lynch.

メジャーマイナーで終わらない感じ、これぞ名古屋系

明徳

04.A FIERCE BLAZE(作詞:葉月/作曲:玲央、葉月)

玲央さんと葉月さんの共作ですが、この曲はどういう方法で制作されたのでしょう?

玲央:元々サビもない、ハードコア一辺倒の楽曲だったんです。葉月から、前奏にサビと間奏に持ってきたような、ちょっと沈んだ部分を持ってきたらどうかという提案があって。そちらの方がカッコいいので採用しました。それでちょっと生まれ変わった感じですね。

この曲、弾くのがかなり大変なのではと思って聴いていたのですが。

玲央:大変です(笑)。

晁直:lynch.らしいといえばlynch.らしいんですけど、テンション的な部分がね。最初は静かなんですけど、Aメロから激しくなって、Bでちょっとハーフになって、サビでもっとハーフになって…そういう部分が結構大変です。

特に、3Aからの晁直さんはすごい!と感心しながら聴いていました。

玲央:あれはもう、原曲の時から晁直の見せ場を作りたかったんですよ。ギターはそのまま、「あとはお願いします」と投げたら、すごいのを入れてきてくれて。ライブの時、大変そうだなと思ったりもしつつ(笑)。

明徳:ベースのサビのコード進行は、デモ段階ではもっとシンプルだったんです。そこでギター隊の二人が乗せてきたコードが、一風変わったコードを折り返しと最後に一つずつのせるオンコードというやつだったんですけど、それによってめちゃくちゃ雰囲気が変わって。何なら、これが名古屋系なのか!と思いました。この独特な雰囲気、オンコードでセブンスをやることによって出るのかなと。

玲央:これがLaputaか!と。一つの音を差すだけで、雰囲気がガラッと変わるんですよね。このメジャーマイナーで終わらない感じ。この曲、葉月にサビを付けてもらって、悠介のギター、葉月がメロを決める…だったらもう一案足して、Sus4の方に持っていった方がいいんじゃないかとか、セブンスの方に持っていった方がいいんじゃないかとか、一番いい落とし所になるように、実は後からコードを変えているんですよ。明徳にもベースでうねるんだったら、こっちのコードじゃなくて新しく付け替えたコードでうねってほしいと、オーダーを出したりもして。

珍しい方法ですね。

玲央:普通は土台ができて、ドラム、ベース、ギター、歌という順番があると思うんですけど、逆なんですよね。歌って、悠介のギターがあって、僕のギターを乗せて、ベースをちょっと変えて…という。ジャムっているような感覚が面白いなと思います。

この作り方だと、出てくる結果が全く違うものになりそうです。ところで、葉月さんとの共作で、原曲からどのあたりが変わりましたか?

葉月:サビを足して、間奏をイントロに持ってきて…

玲央:Bメロも、僕が持ってきたものはシンプルだったんですけど、前半後半で表裏を変えていたりします。

葉月:あれ? 玲央さんがそうやって弾いてましたよ。でもそれがギターだけだったから、他のパートも絡めてもうちょっと際立つようにしました。

玲央:冒頭に悠介がシンセをいっぱい入れてくれたんですよ。それも、レコーディングの最中に僕が鼻歌で、こういう女性の声を入れたいんだよねってエンジニアさんと話している裏でもう作っていて! すぐに、「できました。こういう感じですよね」って聴かせてくれたので、もうそのままデータをインポートして録っちゃいました。生身の人間が弾くパート以外の部分の、制作のプロセスやスピード感がすごいなと思いました。

悠介:玲央さんの話を聞いていて、とてもオリエンタルな感じを求めているんだろうなと思って。僕もプリプロの段階で何本かシンセは入れたんですけど、自分の中でも何か足りない、もうちょっと欲しいなっていうのはあったんです。リアンプしている時にそういう話が入ってきたので、「あ、これだな」と思って。自分の中で足りないと思っていたものも解消されたのでよかったです。

足りないと感じていたものも一致しているし、それを具現化することも阿吽の呼吸でできるし…素晴らしいチームワークですね。

玲央:対応力のすごさにビックリしました。やっぱりユニットプロジェクトで健康をやっている時にシンセを扱っているからなのかな。新しいパートの肩書きでシンセについて書けるくらい自分のものにしているなと感じましたね。今回のことで、こういう対応力への安心感や、投げたらすぐ返ってくるだろうなという信頼感が強くなりました。

「大丈夫だよ、楽しいからまた来てね」と伝えたい

晁直

05. REMAINS(作詞:葉月/作曲:悠介)

5分半の大作ですね。このテーマの作品の最後にこの曲を入れた意図は何だったのでしょう?

葉月:バランスですね。これがあるから、他4曲があれだけ振り切れるんです。その間になるようなものがいらないというか。

悠介:選曲は葉月君に任せていたんですけど、2曲出したうちの別の1曲は、もうちょっとアッパーな感じの曲だったので、そっちを入れるよりはこの曲の方がバランスは取れるだろうなと思いました。

玲央:この曲のリズムセクションの間奏が、ギタリストから見て、ここいいよなぁ~と思います。ベースの音色がいいんですよ。すごくUKを感じさせる、上品で大人な感じがするんです。ちょっと丸い感じの音って、若い頃にはあんまり求めなかったりするので、このジャンルの中の僕らだから成立するのかなと思いますね。

明徳:褒めてもらいましたけど、僕だけだとあそこまでのアイデアはなくて。音作りをする時に悠介さんが隣におって、こうしてみようよと言ってもらった結果、ちょっと歪んでいるけどめちゃくちゃコーラスがかかっていて、自分では想像もつかなかった音になったという感じです。でもライブで再現するのは難しいなぁと考え中です(笑)。

晁直:イントロセクションのドラムは、ドラムをやっている人が考えないパターンなので、そこはある意味聴き所かなと思いますね。

ちょっと不思議な感じがします。

晁直:そうですね。僕だったらああいう風にはやらないというか、ドラマーのセオリーからはちょっと外れているけど、曲にはまっているし面白いです。

この曲はヴォーカリストも気持ちよさそうと思って聴いていたのですが。

葉月:そうでもないですよ。レコーディングでは必死に歌っていましたし。

難しかったですか?

葉月:このサビの英語がすごく難しかった…。そこは聴いてほしいところでもあるんですけどね。そもそも、シャウト以外で英語が出てくる歌は少ないので、こだわって録りました。外タレっぽく聴こえたらいいな。

この5曲を掲げての7月からのツアーが楽しみです。そんなツアーを心待ちにしている方々にメッセージをお願いします。

葉月:難しいな…コロナ禍を経て、今のライブはどうなったんでしょう? 皆さんどういう感じなんでしょうね。

5月28日の恵比寿でのライブ(「TOUR’24「DEADLY DEEP KISSES」-SHADOWS ONLY- 恵比寿LIQUIDROOM」)のような感じじゃないですか?

葉月:あれはFC限定だし、全体のほんの一部だと思うんですよ。みんなどういう印象なのかなとか、離れちゃった人もいるのかなとか色々考えるんですよね。でももうコロナ禍前のあの頃の日常というか、当たり前だったライブはもう戻って来ているので、あの感じが好きだった人には来てほしいなという感じです。まだ全員来てないと思うんですよ。だから、「大丈夫だよ、楽しいからまた来てね」と伝えたいです。

(文・後藤るつ子)

lynch.

葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(B)、晁直(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

『FIERCE-EP』
2024年6月26日(水)発売
(KING RECORDS)

lynch.「FIERCE-EP」初回限定盤ジャケット写真

[初回限定盤](CD+Blu-ray)KICS-94159 ¥6,300(税込)

[通常盤](CD only)KICS-4159 ¥2,750(税込)

収録曲

[CD]※初回限定盤、通常盤共通

  1. UN DEUX TROIS
  2. EXCENTRIC
  3. A FIERCE BLAZE
  4. REMAINS

[Blu-ray]

・「EXCENTRIC」MV

・「EXCENTRIC」MVメイキング映像

ライブ情報

●TOUR’24 THE FIERCE BLAZE
7月7日(日)仙台Rensa
7月11日(木)新宿BLAZE
7月13日(土)横浜Bay Hall
7月20日(土)福岡DRUM LOGOS
7月21日(日)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
7月23日(火)KYOTO MUSE
7月27日(土)岐阜club-G
7月28日(日)Live House 浜松窓枠
8月3日(土)旭川CASINO DRIVE
8月4日(日)札幌PENNY LANE 24
8月17日(土)金沢EIGHT HALL
8月18日(日)長野CLUB JUNK BOX
8月24日(土)Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
8月31日(土)大阪国際交流センター 大ホール
9月4日(水)TOKYO DOME CITY HALL