ライブレポート

2015.5.23

Plastic Tree@渋谷GUILTY

男子限定ライブ「Boys Don’t Cry

 

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昨年結成20周年を迎えたPlastic Treeが「Boys Don’t Cry」と冠した自身初の男子限定ライブを、5月23日、渋谷GUILTYで行った。昨今、ロックバンドが男子限定ライブを行うことは珍しいことではなくなっているし、「いつかやってみたい」と思うのがバンドマンの性のようで、それはPlastic Treeのメンバーにおいても例外ではなかった。だが、「日本の数あるバンドの中でも良い意味で変わったバンドの一つだと思う」と長谷川正(B)も以前のインタビューで語っていたように、多岐に渡る音楽性、有村竜太朗(Vo)の特徴的な歌声、文学的な詞世界から成るPlastic Treeというバンドは、美しくも儚い映画や絵画にも通じる、もはや“芸術的”という言葉がしっくりくる特異な存在。キャリア20年を超えるバンドながら、今回が初めての試みという事実からも、失礼を承知で言えば「男子限定ライブ」とはかけ離れたところにいるバンドというイメージがあり、スタッフ、関係者、メンバー自身でさえも、全くもって予測のつかない状態で、この夜を迎えることとなった。

 

わずか250人というキャパシティで行われたこの限定ライブは、もちろんソールドアウト。定刻を少し過ぎ、場内が暗転すると同時に拍手が湧き起こった。「お前ら、期待してるぞ」と言わんばかりに、笑顔で拳を上げながら登場するメンバー。最後に姿を現した竜太朗は、どこか照れくさそうな表情をしていた。そんな普段とは異なる空気を感じながらも、「Thirteenth Friday」で幕を開ければ、いつものプラワールドの始まりだ。と思ったのもつかの間、続く「涙腺回路」「GEKKO OVERHEAD」ではフロアから威勢のいいOiコールと拳が突き上げられ、序盤とは思えぬ白熱ぶりを見せた。だが、それはこの後繰り広げられる“勝負”のほんの序章に過ぎなかった。

 

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「やぁやぁ」と竜太朗はいつもの調子で挨拶をしたものの、すぐに「よーよー」最終的に「おいっす」という言葉で落ち着き、「今日は特別な日になるんだろうなと思っていましたが、想像を超えていました」と続けた。スタートからわずか3曲を終えたばかりというこの時点で、場内の温度と湿度は急上昇していたが、この後も留まることを知らず、最終的に人の体温と同じくらいの気温、湿度86%まで上ったらしい。

 

また、「どんな顔ぶれが揃うのか、楽しみにやってきました。最高じゃないですか。初めてのことなので不安もあったんですが、安心しました。君たちはどこにいたのかね(笑)?」という正の問いに「後ろのほう!」と答えた男子たち。そんなところもまた海月(Plastic Treeのファンの呼称)らしいと思う一方、「女子に負けねーぞ!」「愛してるよ!」など、直球な愛情表現が飛び交ったのは男子限定ゆえ。すると「これから俺らの愛を証明します」(竜太朗)と、「カオスリロン」を皮切りに怒濤の後半戦に突入。普段遠慮がちな男子海月たちも、この特殊な状況下で解き放たれたのか、無法地帯と化したフロアにはモッシュやダイバーの出現等、これまでのプラのライブでは見たことのない景色が次々と広がった。そんな彼らに「もっと新しいもの見せてよ!」と竜太朗も叫び、「いつもはクールガイだけど、今日だけは熱いキャラでいこう」とナカヤマアキラ(G)。そして、この尋常ではない熱さの中、上半身裸でドラムを叩き続けた佐藤ケンケン(Dr)は、男子海月に向け拍手を送った。

 

「俺らとの体力勝負」と竜太朗が言った通り、メンバー、オーディエンス共にいっさい手を緩めることなく、「―――暗転。」をもって本編全15曲を終えたわけだが、終演後の竜太朗曰く、「あバンギャルど」の時点で意識が飛んでいて「バンビ」はほとんど記憶にないとのことだった。それほどまでに凄まじいライブが展開されていたのだ。

 

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メンバーがひとたびステージを後にすると、フロアから「Plastic Tree男子、最高!」という声が。そして「プラ男! プラ男!」からメンバーコール、「Boys Don’t Cry!」を叫び、最終的に「は、や、く!」という言葉でアンコールを求めた男子たち。彼らの声援に応えてメンバーが再び姿を現すと、正が「今日やって良かった。女子の海月たちが今日のライブを見たら悔しがると思うよ」と、男子海月にはこの上ない賛辞を贈れば、竜太朗は「男子限定がこんなに楽しいと思わなかった」と率直な思いを口にし、「puppet talk」「ナショナルキッド」をプレイ。

 

その後、ステージセンターに樽酒が用意され、ケンケンのドラムロールでメンバーを代表して正が鏡開き。この樽酒、なんとこの場に参戦していたファンからの粋な差し入れということで、当人の名前コールが沸く一幕も。Plastic Treeのロゴが彫られた枡で乾杯を交わした後、この日のライブタイトルでもあるThe Cure「Boys Don’t Cry」のカバーを披露した。そして「最初で最後のわけねーだろ! 来年もやるぞ! 絶対来いよ!」(竜太朗)と叫び、「サイコガーデン」をドロップ。さらに「本当は「サイコガーデン」で締めようと思ったんだけど、そういうわけにいかんだろう」(正)と、「Ghost」で最後の最後まで暴れ倒し、「今日を忘れないです。お前ら最高ー!」という竜太朗の言葉で、この夜は幕となった。

 

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メンバーとファンによる“漢と漢の勝負”のようなステージは、どこまでも自由だった。また、序盤は個々に楽しんでいたファン同士が、曲を追うごとに結束力を高めていく姿が印象的でもあった。最後に「本当に今日は遊んだわ。また遊ぼう! Plastic Treeでした!」(竜太朗)という言葉を残し、満足げな表情でメンバーはステージを後にした。20年というキャリアを経てもなお、新たな景色を見ることができるのだということを証明してくれたPlastic Tree。まさに「歴史的な一夜」と呼ぶにふさわしいステージとなった。2015年5月23日という日を忘れることはないだろう。そしてこの「Boys Don’t Cry」が、今後も続いていくことを切に願う。

 

◆セットリスト◆

01. Thirteenth Friday

02. 涙腺回路

03. GEKKO OVERHEAD

04. みらいいろ

05. テトリス

06. 梟

07. リプレイ

08. Sink

09. カオスリロン

10. あバンギャルど

11. マイム

12. ヘイト・レッド、ディップ・イット

13. バンビ

14. メランコリック

15. ―――暗転。

 

EN

01. puppet talk

02. ナショナルキッド

03. Boys Don’t Cry

04. サイコガーデン

05. Ghost

 

(文・金多賀歩美)