the GazettE

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アルバム『DOGMA』から3年の月日を経て、遂に完成したニューアルバム『NINTH』。“2018年のthe GazettE”が織りなす最新作に迫る!

the GazettEの9枚目のフルアルバムが遂に世に放たれる。待ちに待ったこの作品、幕開けの「99.999」からラストを飾る「UNFINISHED」に至るまで、今この瞬間のthe GazettEを心ゆくまで堪能することができる必聴の12曲が顔を揃えた。さらに、LIMITED EDITIONには、チケットが瞬殺となった『十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」LIVE AT 2017.03.10 国立代々木競技場第一体育館』のライブ映像が特典になるなど、実に豪華な内容となっている。この作品について、そしてこの作品と共にスタートする全国ツアーについて、5人にたっぷりと語ってもらった。

◆この作品は“2018年現在のthe GazettE”(RUKI)

RUKI

――まずは、アルバムの完成おめでとうございます! 正直、ちょっとホッとしました(笑)。

RUKI:あ、出ないっていう予感があったんですか?

――「春にリリース」と言っていたような…と思いながら待っていたので。

葵:あぁ、あれは春に出来上がるということですよ。

RUKI:そうそう。春からレコーディングするってことです。

REITA:一応梅雨に入るまでは春でしょ、という話をして、この日に決めたんですよ。

葵:いや、5月末ぐらいには梅雨に入ってるでしょ(笑)。

REITA:あぁ、今年はね。

全員:(笑)

――それにしても、3月10日の情報解禁時にはアクセスの集中でオフィシャルサイトのサーバーが落ちたりと、今回もファンの方々の期待の高まりを感じました。

REITA:そうですね。ありがたいことに、サイトを見られない人多数で。

――ご本人たちも見られないという混乱状態でしたね。

REITA:そうなんですよ。多分ファンは「お前らは見るなよ」と思っていたでしょうけどね(笑)。

――ところで、前作アルバム『DOGMA』の時は、「これは、ついに発売延期が出るんじゃないか」という不穏な発言もありましたが、今回はいかがでしたか?

REITA:…『DOGMA』のほうが楽だった気がする。

――生みの苦しみという面では、過去最大級ですか?

戒:そこに時間がかかったもんね。

麗:生まれたと言うより、捻り出した感じだよね。捏ねて作ったみたいな(笑)。

RUKI:生みの苦しみと言い、時間に追われている感じと言い、なぜかいつもこうなるんですよ。でも3年ぶりのリリースではありますけど、あまり時間が空いたとは思わないんです。

REITA:ライブもやっていたし、そんなに地下に籠っていた感じはなかったですね。

――実際にアルバム制作に向けて動き出したのはいつ頃だったんですか?

戒:去年の夏前ですね。告知動画を作るという話が出て、そこで発表をしないと、ということで。

REITA:でも、まだその段階では「Falling」もなかったってことだよね。

戒:もちろん!

RUKI:でも音はあったよね。

戒:RUKIの中ではあったんでしょうけどね。告知動画の音が「Falling」の頭の部分だったりするし。

RUKI:でもあの段階で発表していなかったら、今このインタビューはしていないです(笑)。

――無事インタビューができて良かったです。それにしても、『NINTH』というこれまでにない傾向のアルバムタイトルがとても気になっていたんです。なぜこのタイトルにしたんでしょう?

RUKI:…9枚目だからです。

――絶対それだけじゃないはず!と思って今日は伺ったのですが。

RUKI:多分俺は、13枚目の作品でもタイトルを『13』にすると思います。あと今回のタイトルは元々『NINTH ODD SMELL』だったんですよ。

――それがなぜ『NINTH』になったんでしょう?

RUKI:アルバムの象徴的なものとして『NINTH ODD SMELL』だと意味が変わってくるので。

――よりシンプルになったんですね。

RUKI:そうですね。イメージ的にはthe GazettEの9枚目のアルバムだという意思もありつつ、そういうものを出したアルバムにしたいという思いを込めて『NINTH』にしました。

――バンドにとって9枚目というのは特別なものなんでしょうか?

RUKI:というわけでもないんですけど、この作品は“2018年現在のthe GazettE”という感じですね。CDの中でも「2018」と書いていて、“現在”という感じです。

――これまでの作品とは異なる切り口ですね。そして表記はあえてアルファベットという。

RUKI:そうですね。「9thアルバム『9th』」と書くと訳がわからなくなっちゃうので(笑)。

◆曲の決め手として“ライブで”という考えは必ずある(麗)

uruha

――アルバムタイトルはどの段階で決まったんですか?

REITA:最初から候補にはあったよね。

麗:うん。何度目かの選曲会の時にホワイトボードに書いてたもんね。

戒:でも正直、その時は仮だと思ってた(笑)。告知動画ではタイトルは言っていなくて、9枚目だということを匂わせる程度だったんですけど、感覚的にそれがそのまま外せなくなってきたんでしょうね。それ以外にしっくり来るものがなかったという部分もありつつ、これが一番ストレートに伝わるなと。

――『DOGMA』の時はまずタイトルがあって、そこに楽曲を寄せていくという方法でしたが、今回はいかがでしたか?

麗:今回はジャケ写のグリッチ・アート(デジタルもしくはアナログで起こる美しいエラー)みたいなイメージがあったんです。

RUKI:そうそう。これを音楽でやると何か、という感じで。

――イメージありきで出来た曲たちなんですね。とは言え、それも実に難しそうです。

麗:難しかったです…。

葵:かなり苦戦しました。『DOGMA』の時も、最初はわかりにくいと言っていたんですけど、今思えばわかりやすかった。今回は自由度が高いようで低いような、すごく抽象的な感じで難しかったです。

REITA:確かに、改めて曲を見ると振り幅が広く感じるもんね。

麗:今回、まずはやりたいことをやろうというところから始めました。曲を作ってもイメージに沿った曲ができないんですよ。SE(「99.999」)では音ネタを探してイメージを組み立てることができるんですけどね。『DOGMA』のときもそうだったんですけど、バンドのサウンドだけではイメージに沿ったような曲はなかなかできないので、あまり考えずに、やりたいことをぶちまけています。RUKIが詞を入れるときに、イメージが組み上がっていくんだろうなと思っていたので。

葵:あとは出すだけ出して、RUKIプロデューサーことRUKI Pにオーディションしてもらって。

――選曲会や曲数は今回も多かったですか?

RUKI:『DOGMA』よりも今回のほうが多かったですね。

葵:でも選曲会もおかしかったよね。皆、曲を聴くだけ聴いて何も言わずに帰るんですよ(笑)。

REITA:そうそう。選び始めたのは、最後の2回くらいだよね。

戒:最初の頃はみんな途中までしか作ってこないし(笑)。まずは「合っているのかな?」という探り合いの期間が長かったです。

麗:出たとこ勝負だったよね(笑)。

葵:今思えば、その段階ではまだ『NINTH』というものが、ちょっと朧げだったのかなと。まだ固まり切っていないようなところもあったと思いますし。それが選曲会を重ねるうちに、徐々に見えてきたという感じでしたね。

――最終的にこの12曲になった決め手はなんだったんでしょう?

麗:決め手として“ライブで”という考えは必ずあると思うんです。むしろ「『NINTH』っぽいからこれじゃない?」という決まり方は絶対にないですね。

RUKI:確かに、ライブのことは常に頭にあったかもしれないね。

麗:どれだけ新しくても、ノれないと意味がないしね。

――「ライブがこうなるだろう」という想定の元で選曲したということでしょうか。

葵:「こうなるだろう」というよりも、「こうしたい」のほうが正解かもしれないです。「こういう感じで」みたいなね。

◆歴代最高のthe GazettEが出せている1枚(REITA)

REITA

――苦心の末に出来上がった作品に対する今の率直なご感想は?

REITA:良いアルバムです。大そうな感じと言うよりも、シンプルに楽しめるという感覚ですね。

――気負って作った感じではないんですね。

REITA:「Falling」はすごくスケール感があるけど、アルバム全体としてはそこまで気取った感じではないですからね。聴きやすいだろうし、テンションも上がるし、振り幅も広いので、歴代最高のthe GazettEが出せている1枚だと思います。

――個人的に、『DOGMA』は長い時間をかけて解釈が深まっていく、やや難解な作品だと思っていたのですが、今回のアルバムが聴きやすいというのは納得です。ところで、今回の歌詞は、〈Rubbish〉や〈紅蓮〉(「NINTH ODD SMELL」)や〈ぐるりぐる〉(「裏切る舌」)等々、過去の歌詞や作品タイトルを彷彿とさせる言葉が散りばめられていますが、これは意図的に?

RUKI:「NINTH ODD SMELL」に関してはそうですね。この曲は元々そういう曲を作ろうと思っていたので。

――今作はあえて過去をフォーカスした作品で、それ故に初期コンセプトを掲げて行った『十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」LIVE AT 2017.03.10 国立代々木競技場第一体育館』のライブ映像を特典として付けたのかなと考えていたのですが。

RUKI:あまりそういうことでもないんですよ。

――では、RUKIさんが今回のアルバムで、一番歌詞に込めたかったことは何でしょう?

RUKI:あまりいつもと変わらないんですけど、ただ“今を”ということですね。

――先ほども話に出てきた“現在”ですね。先行してMVが公開された「Falling」は、このアルバムを象徴する曲と捉えていいのでしょうか。

RUKI:象徴というと難しいですね。序章と言う方が正しいです。

――あくまでも入り口なんですね。

RUKI:そうですね。イメージ的に、SEから入って「Falling」で落ちて、「NINTH ODD SMELL」で始まるというイメージが元からあったので。

――以前は歌詞についてあまり触れたがらない印象がありましたが、今回の「Falling」のMV公開時には歌詞を先に公開していますし、2015年8月公開の「OMINOUS」のリリックビデオ以降、歌詞に対する向き合い方が変わったのでしょうか。

RUKI:歌詞に関してはどちらかと言うと、「どういう歌詞ですか?」と言われると答えないという感じです。解釈によるじゃないですか。例えば、「Falling」で「恋愛観の二人の話なんですか?」と言われると、「うーん…内容的には違うけど、そう感じたならならそれでいいよ」と思いますし。ただ、昔は「話したくないです」と言っていましたけど、今は普通に答えますよ。

REITA:嘘つくなよ(笑)。

RUKI:だって、「こういう歌詞なんだ」って決定付けた瞬間にイメージが変わっちゃうものってあると思うから。想像してもらいたいだけです。

――「UNFINISHED」の歌詞が気になっていて…

RUKI:あぁ、それは言えませんね(即答)。

――やっぱり(笑)。

RUKI:いろんな方面に例えられるというか、自分はいろんな方面を見て書いたので。

――こんなにストレートな歌詞は久しぶりに見た気がします。

RUKI:いつもストレートではあるんですけどね。多分内容を言っていないからストレートに聞こえないだけかもしれないです。『DOGMA』のときも、自分達としては割とストレートなつもりだったんですよ。

戒:でも確かに「UNFINISHED」はストレートだなと感じますね。素直というか、わかりやすい言葉だと思います。

――真っ直ぐな感じがしました。

RUKI:真っ直ぐなんですよ。

――この歌詞はファンの方々もビックリするんじゃないかと。

REITA:逆に、この曲調で難解な言葉が入っていたほうがビックリしません?

RUKI:(笑)

麗:でも、the GazettEって最後にこういう曲を持ってくることにビックリされるようなバンドになっちゃったんだね。

REITA:いつの間にかね。いつの間にかダーク一辺倒みたいな感じで。心外だよね(笑)。

RUKI:これまでこんな終わり方したアルバムってあったっけ?

麗:いや、ないけど。

RUKI:ないんかい(笑)! 

――テイストは違いますが、ある意味「未成年」(2004年7月リリース)のような真っ直ぐさで、すごく久しぶりな感じがしました。

RUKI:歌詞は全くそういうものは意識はしていないけど、聞き馴染み的な意味ではわかりますね。そういう青い感じはあるかもしれない。