2023.04.26
LM.C@渋谷 PLEASURE PLEASURE
LM.C TOUR 2023「怪物園Ⅱ」

自由に歌える喜び。自由に動ける愉快さ。自由に楽しめる充足感。

ある種の“檻”ありきとも言えた[TOUR 2022『怪物園』]も、もちろんLM.Cだからこその表現がふんだんに活かされたものではあったのだが。それでもやはり、どこか“檻”から解放されたかのような今回の[TOUR 2023『怪物園 Ⅱ』]の方が、そこにあふれる醍醐味と痛快さはよりリアルな臨場感と説得力を持っていたように思えてならないのである。

「幸せだなぁ。すっげー楽しいです、ありがとうございます!(中略)こうしてみんなと意思疎通が出来るって、なんて素晴らしいことなんでしょう!」(maya)

2022年春に最新アルバム『怪物園』を発表し、昨春には[TOUR 2022『怪物園』]を行っていたLM.Cが、その続編として今春あらたに開催した[TOUR 2023『怪物園 Ⅱ』]。

これはファイナル公演のみが声出し可だった昨年に比べ、全15本のライブが全て声出し解禁で実施されるという、実に大きな変化をともなったものだった。

たかぶる感情から自然に発せられる歓声、好きな曲とシンクロして出てくる歌声、コミュニケーションとしてのコール&レスポンス。

maya(Vo)

それらを軒並み制限され、揺れ動く感情をずっと“檻”に閉じこめてくるしかなかったこの3年の日々。それは、ライブの場に集うオーディエンスにとっても、ステージに立つ演者側にとっても、相当にストレスフルなものだったはず。

故に、今回の[TOUR 2023『怪物園 Ⅱ』]ではコロナ禍以前よりもさらに濃密なライブ空間というものが各地にて生まれていくことになったようで、その総決算的な場がこのたび4月26日の渋谷PLEASURE PLEASUREにて行われたツアーファイナル公演であったわけだ。

Aiji(G)

ちなみに、ライブとしての基本構造も前年の[TOUR 2022『怪物園』]と今年の[TOUR 2023『怪物園 II』]では大きな違いがあり、前者がアルバム『怪物園』の渾沌たる世界を克明に再現化していくことを主軸とした構成であったのに対し、後者はアルバム『怪物園』の楽曲を全て披露しつつも既存曲も交えながらの攻めたセットリストになっていた点が特徴的で、このファイナルで冒頭を飾ったのは“北欧神話と闘い”がモチーフとなっているヘヴィにして先鋭的な「Valhalla」。

そのうえ、従来のLM.Cであればライブ後半に演奏することの多かったアグレッシヴチューン「METALLY」が早々に投下されるなど、基本的に声出しライブならではの盛り上がりを重視したアプローチがとられていたように思われる。そのせいか、ギタリスト・Aijiが展開していったプレイも全編にわたって前回ツアー時より輪をかけて高い熱量を放っていた印象が強い。

maya(Vo)

また、フロントマン・mayaは「No Emotion」で〈この世界で〉という部分を〈この渋谷で〉と歌い変えていたのを筆頭に、随所でリアルタイムな感覚を活かしたヴォーカリゼーションを聴かせてくれていたところがエモさ満載であったし、かと思うと中盤での「Campanella」と「Lost Summer」の2曲ではドラマティックな情景や繊細な心象風景を見事に歌い上げたうえ、佳境に差し掛かった「Elephant in the Room」以降は半ば怪物じみた秀逸なるパフォーマンスでますます観衆を惹きつけていくことに。

Aiji(G)

その結果、渋谷・PLEASURE PLEASUREの場内は、まさに怪物園の名にふさわしい異空間ワンダーランドと化し、客席からもハイボルテージな波動と声が湧きあがって得も言われぬ濃密な一体感があたりを包むことになったと言っていいだろう。

しかも、本来であればこのライブは全17曲で締めくくられるはずだったというのに、ラストの「Happy Zombies」を演奏しようとした寸でのところで、mayaが突如「その前になんか1曲やろうかな」と切り出し、その場でファンとのディスカッションを経て急遽「MOGURA」と「Ah Hah!」の2曲が追加されるという事態も勃発。

普段はmayaの独断で予定外の曲をアドオンすることがよくあるものの、今回の[TOUR 2023『怪物園 Ⅱ』]ではmayaが観客側との絆を何時も以上に大切にする姿勢が、このくだりからもひしひしと感じられたのだ。

そして、最終的に19曲目のラストソングとして歌われた「Happy Zombies」の中で〈踊る君を見て僕は歌う〉という歌詞が〈歌う君を見て僕は歌う〉と力強い声でこの場に響き渡った事実こそ、何よりも今回の[TOUR 2023『怪物園 Ⅱ』]でLM.Cの得た成果をありありと物語っていたのではなかろうか。

「いやー、最高のツアーでしたね。長いツアーがけっこう久しぶりだったっていうのもあるんですけど、一瞬一瞬を噛みしめながら廻れたツアーだったと思います。本当にどうもありがとう!最っ高に愛してます!」(Aiji)

「ほんと楽しかったー!引き続き、これからもよろしくお願いしますね。また一緒に遊びましょう!!」(maya)

なお、この日の終演後には7月29〜30日の2日間に渡り、恒例のmaya生誕祭として[maya BIRTHDAY LIVE 2023「Checkmate」]が渋谷duo MUSIC EXCHANGEで開催されることが二人の口から告知された他、秋には[LM.C HALLOWEEN TOUR 2023[†We’re Happy Zombies†]]が行われるという吉報までがもたらされることになった。

コロナ禍の流れと絶妙に連動しながら、足かけ2年に渡って繰り広げられてきた怪物園は、このツアーファイナルをもって無事に閉園へと至ったが、LM.Cの生み出す自由でハッピーなワンダーランドはきっとこれからも拡張し続けていくに違いない。


【ライブ情報】
●maya BIRTHDAY LIVE 2023「Checkmate」2Day開催!
7月29日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
 開場17:00/開演17:30
7月30日(日)渋谷duo MUSIC EXCHANGE
 開場16:30/開演17:00

[TICKET]
前売り¥8,800(税込)
FC1次先行で申し込むと、なんとドリンク代はmaya持ち!かかりません!

●LM.C HALLOWEEN TOUR 2023 「†We’re Happy Zombies†」
10月16日(月)柏 PALOOZA 
10月19日(木)横浜みなとみらいブロンテ
10月23日(月)名古屋 Electric Lady Land
10月24日(火)大阪ESAKA MUSE
10月31日(火)代官山UNIT

開場18:00/開演18:30

[TICKET]
◾︎前売り¥8,800(税込)
・KIDS チケット(5歳〜12歳まで対象)¥2,200(税込)
・BOYS&GIRLSチケット(13歳〜18歳まで対象)¥4,400(税込)
受付詳細後日発表

LM.C オフィシャルサイト