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vistlipインタビュー

vistlipの3枚目のフルアルバム『CHRONUS』が遂に完成! 6周年を迎えた彼らの、会心の作を紐解く!

vistlipが放つ、3枚目のフルアルバム『CHRONUS』。時間を司る神の名を冠した今回の作品のテーマは、ヴォーカルの智が、2013年3月にリリースされたシングル『Recipe』の制作段階から温めていたものだという。彼らの現段階での集大成ともいうべき楽曲も収められた今回のアルバムを携え、6周年のスタート地点に立ったvistlip。智(Vo)とTohya(Dr)に、作品への思いを語ってもらった。

◆未来の智からメッセージを受けて作っていたのかなと(Tohya)

――このお二人の組み合わせではVif初登場ですね。

Tohya:そうなんです。前回はなぜか瑠伊と二人だったし、その前は海と二人だったからね。

――Tohyaさんはほぼ皆勤賞ですよね。智さんはシングル『B』の時に瑠伊さんと登場していただきました。ところで、お二人は普段はプライベートで遊んだりはするんですか?

二人:飲み友です。

Tohya:早く終わると「一杯行くか」ってことになるんです。

智:でも結構まじめ話をしてるよね。

Tohya:極端だよね。超どうでもいい話か、超まじめな話か。ミドルがない(笑)。

智:そうだね。でも、トータル面でTohyaと相談しないと意味がないですから。信頼してるんで。

Tohya:ありがとうございます(笑)。

――昨年末のミニアルバム『GLOSTER』から半年でフルアルバムリリースということですが、制作期間的にはいかがでしたか?

智:今回は「そんなにヤバくねぇ」と思いましたね。

Tohya:余裕があったわけではないけど、いつもに比べてちゃんと時間が取れたなと。問題点と言えば、海の曲ができるのが遅すぎたくらいで。

智:(笑)。でも、オフィシャルサイトの視聴で海の「RESET CIRCLE」はすごい人気があるんですよね。俺はあんまり納得がいってないですけど(笑)。

Tohya:彼の曲がわかりやすいコード進行でわかりやすいメロディなんで、一番スッと入ってくるのかもしれませんね。

智:海は単純なんですよ。他の4人は1曲聴いた時の芸術性だったり、曲の中の物語を大事にするから、そのあたりが違うんですよね。…まぁ納得いかないですね(笑)。

――「RESET CIRCLE」はすごくライブがイメージできたのですが。

智:なるほど。

Tohya:あ、智が「なるほど」って言う時は全然納得してないですよ(笑)。

――失礼しました(笑)。Tohyaさんは海さんの曲を聴いてどう思われました?

Tohya:良い言い方をすると「僕には作れない曲だな」と。自分が絶対使わない進行だったりするので。まぁ、曲の終わりが中途半端だったから、仕方なく直してやりましたけどね(笑)。あと、ギターソロもプロデュースしました。『CHRONUS』っていうアルバムが壮大で、海が最初に作ってきたものだと当てはまらなかったんです。海が「どう?」って言ってきたのを「ダメ!」って言って。そんなやりとりを20~30回しましたね(笑)。

智:曲出しが遅かった分、そこは結構ギリギリでしたね。

――『CHRONUS』は“壮大”という言葉がぴったりの作品ですよね。ところで、アルバムのテーマ自体はシングル『Recipe』の段階で決まっていたそうですね。

智:はい。音の質感で感じる思いが決まってきたりするので、ガッチリ決まったのはシングル『CHIMERA』の時の音を聴いてからですけど。どういう繋げ方をするかは最初から決まっていました。

――他のメンバーさんには事前にテーマを伝えていたんですか?

智:いや、作曲の時には伝えていません。伝え過ぎても音に出てきちゃうから、あんまり良い効果を生まないんです。とにかく絵が見える感情豊かな曲にしてくれということだけ伝えました。ミニアルバム『GLOSTER』の時は、とにかく激しいものをっていうコンセプトだったんですけど、今回はそれとは全く違いましたね。例えば、Yuhはライブの盛り上がりを考えて作ってきたりするんですけど、そういうのも抜きで、とにかく気持ちが良いと思ったものを持ってきてと伝えたんです。

――今回、ミドルテンポの曲が多いですよね。

智:あえての選曲というより、単純にアーティストって事を抜きにして何が気持ち良いかの表れだったんじゃないかと。でも、音源にするには勇気がいりましたね。これは俺たちの思いだけを汲んだ作品で、エゴの塊みたいなものだから。

Tohya:だけど、こういう作品を出して評価されなかったら、バンドとしては先が見えないですから。

――Tohyaさんは曲作りの段階で何かヴィジョンはありましたか?

Tohya:ちょっとスピリチュアルな感じなんですけど、歌詞が揃い、歌も揃って、タイトルがついてアルバムとして揃った時に、夢で見たことがあるような感じがしたんですよね。未来からのお告げなのかなと思って。今回のインストゥルメンタルには智のアイディアで時計の音を入れたりしているんですけど、時計の音も夢の中で聴いたことがあったんですよ。きっと未来の智からメッセージを受けて作っていたのかなと(笑)。

智:未来の智から(笑)。

Tohya:そう(笑)。だから最終的に目指すものが智と合致するようになっていましたね。作った曲に対して歌詞がスッとハマったり。

――長年やってきたことでシンクロ度が増したんでしょうか。

智:そういえば昔、そんなことを話したことがあったよね。「墜落」って曲を書いた時に、こんな感じで書くって話したらTohyaが「それだよ!」って言っていて。

――同じようなことは、他のメンバーさんとの間にもありましたか?

智:あんまりないなぁ。やっぱりスピリチュアルだね(笑)。

◆自分がイメージしたものを完全に再現してくれるのはTohyaくらいですからね(智)

――今回のアルバムには3曲のインストゥルメンタルが収められていて、それぞれ「First DIMENSION」、「Second DIMENSION」、「Third DIMENSION」と名前がつけられていますが、連続性を意識したんでしょうか?

Tohya:一貫性は持たせましたね。この3曲の中では「Second DIMENSION」が最初にできたんです。でも、アルバムの真ん中にだけあるのはバランスが悪いので、前後に「First DIMENSION」と「Third DIMENSION」を置いて。アルバムではいつもインストを作るんですけど、今回は特に関連性を持たせるために、意図的に同じ音を使ったりしています。

――同じ音が使われていることで、ループしているような印象を受けました。

智:インストゥルメンタルはアルバムのイメージが出揃った後にタイトルを付けたんですけど、今回のアルバムには人間が構築されるようなイメージを持っていたので、最初の次元、次の次元という意味合いになるようにFirst、Second…というタイトルにしました。そこからもイメージがかきたてられたらなと。

Tohya:音については、未来の智から「人間が構築されるイメージ」というメッセージを受けていました(笑)。人間というよりは一つの生命体が次元の狭間を駆け巡っている感じですね。ドラえもんのタイムマシンに乗った時の「ぴゅーん」ていうイメージ。「First DIMENSION」で次元の狭間を駆け巡っている生命体が、曲が進むと段々人間の形になって行って、最後「Third DIMENSION」では人間になっているという…。…なんか俺ヤバい奴だと思われるなこれ(笑)。

智:(笑)。

――ところで、今回の収録曲の「Dr.Teddy」のクオリティには脱帽でした。

智:たくさんの方にそう言っていただいたんですけど、確かにこの曲は単純にクオリティが高いと思いますね。メンバーの中でも一番人気がありますし。

Tohya:珍しくYuhが推してたからね。

智:あいつ、この曲全然弾いてないのにね(笑)。完全に聴き手に回ってるって事なのかな。

――作曲者であるTohyaさんはこの楽曲の完成形をどう思われましたか?

Tohya:人気はさておき、この曲は自分が理想としていた形なんです。作曲を始めた頃から、ずっとこういう曲が作りたくて。でも、もっとこうしたら面白いだろうとか、色々わかってきてもなかなか形にできなかった。前にも「偽Dr.Teddy」みたいな曲を作ったことがあったんですけど、全然形になっていなかったから誰にも響かなくて、すぐにボツになりましたし。ずっと音のアレンジとか音の研究を積み重ねてきたものがここにきて形にできたなと思います。

――今までの集大成と言っても良い作品でしょうか?

智:そうですね。

Tohya:現段階の集大成ですね。でも今はこれが形にできたから、次に作るものを固めつつあります。

智:『CHIMERA』を形にした時に、今のvistlipにはまだ足りないという気持ちもあったんです。作品が完成されていく中で「Dr.Teddy」は現段階では完璧に近いものだと思いました。

――これはTohyaさんの原曲そのままですか?

智:サビをもう1個足してもらったりはしました。Tohyaは「俺あの曲好きなんだけどダメなの?」って言ってきたんですよ。だから「いや、好きな世界観だし、全然ダメじゃないけど何かが足りない」って話をして。

Tohya:これが完成した時、音楽に触れてきて良かったと思えたんです。この曲を作る為に今までやってきたのかと。そのくらい大きかったですね。

智:これを皮切りに、Tohyaは開けたんでしょうね。その後に持ってきたインストゥルメンタルのDIMENSIONシリーズも、完成度がすごく高くなっていたし。それがやっぱり全て「Dr.Teddy」のおかげなのかなと。Tohyaを感じてほしい曲ですね。

――お二人にとっての一推し曲ですか?

智:曲たちはどれも変わらず聴いてほしいです。

Tohya:どの曲が、というより、アルバム『CHRONUS』が一推しです。メンバー共通の認識で、どの曲が一番っていうのはないですね。

――『CHRONUS』は1枚通しての完成度が高いですよね。違和感なく聴けました。

智:それはすごく目指したところです。俺がメンバーにイメージを突き付けるんですけど、最終的にそうなるようにTohyaが調整してくれてます。バンドで作品を生み出す時に、妙な温度差があったり、全員で並んで作っている感じが全くない時もあるんですけど、今こうやって完全に並んで二人でうちの音楽の根底を支えているのが嬉しいですね。

――ところで、今回の歌詞にも印象的な言葉が多かったのですが、「Arrythmia」の〈愛と引き換えにすり減るらしい 最初から鼓動は規定数〉の部分は秀逸だなと。

智:今回、そういう歌詞で終わろうとは思っていたんです。昔からこういう内容の歌詞は書きたかったんですけど、リリースタイミングが自分の中で噛み合わなくて。あと、歌詞で妙な重たさを持たせたくなかったんです。さっき言ってくれたように1枚を通して違和感なく聴けるアルバムにするのに、その重さを一番変えてしまうのが歌詞だったりするんですよね。やっぱり風景だけを描くのが大事なのかなと。じっくり読んだ時に、聴き手に何か思いが生まれてくれればと思って書きました。

Tohya:俺も一番好きなのは「Arrythmia」の歌詞ですね。瑠伊がいつも「僕これが一番好きなんです」とか言っちゃうから言えなかったんですけど。

智:(笑)。あいつ「Arrythmia」ばっかり言ってるからね。

Tohya:「これが智なんだよねっ!」とかね(笑)。でも、まさしくそうなんですけど。

――6周年を前に良い作品が出来ましたね。

智:とても良い作品になりました。

Tohya:最初、アルバムの完成度がここまでになるとは思えなかったんです。でも、現在の智と未来の智からメッセージをもらって『CHRONUS』を完成させることができたなと。

智:俺はバンドをやる上で相方がいるわけでもないし、フロントマンで周りからも看板だと言われたり、バンドの曲を選んだり、そういう部分を一人でやるから大変ではあるんです。でも、Tohyaが俺に完全に並ぶっていうのは自分にとっても大きな変化で。自分がイメージしたものを完全に再現してくれるのはTohyaくらいですからね。

Tohya:…ふぅぅぅ(ため息)。あ、感動のため息をついてしまいました(笑)。智はすごく責任を感じる立場だから、人間的にも音楽的にも一番成長していっていると思うんですよ。でも僕もそこに並んでいたい気持ちがありますね。

――6周年を迎えての目標は? 相方をもっと増やしたいとか…。

智:いや、でも全員が並んでも仕方ないし、自由なやつがいても良いと思うんです…瑠伊みたいな(笑)。

Tohya:僕はもっと音楽を探究して、作りたい音を、より的確に表現できたらいいなと。今徐々に積み重ねている途中なんですけど、より一層の高みを目指して行けたらなと。それに伴ってメンバー全員が、もっと自分自身を高めるように動いてくれたら、『CHRONUS』を超える素晴らしい作品がもっと簡単にできると思うんですよね。

智:『CHRONUS』には、やっと辿り着いた感じがします。でもまだ6周年だし、この作品はそのスタートラインだと思っています。

(文・後藤るつ子)


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<プロフィール>

智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2013年7月7日にZepp Tokyoにて行われた6th Anniversary “TELESCOPE CYLINDER”はチケット即日ソールドアウト。7月17日に発売となる『CHRONUS』と同日に仙台darwinを皮切りにvistlip oneman live tour【sequence of chronograph】をスタートさせる。また9月6日より全国23箇所にて行われるvistlip LIVE TOUR”Good vibes CIRCUIT”が7月7日のZepp Tokyoにて発表された。

ライブ情報
vistlip oneman live tour【sequence of chronograph】
7月17日(水)仙台darwin
7月19日(金)札幌PENNY LANE 24
7月24日(水)名古屋DIAMOND HALL
7月25日(木)なんばHatch
7月28日(日)福岡Drum LOGOS
7月31日(水)渋谷公会堂

■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com

【リリース情報】


豪華ブックレット盤
(LIMITED EDITION)
初回生産限定盤/CD+DVD
MJSA-01088~9
¥3,780(tax in)

vister
CD+DVD
MJSA-01075~6
¥3,780(tax in)

lipper
CD
MJSA-01077
¥3,150(tax in)

『CHRONUS』
2013年7月17日発売
(発売元:マーベラスAQL/販売元:ソニー・ミュージック ディストリビューション)
全16曲を収録したvistlip、待望の3rdアルバム。LIMITED EDITIONには 「ROUGH the vistlip」、visterには「Prey Shadow」のmusic videoとmakingが収録されたDVD付き。

【収録曲】
[CD]
01. First DIMENSION[Instrumental]
02. TELESCOPE CYLINDER
03. WEB
04. Recipe
05. Dr.Teddy
06. Prey Shadow
07. Second DIMENSION[Instrumental]
08. 深海魚の夢は所詮、
09. aquamarine
10. Nearly equal
11. RESET CIRCLE
12. B
13. Making of day1.

14. CHIMERA
15. Arrythmia
16. Third DIMENSION[Instrumental]

[DVD]
【豪華ブックレット盤】
ROUGH the vistlip

【vister】
Prey Shadow music video
Prey Shadow making

★初回限定特典:トレーディングカードランダム封入(全10種類)
※vistlipメンバーの取り下ろし写真