2023.10.21-10.22
Ricky@渋谷REX
「Ricky Birthday Live 2023「THE☆IWAINA☆祭夜」~生まれて翔び出てエイリア~ン♡~」

DASEIN、RIDER CHIPSのシンガーであり、ソロ・アーティストとしても活動しているRickyが「Ricky Birthday Live 2023「THE☆IWAINA☆祭夜」~生まれて翔び出てエイリア~ン♡~」と銘打ったライブを、10月21日・22日の2日間にわたって渋谷REXで行なった。

DASEIN、RIDER CHIPSのシンガーであり、ソロ・アーティストとしても活動しているRickyが「Ricky Birthday Live 2023「THE☆IWAINA☆祭夜」~生まれて翔び出てエイリア~ン♡~」と銘打ったライブを、10月21日・22日の2日間にわたって渋谷REXで行なった。恒例になっているバースデー・ライブだが、Rickyは2023年4月からワンマン・ライブは休止しているため、今年は行なわれないのでは…と気を揉んだファンは多かったと思う。

そんな中、今年もバースデー・ライブは無事開催され、さらに初日はダンサー2名とジャグラー、そしてキーボードにkiyo(Nicoli Light Tours、ex.Janne Da Arc)を招いたバンドレス・スタイル、2日目は通常のサポート・メンバーにプラスして初共演となる広末慧(G)を迎えたバンド・スタイルという2ウェイで行われることがアナウンスされた。半年ぶりの公演であると共に、“スペシャル”という言葉がふさわしい内容ということで渋谷REXには両日ともに多数のリスナーが集まり、華やいだバースデー・ライブとなった。

Ricky

初日のライブは「裸☆KING」で幕を開け、「我儘EMOTION」「NIGHT&DAY」などを続けて聴かせる流れからスタート。打ち込みを主体にしたアーバンなサウンドは心地好さに溢れているし、強い存在感を発しながらエモーショナルな歌声を聴かせるRickyの姿に目を奪われる。オーディエンスもライブが始まると同時に一体感に溢れたリアクションを見せ、場内は瞬く間にRickyの世界へと化した。

「本日の待ち合わせ場所は渋谷REXで、皆さん無事到着。よかったです。そして、僕らも無事このステージに辿り着きました。コロナがあって、こうやってライブにたどり着くことすら奇跡に近いことがわかりました。今日はRickyソロ・ライブをたっぷりとお届けしますので、ぜひぜひ最後まで楽しんでいってくださいませませ」というRickyの挨拶を挟んだ後は、ウォームかつ明るい雰囲気の「メトロリズム」や翳りを帯びたスロー・チューンの「アオイツキ」、無機質なサウンドとRickyの情熱的なボーカルの取り合わせを活かした「iの炎」などが届けられた。

スタイリッシュなテイストを保ちつつ様々な情景を描いていく構成に惹き込まれるし、1曲の中で絶妙な抑揚をつけるRickyの歌唱力の高さはさすがの一言。彼がボーカルで楽曲のダイナミクスをコントロールすることで1曲1曲がドラマチックな味わいになり、打ち込み主体のライブでいながら平坦さを感じさせないことが印象的だった。また、Rickyは歌うことが本当に好きなんだなということが全編にわたって伝わってくるのも実によかった。

ライブ後半ではサイバーな雰囲気が香る「覚醒リフレーミング」「HURRY UP!!! 」、ダンサブルな「曖昧モラトリアム」などを相次いでプレイ。気持ちを引き上げるサウンドとダンサーを核にした躍動感に満ちたステージにオーディエンスの熱気はさらに高まり、場内はクラブを思わせる華やかな盛り上がりを見せた。

そして、「世界はいろいろある中で、こうやって1日楽しめるということは中々ないですから。今日は皆さんと一緒にこの1日を楽しみたいと思います。一緒に歌ってください」というRickyの言葉と共に、本編のラストソングとして「I’m Alive」が演奏された。煌びやかなサウンドと熱く歌い上げるRickyのボーカルのマッチングが決まって、場内は感動的な空気に包まれた。

初日のライブはアダルトな雰囲気で、Rickyの美意識がより色濃く反映されたステージという印象だった。深みや抒情性を湛えていながら、決してしんみりとした雰囲気ではなく華があるという独自の世界観は本当に魅力的で、“魅せる”という言葉が似つかわしいライブを“バシッ!”と披露した手腕が光っていた。

2日目のライブはクールなEDMチューンの「AGITATOR of A☆my」で幕を開けた。初日とは異なるバンド・スタイルということで、1曲目から“バーン!”といくのかなと思っていたが、こういった“惹きこみ系”の楽曲でライブをスタートさせる辺りは心憎い。初日同様、ライブが始まると同時にオーディエンスの心がステージに強く惹き寄せられたことが如実に感じられた。

「AGITATOR of A☆my」を聴かせた後、ステージにバンド・メンバー達が姿を現し、爽やかな「キミリテラシー」やサンバ・テイストが心地好い「人の振り見て我がREFRECTION」、アッパーかつエモーショナルな「洗脳ビリーヴァー」などが相次いで演奏された。生バンドならではの生き生きとしたサウンドとRickyの情熱的なボーカルにオーディエンスの熱気も高まり、場内はいいムードで盛りあがる。“惹き込んでから、一気にハジケる”という流れが奏功して、ライブは上々の幕明けとなった。

その後はRickyの「昨日はバンドレスで、これぞRickyワールドという世界観をお届けしましたが、今日はバンドです。最強の仲間を揃えています。よろしくお願いします」というMCも挟みつつウォームなバラードの「夢・見・事」や、緊迫感を放つ「生命の声明」、ダークな歌中とメロディアスなサビのコントラストを活かした「Ga.rA.Ku.tA」などが演奏された。昨日以上にメリハリの効いた構成は観応えがあえるし、気持ちを駆り立てる力に満ちている。それぞれの楽曲のエモーションを巧みに表現するRickyのボーカルとサポート陣の演奏力の高さも相まって、中だるみなどは一切ないライブになっていた。

パワフルな「ヨウコソサヨウナラ」で幕を開けたライブ後半ではスタイリッシュな「サイレント・トーク」や、デカダンスが香る「↑UP←SIDE→DOWN↓」などを畳みかけるようにプレイ。ステージ中央に立ち、力強い歌声を聴かせるRickyとフィジカルなステージングを織り成すメンバー達の姿とアッパーなサウンドにオーディエンスも熱いリアクションを見せ、場内の熱気はどんどん高まっていった。

その後はメロディアス&ドラマチックな「R☆MY WORLD 」が届けられた。情熱的に歌い上げるRickyのボーカルの聴き応えは圧倒的で、強く心に響く。昨日と同じく、心地好い余韻を残してRickyはステージから去っていった。

2日目のライブはバンド・スタイルだったが、ただ単に勢いがあるだけではなく、打ち込みとバンド・サウンドを巧みに融合させて透明感を湛えた独自の世界を創出していることが印象的だった。どんな形態であれRickyらしさを打ち出す辺りはさすがで、彼が表現したいものが明確なことをあらためて感じることができた。

2デイズ公演でそれぞれ大きく異なったアプローチを採りつつ、共に上質なライブを披露してみせたRicky。バースデー・ライブにふさわしくアンコールでバースデー・ケーキが登場するシーンなどもあったが、ライブ全体としては企画色は薄く、あくまで音楽でオーディエンスを魅了したことも心に残った。Rickyの魅力を改めて実感できたこともあり、早い時期に本格的な活動を再開することを強く願わずにいられない。

◆セットリスト◆
【10.21】
SE. R.I.C.K.Yのテーマ
01. 裸☆KING
02. 我儘EMOTION
03. NIGHT&DAY
04. メトロリズム
05. 雨のスパイラル
06. アオイツキ
07. iの炎
08. 覚醒リフレーミング
09. HURRY UP!!!
10. SYNCHRO2CITY
11. 曖昧モラトリアム
12. I’m Alive

En1
13. 愛の手紙
14. ヨウコソサヨウナラ
15. Hi-Techno-Boy
16. ↑UP←SIDE→DOWN↓

En2
17. ALIEN from TOKYO
18. R☆MY WORLD
19. My name is・・・

<出演者>
Vo:Ricky
Mnp&Gt:巧
Dancer:KO-HEY
Dancer:KAZUKI
Performar:Kay
Sax:津田征吾
Key:kiyo(Nicori Light Tours、ex.Janne Da Arc)

【10.22】
01. AGITATOR of A☆my
02. キミリテラシー→
03. 人の振り見て我がREFRECTION
04. 洗脳ビリーヴァー
05. SING A SONG
06. 夢・見・事
07. 生命の声明
08. 愛しのEMERGENCY
09. Ga.rA.Ku.tA
〜ソロセッション〜
10. ヨウコソサヨウナラ
11. サイレント・トーク
12. ↑UP←SIDE→DOWN↓
13. R☆MY WORLD

En1
14. 独りかくれんぼ
15. ソラノカケラ
16. 未来☆ワールド
17. 銀河ノ果
18. ALIEN from TOKYO

En2
19. O.1.O~Only One Ocean~
20. ラブ♥︎ドッキング

<出演者>
Vo:Ricky
Mnp:巧
Gt:広末慧
Ba:YUCHI(sukekiyo)
Dr:MINAMI
Key:おおくぼけい(アーバンギャルド)

(文・村上孝之/写真・Lestat C&M Project)


Ricky オフィシャルサイト