2025.04.15
defspiral、Luv PARADE@Spotify O-WEST
「defspiral presents TAKA Birthday Live 2025『HALLELUJAH』」

「こんなに待ち望んだ日はこれまでなかったです。言葉になりません。これまでのどんなライブも楽曲制作も、思いを込めてやってきましたけど、今年は特別な気持ちでこの日を迎えまして、本当に感謝でいっぱいです」――TAKA(Vo)がこう告げたのは、2025年4月15日、Spotify O-WESTを舞台に行われた「defspiral presents TAKA Birthday Live 2025『HALLELUJAH』」でのこと。
当夜はTAKAにとって大きな節目の誕生日であることから、まさにスペシャルな公演となった。オフィシャルの告知文に「盟友たちが集う、一夜限りのバースデーライブ!」とのキャッチが記されていた通り、defspiralのみならず、TAKAが現在ヴォーカルを務めるもう一つのバンド・Luv PARADE、さらにはSpecial Guestとして、かつてTRANSTIC NERVEで共に活動していたTAL(G)とMASAKI(Dr)も出演。全てのステージにTAKAが登場する三部構成のような形で、まさしく“TAKA祭り”とも言うべき一夜となったのだ。

TAKA、Karyu(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)によるLuv PARADEは、2022年に11年ぶりの再始動を遂げ、セルフカバーと洋楽カバーを中心にステージを重ねながら、2024年6月には遂に全曲オリジナルの1stミニアルバム『JOKER』を発表、その後も2作のシングルをリリースしている。当然、まとまった曲数のオリジナルナンバーが加わったことで、それ以前と以降ではセットリストが大きく変化したわけだが、Luv PARADE流のバンドアレンジを施したカバー曲の数々もまた彼らの持ち味ゆえ、随時レパートリーを増やしながら、その両方を堪能できるステージを展開している。


常に新たな景色を見せてくれる彼らだが、この夜に披露された全8曲のラインナップも、かつてない構成となっていた。その特徴の一つがD’ESPAIRSRAY、the Underneathのセルフカバーがメニューから外れたこと。無論、本公演の出演者の顔ぶれや趣旨を踏まえれば、Luv PARADEが当夜それらを演奏しないのは、ごく自然な選択だったと言えよう。結果、オリジナル5曲、洋楽カバー3曲という内訳になったのだった。
そのアレンジ力と表現力で、再始動後の初ステージにおいて強いインパクトをもたらして以降、彼らの鉄板曲となった「Poker Face」(Lady Gaga)が今宵の幕開けを飾り、ロックチューン「SHOOT IT DOWN」で勢いを加速させると、邪悪な表情を見せる「JOKER」へ。そして当夜、特に新鮮な驚きを覚えたのが中盤ブロック。自然と体を揺らしたくなる「BAD GUY」(Billie Eilish)でガラリと表情を変えるヘヴィーなアウトロから、壮大でエモーショナルなバラード「EDELWEISS」へと繋ぎ、曲終わりの余韻を切り裂くようにアタック感の強いハードナンバー「MIDNIGHT SUN」に突入したのだ。全く異なるベクトルの3曲が並んだことで、その起伏の激しさがそれぞれを際立たせる形となったのが印象深い。


「今日は色々な人から『おめでとう』と言ってもらえて、調子に乗っています(笑)。まぁ主役は俺ですけど、ライブはお前らが主役だ!」とTAKAが述べると、「今日、TAKAさんを過去一幸せにして帰りましょう」(ZERO)、「TAKAさんの過去一幸せのすごい日にしましょう!」(TSUKASA)、「今日はTAKAさんの歴史を辿れる1日じゃないですか。だから、新しく始まったこういうバンドもいるよというのをしっかり焼き付けて帰ってほしいなと思います」(Karyu)と、各メンバーからメッセージが届けられた。
それらの言葉を受け、「始まる前から俺はもう絶好調に幸せなので、皆(オーディエンス)が幸せになって帰ってください。最高の1日にしようぜ! 最高の始まりにしようぜ! 皆で終わらない物語を始めよう」(TAKA)と、「The NeverEnding Story」(Limahl)でピースフルな空気が場内を満たせば、ラストナンバーとなった「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」冒頭での、オーディエンスとの掛け合いによる温かなシンガロングを前にTAKAはこう述べた。
「長く生きてれば辛いことも悲しいことも嬉しいことも色々ありますけど、こうやって皆と一緒にライブをしている時は本当に最高の気持ちです。皆の笑顔と声が聞けるこの瞬間があれば、いつまでも行けるなと思います。今夜も皆の歌声を聴かせて? 生きる喜びを一緒に感じ合いましょう」


「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」終盤にはTAKAが〈この世界は今夜 “俺”のもの〉と歌い替える印象的な場面もありながら、「終わらない夜をこれからも重ねていきましょう!」と締めくくった。全てのプレイを終えると、最後のメンバーコールでZEROが「オン・ヴォーカル、ハッピーバースデーTAKA!」と叫び、Karyuがシャンパンのプレゼントを手渡すという和やかな光景をもって、Luv PARADEのステージは幕を下ろしたのだった。

続いて、defspiralのステージもまた、幕開けこそ若干の意外性を感じたものの、進むにつれてその構成に納得。やはり非の打ちどころのないものだった。というのも、1曲目を飾ったのがメンバーそれぞれのソロ回しを含む「Arcoromancer」、次いで「MASQUERADE」「PULSE」と、序盤ブロックで早くもライブチューン3曲を連投し、まるで終盤のような熱量を生み出したのだ。そのフルスロットルぶりに驚かされたわけだが、それは後に続く楽曲のカラーやストーリー、メッセージ性の観点から考えると、確かにこの配置がベストだと言えるものだった。


TAKAの歌とMASATOのギターによるアダルティな掛け合いから始まり、〈一輪咲いた花〉〈枯れ落ちる花びら〉というリリックが含まれる「FLASH」、幸せの青い蝶をモチーフに描いたインダストリアルな「ULYSSES」、そして〈儚く揺れる真っ赤な薔薇ひとつ 胸に挿して〉と歌うロックンロールナンバー「IGNITE THE NITE」、「今夜もあの幸せの赤い花を探しに行こう!」とのTAKAの言葉が、そのストーリーを象徴するシャッフル曲「ALEGRiA」。ここに記した「FLASH」と「IGNITE THE NITE」の歌詞部分では、TAKAが赤いバラを手に歌うシーンも。これら4曲が織りなす流れの秀逸さには、思わず息を呑んだわけで。しかも実際は、「ULYSSES」と「IGNITE THE NITE」の間にMCが挟まれていたにもかかわらず、この構成美はまさに見事のひと言に尽きる。
そのMCブロックでは、メンバーからTAKAへの祝福の言葉とともに、RYO(B)が「今日という日はTAKAだけじゃなく、僕たちもすごく楽しみにしていまして。やっぱり人が生まれた時って、とても記念すべき日なんですね。これだけ歌い続けてくれているし、いつもやったら『ラヴパより盛り上がって帰れよ! 舐めんなよ!』とか言うけど、今日はパーティーだから! 最後まで皆ハッピーで帰りましょう。よろしくね!」と投げ掛ければ、「(TAKAに対して)カッコいい服着てますね。キラキラしてる!」と言いフロアを和ませた和樹(Dr)。MASATOは「朝からずっとTAKAが嬉しそうでね。人に会うたびに『嬉しい。嬉しい』って口に出していたんですけど(笑)、TAKAが嬉しいと俺も嬉しくなりますね! 皆でハッピーを伝染させていこうぜ。ハッピーな1日にしようぜ!」と述べたのだった。


後半戦は、defspiralを愛する人たちへ向け、よりメッセージ性が高い楽曲たちが並んだ。未来へ向かうバンドの力強さが全面に打ち出されたエモーショナルな「AURORA」はオーラス感さえあり、出会えた喜びを歌うダンサブルな「IRIS」が続けば、「長いようで短い夢の中にいるようです。これまで出会った全てに感謝を込めて歌います」(TAKA)と、バラードナンバー「GALAXY」を奏で、〈このまま時よ止まれ まばゆい夢のままで 愛しいこの景色 まぶたに焼き付けて〉というリリックが真実味をもって響き渡った。

「上手に言葉で伝える自信はないですけど、これからの生き方で皆にもっともっと伝えていきたいなと思いました。今日が来るまで指折り数えていましたけど、今日で全てが終わるわけじゃないですから。まだまだ日々は続いていきますから、未来へ向かって皆で楽しい時間を重ねていきましょうよ。永遠を信じて。この今は消えてなくなりませんから、永遠を重ねていきましょう。本当に今夜はありがとうございました」
そんなTAKAの言葉から、ラストに演奏されたのは〈ただ今が愛しい〉と歌う、多幸感溢れるキャッチーなロックナンバー「SATELLITE」。この楽曲には〈ハレルヤ 奇跡を重ねよう〉というフレーズが含まれており、ある意味、本公演のテーマソングのような空気も感じられた。最後には、MASATOが「日本一のヴォーカル、TAKA!」と声高に叫び、defspiralのステージを締めくくったのだった。

その後、TAKA、MASATO、RYO、TAL、MASAKIの5人が登場。TRANSTIC NERVEの1stシングル曲「振動」の同期が流れた瞬間にフロアから歓声が上がり、ギターソロではMASATOとTALがセンターで寄り添い、ツインのハモリを聴かせるシーンが見られれば、曲終わりに「We are TRANSTIC NERVE! TRANSTIC NERVEだ!」と高らかに叫びつつも「理由は分かりませんが、ニヤニヤが止まりません(笑)」とTAKA。話を振られたMASAKIが、「照れるね。(フロアに向け)久しぶり。楽しもう! この人(TAKA)を一番楽しませるよ」と言い、TALは「まさかこの歳になってもまた一緒にステージに立てるなんて幸せです」と述べた。
笑いの絶えない会話が繰り広げられたのち、「我々にとってとても大切な人の曲を、今日も贈りたいと思います」と「ever free」(hide with Spread Beaver)を披露。そして、このあとTAKAが語った言葉は、次曲の歌詞に沿ったものでありつつ、バンドやファンに対する愛情と希望に満ちていた。



「こんなふうに5人でまた演奏できる時が来るとは、思ってなかったと言ったら嘘ですけど、こんな素敵なタイミングで来るとは思っていなくて。それを皆が待ち望んでくれていたような空気が心から嬉しいです。TRANSTIC NERVEは解散しちゃったわけではなくて、無期限活動休止ということで、いつでも集まろうと思えば、皆が望めば集まれるから。まぁ時間はどんどん流れていますよ。だけど、ふとしたきっかけでまたこうして5人集まったり、何が起こるかわからない日々です。なので、楽しんでこれからも歩いて生きていきましょう。我々TRANSTIC NERVEは永遠に続いていきますので、形は変わっても変わらないものを、これからも証明し続けていきます! 見といてくれよ! 5人にとっても、応援してくれる皆にとっても、とても大切な曲を贈ります」
こうして届けられたのは、デビュー15周年を記念して、2014年に一夜限りの復活ライブを開催した際の会場限定シングル曲「NEVER END」。まさに〈形のあるものは全て いつか壊れるとしても 証明しよう どんなことが起きたって変わらないものを〉〈終わらない物語を〉と歌う、バンドとファンの絆を象徴するメロディアスなロックナンバーだ。曲中、RYOがTAL、MASAKIとにこやかに笑い合う場面もありながら演奏を終えると、最後にTAKAが「TRANSTIC NERVEでした。またいつか会いましょう」と告げたのだった。


ここで和樹とLuv PARADEメンバーを呼び込んだのち、「待てーい! 何か忘れてないか!?」とRYOが口火を切り、バースデーソングが流れ出すと、木村世治(Vo/ZEPPET STORE)とCUTTがケーキを持ってサプライズ登場。「30年近く付き合っていますけど、今が一番カッコいいぞ! 素晴らしい!」(木村世治)、「あったかい気持ちになりました。『振動』も聴けたし、Luv PARADEも観られたし、defspiral最高だったし!」(CUTT)という言葉に次いで、defspiralのメンバーからプレゼントが贈られる一幕も。


「まだまだ日々は続いていきますので! 皆で楽しい時間を重ねていきましょう! 最高の人生を歩んでいこうぜ!」(TAKA)と、最後の最後に9人で「LOTUS」をプレイし、この特別な一夜は終幕を迎えたわけだが、当夜のdefspiral、Luv PARADE、TRANSTIC NERVE、その全てのステージに共通していたのは、“終わらない”というメッセージだった。いよいよ5月26日には、defspiralの15周年を記念した特別公演「MOONLIGHT SYMPHONIA」がSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで行われる。加えて、7月7日にFC限定ライブ、7月25日にRYOのバースデーライブの開催が新たに決定した。ここから先も、彼らと共に終わらない物語を紡いでいこう。
◆セットリスト◆
【Luv PARADE】
01. Poker Face(Lady Gaga)
02. SHOOT IT DOWN
03. JOKER
04. BAD GUY(Billie Eilish)
05. EDELWEISS
06. MIDNIGHT SUN
07. The NeverEnding Story(Limahl)
08. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
【defspiral】
01. Arcoromancer
02. MASQUERADE
03. PULSE
04. FLASH
05. ULYSSES
06. IGNITE THE NITE
07. ALEGRiA
08. AURORA
09. IRIS
10. GALAXY
11. SATELLITE
En
01. 振動(TRANSTIC NERVE)
02. ever free(hide with Spread Beaver)
03. NEVER END(TRANSTIC NERVE)
04. LOTUS
(文・金多賀歩美/写真・田中和子(CAPS)、加藤和可女)
【ライブ情報】
●defspiral 15th Anniversary Live「MOONLIGHT SYMPHONIA」
5月26日(月)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
Guest Musician:横山和俊(Key、Noise/H.U.G)、Rookie Fiddler(Vn)、Jumpei(Vn/Nostalgic Cinema)、斎藤孝太郎(Vc)
●defspiral FC ONLY LIVE「STARLY NIGHT LOUNGE」
7月7日(月)渋谷Star lounge
●defspiral presents RYO Birthday Party 2025「LOVELY LOTUS NIGHT」
7月25日(金)新宿 Zirco TOKYO
●Luv PARADE Tour 2025「Hameln」
5月31日(土)札幌SPiCE
6月1日(日)札幌SPiCE
6月3日(火)山形ミュージック昭和Session
6月7日(土)OSAKA MUSE
6月8日(日)名古屋CLUB UPSET
6月14日(土)HEAVEN’S ROCK熊谷VJ-1
6月15日(日)川崎Serbian Night
6月21日(土)山口LIVE rise SHUNAN
7月4日(金)赤羽ReNY alpha