3月22日に初のフルアルバム『不幸福論』のリリースを控えたレイヴ。アルバム制作に没頭していた彼らが、メンバーのたっての希望で2月20日に急遽レンとnisaによる新ユニット「みやながさき」の初ライブを行いました。今回はそのライブの模様をたっぷりお届け。コメント動画も必見です!
長崎出身のレン+宮崎出身のnisa=「みやながさき」という実に明快なユニット名の二人がZher the ZOO YOYOGIで行った初のライブ「ちょっと遅めのバレンタインナイト」。バレンタインにちなんで「Sweet Night」と「Bitter Night」と名付けられた二部制になっており、いずれもレンの歌とnisaのアコギのみで繰り広げるアコースティック形式。さらにフロアには椅子が据えられ、来場者は着座して楽曲とトークを楽しむというスタイルも含め、メンバーにとってもファンにとっても新しいこと尽くしだ。
突然のライブ告知から開催日までわずか1ヵ月弱という短期間だったにもかかわらず、会場には多くのファンが足を運び、二人の予想を上回る数のファンに囲まれてのハッピーなバレンタインナイトとなった。
◆17:30 「Sweet Night」スタート
拍手に迎えられ、ステージに現れた二人。期待に胸を高まらせるフロアに最初に投下されたのは、1986年に発売された国生さゆりの懐かしの名曲「バレンタイン・キッス」。「野郎が奏でる『バレンタイン・キッス』、とくと食らってください」という言葉と共に〈シャラララ素敵にキッス〉〈OHダーリン I LOVE YOU〉というSweetな歌詞を実に男らしい極太な低音で歌い上げる。笑いの渦に包まれた会場を見まわし「ガチムチな感じで歌ってみた」と満足げに話すレンに、nisaが「ところでバレンタインデーキッスはしました?」と話を振ったことから二人のトークに火が付き、さらなる笑いを誘ったのだった。
「次は真面目な曲です」と紹介されたのは、「“Sweet”といえば何だろうなって考えたときに一番に思いついた曲」だというアニメ『キテレツ大百科』のED「はじめてのチュウ」。奏で終え、「こんな良い曲やったっけ?」とnisaがしみじみと口にすると、再び二人でトークを展開。キスとチュウの違い、バンドマン同士のキスのエピソードなどなど、Sweetな話題に華を咲かせた
そんな二人から「自分たちの甘酸っぱいピュアな曲を持ってきました」と贈られたのはnisa作曲の「君レター」。スローなテンポとシンプルな楽器によって込められたメッセージがより強く胸に迫り、耳慣れた楽曲でありながら一味違った魅力を感じさせてくれた。
この日のセットリストを見渡すと、実に多彩なジャンルと時代の楽曲たちによって構成されていることに驚かされるが、レン曰く「俺が思う“いろんな世代の人に共感してもらえるSweetでありBitterな曲”」なのだという。その中で「Sweet Nightのセットリストで唯一nisaがやりたいと持ってきた曲」と紹介されたのはももいろクローバーZの「走れ!」。5人分のパートを一人で歌うことに難しさを訴えつつも、疾走感溢れる1曲を元気に歌い切った。
さらに、優しくも美しいファルセットが印象的だった中島みゆきの「糸」、地元から東京へと出てきた二人にも思いが重なるスキマスイッチの「奏」、銀杏BOYSの前身であるGOING STEADYの「銀河鉄道の夜」と、バリエーション豊かな名曲たちを伸びやかな歌声と穏やかなギターで奏でていった。
そんなSweet Nightの締めくりはレイヴの「オヒトリセレナーデ」。「バリエッチかね!って言われるけど、この曲は『走れ!』に劣らないくらい、すごくピュア」と紹介し、セットリスト随一のアップテンポなナンバーで第一部を終えたのだった。良曲揃いの全8曲で彩ったSweet Nightは、会場いっぱいに響き渡った歌声と澄んだギターの音色が生み出す甘やかな空気で、普段のレイヴにはない特別な空間となった。
【Sweet Nightセットリスト】
01.バレンタイン・キッス(国生さゆり)
02.はじめてのチュウ(あんしんパパ)
03.君レター(レイヴ)
04.走れ!(ももいろクローバー)
05.糸(中島みゆき)
06.奏(スキマスイッチ)
07.銀河鉄道の夜(GOING STEADY)
08.オヒトリセレナーデ(レイヴ)
◆20:00 「Bitter Night」スタート
衣装を変え、ジャケット姿で姿を現した二人。レンの「この服、教頭先生っぽいよね」という言葉に「すごくわかる」とうなずいたnisaのトークで会場に笑いを起こしつつ、第二部「Bitter Night」がスタートした。
「Sweet Nightとはガラッと変えて、Bitter Nightはほろ苦い感じでいきます」と告げ、奏でられたのはこの日の空模様を表すような徳永英明の「レイニーブルー」。切なく歌い上げられる名曲の世界観に浸っていると、続いて投下されたのはレイヴの「アクメ狂詩曲」。アコースティックには意外な選曲かと思いきや、掻き鳴らされるアコギとの相性は抜群! レンの「シェケナベイベー!」の一言で華やかに締めくくり、会場は笑顔に包まれた。
さらに、第一部のももクロに続きnisaのチョイスだという乃木坂46「君の名は希望」、二人が「愛した人を亡くした歌詞」(レン)、「最後の〈嘘つき〉という歌詞を見てすごい歌詞を書く人だと思った」(nisa)と感慨深げに語ったスターダストレビューの「木蘭の涙」と新旧取り混ぜての名曲の数々が次々に奏でられていく中、ざわめきが起こったのは次なる曲。「アニメの曲です」(レン)、「俺は劇場で聴いたよ」(nisa)というヒントのみで、曲名を告げずにレンのアカペラで幕を開けたのは、映画『君の名は。』のEDであるRADWIMPSの「なんでもないや」。ポツリポツリと紡がれる言葉の一つ一つに繊細なギターの音色が寄り添い、聴き手の心を包み込んでいく。
加えて、昭和のカリスマであり夢を与え続けたロックンローラーである尾崎豊の「I LOVE YOU」、そして「毎回アコースティックをやるときは必ず歌う曲」だというレンが敬愛するTHE YELLOW MONKEYの「JAM」を披露。歌い終えたレンが「気持ちいい…!」と漏らした一言が印象に残った。
「Sweet Night」とは趣向を変えたセットリストで客席の心を掴んだ「Bitter Night」のラストを飾ったのはアコースティックでは初披露だという、みくる作曲の「ノスタルジック」。「こういう曲も歌えるようになりました」(レン)、「『オヒトリセレナーデ』とか『有頂天バブル』を歌っていた頃は無理だったと思う」(nisa)…そんな言葉と共に、みくるが残した楽曲にレンの歌声とnisaの爪弾くギターが優しく陰影をつけていく。丹念に思いを込めて歌われる〈消えないの消えないの あなたのひとつひとつ〉という歌詞が心を揺さぶり、甘くほろ苦い夜を締めくくった。
この日の最後にレンから「これから3月に向けてライブも増えるし、磨きをかけて3月11日からはヴィジュアルロックバンドとしてステージに立ち続けます。今日は二人いないけど、大暴れするんで来月からよろしくお願いします!」という言葉が贈られた。
このライブで本家・レイヴとは一味違ったエンタテイメントの在り方を見せてくれた二人。この一夜を経てヴィジュアルロックな彼らのステージがなお一層待ち遠しくなった。
【Bitter Nightセットリスト】
01.レイニーブルー(徳永英明)
02.アクメ狂詩曲(レイヴ)
03.君の名は希望(乃木坂46)
04.木蘭の涙(スターダストレビュー)
05.なんでもないや(RADWIMPS)
06.I LOVE YOU(尾崎豊)
07.JAM(THE YELLOW MONKEY)
08.ノスタルジック(レイヴ)
(文・後藤るつ子)
レン
<プロフィール>
2012年8月18日、福岡県で結成されたバンド、レイヴのヴォーカリスト。2012年12月にミニアルバム『フラチズム』をリリースし、精力的に活動を展開。2015年3月リリースのミニアルバム『ヨクバリーゼ』以降、『有頂天バブル』『サブカル』『人生つらみちゃん』『ナミダヒロイン』と4枚のシングルをリリースしている。2016年8月に4周年を迎え、バンド史上最大キャパとなる恵比寿LIQUIDROOMでのワンマンライブを開催。10月には「レイヴ5周年YEAR!!猪突猛進ノンストップGOGO!5大大大大大発表!!」と銘打ち、ニューシングル『UKIYO』のリリース、2017年3月の1stフルアルバムのリリース、さらに全国ツアーを行うことが発表された。
■オフィシャルサイト
http://www.pscompany.co.jp/rave/
【リリース情報】
『不幸福論』
2017年3月22日発売
(PS COMPANY Co.,Ltd.)
【収録曲】
01.タイムカプセル
02.不幸福論
03.UKIYO
04.ルーレットゲーム
05.ナミダヒロイン
06.砂時計
07.人生つらみちゃん
08.Dirty World
09.棘
10.サブカル
11.幸福論 *
(*幸福盤のみ収録)
■不幸盤 (通常盤Btype・CD Only)
PSIS-50042
¥3,000 + 税
[CD]
01.砂時計
02.不幸福論
03.サブカル
04.メレンゲ *
05.棘
06.UKIYO
07.Dirty World
08.ルーレットゲーム
09.タイムカプセル
10.人生つらみちゃん
11.ナミダヒロイン
(*不幸盤のみ収録)
【ライブ情報】
●2017年 レイヴ初の5大都市6公演ワンマンツアー決定!
3月25日(土)Zirco Tokyo OPEN17:00 / START17:30
3月31日(金)名古屋Heartland OPEN18:00 / START18:30
4月2日(日)心斎橋clapper OPEN17:00 / START17:30
4月7日(金)福岡DRUM Be-1 OPEN18:00 / START18:30
4月16日(日)仙台spaceZero OPEN17:00 / START17:30
<チケット販売情報>
料金:各公演 前売り¥3,300 / 当日¥3,800(ドリンク代別)
[一般発売]
2017年2月26日(日)より発売
●PS COMPANY PRESENTS レイヴ ONEMAN TOUR FINAL「幸福論」
2017年5月5日(金・祝)渋谷WWW OPEN18:00 / START18:30
<チケット販売情報>
料金:前売り¥3,500 / 当日¥4,000(ドリンク代別)
[イープラスプレオーダー受付(Bチケット)]
受付期間:2017年3月5日(日)~3月13日(月)
[一般発売(Cチケット)]
2017年3月26日(日)より発売