2024.10.20
Ricky.A.P@渋谷REX
「Ricky 15th Anniversary & Birthday TOUR 「THE☆CELEBRATORI☆CKY 」~ 天下御免 満ち足りた その先へ~」
2001年に元SEX MACHINGUNSのドラマー・JOEと組んだユニット・DASEINでavexよりメジャーデビューしたところからキャリアをスタートさせた彼は、これまでにR*A*P やTHE MICRO HEAD 4N’Sの初代フロントマンとしてV系シーンでの活躍をしてきたほか、2005年以降は東映公認の仮面ライダー専属オフィシャルバンド・RIDER CHIPSでも歌い続けてきているうえ、今春には自身のルーツをたどる意味で全編をシャンソンで彩ったアルバム『R☆MY CHANSON』までをもリリースしており、まさに多才なヴォーカリストとして多岐にわたる活動を行ってきた人物なのである。
そして、そんなRicky.A.Pがこのたび開催した「Ricky 15th Anniversary & Birthday TOUR 「THE☆CELEBRATORI☆CKY 」~ 天下御免 満ち足りた その先へ~」は、2年ぶりのソロツアーであったと同時にタイトルどおりソロ活動15周年を記念した場でもあり、渋谷REXでのファイナルについては2デイズ公演のかたちがとられることになった。なんでも、第1夜「THE☆CELEBRATORI☆CKY-渋谷アニバ-」は“ソロデビュー15周年を祝う完全ソロワールド”、第2夜「THE☆CELEBRATORI☆CKY-渋谷リキバ-」は“バースデー祝うRicky関連曲ならなんでもアリ”のテーマ設定がされていたそう。
故に、第2夜のセトリにはソロ曲以外に彼がかつてコンピレーションアルバム『V-ANIME ROCKS!』(2012年発表)に参加した際に歌った「残酷な天使のテーゼ」や、2009年にアニメ『鋼殻のレギオス』のために結成されたスペシャルバンド・Chrome Shelled の「サイレント・トーク」、さらには彼が初代ヴォーカリストをつとめていたTHE MICRO HEAD 4N’Sの「GLORIOUS BLAZE」といったレア曲たちも生披露されることになり、もちろん場内はおおいに盛り上がることとなった。
この後に本編中盤ではRicky.A.P自身が約4年ぶりで作詞作曲をともに手掛けたという最新シングル曲「此れ見よがし」も歌われ、その前には以下のような発言があったことも付記しておこう。
「このあいだ出したシングル『此れ見よがし』から、Ricky.A.Pの名義でやらせていただいているんですけどね。要は、Rickyっていっぱいいるんですよ(笑)。(中略)2009年にソロデビューして、そこから2013年に独立した時には“Rickyだけだと検索しづらい”ということでHYPER NEO SOLOIST(ハイパーネオソロイスト)という肩書きも新しく作りましたが、それでもアーティスト名そのものをわかりやすく調べられるようなかたちにしたいなとは前々から思っていたところもあって、この機会にRickyからRicky.A.Pへと名義変更をさせていただきました。あ、でも「Rickyって呼びたい」っていう方がいればそれも全然大丈夫です。名前を呼んでいただけるだけで嬉しいので(笑)、今後ともRickyとRicky.A.Pをよろしくお願いいたします!」
なお、念のため補足するとRicky.A.Pとはその昔から彼が宇宙人名として名乗っていたRicky Astrovich Primakov(リッキー アストロヴィッチ プリマコフ)を略したものであるため、厳密には改名ではなく表記変更をしたというのが真相らしい。そもそも、彼はさまざまなシチュエーションで歌うヴォーカリストであるだけでなく、日本に降り立った宇宙人アーティストという大胆かつ荒唐無稽な設定まで持っているため、今さら表記のひとつやふたつが変わったところで大勢には影響などあるはずもない。あれこれ些細なことは置いておくとしても、何より彼の歌声がそこにあるだけでも充分と言って良いくらい、Ricky.A.Pには圧倒的な“歌ぢから”というものが備わっているのではなかろうか。
また、余談にはなるがこの第2夜を迎えるのにあたっては、当日の午前中に昭和女子大学人見記念講堂にて行われた「仮面ライダーガッチャード ファイナルステージ」にRickyとしてゲストヴォーカリストとして参加していたそうで、彼は第1夜と第2夜の間にもしれっと“一仕事”をしていたことになる。つまり、これは冒頭に書いた変幻自在・有為転変・融通無碍の言葉を地で行く状況といえはしまいか。いかなる時も、いかなる場所でも、いかなる場面においても、彼は歌を通して自己実現をなすことが出来る御仁なのだ。
かくして、今宵のライヴではポップな楽曲からワイルドな楽曲までさまざまな表情をみせてくれたRicky.A.Pだが、その脇を固めてくれていた眞鍋香我(G)、YUCHI(B)、おおくぼけい(Key/アーバンギャルド)、Shinpei(Dr/ex.SuG)、山田巧(Mnp)の貢献ぶりも特筆すべきものだったと断言出来る。たとえソロワークスではあったとしても、ひとつのバンドとしての一体感をもってミュージシャンたちを従えることが出来るだけの裁量と人徳を、彼が確かに持っていることがその様子からはうかがえたのだった。
〈僕は生きてるよ〉という真っ直ぐな1節が力強く響いたバラード「I’m Alive 」で本編を締めくくったあと、アンコールではアルバム『R☆MY CHANSON』から「原点回想~あなたに首ったけ」をキーボーディスト・おおくぼけいとの華麗なコラボレーションにてシャンソンナンバーをじっくりと堪能させてくれたRicky.A.P。つくづく、彼はヴォーカリストとしての懐が深すぎる。
「あらためまして、こんばんは。今だけはシャンソン歌手のRickyです。今日のリキバでは僕の歴史の中で携わってきた曲たちを歌ってきていますが、今年は3月にシャンソン歌手としてもデビューすることが出来ました。やっぱり、そこもみんなにちゃんと伝えたいなと思ってここで『R☆MY CHANSON』からの曲を歌わせてもらってます」
「ラストダンスは私に」と「魅せられた夜」についてはバンドメンバーも交えてのシャンソン演奏となったが、一転しての「生命の声明」は2016年に上演された音楽舞台劇「Sing Equally under the Sky ~DIVISION~」のオリジナルサントラからの選曲。くわえて、次に歌われた「Naked Message」はRicky.A.PがDASEINでのデビュー前にRiohで在籍していたというバンド・BAD×TIMING(バッドタイミング)のファンクロック風味な代表曲で、これまたレア度は相当なものだったかと!
そうした中、気付けば10月20日はRicky.A.Pの誕生日当日。ダブルアンコールの始まる前には場内からアンコールを求める声の代わりに盛大な♪ハッピーバースディディアRicky.A.P〜♪の歌が沸き起こり、当夜の主役はなんと自らバースデーケーキを手にしながら颯爽と登場。
「今日が誕生日ということでね。昨夜は日付が変わったタイミングでRIDER CHIPSの野村義男さんや、THE MICRO HEAD 4N’Sのメンバー、BAD×TIMINGのメンバーをはじめとして、いろいろな方たちからお祝いの言葉やメッセージをいただきました。僕はこの先もみなさんと一緒に、楽しくより満たされるような歌や音楽を届けていきたいなと思います。そんな気持ちを込めて…」
ここで歌われたのは、THE MICRO HEAD 4N’Sの名曲「この先ずっと…」のバラードヴァージョン。〈舵を切れ 明日へと面舵いっぱい〉という歌詞が15周年を経てのこの先に向けた所信表明として聴こえた「O.1.O~Only One Ocean~」も、大変に趣深かった。
「今年のソロとしてのライヴはこれが最後です。年末にはR*A*P とDASEIN、BLACK DASEINのライヴがあって、来年はDASEINが25周年なので6月くらいからその動きが始まっていくことになると思いますし、アルバムを制作することも決まってます。とはいっても、いつもの「新春シャンソンショー」は出ますしね。RIDER CHIPSでの動きもきっとあると思います。もちろん、ソロの方の新曲もまた作っていくつもりですよ。3月30日には恒例のソロデビュー記念ライヴもここ渋谷REXでやります。さっき「その日、空いてますか?」ってこのメンバーに訊いたらみんな大丈夫でした(笑)。というわけで、今回以上に来年はもっとバンドとして洗練させていきましょう。みなさんもよかったら、また遊びに来てください!」
大団円を迎えるべく選曲されていたのは、ほかでもない新曲「此れ見よがし」。このツアーを通して“振付け”も完成していったというこの曲は、結果的にRicky.A.Pのこれまでとこれからをつなぐ重要な楽曲として成長することになったものと思われる。
変幻自在かつ有為転変にして融通無碍なRicky.A.Pの音楽世界は、それこそ“此れ見よがし”にこれからもますます拡大化していくに違いない。
◆セットリスト◆
【2024.10.19】
01. 闇の世界~Light to Light~
02. NIGHT&DAY
03. 裸☆KING
04. 我儘EMOTION
05. 雨のスパイラル
06. 僕には僕の世界がある
07. iの炎
08. ヨウコソサヨウナラ
09. Hi-Techno-Boy
10. Ga.rA.Ku.tA
11. ↑UP←SIDE→DOWN↓
12. 此れ見よがし
En1
13. 満ち足りたその先へ
14. ALIEN from TOKYO
15. 人の振り見て我がREFRECTION
16. 曖昧モラトリアム
En2
17. メトロリズム
18. R☆MY WORLD
19. 「現在」~此ノ場所~
【2024.10.20】
01. SEQUENCE
02. ↑UP←SIDE→DOWN↓
03. HURRY UP!!!
04. SING A SONG
05. 残酷な天使のテーゼ
06. サイレント・トーク
07. GLORIOUS BLAZE
08. 此れ見よがし
09. キミリテラシー
10. 人の振り見て我がREFRECTION
11. 洗脳ビリーヴァー
12. I’m Alive
En1
13. 原点回想~あなたに首ったけ
14. ラストダンスは私に 15_魅せられた夜
16. 生命の声明
17. Naked Message 18_ヨウコソサヨウナラ
En2
19. この先ずっと…
20. O.1.O~Only One Ocean~ 21 此れ見よがし
22. ↑UP←SIDE→DOWN↓
(文・杉江由紀/写真・Lestat C&M Project)
【ライブ情報】
●R*A*P 20th Anniversary Xmas LIVE 2024「THE☆SHOW☆宇宙」~鳴らせ 僕らのジングルベル♡~
12月24日(火)赤羽ReNy alpha
開場17:15/開演 18:00
前売券¥7,500(D別)/当日券¥8,500(D別)
<R*A*P MEMBER>
Vo:Ricky
Gt:Tyler
Ba:JET(???)
Dr:MINAMI
チケット発売中
問:赤羽ReNY alpha 03-6903-9020
●Shimekukul Black DASEIN 2024「蛇ノ道ハ黒」~藪から棒に 絡みつけ精神だコラァ!!~
12月30日(月)初台DOORS
開場17:00/開演17:30
前売券¥7,800(D別)/当日券¥8,800(D別)
<Black DASEIN麺婆亞>
Drums:上
Vocal:力
Guitar:少
Bass:流(ヘルプ)
Bass:典(体験モニター)
チケット一般発売:12月15日(日)10時〜
問:初台DOORS 03-5350-5800
●Shimekukul DASEIN 2024「DAI-DAN-EN」~さらばドラゴン ヘビィ〜にいこうよ!!~
12月31日(火)初台DOORS
開場16:30/開演17:00
前売券¥7,800(D別)/当日券¥8,800(D別)
<DASEIN MEMBER>
Drums:JOE
Vocal:Ricky
Guitar:朝井’SCOTTIE’泰生
Bass:リウ
Mnp:山田巧
チケット一般発売:12月15日(日)10時〜
問:初台DOORS 03-5350-5800
【Ricky.A.P リリース情報】
●New Single『此れ見よがし』発売中
作詞 & 作曲:Ricky.A.P
編曲:山田巧