ライブレポート

2012.4.14

Plastic Tree@日本武道館

春ツアー2012「青の運命線 最終公演:テント③」

 

 

去る3月15日、佐藤ケンケン(Dr)不在のなか迎えたPlastic Treeの春ツアー初日、有村竜太朗(Vo)は静かにこう語った。「すごく悩んで中止も考えたけど、僕らはバンドマンなので、ケンケンが帰って来れるようにこの場所を守ることにしました」――ケンケンの緊急入院という事態により、サポートメンバーでこのツアーを敢行することとなったPlastic Tree。各地を巡り彼らが帰ってきた頃の東京は桜が満開だった。そして、ケンケンが無事退院、ツアーの最終公演である日本武道館で復帰することが発表された。こうして迎えた武道館公演、4人で音を奏でる唯一の「青の運命線」は幕を開けたのだった。

 

ツアーの最終日でもあり、「テント③」というタイトルが冠されたPlastic Treeの4度目の武道館公演。舞台にはもちろんテントを模したセットが構えている。定刻を少し過ぎ、モニターに映し出された青色の線はやがてプラスティックの樹をつくりだし、公演タイトルが浮かび上がると拍手に包まれた。

長谷川正が刻むベースのイントロですぐにそれとわかる、メジャー1stアルバムの1曲目「痛い青」でライブは開演。テントを覆う幕越しにメンバーのシルエットが浮かぶ。幕が開くと白色の柱がテントの屋根を支えるようにそびえ立ち、モニターには青の液体が流れた。先日のインタビューで「15年前『痛い青』を聴いていた人に聴いてもらいたい」と話していた有村の言葉を思い出す。

 

 

次いでステージ上手から鮮やかなブルーの光が差しナカヤマアキラがギターを奏でると、下手からは鮮やかなピンクの光が差し長谷川正のベースが重なる。なんの前触れもなくごく自然に披露された新曲「くちづけ」。背面には様々な花が開いた。

「やあ」といつも通りの第一声を発した有村だったが、彼の「ただいま」という挨拶に会場いっぱいの「おかえり」の声が響いた。「やっと4人で会えました。僕らのテントへようこそ。はじまりはじまり」――絶妙に違う様々な色合いの青が重なりあった「静脈」、晴れやかな光に悲しみを感じた「蒼い鳥」、青の先にある明るい世界を思った「藍より青く」と、今ツアーの柱である“青”をテーマにした楽曲が奏でられる。

 

そして「エとセとラ」では夜空を思わすステージに浮かぶ針金のような月が楽曲とともに徐々に円へと近づいていく姿が美しく、「37℃」では夕日のような温かなぬくもりを感じ、Plastic Treeならではの絵本のような空間に惹き込まれる。さらに、色彩鮮やかなガーベラが映し出された「ガーベラ」、飛び回るような電子音とカラフルな照明にオーディエンスの手拍子が一体となった「うわのそら」、ハードナンバーへ突入し有村とナカヤマのアグレッシヴなギターサウンドが冴え渡り、照明は激しく点滅を繰り返すと、場内はoiコールでいっぱいに。こうして様々な表情を見せるプラの世界。

「武道館の桜が綺麗だからみんなで見よう、とツアー中言っていたんですが、夢を見させてくれてありがとうございます」と披露された「春咲センチメンタル」。会場いっぱいの花びらが舞い、まさに〈見上げたなら、花降る春〉という情景で、それは果てしなく美しく、あいにくの雨にも咲き残ってくれた美しく強い桜のことを思った。

 

 

「ただいま!! 戻ってこれました。みんなのおかげです」アンコールでこの日初めてケンケンが言葉を発した。少しの沈黙を挟み「…みなさんへの感謝の気持ちは一生かけてドラマーとして返していかなければと思いました。“ありがとう”と思い過ぎて言葉にならないです」と涙ながらに想いを口にした。そして有村も「ライブは自分の世界の全てなので、でも一人では出来ないことなので、みんなには本当に感謝です」と改めてその想いを伝えると、「ヘイトレッド・ディップイット」「puppet talk」と騒ぎ倒し、ラストは会場が一体となったジャンプ!で締めくくられた。

…と思われたが、告知映像が流れたあと、青の優しい光がゆるりとステージを照らし出すと、その逆光の中いくらかの時間ギターとベースのみが奏でられ、次いでケンケンが登場しドラムが重なり、最後に姿を現した有村はなんとピエロ衣装&メイク! 場内はざわめきと歓声に包まれ「空中ブランコ」が披露された。曲末、ピエロに扮した有村が崩れ落ちテントの幕が閉じられると、おとぎ話の終わりのように「青の運命線 最終公演:テント③」は終演となった。

 

「音楽的にも世界観的にも表現としても一番究極の形」という先日の有村の言葉通り、15年という歴史と変わることのないバンドの本質、今のPlastic Treeの全てを具現化した“テント”公演だったと思う。Plastic Treeが創り出す様々な色彩の世界をこれからも見続けていきたい。

 

 

◆セットリスト◆

1. 痛い青

2. くちづけ(新曲)

3. メルト

4. エとセとラ

5. 讃美歌

6. 静脈

7. 37℃

8. 蒼い鳥

9. ガーベラ

10. うわのそら

11. 藍より青く

12. デュエット

13. 涙腺回路

14. メランコリック

15. 春咲センチメンタル

16. アンドロメタモルフォーゼ

 

EN

17. ヘイトレッド・ディップイット

18. puppet talk

19. 空中ブランコ

 

 

(文・金多賀歩美)