特集-Special Feature-

◆自分の持っていないものも取り入れて、曲調とフレーズの出方が一番見える展開に(葵)

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――バラードベストアルバム『TRACES VOL.2』(2017年3月リリース)のときは、ご自分たちでエンジニアの作業もしたということでしたが、今回は?

RUKI:今回は麗が3曲やってくれました。

麗:「99.999」と「THE MORTAL」と「BABYLON’S TABOO」ですね。

――あの時は「もうやらない」と言っていましたが。

REITA:むしろ楽しそうだったよね。

葵:俺が俺が!みたいな感じだったよね。

麗:(笑)。別の作業をしている裏でやっていました。これをやらなかったら暇だったかもしれないです。バラードのときとは全然違う物量で、生ドラムだったからデータも重いし…ドラムの処理は気が遠くなるような作業でした。

戒:良くしてもらいました(笑)。

――『TRACES Vol.2』ではベースの低音をどうするかがとても大変だったそうですが。

麗:今回は、いきなり極太なベースを送ってきてくれたので、特に苦労もせず差し込んだだけなんですよ。

REITA:今回もああでもない、こうでもないは多少はありましたけどね。奏法の問題で、弾き方によって音の出方が変わるので、指でやったり、親指でやったり、「どっちのほうがハマる?」というのを夜中に何回もLINEで送って聴いてもらいました。

――では『NINTH』で、これまでと大きく変えたことや、こだわったことを教えてください。

葵:ギターで一番大きく変わったのは、今までは二人のギターを揃える方向だったんですけど、今回はそこまでバッチリ揃えようという感じではなかったという点ですね。いろんな機材を試しつつ、自分の持っていないものも取り入れて、曲調とフレーズの出方が一番見える展開にしました。今までは、「麗、音どうする?」と音を決めていたんですけど、自分が付けたフレーズがどう聴こえるのが一番良いのか、というところにもこだわっています。ただ、音決めの時に麗がいない日があって。いつからかずっと二人でやっていたから、どうしたものかと。

REITA:誰もいなかったからね。

葵:不安でしかなかった。RUKIも歌詞を書いていたから来ないし。「これはマズい。違ったらどうしよう」と思いながらやりました。

――『DOGMA』では、ギターはよりデジタルな方向に振り切ったそうですが、今回は?

葵:あぁ、2~3年前の話はちょっと…過去は振り返らないタイプなので(笑)。

RUKI:政治家タイプだな。

葵:今回はアナログもデジタルもあるので、ケースバイケースです。でも「Falling」の時は大変でしたね。「Falling」で、このアルバムの音を決めたんですけど、みんなでプリプロしつつ、レコーディングしつつやろうというときに、最初にイメージしていた音と全体像とではやっぱりズレがあって。そこの気持ちの決着の付け方がなかなか…。ディスカッションをして、最終的にどういう音がいいのかを決めたんですけど、一番時間がかかりました。

――「Falling」が定まったことで、全体の方向性が見えてきたんですね。

葵:そうですね。でもやっぱり最初で、いろんな処理がなされているので、楽器としてはちょっと無理がある音なのかもしれないですけど。あれはあれで納得のいく仕上がりになったので、次に続いたなと思います。

麗:僕は前のバラード(『TRACES VOL.2』)辺りから、あまり本物のアンプを使わずにシミュレーション主体でやっていたんです。そうすると自由度は高いんですけど、いろんな手法があるから、自分の中でのこれだというものがいまいち定まらなくて。最終的に落ち着いたのは、「GUSH」を録っているときでした。もうレコーディング後半の後半です。それまでいろんなことをやって、失敗して。既に録ったやつも失敗したものは録り直して、「GUSH」を録り終わった後に、またちょっとやり直したりして。自分がやっているシミュレートを使って、全部こなしていくのがかなり難しかったですね。コロコロ変わってしまうのでかなり試行錯誤しました。デジタルの世界はいろんなものが出て来るから、ちょっと時間が経つと、また試したくなるんですよね。

――麗さんは音質にとてもこだわる方ですから、その点でも難航したのかもしれませんね。

麗:イメージに忠実にできる手法がどれなのか、ということに辿り着くのに時間がかかるという感じです。正直バラードをやっているときは、ギターの音も全然納得いっていなかったので。課題が残ったまま『NINTH』が始まったんですけど、「GUSH」でこの辺が落としどころだなと納得できました。

REITA:俺は今までは、スタジオで弾いて録っていたんです。その時もできる限り納得いくまで弾いていたつもりなんですけど、エンジニアもいるし、波形を一つひとつ見たり、とにかく気の済むまで聴いたりということまではやっていなくて。でも、一人で録るとそれができるんですよね。特にベースだと、弦が変わったらボリュームが変わるんですよ。すごく歪ませていればそんなに気にならないんですけど、そこまで歪ませると今度は音量差が気になるから、そういうところは上げてそこだけ録ったりもできる。細かくやれたから、できれば次回もやりたいです。

――ここまで細かく音に向き合えたのは初ですか?

REITA:そうですね。自分でやったら自然とそうなってしまうというか。時間はかかるんですけど、気の済むまで録れるということは大きいです。

――REITAさんはSNSで「良いベースの音とは何か」について触れていましたよね。

REITA:…まあそれは別にいいですよ。

麗:何て書いてたんですか?

――「フレーズがガンガン聴こえてくるって音より、低音を心地良く感じられればそれで良いと思った。俺は聴かせたいのではなく感じさせたい」って。

麗:あははは!

葵:ベースのこと語っちゃったんだ?

REITA:あれはbotです…。

RUKI:俺それ見たよ。

REITA:やめろ(笑)。

RUKI:でも今回のベース、フレーズが結構あるんじゃない? グイングイン動くやつだし、結構前に出すんじゃない?って思った(笑)。

REITA:ケースバイケースですよ(笑)。オーソドックスなスタイルとして、自分のスタンダードとしてはそちら側で、曲によってはやりますよと。そういういうことでいいじゃないですか(笑)!

戒:もう下手なことは言わないほうがいいってことだよ(笑)。

REITA:急にああいうときは、語りたくなるんですよね。おじさんなんですかね(笑)。

RUKI:うん(即答)。

REITA:おじさんは語っちゃうんですよ。外国はそうじゃないですけど、日本だと世の中の人はみんな、MIDゴンゴンの音が主流と言うか。そういう人が多い中で僕は違うから、その辺のことを言いたかったんです。

RUKI:いつか自分がそうなった時のために、言わないほうがいいんじゃないの(笑)?

全員:(笑)

――戒さんは今回のレコーディングはいかがでしたか?

戒:「Falling」に結構時間をかけることができました。僕はこれまで、スタジオで実際に録るという方法ではあまりやっていなかったんですけど、音を一から見直したいから皆で色々試せることは試そうかということで、金物を別録りでやってみたんです。そうしたら音のノリがすごく良くて。どうしても皮物のメインはオンマイクで、金物に関してはトップがメインになったりするから、そこで被ってくる音があると、突っ込むところも突っ込みづらいよねという話をエンジニアの方としていたので、思い切って皮物は皮物で、金物は金物で録りました。前もそういうやり方をやったことはあったんですけど、上手くいかなくて。その辺の経験を踏まえてやったら、今回それがいい感じに吉となって出たなと。

――その録り方だと、かなり時間がかかったのでは?

戒:そうなんですよ。時間がない中、ドラムは時間をかけさせていただきました。

RUKI:考えてみると、うちらは「Falling」に時間を取られたのかもしれないね。

REITA:うん。かけ過ぎるぐらいかけたね。

戒:でもあれをやっていなかったら終わっていなかったよね。

葵:うん。それまでの曲を踏まえてどうしたいかというところだったので、本当にやって良かったと思います。

◆長いツアーの中で次に繋がるものが見付かれば(戒)

KAI

――ライブを見据えて選ばれた12曲だけあって、ツアーがとても楽しみです。葵さんはツアー初日の夢を見たそうですが。

葵:見ましたね。曲もできていないのに。

REITA:その夢はバンドマンあるあるだよね。

――REITAさんは、首を吊りながらMV撮影をしている夢を見たんですよね。

RUKI:彼はそういう夢を見るキャラなんですよ(笑)。

葵:でもバンド物の夢はあまり心臓に良くないですね。

REITA:しかもリアルだよね。夢じゃないみたいだった。まあ夢ってそういうものなんだろうけど。

RUKI:俺、豊洲で大遅刻する夢見たよ。

REITA:それ夢じゃねーよ! 実際遅刻したじゃないかよ(笑)。

――ハロウィン(2017年10月に豊洲PITで行われた「HALLOWEEN NIGHT 17 THE DARK HORROR SHOW SPOOKY BOX 2 アビス-ABYSS- LUCY-ルーシー-」)ではそんなことがあったんですね。

REITA:そうなんです。しかも二日連続。

葵:来るのが嫌だったの?

RUKI:眠かった(笑)。でも、そういう時ってものすごい数の着信があるのかと思いきや、もう13時過ぎているのに意外と2件ぐらいしか来てなくて。「あれ!? …スヤー」みたいな(笑)。

――またおやすみになったと。

RUKI:いえ、起きました(笑)。でも一瞬何が起こったのかわからなかった。

――葵さんのツアー初日の夢はどうでしたか?

葵:「フレーズなんか何も覚えてないよ!」って言っているのに、SEが鳴って、皆ステージに行っていて。待て待て!と言う…(笑)。

RUKI:そういうやつはよく見るよね。着替えてないとかね。

麗:着替えてないのはある。もう始まってたり。

REITA:俺、鼻巻いてない夢を見たことがあるんだよ。

全員:(笑)

REITA:その時は「SE鳴ってる! 嘘だろ!?」って思うんだけど、そこから先は見ないんだよね。多分起きちゃうんだろうな。

葵:違う場面に切り替わったりね。

REITA:そうそう。切り替わって、「新曲だ! 聴いてくれ!」とか言ってる。

麗:「何やるの!? 全然弾けない!」ってなるよね。

RUKI:そもそも「新曲だ! 聴いてくれ!」って何(笑)!? そこが夢であってほしいわ。

REITA:むしろお前がその夢見ろよ(笑)。でも、戒はそういう夢を見たって話をしたことないよね。心臓強いんじゃない?

麗:確かに一回も聞いたことがない。

戒:いやいや、俺も見るよ。

RUKI:戒はもっと違うやつを見るもんね。

REITA:振り込まれてないとかね。

戒:リアル過ぎる(笑)。本当に同じような夢だから言わないだけだよ。僕は誰よりも緊張していますからね。

葵:戒はドライだからね。意外とみんなの戒とかじゃないからね(笑)。

全員:(笑)

――知られざる戒さんの一面が(笑)。ところで、今回のツアーのタイトルは、「the GazettE Live Tour18 THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-」ですが、「#01」ということは、『DOGMA』のときのように色々と続いていくのでしょうか。

RUKI:その質問、メンバーが絶対に答えないだろうなと思いながら聞いてますよね(笑)。まぁ多分何かはあるという感じです。ただ、『DOGMA』の時みたいに、この後にシングルが出るということはまずないので!

REITA:それはご勘弁願いたい。

RUKI:でも「#02」で戒脱退というのがあるかもしれない。で、「#03」で戻ってくると(笑)。

戒:よし、それでいこう(笑)。

全員:(笑)

――タイトルの「PHENOMENON」は、現象、事象、脅威…と広義に渡る言葉ですよね。

RUKI:どちらかと言うと現象という意味です。ツアー初日から始まるじゃないですか。まずツアー自体の1本目でどういうことになるのか、ということを現象と捉えているというか。

――どういうことになるか、という事前の予想は当たるものですか?

麗:予想はできるけど、それを裏切られたのが『DOGMA』だったので。あまり予想し過ぎるとえらいことになります(笑)。セットもバリバリ組んで、「これが『DOGMA』の世界観だ!」と思ったら、全然ハマらなかったし。

REITA:圧倒されちゃったんじゃない? あの時は前説なしで急にパッと始まったんだよね。こっちは、それですごく高揚すると思っていたんだけど、ファンは心構えができなかったようで。次の日は早速前説をしましたからね。

戒:早い(笑)!

REITA:修正能力半端ないです(笑)。でも、今回は激しいライブになるのは間違いないと思いますよ。夏だし。

――体力作りを始めてほしいとREITAさんのbotが呟いていましたね。

RUKI:あとREITAはTwitterでよく「早く俺を殺してくれ」とか言うよね(笑)。

葵:言うね!

RUKI:いつも言うんだよ。「殺してくれ」とか「早くライブで死にたい」とか(笑)。

REITA:うわっ恥ずかしい。死にてぇ~! 今死にてぇ~! …フォロー外してくれない?

全員:(笑)

RUKI:「ツアーで殺してくれ」なんて、なかなか打てないですよ。

REITA:死にたかないですよ、俺だって(笑)!

全員:(笑)

RUKI:でも、今回も楽しいツアーにしたいですよね。また塗り替えられるような、一つの思い出になるような感じじゃないですか。でもね、始まったら、思ったより暗いとかね(笑)。

REITA:意外とあるかもしれないね。

RUKI:うん。『DOGMA』だってそんな印象はなかったからね。

――どんな現象になるのか楽しみです。

戒:そうですね。長いツアーになるのは何となく見えているので、体力面的な部分もそうですし。あとは『DOGMA』が終わってから3年という期間は、正直空き過ぎかなとも思うので、RUKIが言った「楽しいツアーにする」ということはもちろん忘れずに、長いツアーの中で次に繋がるものが見付かればと思っています。

(文・後藤るつ子)

ARTIST PROFILE

the GazettE

<プロフィール>

RUKI(Vo)、麗(G)、葵(G)、REITA(B)、戒(Dr)。デビューより一貫してセルフプロデュースを貫き、妥協なく追求したハイクオリティなサウンドが国内外で高く評価され、2010年12月には東京ドームライブを成功させる。2015年8月、アルバム『DOGMA』をリリースし、全国ツアーを開催。2016年2月、国立代々木競技場第一体育館にてツアーファイナル「LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC – FINAL – 漆黒」を、2017年3月10日には国立代々木競技場第一体育館にて “十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」”を行った。2018年7月19日より、9thアルバム『NINTH』を掲げてのツアー「the GazettE Live Tour18 THE NINTH / PHASE #01-PHENOMENON-」が全国14都市17公演行われる。

■オフィシャルサイト
http://the-gazette.com

【リリース情報】

『NINTH』
2018年6月13日(水)発売
(SMR)

NINTH
LIMITED EDITION BOX A
(CD+BD)
SRCL-9791〜9792
¥13,000(Tax in)
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NINTH
LIMITED EDITION BOX B
(CD+2DVD)
SRCL-9793〜9795
¥12,000(Tax in)
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NINTH
初回限定盤
(CD+DVD)
SRCL-9796〜9797
¥4,500(Tax in)
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NINTH
通常盤
(CD)
SRCL-9798
¥3,300(Tax in)
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【収録曲】

[CD]※全形態共通
01. 99.999
02. Cassis(8thシングル)
02.Falling -NINTH MIX-
03.NINTH ODD SMELL
04.GUSH
05.THE MORTAL
06.虚 蜩
07.その声は脆く
08.BABYLON’S TABOO
09.裏切る舌
10.TWO OF A KIND
11.ABHOR GOD
12.UNFINISHED

[BD]※LIMITED EDITION BOX A
「Falling」MUSIC VIDEO+MAKING OF「Falling」MUSIC VIDEO
『十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」LIVE AT 2017.03.10 国立代々木競技場第一体育館』ライブ映像(本編+アンコール+MC部分もほぼノーカット収録)
・メタリックBOX仕様
・歌詞ブックレット

[DVD]※LIMITED EDITION BOX B
「Falling」MUSIC VIDEO+MAKING OF「Falling」MUSIC VIDEO
『十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」LIVE AT 2017.03.10国立代々木競技場第一体育館』ライブ映像(本編+アンコール+MC部分もほぼノーカット収録)
・メタリックBOX仕様
・歌詞ブックレット

[DVD]※初回限定盤
「Falling」MUSIC VIDEO+MAKING OF「Falling」MUSIC VIDEO

【ライブ情報】

●the GazettE Live Tour 18 THE NINTH PHASE #01 -PHENOMENON-
7月19日(木)三郷市文化会館 大ホール
7月20日(金)三郷市文化会館 大ホール
7月25日(水)市川市文化会館 大ホール
7月27日(金)昌賢学園まえばしホール(前橋市民文化会館) 大ホール
7月30日(月)相模女子大学グリーンホール
8月2日(木)愛知 一宮市民会館
8月3日(金)愛知 一宮市民会館
8月7日(火)大阪オリックス劇場
8月8日(水)大阪オリックス劇場
8月10日(金)神戸国際会館 こくさいホール
8月15日(水)広島 JMSアステールプラザ 大ホール
8月19日(日)福岡市民会館 大ホール
8月22日(水)長野県・ホクト文化ホール 中ホール
8月26日(日)東京エレクトロンホール宮城
8月27日(月)山形市民会館 大ホール
8月29日(水)札幌わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)
9月4日(火)神奈川県民ホール 大ホール