2023.09.09
Luv PARADE＠Veats Shibuya
「DEVIL’S NEW WORLD」
Karyu（G）、ZERO（B）、TSUKASA（Dr）、TAKA（Vo）によるLuv PARADEが9月9日、Veats Shibuyaにて「DEVIL’S NEW WORLD」と冠したワンマンライブを開催した。
改めて補足すると、Luv PARADEとは2009年のD’ESPAIRSRAYのツアー中に誕生したセッションバンドであり、2011年にD’ESPAIRSRAY解散発表後、HIZUMI（Vo）の喉の不調により解散ライブが行えない状況の中、サポートとしてTAKA（defspiral）がヴォーカルを務め、イベント出演を実現させた。その後、各々が精力的な音楽活動を続けてきたわけだが、2022年4月、約11年ぶりとなるLuv PARADEの再始動を発表し、これまでに主催イベント「DEVIL’S PARTY」3公演、H.U.Gとのツーマン、東名阪ワンマンツアーを行ってきた。
「D’ESPAIRSRAYの結成日として計算するなら24周年の日ですね。時間も月も星座も干支も12で区切られていて24はその2倍。何かが起きるにはもってこいだね」――これはZEROのX（旧Twitter）に記された言葉。
9月9日という日付はD’ESPAIRSRAYの結成記念日であり、今宵の冠「DEVIL’S NEW WORLD」が示唆する通り、まさに何かが起こる新たな始まりの日になることは必至だった。これまで彼らは、Luv PARADE流のアレンジを施した洋楽のカバーと、セルフカバーでステージを展開してきたバンドだが、本公演ではD’ESPAIRSRAYの楽曲を多めに選曲予定であること、この日が2023年最後のワンマン公演になること、さらには再始動から1年余を経て、TAKAを含めた4人でのオリジナル初音源『NEW WORLD』を発表すること（当日会場にて数量限定販売）が事前にアナウンスされており、彼らが創造する新たな世界への期待は高まるばかりだった。
先立って「Luv PARADEで聴きたいD’ESPAIRSRAYの曲」のアンケートを実施していたことから、これまでに披露していない楽曲が組み込まれるであろうことを楽しみにしていたオーディエンスも多かったはず。そんな期待に応えるかのように、1曲目から初披露となる「DAMNED」（D’ESPAIRSRAY）が供されるという意表を突いた幕開けとなった。その後も様々な場面を経ながら、最終的にこの日披露されたD’ESPAIRSRAYの楽曲が9曲だったという事実は、おそらく9月9日に掛けたものだったのではないかと推測する。しかも、それらはこの日のメニューの中に満遍なく配されており、他の楽曲たちと実に見事なバランスを作り上げていたのだ。
中盤では、主催イベントのテーマソング的立ち位置になっている「DEVILS’ PARADE」、鉄板曲「DEATH POINT」と、再始動後のLuv PARADEに欠かせないD’ESPAIRSRAYの2曲がフロアの熱を押し上げれば、「Luv PARADEにとって大きな一歩を踏み出す日ですよ。皆さんわかっていますよね？」というTAKAの言葉から、後半戦への入口となったLuv PARADE初のオリジナル曲「NEW WORLD」をプレイした後、「MIRROR」（D’ESPAIRSRAY）、「BITE THE BULLET」（the Underneath）の連投でさすがの一体感を見せたのは言わずもがな。ちなみに、「BITE THE BULLET」での〈何度でも立ち上がれよ 限界は無い〉という一節をTAKAが歌い叫んだシーンも印象的だった。
さらに、D’ESPAIRSRAYの3曲が続いた本編最終ブロック。全員で飛び跳ねた「LOVE IS DEAD」から、間髪入れずにTSUKASAのドラミングでハードチューン「浮遊した理想」になだれ込み、Karyuがギターを大きく振り下ろすあの姿が見られれば、ZEROのシャウトも炸裂し、場内は白熱の様相に。曲中、Karyuが床に倒れ込んだかと思えば、「マニア（D’ESPAIRSRAYのファンの呼称）、そんなもんじゃないって聞いてるけど？」（TAKA）、「そんなもんじゃなかったよね？ 俺もっとすげー景色知ってっけど？ その姿、今日見せてくんねーの？ 今年最後だぞ！？ もっと本気見せろ！」（ZERO）と、さらなる熱狂を求め、ステージ、フロアともにまさに全身全霊の暴れっぷりを見せたシーンは、この日のハイライトと言えよう。そこからKaryuとZEROが寄り添いプレイする姿もありながら、ダメ押しの「Forbidden」で本編を締め括ったのだった。
もちろん、再始動後に4人で作り上げてきた洋楽カバーの数々もまた、最高の景色を描き出していたことをお伝えしておきたい。再始動後の初ステージにおいて度肝を抜いた「Poker Face」（Lady Gaga）は、彼らのアレンジ力と表現力の豊かさを象徴するナンバーで、今や序盤にギアを一段階上げる重要な役割を担っているし、元々キュートなポップソングにアダルトなカラーを纏わせた「Dub-I-Dub」（Me & My）は、中毒性の高いダンスチューンゆえ、ラインナップに組み込まれているとやはり嬉しいもの。
「BAD GUY」（Billie Eilish）は何と言っても、ガラリと表情を変えるLuv PARADEらしいヘヴィーなアウトロが魅力的で、この日そこにTAKAがフェイクを入れつつ4人でフィニッシュをキメたのが、なんともロックバンドらしい姿で印象深い。また、静寂を挟み、「Hyperballad」（Björk）、「My Heart Will Go On」（Celine Dion）と、カラーは異なれど聴かせる2曲を繋いだ流れは実に美しいものだった。
アンコールでは、ZEROが新曲について「うちのKaryuさんがなかなか曲を上げてこないもので、ドキドキしましたけどね。1曲はあったんだけど『自分の納得がいくものが出来上がらない！』って一生懸命頑張っていて、何とか間に合わせてくれました。ってことは皆さん、よく考えてみてください。もう1曲あるってことですよ。いや、今日はやらないよ？ 次の楽しみに取っておかないとね」と話せば、「今の自分があるのはD’ESPAIRSRAY結成のおかげだと思いますので、この24年間、ファンの皆さんに支えられていると実感しております。本当にこれから“NEW WORLD”ですから、これからもLuv PARADEをよろしくお願いします」と感謝の思いを述べたTSUKASA。
Karyuが「再結成から約1年、新曲なんか作っちゃったりして、ちょっとずつステップアップしているんですけど、どうですか？ 無理やりTAKAさんを巻き込んでやっちゃっているんですけど、どうですか（笑）？ 今日はD’ESPAIRSRAYという最高のバンドの結成記念日だったりするんですけど、このLuv PARADEの活動はD’ESPAIRSRAYを忘れさせないための僕にとって大事な活動であったりもして」と言い、「この4人の新しい世界というのも、かなりぶっ飛んでやっていきたいんですけど、どうですか？」と問い掛けた。
するとTAKAは「やっていきましょう！」と答え、「世界はもう開かれているんだ。ライブがスタートする前にメンバーに言ったんですけど、3人と一緒にステージに上がれること、本当に幸せだし楽しいです。色々な思いが皆さんあると思いますけど、全部受け止めて、色々な歌を歌って、皆と楽しんでいきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします！」と告げたのだった。
そんな言葉たちの後に披露されたD’ESPAIRSRAYのメロディアスなナンバー「凍える夜に咲いた花」「KAMIKAZE」は、一段と聴く者の胸を打つものとなり、TAKAは「十数年前にディスパのステージを客席から観ていたのを思い出して、すごくグッと来ました。不思議な感じがしますね。楽しいです。ありがとうございます」と実感のこもった言葉を述べたのだった。
そして、Luv PARADE流のキャッチーなロックナンバーに昇華させた「sk8er boi」（Avril Lavigne）、「The NeverEnding Story」（Limahl）で多幸感溢れるムードを充満させると、ラストにはオーディエンスに動画撮影を託した上で「NEW WORLD」を再びプレイし、この特別な夜は終幕を迎えたのだった。なお、動画はオフィシャルで後日使用する予定とのことで、別掲の通りデータの提供を募っている。近い未来に何らかの形でお披露目されることを楽しみに待とう。
先に記した通り、Luv PARADEの2023年のステージはこの日が早くも最後となったが、2024年1月に全5公演のツアー「WAKE UP and REVOLT」と、初のファンクラブ限定イベント「DEVIL’S TALK」を開催することが新たに決定した。「ここからこの4人の何たるかを皆さんに見せつけていこうと思うので、まさに“NEW WORLD”、楽しみにしていてください」（TAKA）とのこと。新たな世界へ踏み出したLuv PARADEの快進撃に期待したい。
◆セットリスト◆
01. DAMNED／D’ESPAIRSRAY
02. Poker Face／Lady Gaga
03. Toxic／Britney Spears
04. Dub-I-Dub／Me & My
05. BAD GUY／Billie Eilish
06. DEVILS’ PARADE／D’ESPAIRSRAY
07. DEATH POINT／D’ESPAIRSRAY
08. Hyperballad／Björk
09. My Heart Will Go On／Celine Dion
10. NEW WORLD
11. MIRROR／D’ESPAIRSRAY
12. BITE THE BULLET／the Underneath
13. LOVE IS DEAD／D’ESPAIRSRAY
14. 浮遊した理想／D’ESPAIRSRAY
15. Forbidden／D’ESPAIRSRAY
En
01. 凍える夜に咲いた花／D’ESPAIRSRAY
02. KAMIKAZE／D’ESPAIRSRAY
03. sk8er boi／Avril Lavigne
04. The NeverEnding Story／Limahl
05. NEW WORLD
（文・金多賀歩美／写真・MAI OKAMOTO、ODD JOB LTD.）
【2023.09.09「DEVIL’S NEW WORLD」公演より「DAMNED」映像公開！】
【配信情報】
●「DEVIL’S NEW WORLD」
アーカイブ配信中
チケット販売：2023年10月9日（月）21:00まで
アーカイブ最長：2023年10月9日（月）23:59まで
【ライブ撮影企画について】
9月9日「DEVIL’S NEW WORLD」公演での「NEW WORLD」撮影動画を、オリジナルサイズにて下記アドレスまでお送りください。
luvparade.info@gmail.com
締め切り：2023年9月30日（土）
※その他詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
【ライブ情報】
●Luv PARADE Tour 2024「WAKE UP and REVOLT」
2024年
1月5日（金）新横浜NEW SIDE BEACH!!
1月7日（日）仙台ROCKATERIA
1月13日（土）名古屋SPADE BOX
1月14日（日）OSAKA MUSE
1月20日（土）SHIBUYA DIVE
●ファンクラブ限定イベント「DEVIL’S TALK」
2024年1月21日（日）新横浜NEW SIDE BEACH!!
出演：Luv PARADE （TAKA、Karyu、ZERO、TSUKASA）
内容：トーク＆アコースティックライブ、5ショットチェキ撮影会