the GazettE

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長きに渡り、アルバム『DOGMA』の世界観を提示し続けてきたthe GazettE。その一つの集大成となった国立代々木競技場第一体育館でのツアーファイナルの模様を収めたDVD&Blu-rayの魅力を紐解く。

アルバム『DOGMA』を掲げ、約1年という時間の中で69本のライブを展開してきたthe GazettEが、幕張メッセでのグランドフィナーレをもって『DOGMA』を完結させたことは記憶に新しい。そんな彼らが2本のロングツアーのファイナルとして今年2月28日に国立代々木競技場第一体育館で行った「LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC – FINAL – 漆黒」の模様を収めたDVD&Blu-rayがいよいよ11月9日にリリースされる。あの日の熱を余すところなく閉じ込めた映像作品で、『DOGMA』と共に駆け抜けた彼らの軌跡をじっくりと堪能していただきたい。この作品を通じて彼らの1年を振り返りつつ、初期コンセプトである“大日本異端芸者”を掲げて幕を開ける15周年について5人に話を聞いた。

◆“もうこれ以上悪いことなんて起こらないんじゃないか?”を、常に更新する感じでした(RUKI)

RUKI

――9月27日に幕張メッセで行われたフリーライブ「the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 ~GRAND FINALE『DOGMA-ANOTHER FATE-』~」をもって、1年強に渡る『DOGMA』が遂に完結しました。

RUKI:今はもうDOGMA感もないですね。

葵:色んなものを失ったなと。「あれ? あいつがいない」みたいな感じというか。

全員:(笑)

麗:やっと終わった、という感がありますね。本当に長かったです。ただ、間髪入れずに動いているので、余韻にあまり浸れていないんですけどね。

――麗さんは前回のインタビューでツアー中に「もうギター弾きたくない! 家に帰りたい! 先に帰ってて!」と言うかもしれない、と言っていましたね。

麗:ワールドツアー(「the GazettE WORLD TOUR16 DOGMATIC -TROIS-」)のときは、初っ端からガチで家に帰りたいと思ってました。

葵:何もせずにメキシコに1週間くらいいたんですよ。

REITA:何でここにいるんだろうと思ってたよね(笑)。

麗:何もせずに寝ていたんですけど、ライブをやっていないのが一番きつかったです。

葵:やることと言えば、みんなで集まってご飯を食べるぐらいだったし、それも何日も続くと誰も来なくなりますからね(笑)。

――意外な思い出です(笑)。この1年を振り返って、一番記憶に残っていることはありますか?

RUKI:ハイライトはいっぱいあるよね。俺が記憶に残っているのは『UNDYING』のMVの撮影かな。すごく寒かったからね。

REITA:俺は『UGLY』のMV撮影ですね。当日現場に行って、マネージャーが辞めたと聞かされたのが衝撃で…。

全員:(笑)

――一体何があったんですか?

REITA:当日、俺と麗が朝6時頃に現場入りしたんですよ。そうしたらマネージャーから、「すみません、もう一人のマネージャーが昨日で辞めました」って言われて(笑)。あれはビックリしたよね。

麗:あんなにモチベーションが下がることってないよね。それまで「今日も撮影がんばろう!」って言ってたのに。

REITA:「朝早いけど乗り切るぞ!」みたいな感じだったのにな(笑)。

麗:「なぜこのタイミングで!?」っていう。これが終わってからでもいいんじゃないかと思いました(笑)。

――これが冒頭で葵さんが言った「あれ? あいつがいない」に繋がっているんですね(笑)。

RUKI:本当に、“もうこれ以上悪いことなんて起こらないんじゃないか?”を、常に更新する感じでした(笑)。あと、記憶に残っているのは、『DOGMA』を出すときに無事に出てほしいと思ったことですね。

戒:俺も最初に思い出すのがそれだな。

葵:それに尽きます。

麗:初回限定盤の仕様の話をしているときに、「これ、どうなるんだろう…」って思ってましたからね(笑)。

RUKI:これは、ついに発売延期が出るんじゃないかと。

――そんなに決まらなかったんですか?

戒:周りの方たちとバンドのテンションがなかなか合わない時期があったんですよ。そのままテンションが下がっていたら、間違いなく『DOGMA』は出ていなかったと思います。

――もしや、以前、麗さんと葵さんにインタビューした頃はその真っ最中だったのでしょうか。

麗:そうですそうです。

葵:まさにあの頃ですね(笑)。

――そんなことは微塵も感じさせない冷静さでインタビューを受けていただいた記憶があります。

RUKI:あの時は一人や二人、死んでいてもおかしくないぐらいだったよね(笑)。

◆「UNDYING」は経験を積んでやっと身になっていく曲(麗)

麗

――“一番記憶に残っていること”と言えば、ツアー先の思い出話が出てくると思ったのですが、予想外の答えでした。

RUKI:ツアーは楽しかったですからね。

REITA:うん。ツアーは癒しでした。

麗:ツアーに行っていたほうが寝れるし。

RUKI:ほんとそうだよね。

――(笑)。ところで、前回インタビューさせていただいたのが昨年12月で、「LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC -DUE-」(以下「DUE」)のスタート後だったのですが、そのときに、「LIVE TOUR 15 DOGMATIC -UN-」(以下「UN」)の1本目が手探りだったというお話を伺いました。DVDでも、試行錯誤をしながらのツアーだったことが伝わってきたのですが、どこの時点で納得がいくものができあがったんでしょうか?

RUKI:いや、ずっと悩んでいましたよ。少しずつ何度も変えていく感じで、「これがいいセットリストだ!」というものはなかったですね。

戒:セットリストもですけど、演出関係もそうでした。最初は「13TH ANNIVERSARY 13- T H I R T E E N -」(2015年3月10日に日本武道館で行った結成13周年ライブ)で13階段を作って、セットで物を言わすような、あまり今まではなかったステージを作ったんです。今回もその流れでセットを組んで表現できたらいいよね、と言っていたんですけど、実際にやってみるとそれが原因で照明が上手くいかず、自分たちの首を絞めるような結果になってしまって。

――それに気づいたのはいつ頃だったんですか?

戒:UNがスタートしてかなり早い段階でした。その段階で「これはガチガチにセットを組み過ぎちゃったね」という話をしつつ、その中でもやれることをやって、DUEのツアーでは潔く取っ払ったりもして。そのために、ライブ映像を観て意見を出して、それを実現するにはどうしたらいいかをいつもメンバー間で話し合っていた気がします。

――初回限定盤のドキュメントDVDでその様子がよく伝わってきました。それにしても、ここまで演出にこだわって現場で作り上げていくアーティストは、あまりいない気がします。

戒:常に更新していく感じで、楽しかったですよ。スタッフさんは大変だと思いますけど(笑)。でも、やりたいということにみんな応えてくれるし、考えてくれるので、すごく恵まれていると思います。

――試行錯誤のUNとDUEを経て、「the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-」に辿り着いたわけですね。

戒:あの日のセットリストも試行錯誤の末に決まりました。でも、「UNDYING」を見せるということは決めていたんです。

――「OMINOUS」からの「UNDYING」という流れでしたね。

RUKI:そうです。あの日、やり終えた後は無というか、放心状態でしたね。「UNDYING」は初めてやったから体にも馴染んでいないし。曲がバリくそ難しかったんですよ。

戒:いつもだったら、やり切った実感があるはずなんですけど、そこまで到達しなくて。むしろ俺は記憶がスッと飛んでしまっていて。頭の演出のところと「UNDYING」は鮮明に覚えているんですけど、それ以外はスコーンと記憶から抜けてしまっているんですよ(笑)。

――そうだったんですね。…隣で麗さんが深くうなずいていますが。

麗:僕はしっかり覚えていますよ(笑)。曲は難しかったですけどね。「UNDYING」は経験を積んでいってやっと身になっていくような曲だと思うんです。あの日はやりながら、「あぁ意外と難しいんだな」と。特に最近の自分たちのレコーディングのやり方と、ライブでの演奏は手法も全然違うので。その違いは強く感じました。