2022.04.10
Ricky@渋谷REX
Rickyソロデビュー13周年記念ワンマンLIVE 2022「THE☆ANNIVERSARI☆CKYー春めぐり ソロもそぞろに 十三年ー」

2001年にDASEINのヴォーカリストとしてメジャーデビュ後、R*A*P、RIDER CHIPS、THE MICRO HEAD 4N’Sなど、数々のバンドでヴォーカルを努めてきたHYPER NEO SOLOIST Ricky。今年2022年はRickyがソロデビューして13年。これを記念したライブが4月9、10日の2日間渋谷REXで行われた。今回は2日目となる4月10日のライブの模様をレポートしよう。

定刻をすこし過ぎた17時5分、緞帳がゆっくりと上がる。キーボードのDIEが奏でるリリカルなピアノに導かれながらRickyがゆっくりとステージ中央に向かい、そして歌い出す。オープニングナンバーは2010年リリースのアルバム『R☆MUSTER』収録の「春風、吹く日に…」。〈初めて君と話した あの日はまだ昨日のよう〉。自身のキャリアを振り返るように歌うRicky。オーディエンスもRickyの歌声に自身の思いを重ねるように聞き入る。このチューンは奥行きを感じさせるバラードではあるが、仰々しくなく言葉を噛みしめるように歌うRicky。

そして2曲目に用意されたのは、オープニングから一転、ジャンプナンバーの「ALIEN from TOKYO」。ドラムスMINAMIのフィルインを合図にオーディエンスが総立ちとなる。ステージ後方から放たれた蒼いレザー光線とサイリウムの光が交差する。アイボリーのコートをまとったRickyの頬には早くも汗が滲む。「(ソロ活動)13周年記念二日目。めいいっぱい楽しもうか」ショートMCに誘導されて3曲目にプレイされたのはマニピュレーター巧のプレイが冴えるEDM「人の振り見て我がREFRECTION」。続く「洗脳ビリーヴァー」ではシニカルなリリックを吐き捨てるようにRickyがRapする。

そして間髪をいれず披露されたのは、「SING A SONG」。優しいメロディーの上に、Rickyがヴォーカリストとして生きてゆくことへの強い決意表明の言葉が重なるチューン。Rickyは軽やかに左右にステップを踏み、伸びやかハイトーンでメロディーを紡ぐ。ギター眞鍋香我の小気味良いギターカッティングが軽やかなリズムにアクセントをつける。

立て続けに5曲を披露したところで、汗を拭い、ゆっくりマイクの前に立つRicky。「ライブは去年の誕生日ライブ以来。ほんとうに久しぶりで、ライブをやれている喜びを今、感じています」そしてこう続ける。「みんな、多少なりとも闇に包まれながら生きている。ぼくも闇に包まれながらも、自身で光りながら、誰かに照らされながら、照らし合いながら生きている。そして、ぼくが報われると思える(自分が光る)場所がライブだと思っています。みなさんにとっても、このRicky Worldが報われる場所であってほしい。そして、それがお互いを照らし合うということなんだと思います」そう話して、ニューアルバム『R☆LITERACY』から「闇の世界~Light to Light~」をプレイ。〈誰かの光を浴びて、ぼくも誰かの光になる……〉。蒼白いライトを背に受け歌うRicky。オーディエンスはサイリウムを左右にゆっくりと揺らす。Rickyの力強いメッセージがオーディエンスと共有できた瞬間。今、この空間のシンクロ率は限りなく100%に近づく。この日のライブのひとつのハイライトといってもいい瞬間であった。

ステージが真紅に染まり、キーボードのDIEが無軌道に鍵盤を叩きつけるイントロダクションから始まったのは「BLACK ANT」。ベースYUCHIが生み出すリフに、Rickyの粘っこいヴォーカルが絡む。マニピュレータ巧がシンセサイザーが生成するサウンドにリアルタイムでフィルターをかけて、音像のテンションを徐々に上げてゆく。

しこたま熱くなった会場。Rickyは一旦ステージをはけて、しばしバンドのクールなインプロビゼーションパートが披露される。そしてギター眞鍋香我のリズミカルなギターリフを導入部とした「ヨウコソサヨウナラ」、「Hi-Techno-Boy」と完全無敵のハイパーナンバーで畳み掛ける。目線を下げて、オーディエンスを指差すRicky。「俺のハートを壊したのはお前だ! お前だ!! お前だ!!! お前だ!!!」。Ricky、そしてオーディエンスは左拳を高らかに挙げ「Hi-Techno-Boy」と幾度となく繰り返す。トランス状態のまま「↑UP←SIDE→DOWN↓」に突入。瞬きするより速いスピードで照明の色が変化してゆく。

「最後みんなでグルン、グルン回しましょう!!」そう言って披露されてのは「R☆MY WORLD」。〈かすかに見えるぼくの未来 ともに生きるきみと出会い 手と手 明日と明日をつなぐためのR☆MY WORLD〉。Rickyのソロ活動の黎明期にリリースされたこの曲はRicky Worldのアンセムともいえるであろう。「Rickyでした!」。大きな喝采のなか、1時間半のパフォーマンスを終えたRickyは一度ステージを後にする。

パッチワークを模したようなブルゾンに薄いブルーのサングラスの出で立ちでステージに再び現れたRicky。抱えていたアコースティックギターをおもむろにつまびき始め「コワレタハネ」の最初のメロディーを歌い始める。Rickyの歌声の合間を縫うようにDIEのピアノがサポートする。幻想的なムードをもった「コワレタハネ」に続いてプレイされたのは、語りかけるようなミドルトーンから、訴えかけるように歌うサビでのハイトーンとレンジの広いRickyのヴォーカルが堪能できる「音色ミサイル→」。

「とことん愛し合っていきましょう! ラ~ブ ドッキング!!」。強く握った両拳をこめかみの前で交差させるお馴染みのポーズをきっかけに「ラブ♥︎ドッキング」がスタート。右へ、左へと大きく腕を振りRickyのフィジカルなパフォーマンスに応えるオーディエンス。

アンコールのMCではRickyが敬愛するキーボーディストDIE(hide with Spread Beaver)を含めバンドメンバー紹介と緩いカラミのあと、ピースフルな佳作「I want to tell U」を披露。軽くハネたリズムに合わせてRickyが軽快にステップを踏む。会場がリラックスしたムードに包まれる。

「I want to tell U」のピースフルな雰囲気を残したまま「キミリテラシー」に突入。そしてオーラスの「O.1.O~Only One Ocean~」へ。「新しい場所に行くぞという気持ちを込めた曲を最後にお届けします」。〈舵を取れ 地平線の向こうまで〉。まるで大海原で天を仰ぐように腕を大きく広げ歌うRicky。

この日はアニバーサリーライブということもあり、新旧織り交ぜたセットリストであったが、カタログのようなステージではなく、Ricky Worldの基軸であるデジタルサウンドと自由度の高いバンドサウンドが融合したカラフルかつ幅の広いステージとなった。「名残惜しいけど……またやりましょう」そう言って、約2時間半のステージをRickyは後にした。

◆セットリスト◆
01. 春風、吹く日に…
02. ALIEN from TOKYO
03. 人の振り見て我がREFRECTION
04. 洗脳ビリーヴァー
05. SING A SONG
06. 闇の世界~Light to Light~
07. BLACK ANT
08. ヨウコソサヨウナラ
09. Hi-Techno-Boy
10. ↑UP←SIDE→DOWN↓
11. R☆MY WORLD

En
12. コワレタハネ
13. 音色ミサイル→
14. ラブ♥︎ドッキング
15. I want to tell U
16. キミリテラシー
17. O.1.O~Only One Ocean~

<メンバー>
Vo. Ricky.A.P
G. 眞鍋香我
B. YUCHI(sukekiyo)
Dr. MINAMI(AMBEEK)
Key. DIE
Mnp. 巧

(文・鈴木邦昭(ぽっくんワールド企画合同会社)/写真・折田琢矢)


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