞を作ってきたような感じだったので、最終的に出来たときに「くちづけ」が一番集約した言葉だなぁと思って。

――前回のインタビューで、曲の中で自分が何を一番やりたいのか見つかるまでが嫌な時間で、「静脈」はサビの頭の2行が出てきたときに底に辿りついた、とのことだったのですが、今回それに当てはまるのはどの部分でしょう?

竜太朗:やっぱりサビの頭の〈瞼を伏せて〉からの2行が出来たときですね。

――歌詞には竜太朗さんの実体験や恋愛観が反映されていると以前おっしゃっていたので…切ないな!と思いました(笑)。

竜太朗:あぁ(笑)!

――歌詞のように“さよなら”を予感しながら胸の内に閉まっておいた経験はありますか?

竜太朗:そうですね…大体そんな感じですかね(笑)。はい、あります。

――正さんは今回の歌詞に共感する部分はありますか?

正:んー…。特に意図しなくても嘘ってついちゃったりするじゃないですか。人を傷付けまいとして、自分が傷付くまいとして。そういう部分に関しては俺もそういうときあるしなぁって思いますしね。それが“美しい”かどうかはわからないですけど(笑)。

――歌詞を読んでみて、竜太朗さんは響きや単語の表記の仕方だけでなく、一つの詞作品として文字の並びの見た目もすごく考えられているんだなと思いました。歌詞が最終形になるまでに、文字の並びは結構変わったりしますか?

竜太朗:歌詞を書き終わってレコーディングが終わった後に一日時間を設けて全部を見直すんですけど。改行とか行間とか。それはいつもやりますね。タイポグラフィーとかをやるときはいろいろ考えるんですけど、歌詞を書くときはまずまとめることに精一杯なので、一番最後にそういうことをやりますね。それはやらないといかん作業ですね。自分的には。

――正さんから見ても竜太朗さんの書く詞に「素敵な言葉だな」と思ったりハッとさせられることはありますか? 今回の歌詞ではいかがですか?

正:それはありますね。今回は〈美しい嘘〉ってすごくキュンとする言葉だなと思って。「後ろめたい。でも綺麗!」みたいな。この曲って作ったときにイメージに“耽美”っていうのがあって。“耽美さ”ってただ綺麗なだけじゃなくて、どこか醜いと言うと言い過ぎかもしれないけど、そういうものも裏側にあるというのがイメージにあって。そういうのを言葉でパッと表すと、そういうことなのかなと。ドキッとするなぁ。

――PVも素敵でアートな映像作品ですけど、監督さんにはどういったイメージを伝えたんですか?

正:逆に監督さんの方で先にイメージを持ってくれていて。「静脈」のときと同じ監督さんだったんですけど、違う見せ方というか、「今回はプラをこういう感じで撮ってみたい」というのがあったみたいで。ロケ場所もすごく良かったし。さっきのエンジニアさんの話もそうなんですけど、今回この曲に関わってくれた人みんなが、いろいろなアイディアを投げかけてくれたっていうのがうれしかったですね。

――「トランスオレンジ」(通常盤A収録)と「クローゼットチャイルド」(通常盤B収録)は1stアルバム収録曲の再構築ですが、前作『静脈』での「痛い青」「鳴り響く、鐘」(1stアルバム収録曲)の再構築を経て、やってよかったと思えた結果でしょうか?

正:それもあるし、今年がデビュー15周年というところで、今年1年かけてもう一度『Hide and Seek』っていう1stアルバムの世界観を振り返ってみてもいいのかなっていうところがあるので、その続きですね。

――今回この2曲を選んだ理由とは?

正:なんとなくなんですけど。そうですねぇ…うん…なんとなくですね。

――そうなんですね。「トランスオレンジ」が「くちづけ」のあとのストーリーのように感じられるなと思って。

竜太朗・正:ほう(驚)!

――〈さよなら〉というワードで繋がっていて。

竜太朗・正:ほう(驚)!

竜太朗:逆になんかすいません、ちゃんとした流れがなくて(笑)。

正:再構築を手掛けるに当たって、今これやってみたいよねっていう、こっちの気持ちみたいなものの方が大きかったかもしれないですね。

――前作に「鳴り響く、鐘」が収録されていて、今作収録の「クローゼットチャイルド」には〈鐘の音〉というワードがあったので、また繋がってる感じがあるなと思って。

竜太朗・正:あーーー。

竜太朗:…ない(笑)。

正:ククッククッ(笑)。

――(笑)。前作は「静脈」と「痛い青」がリンクしていましたよね。

竜太朗:そうですね、「静脈」と「痛い青」は繋がりで選曲したんですけど。あと「痛い青」はアルバムの1曲目なんでね。15周年記念の一発目としては一番いいかなというのがあって。でも今回は本当になんとなくなんですよね。

――そうなんですね。アレンジは結構変わりましたよね。「トランスオレンジ」は原曲よりテンポが遅くなって尺的には30秒くらい違ったり。

竜太朗:テンポも変えたしキーも変えたし、今の自分たちだったらこういう風にやるなっていうところが上手く出せたかなと。

正:曲に合わせてキャラクターを際立たせた感じですね。

――「クローゼットチャイルド」はバンドサウンドが前に出ていて、ヴォーカルが良い意味で楽器隊と一体化しているというか。サウンドの強さと竜太朗さんの独特なヴォーカルの組み合わせがプラならではのかっこよさだなと思いました。

正:こういうね、混沌としたような部分もバンドのカラーとしてあるので、こういう曲はそういう部分が顕著に出ればいいかなと思ってこの形になりました。

◆人の良いところを見て付き合っていけたら(長谷川正)

――前回のインタビューで竜太朗さんにメンバーの長所短所を伺ったので、今回は正さんが思うメンバーそれぞれの長所短所をぜひ。

正:おっ。人様をとやかく言える人間ではないんですけど。そうだなぁ…まず竜ちゃんからいくと、長所はね…自分が好きなものに対してはものすごく情熱を使う人ですね。あえて短所を挙げるとするならば、自分が好きじゃないと思うものや自分がダメだなと思うものに対しては逆ですね。ハッキリしてますね。まぁ短所とは思わないですけどね。好きなものは一生懸命やるけど、嫌いなものには目もくれないっていう。

竜太朗:はい。重く受け止めます(笑)。

正:ナカちゃんはなぁ…長所は徹底してますね。自分が作るものに対して徹底してる。短所は…んー…。短所って浮かばないんだよなぁ。んー…(沈黙)…短所って難しいですね。俺、人の短所に目を向けるっていうのがそんなに好きじゃなくて。自分を棚に上げてねぇっていうのがあるんですよ。だから人の良いところを見て付き合っていけたらなぁと。

――素晴らしいです。最後にケンケンさんは?

正:ケンちゃんの長所は、とにかくあの一生懸命さでしょうね、何に対しても。

――みなさんの長所が結構共通してますね。

正:そうですね。Plastic Treeっていうバンド自体みんな熱いと思うんですよ。物を作るであるとか、何かを形にするっていうことに関してすごく熱い人たちで、ただそのプロセスがそれぞれにある感じですかね。

――短所はやっぱり思い浮かばないですか?

正:そうだなぁ…ケンちゃんに関しては強いて言えば、心配性過ぎるっていうところかな。

――竜太朗さんのお答えも「考え過ぎ」でしたしね。ちなみに、竜太朗さんが思う正さんの長所は「誰の意見でも聞ける、柔軟な考えを持っている」短所は「のんびりし過ぎている」というお答えでした。

竜太朗:(笑)。

正:そうですねぇ…そうかもしれませんねぇ…。(小さくなる)

――竜太朗さんの方がのんびりしている感じかなと思ったんですけど。

正:竜ちゃんは場合によるんじゃないですかね。のんびりしてるときはしてるんですけどね。

竜太朗:自分のことは棚に上げてですからね(笑)。

――さて、8月に「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」への出演が決定していますが、夏フェスはいかがですか? 楽しみにしていることはありますか?

竜太朗:今まであまり知らなかった世界なんですけど、なんかすごく良い場所ですよね。音楽好きな人たちがやり手も聴き手もあれだけ集まって…ちょっとした桃源郷ですよね(笑)。ふとしたタイミングで好きなアーティストや気になってるアーティストの演奏を聴けたりすることがあって。そういうのは観に来てるお客さんと同じで、良いタイミングがあれば観に行きたいなぁっていうのはあるし、食べ物もいろんなものが売ってるのでおいしいなと。

正:ジャンルも何も関係なく音楽が好きな人たちが集まるっていう場所だと思うので、そういうところで演奏できるのは本当にうれしいですね。

――ではそんな夏フェスに向けた意気込みをお願いします。

竜太朗:たくさんのライブがあると思うんですけど、Plastic Treeにしか出せない時間空間を、埋めたいな染めたいなと思うので、ぜひそれを観てもらいたいです。

正:良い意味で観た人に何か残せるようにしたいですね。初めて観る人も多いと思うので、「こんなバンドがいたんだ!」って思ってくれたらうれしいなと。そういうライブにしたいですね。

(文・金多賀歩美)

Plastic Tree

<プロフィール>

有村竜太朗(Vo)、長谷川正(B)、ナカヤマアキラ(G)、佐藤ケンケン(Dr)によるロックバンド。1997年6月にメジャーデビュー。作品のジャンルは多岐に渡り、有村の特徴的な歌声とバンドが持つ独特な世界観で唯一無二の存在として確固たる地位を確立。2012年メジャーデビュー15周年を迎え、レーベルを移籍。2月に15周年第1弾シングル『静脈』をリリース。3月から春ツアーをスタートし、4度目の日本武道館公演を成功させた。8月4日、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012」への出演が決定している。

■オフィシャルサイト
http://www.plastic-tree.com/

【リリース情報】
Calvary
[初回限定盤A]
CD+DVD
VIZB-24
¥1,800(tax in)
Calvary
[初回限定盤B]
CD+DVD
VIZB-25
¥1,800(tax in)
Calvary
[通常盤A]
CD
VICB-35040
¥1,200(tax in)
Calvary
[通常盤B]
CD
VICB-35041
¥1,200(tax in)


『くちづけ』
2012年6月20日発売
(FlyingStar Records)
メジャーデビュー15周年第2弾シングルは、世界一いびつで美しいラブソング。初回盤には日本武道館での初演版を収録。通常盤には1stアルバム収録曲の「トランスオレンジ」「クローゼットチャイルド」の再構築版を収録。

【収録予定曲】
【収録曲】 初回限定盤A
[CD]
1. くちづけ
2. くちづけ(2012年4月14日・日本武道館・初演版)
3. くちづけ(Instrumental)
[DVD]
「くちづけ」Music Video

初回限定盤B
[CD]
1. くちづけ
2. くちづけ(2012年4月14日・日本武道館・初演版)
3. くちづけ(Instrumental)
[DVD]
十五周年樹念映像作品「くちづけ」

通常盤A
[CD]
1. くちづけ
2. トランスオレンジ(Rebuild)
3. くちづけ(Instrumental)

通常盤B
[CD]
1. くちづけ
2. クローゼットチャイルド(Rebuild)
3. くちづけ(Instrumental)