2018年、wyseの挑戦の先に見えた真実とは


12月7日、8日、新宿ReNYでの「wyse 20th+OSAMU TEZUKA 90th=110万馬力 COLLABORATION TOUR「ヒカリ」」ファイナル公演をもって、wyseの2018年が締め括られた。ここでは、wyseのこの1年間を総括すると共に、ツアーファイナルのライブ写真、さらにメンバー4人からのコメントを一挙公開。来たる2019年2月17日、渋谷ストリームホールでの20周年記念公演「Period」に向け、wyseの今を知っていただきたい。


wyseの2018年を語る前に、まずは彼らが現在に至るまでの過程を振り返りたい。1999年2月14日に結成したwyseは、6年後の2005年2月13日、渋谷公会堂公演をもって解散。6年間の沈黙の後、2011年2月14日に再結成し、その後6年間活動を続けてきた彼らは、2017年2月12日に行われたワンマンライブにて所属事務所からの独立を発表した。後のインタビューで「今までと同じ状態のままでの5年後の可能性より、壊れてもいいから精一杯走ってみて可能性を広げるほうが、未来がある気がした」とTAKUMA(2nd Vo&B)が語ったように、メンバー4人の決断により、新たな道を歩み出したwyseは8月23日、アルバム『Breathe』で実に約16年ぶりとなるメジャーデビューを果たし、解散以来約13年ぶりの全国ツアーを決行。12月10日、新宿ReNYでのツアーファイナルで“初めての7年目”を完結させ、2018年2月10日TOKYO FM HALLでの結成19周年記念公演を皮切りに、「Opening of the 20th year」という冠のもと活動を展開していくことを発表したのだった。

さて、ここからは2018年の活動について述べていこう。「このメンバー、スタッフ、ファンと一緒にあのツアーが回れたんだったら、結構何でも出来るんじゃないかなと。ある意味自信が付いたのかもしれない」と月森(Vo)が語ったのは1月末のこと。そして、結成19周年記念公演を目前に控え、2月7日にリリースされたのがシングル『Break Off/キミグラデーション』。表題曲「Break Off」は2017年のツアーファイナルのステージで初披露されたナンバーだ。エンジニアに比留間整、アレンジャーに三代堅、ドラマーにMOTOKATSUを迎え制作され、wyseらしさと新たなアプローチへの挑戦により、「wyseでありながらも、劇的に変化していく」、結果としてwyseの可能性を大きく広げる作品となった。「単に何かしら変化していけば良いという簡単な話ではなく、自分はこの時代に何を残し、何を表現したいのか、いろんなことを考えるきっかけになった」と月森は言う。また、この作品はボーナストラックとして2017年のツアーでのライブ音源が、3形態に各10曲=全30曲収録されるという異例のシングルでもあった。

そんな作品を手に迎えた19周年記念公演は、「Opening of the 20th year Special Live「360°~1999-2018~」」というタイトルが示す通り、wyseの19周年を祝う記念日かつ20周年へ向けた始まりの日。360°ステージならではの演出はもちろん、これまでのwyseを辿りながら、未来をも提示する記念公演だった。特筆すべき点は、2005年の解散前ラストアルバム『Colors』の最後に収められていた「Friend」の歌詞が、この日を境に変更されたこと。「どうしても届けないといけない曲。大切なんだけど、僕らの曲になり過ぎていたので、皆の曲にしたいと思って」と告げ、披露された。その歌詞は全てが書き直されたのではなく、いくつかの言葉を変えることにより、楽曲全体の印象をも変え、完結した過去の話ではなく、未来へと続く温かな楽曲へと昇華したのだった。ライブ終演直後の楽屋で行ったインタビューも再度お読みいただきたい。

そしてこの記念公演で、ファン投票による再録アルバム『TREE』シリーズの最終章『TREE -Wish-』が5月16日にリリースされること(wyseオフィシャルECサイト、会場物販のみ)、それに伴う東名阪ツアーの開催が発表された。この作品の制作において、自身の過去曲と向き合い、現在のwyseサウンドで再構築していくことは、「劇的に変わることも大事だというトライだった」という。その『TREE -Wish-』を引っさげ行われた東名阪ツアーをもって、5年間に及んだ『TREE』シリーズが完結を迎えた。TSUTAYA O-EASTでのファイナル公演を終え、MORI(G)が綴った「解散前、再始動後のwyseを本当の意味で繋ぎ合わせてくれた、そんな貴重な一日に感じました。綺麗な大きな木が育ちました」という言葉が全てを物語っていた。また、「あの日、あの瞬間はもう二度と来ないし、体感しなければ伝わらない事ばかり。wyseの歴史はこうして刻まれ、更なる未来を求めます」とも…。

『TREE -Wish-』での経験を経て、「wyseらしさを縛りにして吸収できないことがあるなら、それは取っ払うべき」という思いのもと制作されたのが、9月26日リリースのシングル『ヒカリ』。手塚プロダクションとのコラボレーションという、wyseの歴史上においても大きな出来事の一つが実現した。wyse ×『鉄腕アトム』、『ジャングル大帝』、『リボンの騎士』の3形態の描き下ろし特殊パッケージに、強い思いと希望、未来を感じさせてくれる表題曲、各作品のイメージに沿って制作された「僕のヒーロー」「Link」「Blue Moon」という三者三様の楽曲たちが収められた。さらにこの作品には、「Tree -Wish-」ツアーファイナル公演のライブ音源が計29曲収録されたが、リリース前にその情報が告知されることはなかった上に、パッケージにも表記は一切なく、購入者への粋なサプライズとなった。

そして9月29日から「wyse 20th+OSAMU TEZUKA 90th=110万馬力 COLLABORATION TOUR「ヒカリ」」をスタートさせたwyseだが、ツアー真っ只中の10月24日、前作のリリースから僅か1ヵ月後に、アビスパ福岡のオフィシャルテーマソングとしてシングル『紺色の森』をリリース。J1昇格を目指した本年リーグ中の楽曲発売を目指し、『ヒカリ』と並行して制作が進められていたという。ここまで述べてきた通り、2018年のwyseは、2月から10月までの9ヵ月間でシングル3枚、再録アルバム1枚を発表したわけだが、通常とは異なるボリュームかつタイトなスケジュールで進行して来られたのは、奇跡と言っても過言ではない。それを成し得ることができたのは、「2018年をどう過ごすかで、2019年の20周年が変わる」という4人の思いがあったからだ。

そんな彼らの2018年の集大成となったのは、1年前と同じ場所、新宿ReNYでのツアーファイナル2daysだった。12月7日のドラマーにLEVIN(La’cryma Christi)、12月8日にMOTOKATSU、そしてゲストギタリストとしてyou(Janne Da Arc)が両日参加という豪華メンバーが顔を揃えた。また、2018年のwyseの活動を様々な面で支えてきた炭竃智弘が、両日のキーボードを担った。

HIRO(G)の誕生日当日だった初日、その記念日を祝福した場面において、TAKUMAは解散、再結成を振り返り、一度は険悪な仲にもなってしまった過去を思い返しながら、二十年来の付き合いであるHIROに対し「お前がいないとwyseじゃないから」と、声を詰まらせた。するとHIROは、「この景色を宝物として心にしまっておきます。生きている限り、(wyseを)続けていくつもりなので」と告げたのだった。また、1年前と同じように「やっぱり今日もほんの少しのサプライズが必要」と、新曲を用意していた彼ら。言葉だけではなく行動で未来を示していきたいという彼らの思いは揺るがない。「最初に聴くのがあなたたちです。いつもありがとう」と披露されたのは、「White」という名の温かなバラードソングだった。その歌い出しの歌詞は〈一人では歩けない〉――。

2019年2月14日、wyseは結成20周年を迎える。2月17日、渋谷ストリームホールにて開催される記念公演「Period」に向けTAKUMAが発した言葉の数々は、メンバー4人の思いに他ならない。
「20周年のライブはwyseのハタチの誕生日です。その重さをみんなに気付かせてもらいました。そして、この1年、真剣に向き合って進んできたつもりです。20周年は特別なんです」
「毎回、チャンスは1回だと思っています。だから、1回1回に意味を込めてステージに立ち続けたいと思います。そういう意味で20周年ライブもどういうメッセージを届けるべきか考えて、未来で待っているので、会いに来てください」

wyseの2018年最後のステージは、オーディエンスとの「I believe」の大合唱でエンディングを迎えた。10年先、15年先のことは予測できないと話す彼らの真意は、「一度解散しているから、解散したくない」という直接的な言葉もあった通り、決してネガティブな意味合いではない。むしろ、wyseは目の前にある現実を受け入れた上で、メンバー4人だけではなく、wyseを愛してくれる人たちと共に歩いているのだということの証でもある。それは、彼らが発するものの端々から感じ取ることができる。

確約のできる未来など、どこにもない。だからこそ、思い描く未来を現実に変えるために、今を懸命に生きるしかない。それはwyseにとっても、私たちにとっても同じこと。最後に、2018年のwyseを象徴する楽曲「ヒカリ」に綴られた一節を記そう。

〈10年前の僕等が 今を描けなかったように 想像するそのさらに 向こうへ歩いていこう〉

(文・金多賀歩美)


【PHOTO GALLERY】

2018.12.7-12.8
wyse@新宿ReNY
wyse 20th+OSAMU TEZUKA 90th=110万馬力 COLLABORATION TOUR「ヒカリ」

【COMMENT】

◆月森
色んな出来事があったり、起こしたりの20年でした。良いコンディションのwyseを楽しんで欲しい。

◆MORI
19年目は充実した活動が出来ました。全ては20周年を見据えた活動であって、20周年を迎える瞬間にwyseという集合体の意味が理解出来るかもしれません。

◆HIRO
20年目以降は挑戦になると思います。意味も求められるし、こちら側もただ年輪を増やすだけの活動はしたくない。『Period』という言葉に深さは無いけど、決意はあります。僕達の決断を肌で感じて欲しいです。

◆TAKUMA
20周年、これが通過点なのかゴールなのかは迎えてみないと分からないです。ただ必ず言えるのは、次の未来に向けて走り出すのは、相当な決断と覚悟が必要だと考えます。しっかりとした句読点『Period』を表現した上で、未来の約束をしたいと思います。


【ライブ情報】

20th Anniversary Special Live「Period」
2019年2月17日(日)渋谷ストリームホール

1部「Period -20110702-」
開場13:30 開演14:00
*来場者に「Colors」(再録)を配布

2部「Period -20190217-」
開場18:00 開演18:30
*来場者に「タイトル未定」(新曲)を配布

<「Period -20110702-」(1部)セットリスト>
※2011年7月2日に開催された再結成ライブのセットリスト、演出を再現
01. I believe
02. Feeling
03. Plastic Monkey
04. Air
05. 都合のいいモラル
06. 最果てで燃やせ
07. Coutless triger
08. 3 years later,I…
09. With,..
10. 言葉を失くした僕と空を見上げる君
11. 無色の雪
12. Vision
13. 16才
14. Honey lip
15. やってらんねぇ
16. edge
17. Angela
18. A≦nd Crash!!
19. 路地裏のルール
20. Miss txxx
21. あの日の白い鳥
22. chain
23. Rainbow
24. My name is Japanese Breaker
25. bring you my heart


【SCHEDULE 2018】

●「RUIDO×REX SPECIAL NIGHT 2018」
1月20日(土)石月努×wyse SHIBUYA REX
1月21日(日)wyse「拳NIGHT」SHIBUYA REX
1月27日(土)CARESS×wyse OSAKA RUIDO
1月28日(日)wyse「拳NIGHT」OSAKA RUIDO

●Single『Break Off/キミグラデーション』
2月7日(水)発売

●Opening of the 20th year Special Live「360° ~1999-2018~」
2月10日(土)TOKYO FM HALL

●「MORI Produce / 222人限定 Special Live -Rollin’ Rollin’-」
4月1日(日)青山RiZM

●「新生chain 1st Anniversary Special Night」
4月1日(日)青山RiZM(※FC ONLY)

●Retake Album『TREE-Wish-』
5月16日(水)発売

●Opening of the 20th year Special Live wyse Live Tour 2018「Tree -Wish-」東名阪TOUR
5月19日(土)大阪MUSE HALL
5月26日(土)名古屋SPADE BOX
6月2日(土)TSUTAYA O-EAST

●土屋アンナ×wyse「Miracle Tube」
7月3日(火)duo MUSIC EXCHANGE

●15th&20th Anniversary Band VS「アンティック-珈琲店- × wyse」
9月1日(土)TSUTAYA O-WEST

●「Earliest Memories 2018」
9月15日(土)TSUTAYA O- WEST

●Single『ヒカリ』(手塚プロダクションコラボレーション)
9月26日(水)発売

●Single『紺色の森』(アビスパ福岡オフィシャルテーマソング)
10月24日(水)発売

●wyse 20th+OSAMU TEZUKA 90th=110万馬力 COLLABORATION TOUR「ヒカリ」
9月29日(土)さいたま新都心VJ-3(※特別編「wyse祭」)
9月29日(土)さいたま新都心VJ-3(※FC ONLY)
9月30日(日)さいたま新都心VJ-3
10月20日(土)OSAKA MUSE
10月21日(日)OSAKA MUSE
11月3日(土)名古屋SPEAD BOX
11月4日(日)名古屋SPEAD BOX
12月7日(金)新宿ReNY
12月8日(土)新宿ReNY

●20th ANNIVERSARY JURASSIC ~イチカバチカ2018~『Rage is white monster』TOUR
11月24日(土)名古屋SPADE BOX
11月25日(日)OSAKA MUSE

wyse オフィシャルサイト
http://wyse-official.com/