HIROTO × 鈴木達央

HIROTO LIVE 2024 ep.1「Starlight Festival」開催記念スペシャル対談第2弾:HIROTO × 鈴木達央

2023年9月3日をもってアリス九號.が無期限活動“凍結”となって以降、いち早く活発な動きを見せているギタリストHIROTOが、いよいよ自身の誕生日である2024年5月4日、ソロアーティストとしての本格始動となる「HIROTO LIVE 2024 ep.1『Starlight Festival』」を渋谷WWW Xにて開催する。この記念すべき一夜に向けたVifスペシャル企画の第2弾は、HIROTOと鈴木達央による対談。公私ともに親交の深い二人のやり取りは、確かな熱量と愛情、そして未来をも感じさせてくれるものとなった。


アリス九號.を触れづらいものにしてほしくない(HIROTO)

お二人の対談は今までにありますか?

HIROTO:OLDCODEXと将(Vo/アリス九號.)と僕の4人でのインタビューはありましたけど、二人だけは初めてですね。その4人のも、もう6年くらい前かな。

鈴木達央(以下、達央):そうだね。その取材を機に連絡を取り合うようになりました。

では、改めて出会いから教えてください。

HIROTO:本当のはじめましては、GRANRODEOフェス(2013年7月21日「GRANRODEO FES 2013 ROUND GR」@富士急ハイランドコニファーフォレスト)の楽屋で本当に一瞬、挨拶だけ。

その一瞬の挨拶の第一印象はいかがでしたか?

HIROTO:目力がすごい人。

達央:(笑)。確か本当にライブ直後ぐらいで。各バンドにご挨拶に行った時だったよね。

HIROTO:うん、キマってた(笑)。

達央:まぁステージ終わりだからね(笑)。

HIROTO:印象は柔らかかったんですよ。顔も笑顔なんだけど、目だけが強くて「おおっ」と思って(笑)。

達央:すいませんね、中身が出ちゃって(笑)。

(笑)。達央さんから見たHIROTOさんの第一印象はいかがでしたか?

達央:ヴィジュアルロック界隈の人たちって、どちらかというとすごく尖ってるイメージがあったんですけど、アリス九號.の面々とご挨拶させてもらった時にすごく柔らかく対応していただいたので、一概にそういう人たちばかりじゃないんだなと思いましたね。

そこから時を経て今、HIROTOさんから見た達央さんってこんな人というのを言葉で表すとどんな感じでしょう?

HIROTO:男らしい人ですね。実際会うと、物腰柔らかくてすごく紳士的ですけど、言葉、声のトーン一つから、やっぱりその道のプロフェッショナルの人だし、会うたびに「あ、前より素敵な声になってる…!」って、本当にお世辞抜きに感じるんですよ。だから、ちゃんとやることをやってそこに立っている人なんだなというのは、ずっと変わらない部分かもしれないです。それと、彼は声優という軸があるから、声優がバンドをやっているという風に見る人もいると思いますけど、本当にその辺のバンドマンよりよっぽど音楽好きだし、ちゃんと向き合っているのが言動からすごく伝わってくるので、それを引っくるめて男らしい人です。

第一印象と今の印象は変わらないですか?

HIROTO:バンドが止まったり、休業していた期間もあったり色々あって、より削ぎ落とされた感というか、よりスマートになった感じがしますね。

達央:このインタビュー大丈夫かな。お前の言葉を原稿にまとめてもらうの、すごく大変そう(笑)。

しっかりまとめます(笑)。では、達央さんから見たHIROTOさんってこんな人というのを教えてください。

達央:会うたびに不思議ちゃんだなというのはずっとあって。自分の信じるべきものを一個しっかり持っていて、それに向かってまっすぐ行っているんだけど、生きているとそれ以外にも気になるものがどうしても見えてくるから、そこに対しての興味がすごくある人だと思うんですよね。たまにそのフォーカスがずれていたり、明後日の方向に飛んでいったりするから、やっぱりスゲー不思議ちゃんだよなと。素直な不思議ちゃんっていうイメージが俺の中でずっとありますね。

わかる気がします。

達央:でも、それが嫌な感じじゃなくて、例えばオーディエンス、ファンだったり、友達、仲間だったり、いつも自分のこと以上に周りばっかり見ているなと。人のために動く人だなと思いますね。なので、交友関係一つとってもめちゃめちゃ広いし、そういうところは自分も学ばなきゃなと、一緒にいながら感じる人ですね。

めちゃくちゃいいお話です。

HIROTO:下げて上げて(笑)。

達央:いやいや、ちゃんと上げてるでしょ(笑)。

HIROTO:ありがたいっす。

お二人の接点としては、GRANRODEOフェスの他に、アリス九號.のライブ演出の中のナレーションを達央さんが担当されたりしていますが、プライベートでも結構交流がありそうですね。

達央:そうですね。仕事で会うよりもたくさん会っていますし、 色々と教えてもらうこともあれば、お互いどんなことやろうかみたいな話だったり、ずっと話している印象ですね。

HIROTO:コロナ前から、何か早くやろうよみたいな話をしていたんですけど、色々止まったりして、今回ようやく。

今回のライブにお誘いする以前に、そもそも一緒に何かやろうという話があったわけですね。

HIROTO:そうですね。一緒に何かやりたいというのがずっとあって、たっつんが復帰する前からプライベートで会って話していたんですよね。で、正式に活動再開するということになり…。

達央:まぁ、俺が事務所を出たタイミング(2023年10月末をもって独立)だよね。それまでも仕事はやっていたんだけど、その時の事務所の方針として、表立って言うことができなかったんです。だから、事務所に所属している状態だと、どうしても動きが取れなくて。出たタイミングでHIROTOから「何かやりたいんだけど」と連絡があって、もうすぐに「やろう。いいタイミングだし」と、話はとんとん拍子で決まっていきましたね。

もう即答だったと。

達央:すぐに決まりました。ただ、HIROTOから全然曲が来ないので、何を歌ったらいいのかわかんないですよね(笑)。もうあと半月なんだけどなみたいな。

つい一昨日の取材時にも、まだ曲を皆さんに送れていないと言っていたので、その辺の話ができないなと思って(笑)。何もわからない状態じゃないですか(笑)。

達央:そうなんすよ(笑)! でも、せっかくHIROTOと一緒にやるんだったら、HIROTOのフィールドの曲をやりたいという話をずっとしていて。なので、今まで自分がやっていたところではなくて、HIROTOのお客さんが喜んでくれそうなものをやりたいから、アリス九號.の曲とか、もし歌っても大丈夫であればやりたいと僕のほうからオーダーさせてもらいましたね。あとは、先々もうちょっと詰めてからになりそうですけど、HIROTOがソロで何かやる時には一緒にやりたいよね、そういう曲も作れたらいいよねみたいな話はあるので、 しっかり時期が決まっちゃえば、曲作りにも入れるなと。

わぁ、楽しみが広がっていますね。

HIROTO:ていうところまで話して…。

達央:で、コイツが止めるんですよ(笑)。何も連絡くれない。俺、結構パキパキ決めちゃう派なんですよ。じゃあ大体いつぐらい、どのぐらい、発注どうやってやるとか。そういうの、 僕マターでいくと結構早めにバンバンバンって決めていくんですけどね。

仕事ができるタイプ。

達央:そうっすね。今、自分で回すようになってから、本当にいろんな人とやろうとすると、どうしても時間がかかってしまうことは出てくるので、思った通りにはなかなか行かないなというのは勉強中なところもありますけど。でも、自分だけで回せることで言うと、結構早めにやっちゃうタイプなので、すごいずっとせっついてますよ。「お前いつになったら音くれるねん」って。

HIROTO:皆からせっつかれてる(笑)。

達央:そりゃそうだよ! だってお前のライブなんだから、皆、心配にもなるさ。

しかも今回、出演者も多いですからね。ところで、第1部の「HIROTO SPECIAL SESSION」は“ギタリストHIROTO”のパフォーマンスになるとのことですが、達央さん、峯田大夢さん、昴さん(Vo/Royz)は皆さんヴォーカルを務めるのでしょうか?

HIROTO:もちろん歌ってもらいます。 三人同時には出ないですけどね。僕とNao(Dr/アリス九號.)だけずっと出ている形です。takutoさん(G/about tess)はジャムセッションコーナーに登場で、何も決めずにそこで起こることを披露するという。takutoさんはそういうのがすごく長けている人なんですよね。一人で12時間ぶっ通しでステージに立ち続けるイベントをやっていたりするくらいなので(笑)。今回は第2部のソロバンドが特別編成なので、 逆にtakutoさんはいつもと違う感じの、どちらかというと本来の姿をぶっ放してもらおうかなと思って第1部に出てもらいます。

そうなんですね。

HIROTO:たっつんも言ったように、第1部でアリス九號.の曲をやろうと思っています。休止してたり解散したり、自分が好きなものが何かがあって止まると、やっぱり皆ネガティブな気分や悲しい気分になってしまって、実際ファンの人からも「まだラストライブのDVDは観られません」とか、「あれ以来曲が聴けないです」という声が届くんですよね。すごく気持ちはわかるけど、触れづらいものにしてほしくないという思いがあって。だからヴォーカリストに関しては、ただ集客力があるからとかで呼ぶんじゃなくて、ちゃんとアリス九號.の歴史の中で関わっていたり、アリス九號.に対して思いがある人にお声がけしました。たっつんも、ナレーションだけじゃなくてライブのキーになるキャラクターの声もやってもらったので、ファンにとってもすごく印象深いはずだし、プライベートでもHIROTOだけじゃなく将とも仲良くしてもらっていて、彼が体的に変わるきっかけを作った人なんですよ。

達央:一時期、教えていました。声の出し方だったり、彼が結構悩んでいた時があったので、「もうちょっと体の使い方をちゃんと覚えないと、多分ここから先キツイよ」と、どういうところをちゃんと使ってやったほうがいいかみたいな話をして。その当時のメソッドなので、まだ僕もちょっと粗いところはあったんですけど。あと、ナレーションもライブのエッセンスになる部分をやらせてもらっていたので、お客さんがどう喜んでくれるかなとか、どうやったらアリス九號.の面々と一緒になって楽しめるかなみたいなことをずっと考えながらやっていて。その時にスタッフさんからも「いつか何か一緒にやれたらいいですね」と言っていただいたので、それも思いの一つでもありましたし、うちはうちで以前のバンドは活動終了という完全な区切りを設けたので、そうしたところの気持ちもよくわかるなと。

なるほど。

達央:唯一の違いは、アリス九號.はもう一度みんなで走るということを選択できる。そこが僕はすごくいいことだなと思うので、その間に何か違う形でそれを楽しむのもありなんじゃないかなと個人的には思うんです。正式なヴォーカルではないですけど、逆にそれを聴くことで良さがまた見えたり、将に対する思いがまた募るというのもありなんじゃないかなと。だから僕としては、言ってしまえば踏み台になれればいいなと思っています。HIROTO、将、他のメンバーにとっても、アリス九號.が一番大事だと思うので、今回のライブで彼らの曲をやることを提案したんですけど、それはアリス九號.のためにやりたいんですよ。今、聴けないかもってなっちゃっている子たちに無理やりでも聴いてもらって、やっぱり将がいいなとか思ってもらったほうがいいです。そのために歌いたいですね。

たくさんの人の未来のために。

達央:HIROTOのファンの方、そしてアリス九號.を今でも好きな人たちにちゃんと楽しんでもらえるように。そして機会があれば、僕を応援してくれる人たちが新しい魅力に気づいてくれる何かのきっかけになったらいいなと。そう、全ての人のきっかけになればいいなと思います。僕はずっとそういう思いがあって出たいと思ったんですよね。

めちゃくちゃ男前ですね。HIROTOさんが言った「男らしい人」が腑に落ちました。

達央:いやいや。自分たちが活動終了しているから、余計に気持ちがわかるところもありますね。まだこれからも続けられる可能性が残っているのであれば、その可能性を知っているからこそ、広げたほうがいいじゃんって思っちゃうんですよね。それはやっぱり俺もHIROTOに救われている部分、助けてもらっている部分が友人としてもあるから。それを何で返せるかと言ったら、僕はヴォーカリストでもあるので、自分の力が少しでも何かエッセンスとして加えられるのであれば、それが一番いいなと思うし。かといって、そこで何か全然違うバンドの曲をやってもなと。最初「思い出の洋楽とかやらない?」と言われたんですけど、「絶対嫌だ。やりたくねー」と言って(笑)。

HIROTO:断られました(笑)。

達央:俺らだけが気持ちいいみたいな、そんな押し付けがましいことはやりたくねーよと。「ちゃんとファンの人が聴きたいものをやったほうがいいぞ。絶対アリス九號.の曲がいい」と言って。それも「ライブをずっとやってきた中で、お客さんがどの曲を聴いたら喜ぶかはお前が一番知ってんだから、それをやるのが一番じゃない?」っていう風に俺はずっと言っていました。

熱い。やっぱりHIROTOさん自身が熱いから、周囲にも熱い人たちが集まってくるんでしょうね。

HIROTO:熱さも色々あると思うんですけど、周りにいてくれる人は皆、芯の部分の温度が高いですね。表に出してなかったとしても、目に見える赤いものじゃなかったとしても、そういう人が多いです。