11月15日にリリースされたばかりのニューシングル『ツミトバツ』、そしてこの作品を手にいよいよ11月18日からPS COMPANY PRESENTS レイヴ ONEMAN TOUR『罪と制裁』がスタートするレイヴ。今回、彼らの連載4本目となるパーソナルインタビューに登場したのは、ギタリストのnisa。コンポーザーの一人としてバンドの音を支えつつ、デザインでも手腕を振るう彼の目から見た、バンドと自身の過去、現在、そして未来についてじっくり語ってもらいました。

◆いろんなことに挑戦してみたくて、一通りやってみたいタイプ

――nisaさんはご自身をどう分析していますか?

nisa:THE・A型だと思っています。俺が思うA型は“完璧”じゃなくて“完璧風”なんですよ。長けている部分もあるとは思うんですけど、改めて「今まで自分がやってきたものは本当に完璧だったのか?」と考えるとちょっと悩むような。細かくやりすぎてしまって、完成に辿り着かないタイプかもしれないですね。デザインで言うと、とりあえず大体を完成させればいいのに、細かいところばかりずっとやっていて、「ヤバイ! もうすぐ締め切りだ!」ということになる。ちょっと抜けていると思います(笑)。

――同じA型の悠さんとはタイプが違う気がします。

nisa:さっきのデザインの例で言うと、悠は先に大雑把に完成させちゃうタイプですね。ちなみに俺は夏休みの宿題を最後の日に一気にやるタイプです(笑)。

――じっくりコツコツやるタイプだと思っていたので意外でした。どんな子供でしたか?

nisa:大人ぶっていたかもしれないです。小学校の頃から、周りが子供に見えて仕方なかったんですよ。男子のノリに全然ついていけなくて、女子の方が精神年齢が高いから一緒にいてすごく楽でした。でも体を動かす遊びは男子の方が得意だから、外で遊ぶなら男子、話し合うなら女子。そうやって浅く広くの関係を続けてきた結果、友達がいないという(笑)。

――nisaさんの交友関係は浅く広くなんですね。

nisa:そうです。だから当時は友達と呼べる人はたくさんいましたけど、社会に出た今、何でも相談できる親友がいるかと言われたらいないんですよね。もし「俺とお前は親友だろ!」と言う人がこのインタビューを読んでいたらあれですけど(笑)。それに、バンドをやっているとバンド関係の人としか知り合わないじゃないですか。一緒に飲みに行ったりもするんですけど、友達と言うより仕事仲間なんです。会ってもバンドがチラついて音楽の話をしちゃうから、音楽抜きで会える人はあまりいないかもしれないですね。

――前回登場した凪さんとは対照的ですね。凪さんは恋愛も狭く深くだと言っていましたが、nisaさんは広く浅くですか?

nisa:広く浅くの恋愛観ってヤバイじゃないですか(笑)。一途かもしれないですけど、重苦しいのは好きじゃなくて。縛られることが嫌なんだと思います。例えば学生の頃ってクラスにいろんなグループがありましたけど、俺は男女問わず全部のグループの人と話せたんです。当時から縛られずに緩く生きてきた気がしますね(笑)。

――ある意味、すごく器用ですよね。

nisa:世渡りは上手ではないと思いますけどね(笑)。でも、これを言うとすごく反感を買うかもしれないですけど、ずっと「バカになりたい」と思っていました。余計なことばかり考えてしまうから、考えずに生きられたらどれだけ楽しいだろうと思って。

――常々思っていたのですが、nisaさんは参謀タイプですよね。先頭に立って何かする人というよりも、上に立つ人を上手く動かすタイプのような気がします。

nisa:確かにそうかもしれないです。俺、一番上は嫌なんですよ。2番目がいいんです。自分の思い通りにならないのは嫌なんですけど、それを強く言うのは好きじゃないので外堀から固めていくタイプというか。すごくいやらしい言い方ですけどね(笑)。

――神輿の上に乗るよりも、担ぐ側がいいですか?

nisa:そこはどっちもやりたいタイプです。ずっと上に立っているのも、ずっと下にいるのも嫌。いろんなことに挑戦してみたくて、どっちも一通りやってみたいタイプです。

――いろんなことに挑戦したいnisaさんが、今興味を持っていることは何ですか?

nisa:最近は絵が描けるようになりたいんです。色々デザインをやっていて、俺はあるものをカッコよく見せるのは得意なんですけど、絵に関しては1から生み出すことができないから、そういう局面に差し掛かったときには外に頼むしかなくて。でも外に頼むと自分がやりたいことを伝えるだけで精一杯だし、そのやり取りの時間もかかるじゃないですか。だから自分で描けるようになったらいいなと思っています。ちなみに、シングル『UKIYO』(2016年11月リリース)以降のレイヴのジャケットデザインは自分がやっているんです。これは別に隠していたわけではないんですけど、本日解禁ということで(笑)。

――なぜ自分でやろうと思ったんですか?

nisa:やっぱり外部に頼むと時間がかかるのと、俺たちがやりたいことを伝えるのがすごく大変だったんですよ。自分でやることで、アーティスト写真やムービーの撮影の時からそれを含めてのディレクションができるようになったので、すごく良かったと思います。

――nisaさんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

nisa:うちの兄貴がギターを始めて、せっかくだから兄弟で一緒にやりたいと思ったのがきっかけです。俺、最初はドラムだったんですよ。本当はギターをやりたかったんですけど、二人ともギターだと一緒にやりづらいなと思って。ちなみにドラムを選んだ理由は、俺は歌が苦手だし、ベースはよくわからなかったからです(笑)。

――始めたのはいつ頃ですか?

nisa:小6の頃です。お年玉で安いドラムセットを買って。そこからドラムをやりつつ、ギターも少し触りつつ続けていました。最初にステージに立ったのは中2の時で、当時うちの兄貴と兄貴の同級生と一緒にバンドをやっていて、最初はスタジオで合わせるだけだったのが、スタジオ主催のライブに出るようになったんです。その時はギターで、使っていたのはモッキンバードでした。

――中2でモッキンバードとは、なかなか早熟ですね。

nisa:買ったのは中1だった気がします(笑)。小6のお年玉でドラムを買って、その次の年にモッキンバードを買って。

――最初にコピーしたのは、Xの「紅」だったんですよね。

nisa:「紅」はメタルっぽいし、ギターソロもあるし、曲としていいなと思ったんです。何よりサビの前にドラムソロが来るのが面白いなと思って。元々SEX MACHINEGUNSが好きだったのでそのコピーもしましたし、初ライブではhideさんの「ROCKET DIVE」もやった記憶があります。

――楽器をやる上で、先生に付いたんですか?

nisa:ずっと独学です。高校を卒業してからは音楽の専門学校に入ったんですけど、すごい猛者たちが集まるところだと思っていたら、予想に反して周りのレベルがあまり高くなくて…。自分が求めているところじゃなかったから、段々行かなくなっちゃったんです。

――辞めてしまったんですか?

nisa:卒業だけはしました。卒業式の日だけフラッと行って(笑)。これと似たようなことが高校時代にもあったんですよ。高校は情報系の学科に行ったんですけど、俺は小学生の頃からパソコンを触っていて、IllustratorとかPhotoshopとか、WEBのHTMLも独学でやっていたので、授業で習うことが復習みたいな感じだったんです。だから学校では新しいことは学ばず、独学ばかりで生きてきた感があります。

――何ともnisaさんらしいエピソードです。師匠に付こうとは考えなかったんですか?

nisa:付きたいという人にまだ出会えていなくて。でも凪が上京してすぐに師匠を捕まえたり、みくるがRENOさんやDAITAさん(SIAM SHADE)に付いたりしたのはちょっと羨ましいんです。

――師匠が現れるといいですね。

nisa:そうですね。もしかすると、ヴィジュアル系じゃないかもしれないです。

――nisaさんは音楽の守備範囲が広いですよね。GARNET CROWの1stアルバムについて語っていたし、ベイビーレイズJAPANの新曲が良いとも言っていたし。

nisa:詳しいですね(笑)。でも昔は、「メタルじゃないと聴かない!」と思っていて、J-POPは嫌いだったんですよ。でも徐々にその垣根がなくなってきて、商業的な音楽の中のプロの仕事の良さがわかってきました。

――きっかけは何だったんでしょう?

nisa:昔はずっと、フレーズがカッコいいとか、ギターがカッコいいということしか考えなかったんですけど、メロディーやギミックの良さが普通に耳に入ってくる音楽は、こんなに凝っていたんだと気付いたんです。小さい頃はずっと、バンドサウンド=良さだったから、打ち込みの音を受け付けなかったんだと思います。むしろ当時は、歌はウワモノみたいな感覚だったから聴いてすらいなくて(笑)。だから俺は歌詞が全然覚えられないんです。レイヴに入って曲を作り出したときも、俺はメロディーがしっちゃかめっちゃかで(笑)。そこに歌詞が乗ったら全く別のフレーズになるのに、そういう考え方もないので、未だに苦労しています。でも、悠はすごいんですよ。彼が作る曲はメロディーがすごく単純なのに、それがキャッチーに聴こえるんです。そこに歌詞が乗ることによって息が吹き込まれる。俺は歌詞が乗っていない状態でカッコよく聴かせようとするから上手くいかないんだろうな。あと、当時は息継ぎのことを考えなかったから、レンによく「どこで息すればいいの!」って言われていました(笑)。

◆「俺はあくまで前のギターの代わりではなく、新しい風を吹き込むつもりで入る」

――nisaさんは最初、レイヴのローディーだったんですよね。

nisa:他のメンバーはローディーだって言っていますけど、俺の中ではローディーじゃなくてスタッフだと思っているんです。ローディーってボウヤ的な意味と、プロフェッショナルな楽器さんの二つの意味があるじゃないですか。でも俺はどちらでもないなと。元々はWEBデザインやジャケットの制作を手伝っていて、自分のバンドがなくなって暇になったし、スタッフがいたら助かるだろうし、自分も勉強になると思ったから付いて行っていたんです。だから俺はローディーじゃなくてスタッフです(笑)。

――なるほど(笑)。メンバーに会ったのはいつだったんですか?

nisa:レンと悠と凪のバンドとみくるのバンドの共同主催の福岡ファイナルが、俺がレイヴの一つ前にやっていたバンドの始動ライブで、そこで初めて会いました。最初、レンと悠は話しかけるなオーラがすごくて(笑)。悠は不愛想な感じだったんですけど、レンはいい意味でアーティストっぽかったです。凪は弟とまではいかないですけど、すごく若い子だなという印象でした。みくるは大人しかったですよ。音楽の趣味が似ていて、向こうはハードロック寄り、俺はメタル寄りだったんですけど、二人とも激しい音楽が好きで。メンバーで最初に仲良くなったのは、るんるんだった気がします。人当たりが良くて、普段はそんなに怒らないんですけど、本人が「怒ってない」と言っているときに実は怒っていたりして。すごく感情を隠すことが下手な平和主義者みたいな人でした(笑)。

――素直な人だったんですね。

nisa:うん、素直ですね。でも、俺も平和主義者ですけど、レイヴに入る前のバンドでは俺は全然怒っていないのに、「何で怒っているの?」ってよく言われていたんです。それはもしかすると、俺がいろんな知識を先に付けてしまって、他に有無を言わせない空気を作り上げてしまっていたからなのかなと思ったりもして。

――そんなnisaさんが正式に加入を決めたのはなぜだったんですか?

nisa:レイヴの前のギターが途中でいなくなったんですけど、彼はすごくギターが上手かったので、多分るんるん一人では抱えきれないだろうなと思ったんです。その頃、俺も次のバンドをやりたいとは思っていたけど、ピンとくるメンバーがいなかったし、やりたい音楽も定まっていなかったから、レイヴに賭けてみようという気持ちもありました。それに、さっき言ったようにレイヴに入る前のバンドでは俺が全部知識を身に付けて有無を言わせない雰囲気になってしまっていたから、それに皆が耐えられなくなって解散したんじゃないかと思っていたんです。だから次は人に身を任せるのもありかなと思って。

――采配を振る立場から一転するというのは、勇気がいりそうですが。

nisa:そうですね。でも、「言いなりには絶対にならない」ということは心に決めていたんです。情でバンドに入って、何となく言われたことをやって…というのは俺の人生が無駄になると思ったから、メンバーには最初に「俺はあくまで前のギターの代わりではなく、新しい風を吹き込むつもりで入る」ということを言った記憶があります。あと、もう一つ「タメ口になるよ」と条件も出して(笑)。

――タメ口にすんなり移行できましたか?

nisa:一番時間がかかったのは悠に対してでしたね。俺の中で悠=先輩という図式が出来上がっていたし、ずっと「悠さん」て呼んでいたから未だに呼び捨てに慣れていなくて(笑)。壁があるとかではなくて、レンレンとかるんるんみたいな呼び名がないから、6年目にして未だに何て呼んだらいいかわからなくて、すごくもどかしいんです(笑)。

――(笑)。自ら新しい風を吹き込むと宣言して入って、バンドはどう変わりましたか?

nisa:加入後1作目のシングル『妄想×カニバリズム』(2013年9月リリース)のときは、前のギターはやっぱりすごいなと思いました。自分が入ってクオリティが下がることだけは避けたいと思っていたんですけど、もしかするとそうなってしまったかもしれないと思って。あの段階では俺じゃないといけないレベルまで新しいレイヴを作り切れていなかったんじゃないかな。でも、その次のシングル『トイパレッドワルツ』(2014年5月リリース)では、俺が作った曲がいきなり表題曲になって。俺としてはこの作品のほうが、「大丈夫かな。変な方向に行っていないかな」と心配でした。特に事務所に入って第1弾作品だったので他のメンバーはどう思っているんだろうとずっと考えていて。

――作曲者としては気になるところなんですね。

nisa:俺は、自分の曲が売れなかったら、プロモーションや歌詞には関係なく作曲者である自分のせいだと思っているんです。だから、いつも曲を出すときはヒヤヒヤしているんですよ。曲も、やり方も、戦略も俺だけタイプが違って、当時はメンバー内でミーティングをするといつも1対4で意見が分かれていましたし(笑)。俺は曲に関しては、いわゆる“レイヴっぽい曲”は悠が作るものだと思っていたんです。俺はその分、自分らしい新しいものをどんどん作っていこうと思って今も曲を作っています。だから、あえて悠が作っていた曲の真似をしたり、それっぽい雰囲気に作ったりはしないんです。

――最初に宣言した「新しい風を吹き込む」ということに徹しているんですね。

◆今回のシングルで、ようやく4人の新しい道を見付けられた気がする

――みくるさんが亡くなって10月26日で1年が経ちました。今年は雨男のみくるさんらしからぬ晴天でしたね。

nisa:俺はみくるが亡くなった4時51分まで起きていて、インスタに動画をあげてから寝たんですけど、起きたらすごく眩しくて。去年、知らせを聞いて駆けつけたときは途中から雨が降ってきて、土砂降りの中でいろんな関係者に電話した記憶があったんですけどね。

――献花式の日も土砂降りでしたよね。

nisa:そうですね。でも振り返ると、本当に1年早かったです。俺はそれまで、自分が人の死に直面するとは思っていなかったし、余計なことまで色々考えてしまうタイプだからすごく辛くて。最初は信じられなかったし、どうしようとも思いました。オリジナルメンバーのギターが誰もいなくなってしまったわけだし、るんるん一人じゃダメだから俺が入ったのに、その状況からまた一人になってしまって。

――一人になって、どうしようと思いましたか。

nisa:みくるが闘病中にギター一人でステージに立つ期間があって、その時に新しいギターを入れなくても表現できると思ったんです。それに、そのほうが皆るんるんのことを忘れないかなと。ギター一人の意味を考えたときに、絶対にあいつの顔が浮かぶじゃないですか。福岡に行くとるんるんのお父さんに会うんですけど、「気にせずに、新しいギターが必要だったら入れなさい」って言われるんです。でも、「必要だと思っていないから、4人でやっていきますよ」って言っています。

――みくるさんは、nisaさんにとって、どういう存在でしたか。

nisa:考え方や精神的な面で一番近い人でした。さっき話した意見が分かれる場面でも、みくるは俺の意見もわかってくれたり、レイヴに入った頃も家も同じ方面だったから車で送り迎えをしてくれたりして、一番メンバーで話しやすかったんです。そういう存在だったので、なおさらでしたね。

――ギター一人になって、苦労はなかったんですか?

nisa:ギターに関しては、俺がどうにかすればいいだけなんですけど、本当に大変だったのは悠だと思います。ステージで二人いたところが一人になるのは全然違うだろうし、あの頃はちょうど、サビになったら凪以外の4人が前に出る!という感じから、悠が徐々にベーシストらしい立ち位置になってきていた時期だったんです。それが身に付いてきた頃に、あんなに広いところに一人になって大変だったろうなと。それに、みくるが亡くなったとき、ちょうどバンドとしてのモチベーションが下がっていた時期だったんです。レンや俺は逆境になると燃えるタイプなんですけど、そんな中の出来事だったので悠や凪は喪失感のほうが大きかったんじゃないかと思います。持ち直したのはワンマンツアー(今年3月に行われた5大都市6公演ワンマンツアー「不幸論」)で、4人になってからの曲をガンガンやりだしてからじゃないかな。

――それを経て、現状をどう捉えていますか?

nisa:どうしたらこのモチベーションを保ったままやっていけるのかとは考えています。正直、不安ですね。簡単に辞めたいとは全然思わないですけど、他のメンバーはどうかわからないし。現状そんなにいい位置にいるわけでもないから、もっと頑張らないとなとは考えますね。

――そういう中でできたシングルが、ちょうど献花式から1年後に出るんですね。

nisa:偶然なんですけど、ちょうど献花式の頃なんですよね。今回のシングルで、ようやく4人の新しい道を見付けられた気がしているんです。一つの作品として、今のレイヴにしっくりきているというのがニュアンス的には正しいですね。『UKIYO』のときは、まだ5人のサウンドだったし、アルバム『不幸福論』は今までの延長線上にある少し違う面という感じだったんですけど、今回はまた違う新しい一面を作れて良かったなと思っています。ギターも、本当に一人のサウンドになりましたから。

――今回の2曲についてnisaさんは「2曲ともすんっばらしいギターソロ弾いたから楽しみにしててよ」と言っていたので、かなりの意欲作なんだろうと思っていたんです。

nisa:本当は、もっとガッツリしたソロを弾こうと思っていたんですけど、ギターで泣きたくなっちゃうんです。ただ速弾きするというのが、全然いいと思わないようになってきたので、泣くギターソロを2曲入れています。徐々に変わってきましたね。技術的なことではなくて、心にどう来るかという。

――音楽への向き合い方や受け止め方がどんどん変化してきているのを感じます。

nisa:でも、ファンはどう思っているんだろうってたまに思うんですよ。俺たちが作品を出してもそこからのレスポンスが全然ないんですよ! これはぜひ太字で書いてください(笑)。だから、どこが良かったとか、どこにグッと来たとか、ここが好きというのが具体的に見えて来なくて。「今回も好きです」「安定のカッコよさです」って言ってくれる子もいるんですけど、それは好きフィルターが入っているからじゃないのかなと思ってしまって。俺たちは自信満々で出すんですけど、出した後に反応がなさすぎて、「あれ? 大丈夫かな?」と思うことが多々あります。

――なぜなんでしょう?

nisa:俺たちが言いづらい空気を出しているのかな…(笑)。だからライブで判断するしかないんですよね。あと、ライブでは「1回目からいける曲」「数回やって徐々にいけると思う曲」「何回やってもダメな曲」があって。俺たちのライブはイベントが中心だから、1回にできる曲数が5曲くらいなんですよね。1回1回確実なライブにしたいから、曲は最初にライブでやったときの反応で、何となく今後の扱いが決まるんです。でも、絶対にポテンシャルがあるのに、ノレなくて飛び立たない曲が、うちはいっぱいあると思うんですよ。ライブでやると盛り上がらない=他のバンドのファンはノレない=イベントでやれない、になってくるんです。曲を作っている身からすると、それがすごくもどかしくて。

――その曲たちの扱いも反響次第で変わるんですね。

nisa:そうなんです。それが誰作曲だからその人に伝えようとかではなくていいと思うんです。他のメンバーとか、他のファンとか、いろんな人に声を大にして言ってほしい。それが俺たちのモチベーションにもなるので。今の時代、SNSが発達していてファン同士のトラブルを避けたいから、あまり好きなバンドについて呟かないようにしているという人の話も聞くんですけど、一番辛いのは何も反応がない事ですから。

◆一緒に突き進んでいく熱量をファンと共有できるバンドになりたい

――nisaさんは、今のレイヴの魅力や強みは何だと思いますか?

nisa:今まではずっとそういう質問には、「ライブの楽しさ」とか「ライブの良さ」って答えていたんですけど、最近、そこを一度リセットしてみようという気持ちが出てきました。だからあえて今言うなら「メロディーの良さ」かなと。

――メロディーの良さが強みだと言えるというのはすごいことだと思います。

nisa:いつも選曲会で重視するのはサビのメロディーなんです。なのでそこにはこだわっていますね。今のヴィジュアル系の中で俺たちも大人しい方ではないので、そういう部分を大事にしているというのは強みかなと思っています。

――ライブに関して「リセット」するというのは?

nisa:ライブについては目下試行錯誤中なんです。人の目に触れる一番の機会で、今の活動スタンスの中での割合が大きいので、いろんな人に好きになってもらえるように色々考えています。なので今回のツアー(PS COMPANY PRESENTS レイヴ ONEMAN TOUR『罪と制裁』)では、各地でレイヴのいろんな面が見られるんじゃないかな。全箇所絶対に同じライブにはならない気がするんです。

――久々のワンマンツアーですし、今回はとてもコンセプチュアルなツアーなので一層楽しみです。今回、全公演のセットリストを事前に公開するという初の試みもありましたね。

nisa:あれはちょっと勇気が必要でした。ファンの子たちに「楽しみが減った!」って思われたらどうしようって考えたりもしましたし。でもやってみたら意外と、「友達にこの曲は絶対に聴いておいてねって勧められる」とか「この日はタオルや扇子がいるかわかって嬉しい」とか「この曲を聴くためにあの会場まで行ってみようかな」という話にもなってきたので、結果的にすごく良かったと思います。それに、セットリストを見てもらって、何となく俺たちが提示する雰囲気を感じ取ってもらえたんじゃないかなとも思うし。

――今後もレイヴには色々革新的な展開がありそうで楽しみです。

nisa:きっと進化しますよ。俺たちが楽しみです。今は、バンドとして色々乗り越えている最中で、まだまだ大変な道は続くだろうと思っています。その一方で、ファンに楽しさを知ってもらうために新しいことを始めるきっかけの時期でもあるのかなと思っていて。5周年から6周年で、色々試行錯誤をして様変わりをすると思います。ただ、念のために言っておくと、変わると言っても変な意味での劣化はしません。良い方向に変わっていくということはわかっていてほしいです。

――ファンの好きなレイヴのまま、改良版になっていくんですね。

nisa:そうです! Ver.2、Ver.3、Ver.4、α、β…って変わっていきます(笑)。そのために、目下メンバー間で話し合いの最中なので、それが少しでも引っかかればいいなと思っています。だからなおさらファンの声がほしいんです。

――なるほど。個人的に変化したことはありますか?

nisa:昔はずっとカッコいいギタリストになりたくてカッコつけてギターを弾いていたんです。でも演者としての自分の中でその雰囲気にライブの良さを感じなかったというか、自分のライブスタイルに悩んでいたんです。そんな中、ふと初心に戻ろうと思ってギターを始めた頃を思い出したんですね。そしたら俺はモテたいからとかではなく純粋に音楽が好きでギターを始めた事を思い出したんですよ。だから純粋に自分もギターを楽しみながらライブしようと思って実際にやってみたら、今までよりオーディエンスに感情が伝わってる気がして。それ以降はずっと自分が一番ギターを楽しんでライブしてる気がします。これってきっと自分のルーツがSEX MACHINEGUNSだからなんだろうな、と思います。楽しみすぎてライブ写真とかの顔とかひどいですけどね(笑)。そして、俺は今回のシングル『ツミトバツ』で新しいことをしたいと思って、チューニングを下げたんです。今回、ギターを新しくしたんですけど、あれはダウンチューニング用です。今までよりもさらに7弦の域まで下がりました。これからライブ中のギターの持ち替えも増えていくと思うので、そういう演出の幅も広がるいい機会だったのかなと思います。

――7弦の域まで下がったけど、7弦ギターにはしないんですね。

nisa:ギターキッズゆえに6弦にこだわりがあるので7弦にはしません(笑)。異なるチューニングのギターを使う事によってちょっと大変かもしれないですけど、それをどう良くしていこうと考える時間もきっと楽しいんだと思います。

――nisaさんにとって、未来はどんなふうに見えているんですか?

nisa:俺の目標は、とりあえず武道館だと思っています。その先も含めて、とりあえずの武道館です。ただその道筋は今舗装の段階と言うか…工事中なんですけどね(笑)。

――なぜ武道館なんでしょう?

nisa:個人的に好きな第3期SEX MACHINEGUNSが解散した会場だし、何より神聖な感じがするじゃないですか。憧れもあり、そこまで行ってようやく、売れた!と言えるのかなと思っています。

――何年以内に行きたいという具体的なヴィジョンはありますか?

nisa:5年以内ですね。むしろ10周年を逃したらできないような気がしていて。だから、そこに向けてファンと一緒に盛り上げていきたいなと思っています。最近思うのが、「ライブに行った。楽しかった」というそれだけのバンドじゃダメだと思うんです。楽しさを見出してもらえるに越したことはないですけど、それプラス熱量をどうみんなに感じてもらえるかだと思っていて。例えばワンマンツアーファイナルをソールドアウトするとか、武道館に行きたいとか、オリコンに入りたいとか…そういうことに一緒に突き進んでいく熱量をファンと共有できるバンドになりたいと思っているんです。だから今はそれが一番近く、そしてとても大事な目標なのかもしれません。

(文・後藤るつ子)

ARTIST PROFILE

nisa

<プロフィール>

2012年8月18日、福岡県で結成されたバンド、レイヴのギタリスト。2012年12月にミニアルバム『フラチズム』をリリースし、精力的に活動を展開。2015年3月リリースのミニアルバム『ヨクバリーゼ』以降、4枚のシングルをリリース。2016年8月に4周年を迎え、バンド史上最大キャパとなる恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催。10月には「レイヴ5周年YEAR!!猪突猛進ノンストップGOGO!5大大大大大発表!!」と銘打ち、シングル『UKIYO』、2017年3月には1stフルアルバム『不幸福論』をリリース。11月18日からニューシングル『ツミトバツ』を掲げてのツアー、PS COMPANY PRESENTS レイヴ ONEMAN TOUR『罪と制裁』がスタートする。

■オフィシャルサイト
http://www.pscompany.co.jp/rave/

【リリース情報】

ツミトバツ
2017年11月15日発売
(PS COMPANY Co.,Ltd.)

ツミトバツ
初回限定盤(CD+M∞CARD)
PSIM-30056
¥1,800+税
amazon.co.jpで買う
ツミトバツ
通常盤(CD ONLY)
PSIM-20045
¥1,200+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD] ※初回限定盤、通常盤共通
01.ツミトバツ
02.アンチメランコリック

[M∞CARD]
「ツミトバツ」MV+メイキング映像 ※初回限定盤のみ

【ライブ情報】

●PS COMPANY PRESENTS レイヴ ONEMAN TOUR『罪と制裁』
『罪と制裁〜渋谷裁判〜』
11月18日(土)渋谷REX
OPEN 17:00 / START 17:30
受付URL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030010

『罪と制裁〜大阪裁判〜』
11月23日(木・祝)心斎橋VARON
OPEN 17:00 / START 17:30
受付URL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030011

『罪と制裁〜名古屋裁判〜』
11月24日(金)名古屋ell.SIZE
OPEN 18:00 / START 18:30
受付URL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030012

『罪と制裁〜仙台裁判〜』
12月 2日(土)仙台spaceZero
OPEN 17:00 / START 17:30
受付URL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030013

『罪と制裁〜広島裁判〜』
12月 6日(水)広島CAVE-BE
OPEN 18:00 / START 18:30
受付URL:http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030014

『罪と制裁〜福岡最高裁判〜』
12月 8日(金)福岡DRUM Be-1
OPEN 18:00 / START 18:30
受付URL:http://eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002196594P0050001P006001P0030015

<チケット販売情報>
全料金:各前売¥3,500(税込、各D代別)
e+(一般発売)※10月22日(日)10:00発売