限界を超えて見える世界がある――。
BREAKERZ再始動第2弾シングル『YAIBA』完成の裏側に迫る!
各々のソロ活動を経て今年再始動を果たしたBREAKERZ。5月にはシングル『WE GO』、7月にはアルバム『Ø-ZERO-』を発表、さらに8月~9月には全国ツアーと怒濤の展開を見せる中、早くも再始動第2弾シングルとなる『YAIBA』を世に放つ。TVアニメ『カードファイト!! ヴァンガードG ギアースクライシス編』のオープニングテーマ曲でもある今作は、より重厚なギターサウンドに乗せて限界を超えて戦う姿を描いた決意の1曲。そんな今作について、そしてBREAKERZの2015年を3人に語ってもらった。
◆人間誰しも戦わなきゃいけない時がある(DAIGO)
――早くも冬になりましたが、今年の夏は2年半ぶりの全国ツアーがありました。久々のツアーはいかがでしたか?
DAIGO:最高のツアーになったなと思います。“ゼロからのリスタート”というテーマでアルバム『Ø-ZERO-』(2015年7月発売)を作って、新しいアルバムで全国を回れたというのがBREAKERZとしても良かったし、新しくBREAKERZとして進化できたツアーでしたね。何より、再始動して全国のみんなに会いに行けて、みんなと最高のライブができたというのが、本当に幸せな時間でした。
AKIHIDE:非常に楽しかったですね。今までにないくらい熱いライブでしたし、ドラムにはToshi Nagaiさんに新たに参加していただいて、音楽的にも勉強になりましたし、充実したツアーになりました。
SHINPEI:ソロを経てまた集まったBREAKERZの爆発力が出せたライブハウスツアーだったんじゃないかなと思います。ソロ活動をやっている最中は、そっちに一生懸命だったんですけど、改めてこのメンバーで集まれて、ファンのみなさんとライブができるという喜びをひしひしと感じられるツアーでしたね。
――最新アルバム『Ø-ZERO-』の楽曲で、特にライブで成長したなと思うものは?
AKIHIDE:セットリストの最後に「WE ARE」をやっていたんですけど、感動的な感じがどんどん膨らんでいって。後奏も延びたし、ドラマティックさがすごく増した印象がありますね。オーディエンスがいたからこそだと思います。
SHINPEI:ライブの中盤で「My Sweet Rose」という曲をやって、その曲の前に楽器陣だけで展開していくセッションパートを作ったんですけど、そこもひっくるめて「My Sweet Rose」というものを見せられたかなと思います。そういうバンドセッションは音源には入っていない部分なので、バンドならではのアレンジとしてやれたんじゃないかなと思いますね。
DAIGO:「OUTRAGE」が新しいBREAKERZのライブでの暴れ曲に仲間入りしたなと思います。ライブでカオスな感じに盛り上がる曲になったし、俺自身もツアーの途中くらいから何を歌っているのかよくわからなくなるくらい、ある意味暴走しちゃう、熱くなる1曲になりましたね。
――そんなツアーの最終公演(9月26日@TOKYO DOME CITY HALL)で「YAIBA」が初披露されたわけですが、ツアー中に制作していたのでしょうか?
DAIGO:アルバムが完成したのが6月下旬だったんですけど、完成してホッと一息ついている時に、TVアニメ『カードファイト!! ヴァンガードG ギアースクライシス編』のタイアップの話をスタッフさんから聞いて、2~3日で作ってくれないかと。
――だいぶタイトですね(笑)。
DAIGO:そうですね(笑)。ヴァンガード作品にはこれまでも携わっているので、ぜひやりたいなと。時間がない中でも良い曲はもちろん作れるだろうし、イメージを固めていこうということで、俺たちもツアーを回ってその勢いを次の曲に入れたかったし、そのグルーヴを大事にしながら『ヴァンガード』のオープニングにふさわしい曲で、あとはサビから始めようとか、できるだけみんなで話し合って絞って、曲を書きました。で、みんなで持ち寄って選曲会をして、この曲に決まりました。
――候補としてはどのくらいの曲数出たんですか?
DAIGO:全部で5曲くらいかな。その5曲もすごく濃かったんですけど、その中でも一番この曲が今のBREAKERZにふさわしいしヴァンガード作品にも合う、全てがマッチングした曲なんじゃないかなということで決まりました。
――“ゼロからのリスタート”をテーマにしたアルバム『Ø-ZERO-』の次に出すシングルという意味では、どのような思いがあったのでしょうか?
DAIGO:アルバムを作った後に作った曲ではあるので、より力強いメッセージを乗せたいなという思いはあって、より攻めたマインドというか、そういうものを入れたかったですね。
――歌詞の面では前シングル『WE GO』は“再始動”ということ、仲間との絆、バンドへの思いが綴られていましたが、再始動第2弾シングルとなる今作のテーマを教えてください。
DAIGO:今回は、人間誰しも戦わなきゃいけない時があるというテーマです。人生で、色々と戦わなきゃいけない時は絶対に来るし、ある意味限界を超えなきゃいけない時、絶対に無理だと思っても自分の限界を超えるくらいの努力とか、頑張らなきゃいけない時がある。そういうテーマで書きました。
――〈限界を超えて 見える世界がある〉という、常にあるBREAKERZのテーマも入っていますね。
DAIGO:そうですね。それぞれの人生でそういう瞬間は来ると思うんですよね。僕で言うと、この夏100km走ったことも、ある意味限界を超えた挑戦ではあったし。それぞれの人生で、受験、就職、恋愛、人間関係とか、色々な意味で戦わなきゃいけない時というのがあると思うんです。
――100kmマラソンは涙が止まらなかったです。
DAIGO:そうですよね。何回もインタビューしてもらっているから、きっと泣きながら応援してくれているんだろうなと思いましたよ(笑)。
全員:(笑)
DAIGO:もう一つ言えるテーマとしては、自分一人だけの力じゃなくて、みんなと力を合わせた時に生まれるパワーがあるということですね。「あ、俺こんなに頑張れるんだ」って。走っている時も、周りに人がいて応援してくれたから力を出せたというのもあるし、そういう中でのツアーというのは、メンバーと一緒に力を合わせたから回れた、自分一人じゃできなかったことだし。そういうものもこの楽曲のテーマとしてありますね。
◆サウンドを支えるというトライができた(SHINPEI)
――『Ø-ZERO-』は3人のソングライティングの個性がこれまで以上に出ていた作品でしたが、それを経たことによって、楽曲制作の取り組み方に変化はありますか?
AKIHIDE:この曲に関してはテーマをある程度絞り込んでいたので、よりヘヴィーでソリッドな曲にしたいなというコンセプトが自分の中ではありました。特にアニメのオープニングテーマということと、『Ø-ZERO-』を作った後ということで、ギターがすごくうるさいというか、それが歌と相まった作品を作りたかったので、楽曲を作る前に設計図みたいなものを書くという傾向が出てきたかもしれないですね。
――お二人とも、ツインギターを生かすアレンジを意識すると以前言っていましたが、今作でデモの段階から特に変化した部分はありますか?
AKIHIDE:特にシンピー(SHINPEI)が弾いてくれているパートは今までにないくらいダウンチューニングをしているので、重たい音がするんですよね。これは今までBREAKERZで使ったことがなかったし、逆にそこに僕がいつも以上にメロディアスなフレーズを入れることによって、ツインギターの色合いがよりわかりやすくなっているんじゃないかなと思いますね。
SHINPEI:アレンジに関してはデモの段階ですごく完成度が高かったので、どんどんこの曲のイメージ通りのサウンドになっていっているなというのは制作段階で思っていたんですけど、やっぱり歌詞が乗ると、より彩りが出てくるなと思いましたね。僕自身はダウンチューニングにトライするというのがあって、低いチューニングにするには弦も太くしないとできないんです。なので、今までに触ったことのないタッチ感だったんです。ある意味ベースと言うと大袈裟かもしれないですけど、ベースを担うギターというか、そんな立ち位置でレコーディングに取り組んだのは初めてだったので、そういう意味でサウンドを支えるというトライができたんじゃないかなと思いますね。
――すごく細かい部分ですが、個人的にはサビの〈立ち上がれ 立ち向かえ 解き放て〉後のフレーズが好きです。
SHINPEI:あぁ~なるほど!
AKIHIDE:駆け上がるところですね。
SHINPEI:ジャジャジャジャッっていう。
AKIHIDE:ギターでユニゾンしていて、より気持ちがガッと一つになっているので、伝わったのかもしれないですね。
――再始動後のBREAKERZはこれまで以上に「ロック」がキーワードになっていると思いますが、今作において「ここはロックだな」というポイントを教えてください。
DAIGO:全体的にロックだとは思うんですけど、2番のBメロ〈守るため〉の後にすぐにサビにいくんですが、そのアレンジ具合はロックだなと思いますね。間髪入れずにサビにいくという。ここでブレスする人としない人がいると思うんですけど、俺はしないというのを選んで。そうすると結構サビがキツくなるんですけど、その苦しさとの戦いがロックだなと。
AKIHIDE:楽曲の雰囲気的にも、いわゆる2番サビ後から大サビにいくまでの間奏がシングルとしては長めに作っているので、そういう姿勢がロックかもしれないですね。結構難しいこともやっています。
――聴かせるギターソロですよね。
AKIHIDE:その辺はギタリストとしての思いを込めましたね。
SHINPEI:この「YAIBA」というタイトルは、AKIさん(AKIHIDE)が持ってきたデモの段階でこのタイトルだったんです。仮タイトルがそのままタイトルになるというのは、あまりないパターンなんですけど、本タイトルとしてそのまま使って、それから作品としてどんどん歌詞もサウンドも研ぎすましていったというのは、ロックなアプローチなんじゃないかなと思いますね。
――では、DAIGOさんは「YAIBA」というタイトルありきで歌詞を構築していったということなんですね。
DAIGO:そうですね。戦いというテーマにしたいとは思っていたので、「YAIBA」というのはすごくリンクするなと。そこからどういう風に表現しようかなと書いていって、上手く作品にできたなと思いますね。
――そして、今回のミュージックビデオは燃えてますね!
DAIGO:バンドの勢いを感じてもらうMVにしたかったので、演奏シーンをガンガン入れ込むというコンセプトでやりましたけど、衣装も戦いに行くような恰好でもあるし、炎が燃え盛ってすごくロックなMVになったなと思いますね。
――こういうテイストの衣装でも、やっぱりSHINPEIさんは腕を出すんですね(笑)。
SHINPEI:出ましたね(笑)。そこは俺らしく、躊躇なく大胆に(笑)。
◆BREAKERZ冥利に尽きる1年(AKIHIDE)
――初回限定盤Aと通常盤のc/wには「WINTER PARTY」(2008年11月発売の3rdシングル)のアコースティックバージョンが収録されますが、今回収録した理由というのは?
DAIGO:セルフカバーというのはc/wシリーズでやっていることではあるんですけど、時期的にクリスマスシーズンということでちょうどいいんじゃないかなと。小野塚晃さんにアレンジしていただいて、すごく大人な「WINTER PARTY」になったなと思いますね。
――初回限定盤Bのc/wには「CLIMBER×CLIMBER」(2011年4月発売の10thシングル)のリマスタリングが収録されています。
DAIGO:これはヴァンガード作品に初めて携わったCMの曲で、最初に携わった曲と最新のヴァンガード作品の曲という、その両方を感じてもらえるというのは聴きごたえがあるかなと思ったし、そういう中で僕たちもヴァンガード作品も時を経て色々と成長している部分というのを感じてもらえるんじゃないかなと。
――では、ギタリストのお二人から2曲の聴きどころをお願いします。
AKIHIDE:「WINTER PARTY ~Acoustic Version~」は本当に素敵なアレンジにしていただいて、弾いていても楽しかったですし、その楽しい感じが溢れ出ていると思うので、ぜひ聴いていただきたいですね。「CLIMBER×CLIMBER ~Remastering Version~」は自分たちながら、久しぶりにマスタリングで並べて聴いた時に、あぁ良い曲だなと、すごく丁寧に作られているなと思ったので、改めて自分たちを振り返ることができたし、また改めて聴いてほしいなと思いましたね。
SHINPEI:3曲並べてみると、今までのBREAKERZの歩みを感じてもらえるような1枚になったんじゃないかなと思いますね。「WINTER PARTY ~Acoustic Version~」はこの時期だからこそ収録できるというのもあるので、ぜひ入れたいなと思いましたし、落ち着いたアレンジというのもあってキーも原曲より一音くらい下げていて、それがすごく良い効果になっているので、ちょっと大人なリアレンジになっているんじゃないかなと思いますね。
――そして12月11日には、新しくオープンするライブハウス「SPADE BOX」のオープン記念ライブがあります。単発で地方でのライブというのは珍しいので、貴重な1本になりそうですね。
DAIGO:僕たちがお世話になっているイベンターさんがライブハウスを作るということで、『Ø-ZERO-』でツアーを回った時にお誘いいただいて決まったライブなんですけど、良い意味で一晩しかないライブなので、すごくスペシャル感溢れるライブになればいいなと思います。
――もう年末ということで、今年を振り返ってどんな1年でしたか?
AKIHIDE:BREAKERZが再始動して、シングル、アルバムリリースがあって、ツアーがあって、非常に充実した年でしたし、シングルを12月に出して来年に突入できるというのもすごく希望があるというか、BREAKERZ冥利に尽きる1年だったなと思います。楽しかった、あっという間でしたね。ファンのみなさんへの感謝の気持ちがより湧いてきました。
SHINPEI:初心に返れたと思える1年でしたね。シングル、アルバムをリリースしてライブツアーをやってというバンド活動のすごくベーシックなことをやってはいたんですけど、それがソロ活動を経たことで、この3人でやれるということが改めて新鮮に感じられました。10周年というのがもう何年か先にあるんですけど、それを目指す前のタイミングで、こういう風に感じられたというのはすごく良いことだなと思いましたし、12月にシングルを出せるというのは、来年に向けて現在進行形でいられる証でもあるので、良い1年で終われるんじゃないかなと思います。
DAIGO:BREAKERZが再始動して走り始めて、ツアーもあったし、マラソンも走り抜けたし、本当に駆け抜けた1年だったなという印象なんですけど、BREAKERZの再始動で全国のみんなと再会できて、もちろん初めましての方もいたんですけど、みんなとBREAKERZの新しい音で、新しい世界を共有できて、最高に熱いライブができたというのが何より良かったなと。あとはもちろんバンドもそうだしライブもそうなんですが、色々なことが色々な人と力を合わせてやることによって、自分だけじゃ発揮できない力が生まれたりするので、人との絆の大切さ、力を合わせて限界以上の力を出すことができるということを感じた1年でもあったので、そういうスピリットで来年も頑張っていきたいなと思いますね。
――では最後に。あと1ヶ月程しかないですが、年内にやり遂げたいことを挙げてください。
SHINPEI:インフルエンザにかからないようにしたいですね。体を鍛えるのが好きなので、強く見られたりするんですけど、結構風邪をひくんですよ(笑)。なので、油断しないようにしたいですね(笑)。
AKIHIDE:ツアーを一緒に回って、みんなが健康的というか鍛えているのを見て、俺もやろうかなと思ったんですけど、結局何もやっていなくて(笑)。少しくらい踏み出せるようなことを今年中にやっておきたいかなと思います。
――そういえば以前にも、SHINPEIさんを見習って鍛えて、いつの日かライブで脱げたらと言っていましたが(笑)。
AKIHIDE:言ってましたっけ(笑)。全然実現してないですね。どんどん見せられない体になっていっているので(笑)。それを実現できるような足がかりを…。
DAIGO:やりたいこと…11月28日に『モンスターハンタークロス』という新しいモンハンが出たので、それを年内にどれだけやりこめるかっていうね。結構忙しいんですけど、年内に100時間くらいはやれたらいいなと思います。1日3時間くらいの計算になりますけどね。やれる人はもっとやれるんですけど、僕は100時間やりこめるかどうかというのが、一つのテーマですね。
(文・金多賀歩美)
BREAKERZ
<プロフィール>
DAIGO(Vo)、AKIHIDE(G)、SHINPEI(G)からなる3ピースバンド。2008年7月リリースの1stシングル『SUMMER PARTY/LAST EMOTION』から、シングル15作連続オリコンチャート10位以内にラインクイン。2013年2月の全国ツアー終了後、各自の音楽表現を広げるためソロ活動をスタートさせる。2014年12月31日には自身初となるカウントダウンライブをパシフィコ横浜国立大ホールにて開催。2015年5月に再始動第1弾シングル『WE GO』、7月にはニューアルバム『Ø-ZERO-』をリリースし、約2年半ぶりとなる全12公演に渡る全国ツアーを行った。
■オフィシャルサイト
http://breakerz-web.net/
【リリース情報】
『YAIBA』
2015年12月9日(水)発売
(ZAIN RECORDS)
各々のソロ活動を経て今年再び活動をスタートさせたBREAKERZの再始動第2弾シングル。TVアニメ『カードファイト!! ヴァンガードG ギアースクライシス編』のオープニングテーマ曲。
【収録曲】
初回限定盤A
[CD]
01. YAIBA
02. WINTER PARTY ~Acoustic Version~
[DVD]
「YAIBA」Music Video+MV Off Shot
初回限定盤B
[CD]
01. YAIBA
02. CLIMBER×CLIMBER ~Remastering Version~
通常盤
[CD]
01. YAIBA
02. WINTER PARTY ~Acoustic Version~
【ライブ情報】
SPADE BOX Open Special Month! ~BREAKERZ SPECIAL NIGHT in Nagoya~
2015年12月11日(金)愛知県 SPADE BOX