特集-Special Feature-

the GazettE

the GazettE

13周年を迎えたthe GazettEが放つニューアルバム『DOGMA』。バンドが持つ激しさが色濃く描かれた最新作、そして13年目のthe GazettEとは――

“待望の”という言葉がこれほど相応しい作品も少ないだろう。前アルバム『BEAUTIFUL DEFORMITY』から約2年の時を経て、彼らのニューアルバム『DOGMA』が遂に世に放たれる。14曲全て新曲のみで構成された“教義”“教理”を意味する今回のアルバムには、the GazettEのよりハードでヘヴィな音世界が黒く渦を巻いていた。既に公開された初のリリックビデオ「OMINOUS」、そして先頃公開されたメンバー制作による最新アルバムの全曲試聴映像と、常に新たな衝撃を与え続ける彼ら。その最新作について、そして13周年について、Vif初登場となる麗、葵のギター陣二人に語ってもらった。

◆1年空けたからには、それに見合うものを出したい(葵)

葵

――約2年ぶりにアルバムがリリースされますが、このタイミングで出すことは以前から決めていたんですか。

葵:そうですね。去年1年はとりあえず制作をやめていたんですが、その頃から漠然と今年出そうというプランはありました。

麗:『DOGMA』というタイトルは、昨年末から今年にかけて徐々に決まっていった感じです。

――the GazettEにとって、アルバムはどういう位置づけのものですか?

麗:個人的には、活動の中心になってくるものですね。作品の一部ですがバンドの集大成そのものだと思います。

葵:シングル1枚だとツアーも行きにくいですしね(笑)。もっとこまめにリリースする方がいいのかなとも思うんですけど、うちは“何となく定まらないまま決まったスパンでシングルを3枚くらい出して、アルバムを出す”…というタイプでもない気がして。それよりもっと濃いものを求めていくと、今のようなスタイルになっちゃうんです。レコード会社やファンの子には「そろそろリリースしないんですか?」って言われますけど、「すみません」と。

麗:ただ、the GazettEだからこうやってリリースを1年空けることもできるけど、the GazettEだからこそ出さなきゃいけないっていう周りのプレッシャーもありますよ。

葵:まぁ、そろそろ俺らの存在を忘れられるなって頃に出せればいいかなと(笑)。でも今回も待たせた分、それなりのものになったと思います。やっぱり1年空けたからには、それに見合うものを出したいんですよ。今回はいつも以上に選曲会も多かったし、出した曲数は、それこそシングル数枚とアルバムを数枚ずつ出せるくらいありました。その中から厳選して世界観を固めたんです。

――今回の『DOGMA』というタイトルは、これまでのタイトルよりも、よりディープなところをえぐっている印象があります。

麗:ディープだけどシンプルですよね。自分たちでも、入り口はスパッとわかりやすい、でも掘り下げるとどこまでも複雑に広がっていくタイトルでした。今回のアルバムでは、 『DOGMA』に対してどういう攻め方をするかというのがバンドの課題で、the GazettEが持つ激しさや、ファンのノリや宗教っぽさをもっと引き出そうというテーマがあったので、一貫した激しさがあります。

――“DOGMA”というワードの捉え方は、5人で共通していたんですか?

麗:あえて「“DOGMA”、どう思う?」っていう話し合いはしなかったんですけど、タイトルが出て、それを自分なりに受け止めて、ジャケットのイメージも割と早い段階からできていたので、何となく世界観は見えていました。でも、音に変換すると解釈が違ってくるんですよね。

葵:言葉は明確だけど、意味としてはボヤッとしますからね。今回は、話し合うより、音を作ってそれを見せ合って、意思の疎通を図るほうがやりやすいなと思って。うちは各々で曲を作って割と完成形に近いものを持ってくるんですけど、もう10何年もやっていると皆それなりに楽器もできるので、形になっていて見えやすいんです。ただ、今回は皆それぞれ違う思考で作っているから“DOGMA”という一つのワードのものを作るのは難しかったかもしれないですね。今思うとこれまでみたいな抽象的なタイトルのほうが、どうとでもなるし、やりやすかった。

麗:俺も今思うと難しいテーマだったなと思います。曲を出しながら意思の疎通を図るっていうのはthe GazettEとしては珍しいんですよ。今回はこれまでとはちょっとやり方が違いましたね。今まで出た曲で、タイトルのイメージが違うことが、ほぼなかったので。それくらいこれまでのアルバムタイトルがフワッとしていたんだと思います。

葵:今回、最初の頃に作った曲は選曲会で全て落ちていたんですよ。最後のほうに作った曲が残りました。

麗:落とされた曲を作っていた頃は、曲が作りやすかったんです。最初の頃は「そこまで“DOGMA”すぎてもな」と思って作っていたんですよ。でもそれを選曲会に持って行ったら、「もっと他の人の“DOGMA”に寄ったほうがいいのかな」と改めて思って、それによってどんどん作りにくくなりました。もっと縛ったほうが良いのかなと意識するようになって。

葵:そう聞くと、「話し合えばいいじゃん」と思うよね。

麗:うん(笑)。でも話じゃわからないんだよね。

葵:微妙な感じがね。全てを話さないっていうのがいいんですよ。

――言葉ではなく音で…というのがアーティストならではですね。

葵:そうかもしれませんね。あと、選曲会まで皆なぜか手の内を見せないんですよね。中途半端なものを見せられないっていうのもあるんですけど、選曲会まで他の人の曲を誰も知らない。それもまた面白いですけどね。

――今回、選曲会で驚いた曲はありましたか?

葵:最近あんまり突拍子もない曲は作ってこないですね。1~2曲はあるものなんですけど。逆に「曲が似てるな」という印象が強かったです。こっちの曲で代用できるなっていうものもあったし。

――葵さんは突拍子もない曲にチャレンジしないんですか?

葵:しないですよ! でも、RUKIが書く曲はわかりやすかったり、なじみやすいものが多かったりするので、自ずと俺や麗が書く曲が変な部類に入っちゃうんですよね。なので、割と意図せずに突拍子もない曲を作っているのかな。…あれ? 麗、心外だった?

麗:いや、間違いない(笑)。それに、デモの段階では歌い手じゃないというだけで、すごくハードルが上がるんですよ。たとえ自分の中でthe GazettEの王道的なものを作ったとしても、RUKIの歌声を借りない限り、その王道感を伝える手段がないんです。選曲会では半分も伝わっていないんじゃないかな。その場で曲を流しながら途中で音を止めて「ここサビね」とか「ここBメロね、この辺でこういう音が来る」って説明できるわけじゃないから、パッと流して、みんな「?」となって終わるというパターンが多い。

葵:わかる。

麗:王道なものを作って伴奏だけ流しても、パンチがない曲という印象になっちゃう。「じゃあ、オケでパンチを出していかないと!」って使命感が出てくるんですけど、そうするとフックをかけすぎて変な曲になっちゃうんですよね(笑)。まぁ要は歌えればいいってだけなんですけど。

――じゃあ次は麗さんと葵さんも歌を…

麗:いや、そこには歌唱力という壁が(笑)。

葵:そうですよ。だって歌えたらヴォーカルをやってますもん。メンバーに聴かせるってことは、プロに聴かせるわけですからね。

麗:それに、メンバーに聴かせるってどんな拷問? めちゃくちゃ笑われそうだし、うちのメンバーはそういうのをとことんバカにするから、そんな勇気ない。泣いちゃう。

――(笑)。でも歌を入れたことで、次のアルバムは全曲麗さん、葵さんの曲になるかもしれませんよ。

葵:なるほど…! って、いやそれは絶対ない。盛大に笑われて終わりですから。

麗:でも、葵さんは前に1回だけ歌入れて持ってきたよね。1回やっちゃえば慣れのような気もするんだけど。

葵:うーん、やり続けるって大事だけど、そこ頑張る?

麗:まぁそこで深い傷を負うこともあるまいと(笑)。

◆今回はより合理的に(麗)

麗

――今回の制作で新たに挑戦したことはありますか?

麗:前回とほぼ同じギターを使っているんですが、強いて言うなら録り方を変えました。よりデジタルになっています。

葵:これは難しいし、なかなかできないけど、極論を言っちゃうと誰にでもできちゃう。デジタルの製品を使うということは、スタジオがなくてもできてしまうので、そこにはセンスが必要だと思います。これまで、アナログでマイクをキャビネットに立てる手法もやってきたんですけど、現状では、the GazettEという音像を作る上でデジタルのものを使うのが一番イメージにはまりやすかった。もちろん、必ずしもそれが絶対的に良いわけじゃないし、次の作品では変わっているかもしれませんけどね。現状それがベストというチョイスです。

麗:この方法、難しさはないんですけど、思い切りは大事ですね。レコーディングスタジオで録っていると、マイキングしてスタジオでしかできないことを100%やることに満足感や意味があるんですけど、今回はそういう部分を思い切って省いて、より合理的にやってみたんです。音は最終的にはコンピューターに入ってデジタルになるんですけど、それをアンプから次に行くという早い段階でデジタルにすることで、よりロスが少ない方法を取っています。

――それによって、その分の時間が他にかけられますね。

麗:それも大きいし、セッティングの手間も省けるし、色々合理的だけど邪道極まりない方法ですよね。過去のやり方を否定するような方法なので。でも、自分たちはアナログとデジタル、どちらも経験している世代だから、どっちが本当にいいのか見定められるじゃないですか。

――the GazettEはちょうど過渡期を経験している世代ですね。

葵:そうですね。アナログもやったし、テープもやったから。

麗:どの手法も中途半端にかじっているので、「絶対アナログじゃなきゃダメだ!」と意固地になることもなく、良いほうを柔軟に選べます。the GazettEは、ヴィジュアル面ではかたくなに貫いているけど、音楽についてはすごく柔軟かもしれないですね。そのほうが音を楽しめるし、音楽をガチガチにしちゃうと楽しくなくなっちゃいますから。

――その柔軟さが、ひいては作品の斬新さ、クオリティにつながっているのかもしれませんね。

麗:そういうものがないと、自分たちでもリリースしたいと思わなくなっちゃうんですよ。それに、周りが色々学べる環境を与えてくれるので、自分たちでも色々な作品ができるんだと思います。