2023.02.13
nurié@渋谷近未来会館
小鳥遊やひろ生誕祭「YAHIROCK FES 2023」

2023.02.13
nurie@渋谷近未来会館
小鳥遊やひろ生誕祭「YAHIROCK FES 2023」

2月5日はnuriéのベース、小鳥遊やひろの誕生日。

彼と出会い、心を通わせてきたミュージシャンたちが集い、彼がこの世界に誕生し生きたことを音楽で祝う、小鳥遊やひろ生誕祭「YAHIROCK FES 2023」が、大阪と東京で開催された。

ここでは2月13日、渋谷近未来会館で行われた東京での模様をレポートする。

先陣を切ったのはシェルミィ。ヴォーカルの豹が「今日は盛り上げることに徹底した」とステージから語ったように、アグレッシブなステージングと情熱で一気に会場のボルテージを上げた。

続いて、SECRET BAND として登場したCHAQLAは、始動ライブを行う前にも関わらず、nuriéからの熱いオファーに快諾しての出演。独自の世界観の片鱗を衝撃的に叩きつけた。

続くumbrellaは、音楽への実直な思いを、4人の重なり合う音で美しく表現。確実なキャリアを重ねてきたからこその存在感で、ラストには、小鳥遊やひろが好きだった「五月雨」を届けてくれた。

3ピースバンドとしての直球サウンドに、全員が歌う楽曲など楽しさを展開した洗脳Tokyo。大阪では一番手で登場したRides In ReVellionは、重厚感と煌びやかな演奏、ヴォーカル黎の圧倒的な歌声で、トリのnuriéにバトンを渡した。

大角龍太朗が奏でるギターの音色と歌だけで始まった「晴天に吠える。」からライブをスタートさせたnurié。

2023.02.13 nurie@渋谷近未来会館 小鳥遊やひろ生誕祭「YAHIROCK FES 2023」

大角は「全力で楽しんでいきましょう」と、その表情に笑みを浮かべ、今日を忘れられない日に彩っていきたいという思いを伝える。

「透明に混ざる。」で、早くもピークに達した後は、新曲「akuma」を初披露。先の2曲とはまるで違い、真っ赤なライティングがよく似合う、己の欲望を激しく呼び覚ますアグレッシブなナンバーで、今後のライブでこの曲がどんな高まりを見せてくれるかが楽しみな楽曲だった。

呼び覚まされた感情に、続く「RooM-6-」で、さらに聴く者の感覚を刺激。ステージ前方から後方まで、オーディエンスは身体を揺らし、手を振りかざすなど、明らかに「この曲は知っている」という光景が広がり、小鳥遊やひろが生前最後に奏でた楽曲が、nuriéの代表曲となっていることを証明していた。

荒々しさの中で、大角がかつてないほどの高音ヴォーカルを響かせた「百鬼夜行」まで、彼らは駆け抜けるように演奏を繰り広げた。

出演バンドへのそれぞれのエピソードと共に感謝を伝えた大角は「こんなに愛されている人間がメンバーにいるバンドです。だから、もちろんかっこいいに決まっています。俺たちも、やひろさんのようにもっと愛されていかないといけないと思っていますので、今日ここにいる方に、愛していただけるように、俺たちも愛を込めて歌わせていただきます。俺たちからの思いを受け止めてください。俺たちもあなたの思いをしっかり受け止めます」と告げ、「愛を歌わせろ人生」へ。最後は、小鳥遊やひろが好きだった曲「15才」。大角は「届け」という言葉を放ったが、誰もが届いていることを確信していただろう。

この日、最も言葉にされ、言葉以上に音に託されてきたのが、小鳥遊やひろへの「愛」だった。nuriéはもちろんのこと、全ての出演バンドが、自分たちが表現できる「愛」をまっすぐに誠実にステージから届けていたことが何よりも印象的だった。

それぞれのバンドたちはこれからもこの日に演奏した曲を、ライブで奏でていくだろう。しかし、「YAHIROCK FES 2023」で会場に響き渡った音や歌は、明らかに、小鳥遊やひろへの「愛」で満ち溢れた、この日にしかない特別な音楽だった。

そんな音楽を生み出すことができるバンドたちだからこそ、今後シーンを揺るがし、これまで見たことがない新しい景色を描いていくのではないだろうか。

来年へと続いていく『YAHIROCK FES』では、一体どんな輝きが放たれるのか。終演後の止まらない昂りは、新たな可能性の始まりを感じさせてくれた。

2023.02.13 nurie@渋谷近未来会館 小鳥遊やひろ生誕祭「YAHIROCK FES 2023」

◆セットリスト◆

  1. 晴天に吠える。
  2. 透明に混ざる。
  3. akuma
  4. RooM-6-
  5. 百鬼夜行
  6. 愛を歌わせろ人生
  7. 15

(文・武村貴世子)


【ライブ情報】
●ミニアルバムリリースワンマン「瞳に映らない形と性質、それを「」と呼んで」
4月3日(月)心斎橋CLAPPER
前売¥3,000/当日¥3,500(1D別)
OPEN17:30/START18:00

●染谷生誕単独公演「 紫電一閃、轟く音のその向へ 」
4月22日(土)渋谷近未来会館

nuriéオフィシャルサイト