nurié

しっかり前を向いて一歩一歩前進していきたい(染谷悠太)

染谷悠太

小鳥遊さんのベースフレーズで好きなところは?

大角:僕は、やひろさんのベースフレーズが全体的に好きなんですが、スラップがここまで多用されている楽曲はnuriéでも珍しいんですよ。nuriéのやひろさんとしての新境地になっていて「こんなカッコいいフレーズも作れるんやな!」と思いました。彩人君が作ってくれたデモの段階では、スラップではなかったんですよ。それが、やひろさんの頭を通してアウトプットしたら、こういうフレーズが出てくるというのが面白いし、やひろさんらしいなと思いました。

小鳥遊さんのベースは、相当練習をしていないと弾けない音を奏でているという印象です。

大角:音楽活動を長くやっているのに、新たにベースセミナーの月額会員になったりして上達に励んでいました。それでも「『Room-6-』をライブで弾けるか不安や」とずっと言っていましたね(笑)。

廣瀬:ベースのレコーディングを僕の家でやったんですけど、スラップの生音が僕が思っていたよりもかなり大きかったのが印象的でした。アンプに通さなくても大きい音だったから、「うわ! これ絶対近所から苦情が来る!」と思って。でも長時間一生懸命がんばっているやひろさんに、うるさいとは言えないし、ヒヤヒヤしていましたね(笑)。

「RooM-6-」の歌詞で大角さんが最も伝えたいことは?

大角:〈RooM No.6 手を握っていて〉からの最後のセクションが1番伝えたい結論にはなるんですけど、セクションごとにメッセージがあるんです。それを一つひとつ伝えたいと思って、声色で自分のキャラクターを変えて演じていきました。

2曲目の「カンセツショウメイ」はミッドチューンのラブソングで、豊かな情景描写で切ない片想いが描かれています。nuriéの曲は、個人の生き方や社会への強いメッセージが歌詞となっていることが多いので、この曲はまた違った一面を見せてくれる曲だと思います。この曲は大角さん作詞作曲ですが、どんなことをイメージしながら作りましたか?

大角:頭の中で物語を描きながら書いていった曲です。僕の楽曲はリアルな実体験や投影が多いんですけど、この曲に関しては創作の部分が大きくて、小説を綴るような感じで作っていきましたね。

3曲目の「白を溢す。」は、昨年3~4月に東名阪で開催された無料ワンマンツアーのタイトルにもなっていた言葉です。この曲は、nuriéというバンドを象徴する1曲かと思いますが、曲ができた経緯は?

廣瀬:『RooM-6-』に収録された曲は、最初に「カンセツショウメイ」が、次に「Room-6-」ができて、「白を溢す。」は最後で、レコーディングの直前くらいにできた曲です。収録曲を決めるとき、「Room-6-」はnuriéにしては変わった毛色の曲だし、「カンセツショウメイ」はnuriéらしいミドルでオシャレな曲になった。じゃあ、あと1曲は何にしようかと。実はもともと、3曲目には違う曲を書いていたんですが、3曲並べたときにバランスが悪いなと思ったんですよ。その時に、nuriéの良さって何だろうということを改めて考えたら、「晴天に吠える。」や「透明に混ざる。」(2019年8月リリースの1stシングル『モノクローム』収録曲)といった、ストレートでメッセージ性の強いアップテンポなロックナンバーだと思ったんです。

なるほど。

廣瀬:じゃあそういう曲を作ろうと考えたときに、「白を溢す。」というワードが頭に浮かんで。僕は歌詞は書けませんが、あのときの無料ワンマンツアーの記憶を、自分なりの感じ方や表現の仕方で形に残したいなと思ったんです。それで、メンバーに「最後の曲のタイトルは、『白を溢す。』で行こうと思うねんけど」と話したら、「いいんじゃない!」と言ってくれました。タイトルが先行して、曲ができていった感じですね。

ワンマンツアーのときにできた曲なのかと思っていたので、意外でした。

廣瀬:ツアーのときには、曲の原型もありませんでしたね(笑)。

歌詞を書く前にタイトルが決まっていて、そのタイトルはかつて行った無料ワンマンツアーのタイトル。これを踏まえて大角さんはどんなふうに歌詞を書いていきましたか?

大角:コロナ禍、このツアーで有観客のライブを再開したので、そのときのことを思い出しながら歌詞を書いていきました。ライブができなかった期間も支えてくれたファンへの愛を込めて書いています。

この曲がシングル『RooM-6-』に収録されてリリースされたことは、今のnuriéにとっても大きな意味を持つのではないでしょうか?

大角:まるで、やひろさんのことを書いているように聞こえる歌詞なんですよね。事故の前にできていた曲なので、本当はそんなつもりはないんですけど、なんだかやひろさんが大角の言葉に説得力をつけていってくれたみたいだなと思います。

そして遂に、5月23日に大阪MUSE、5月31日には渋谷REXでのワンマンライブの開催が発表されました。

大角:あの事故があってから、いろんな反響をいただいて、正直僕らもどうしたらいいかわからないという感じだったんです。でも、ここまで広まったnuriéという名前、しかも、やひろさんが最期に広めていったバンドを、僕らがここでなくしてしまったり、折れてしまったりするわけにはいかないなと思ったんです。復活はいつしても色々あると思うんですよ。早すぎても何か言ってくる人はいるだろうし、遅すぎても、これだけたくさんのアーティストがいれば音楽の需要は移り変わってしまう。自分たちのタイミングを考えて、5月のこの日程だと思ったのでここに決めました。nuriéというものをなくさないためにも、このタイミングが1番ベストだと判断したんです。

ベースのサポートメンバーは決まっているんですか?

大角:大阪は関西を中心に活動されているベーシストのJITANさん。東京はこの1回だけですけど、アルルカンの祥平さんが弾いてくださることになりました。

nuriéはアルルカン主催イベントに出演したことで、バンドの運命が大きく変わっただけに、アルルカンの祥平さんがサポートしてくれるという話に胸が熱くなりました。どういう経緯で祥平さんに決まったのでしょうか?

大角:事故の後、アルルカンが大阪に来た際に、ギターの來堵さん、奈緒さんにご飯に誘っていただいて。そのときに「ぜひ祥平を使ってよ」と言ってくださったんです。僕らから気軽に頼んでいい方ではないのですが、ダメもとで正式にお願いをさせていただきました。祥平さんに決まってから、一緒にご飯を食べにも行ったんですが、サポートしていただけることが本当に心強いです。祥平さんは「やひろ、すごく面倒くさいベースフレーズ作っているよね(笑)」という話をしていましたけど(笑)。

染谷:僕らから祥平さんにお願いするなんて、全く考えていなかった話なので、あちらから言っていただけて光栄ですし、感謝しかないです。

nuriéの今後について、今どんなことを考えていますか?

染谷:今回の事故で、多くの人たちやいろんなバンドに助けていただきました。その恩を一つずつ返していきながら、そして、お客さんを楽しませながら活動をしていかないといけないと思っています。しっかり前を向いて、一歩一歩前進していきたいですね。

新曲も作り始めているようですね。

廣瀬:そうなんです。まだ詳しいことは言えないんですが、絶賛曲作り中で、すごく忙しいです(笑)。nuriéの新しい曲を楽しみにしていて欲しいですね。

大角:またしてもヤバい曲があがってきているので、期待していてください。

ライブも決まって、新曲も制作中ということで、復活したnuriéの活動が楽しみです。nuriéが今抱いている最大の夢を教えてください。

大角:ずっと言い続けていることなんですが、日本武道館に立つことですね。それから、僕はアニメの主題歌がやりたいんです。アニメの映像に合わせてnuriéの音楽が流れるのが夢で。僕は、音楽と映像は切り離せないものだと思っていて、MVがない音楽でも歌詞を読みながら聴くと、頭の中に情景が浮かぶんです。音楽と映像が合わさるということに美学やアートを感じるので、いつかアニメの主題歌をやりたいと思っています。

夢が叶う日を楽しみにしています。最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

染谷:昨年の末から今年にかけて知ってくださった方がとても多いと思うのですが、まだnuriéの入り口の段階にいる方がほとんどかと思います。これからの活動で、皆さんにもっとどっぷりとnuriéに浸かってもらえるよう頑張っていきたいと思います。応援してくれたら嬉しいです。

廣瀬:まだnuriéを生で見ていない人が多いと思います。僕は「nuriéはカッコいいよ!」と本当に心の底から思っているので、ライブでお会いできることを楽しみにしています。そして、新しい曲にも期待して待っていてください。その期待は飛び越えていきます。

大角:表に出ない期間が長くなってしまいましたが、しっかりその時間も取り返すつもりで、今後のリリースやライブ活動をしていこうと思っています。この時期に失ってしまったものもたくさんありましたが、それをちゃんと取り返せるぐらい、自信を持って自分たちの音楽を届けていきます。そして、ライブでの僕の言葉は、SNSとはまた違ったものになるので、nuriéの大角龍太朗が放つ生の言葉を聴きに来ていただけたら嬉しいです。

(文・武村貴世子/編集・後藤るつ子)

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nurié

大角龍太朗(Vo)、廣瀬彩人(G)、小鳥遊やひろ(B)、染谷悠太(Dr)

オフィシャルサイト

リリース情報

New Single『RooM-6-』
2022年1月5日(水)発売

(CD)NRNR-005 ¥1,650(税込)

収録曲

[CD]

  1. RooM-6-
  2. カンセツショウメイ
  3. 白を溢す。

ライブ情報

●復活ワンマンライブ「bouquet」
5月23日(月)大阪MUSE
5月31日(火)渋谷REX