約2年ぶりとなる待望のニューアルバム『EDEN』を完成させたBlu-BiLLioN。彼らが思い描く“楽園”、そこに見る景色とは――
幅広い音楽性の楽曲を生み出し、リリースの度に我々を驚かせ続けているBlu-BiLLioNが、3枚目のフルアルバム『EDEN』を完成させた。宗弥(G)曰く「自分たちのアイデンティティと向き合うことがすごく増えた上でのアルバム」だという今回の作品。そこに収められた今この瞬間の6人が生み出す音、そしてこれまでの作品とは一歩違う視点へと移行した歌詞が描き出す世界を存分に体感していただきたい。このアルバムの真の完成は、10月23日、彼らの7度目の誕生日でもある渋谷WWW公演を皮切りにスタートするBlu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」へと続いていく。そこでどのように昇華するのか、期待が高まるばかりのこの作品について、そして今の彼らについて、Vif初登場となる6人に話を聞いた。
◆真っ暗で何もない。ここから作り上げていく(ミケ)
――Vifのインタビューに初登場ということで、隣のメンバーの紹介をお願いします。
teru:ドラムのSeikaさんはバンドのリーダーで、誰もが知る家電オタクです。携帯にしてもオーディオプレーヤーにしても、常に最新の物を持っている敏感な彼です。
Seika:ギターの宗弥はメインコンポーザーで、加入当初からずっと神がかり的な曲を書き続けてくれています。そして、バンドのムードメーカーですね。一番喋りますし。
宗弥:え、騒々しいってこと?
Seika:いやいや(笑)。バンドの核となる人間です。
宗弥:ギターのmagさんは、ライブがかなり激しいのでロックな印象を持たれている方も多いと思うんですが、普段は募金箱を見ると募金するような人です。
――何て立派な…!
宗弥:ボランティア活動もするし、今一番興味があるのは捕鯨の問題だったかな。さらに、週1で保健所に行って犬を救っていますからね。世界を愛で包みたい、というスケールの大きい男です。
全員:(笑)
mag:えーと、珀さんは年齢が…
珀:やめてー!
mag:…じゃあ、すね毛が濃いです。
珀:それもどうなの(笑)!
mag:そして、バンド内で一番熱い人ですね。道にゴミが落ちていると蹴飛ばしますし。
宗弥:蟻を常に踏んで歩くタイプだよね。
ミケ:それを辿っていくと巣に辿り着けるからね。しかも雨男だし。
珀:いや、今の紹介、雨男ぐらいしか合ってないですからね(笑)! じゃあミケを紹介します。彼はすごく真っすぐな男で、真っすぐすぎて自分が正しいと思ったことが曲げられなくて融通が利かないところもあるんですけど…
宗弥:ほぼ悪口じゃん(笑)!
珀:そんなことないよ(笑)。このご時世、真っすぐでいられる男は少ないと思います。人の意見に左右されたり、流されたりしないというのは、現代の日本男児としては素晴らしいです。そして、すごく綺麗な声やカッコいい声が出せるヴォーカリストです。
ミケ:teru君は元々同じ高校の先輩なんです。でも、優しさが溢れているのですぐいじられます。
Seika:いつからこうなったんだっけ?
teru:会って1週間でこんな感じだったよ(笑)。
ミケ:傍目には結構ミステリアスなイメージがありますけど、外側と内側に一番ギャップがあるかもしれないです。
――紹介していただいたことで、むしろ謎が深まった気もします(笑)。さて、3枚目のフルアルバム『EDEN』が遂に完成しました。Blu-BiLLioNは2013年7月、2015年7月、2017年10月と2年おきにアルバムをリリースしていますね。
宗弥:確かに。そう言われてみると、改めて自分たちはこういうペースでやっているんだなと思いました。
――バンドにとってアルバムとシングルはどういう位置づけなんでしょうか?
宗弥:切り分けは特にないんです。アルバムもシングルも、絶対的にその時代、その瞬間のアーティストの姿がテーマだと思うんですよ。その時の「最近こんなことを考えて生きている」というものがダイレクトに収まっているもの、と言うか。自分たちがバンドを6~7年やってきて、最近は向き合うことがすごく増えているんです。周囲のバンドが辞めていくのも目の当たりにしているので、自分たちがやり続けていくためにはとか、逆にやり続けていられるのはなぜなのかとか、そういう自分たちのアイデンティティと向き合うことがすごく増えた上でのアルバムだと思っています。
mag:ちなみに今回のアルバムは、「EDEN」や「旅立ち」というテーマがあったので、そういうものを作ろうよ、ということで作りました。
宗弥:今回はタイトルありきで、「自分たちの描くEDENとは何だろう」というところから始まって、「それは形として何なのか」「似ているものはあるのか」「どういう景色なのか」…、そういうようなことを挙げていく中で、「俺たちが言っているものは、きっと自分たちが今まで目にしたり体験したりしたことがない瞬間や空間なんだ」ということで生まれたのがリード曲「Believer’s High」の歌詞だったんです。
――今回、完全生産限定豪華盤、初回生産限定盤、通常盤と全く異なるジャケット写真が3種類展開されますが、この中で皆さんの思うEDENの印象に一番近いのはどれでしょう? 「Believer’s High」のMVにも通じるような荒涼とした大地が描かれた完全生産限定豪華盤でしょうか?
ミケ:実は通常盤なんです。真っ暗で何もない。ここから作り上げていくというか、想像できないものを見たいというか。
宗弥:完全生産限定豪華盤と初回生産限定盤は、多くの人が思い描くEDENだと思うんです。自分たちが思い描くEDENは、ここから何を目指していこうか、何が作り上げられていくのか、どんな景色にしていくのかは自分たち次第なんですよ。
――究極の無から始まりつつ、無限の可能性を秘めているんですね。
ミケ:そうですね。ここに色々乗せていくんです。…ちなみに、CDが発売されたら大体サインが乗ります。
全員:(笑)
◆このジャケット写真のように、見えないものやわからないものを見つけに(teru)
――このアルバムで一番伝えたかったことは何でしょう?
teru:このジャケット写真のように、見えないものやわからないものを見つけに行こうということですね。「楽園を目指そう」ということで、もちろん僕たちバンドが目指しているものと、ファンの方々が目指しているものは結果的には違うと思うんですけど、このCDを聴いて、ライブを観て、皆が「私たちも頑張ろう」という気持ちになってくれたらいいなと思います。
珀:それこそ、リード曲「Believer’s High」の歌詞の通りですね。「EDENとは?」と考えたときに、自分たちが具体的に思い描いたのは、“全てがさらけ出せるようなライブ”だったんです。自分の内にあるもの全てを吐き出せるような場所でそういう光景を見たい、というところから、『EDEN』というタイトルができて、それを目指そうという「Believer’s High」という曲ができたんです。
ミケ:最初に『EDEN』というアルバムタイトルを決めたときに、ツアーのタイトルも一緒に決めたんです。その前のツアーは、「Sing×Dance×Rock」で、歌いたかったら歌えばいいし、踊りたかったら踊ればいいし、ロックしたかったらロックすればいいという、今まで恥ずかしさで抑えていたものも出そうよ、解放しようよ、というところをテーマに回ったんです。そのファイナルで見た景色がすごく良くて、自分たちが想像していたものを超えていたんですけど、結局それは一歩目でしかない。もっともっと見られる景色があるだろうなと思ったし、それがほしいとも思ったんです。でもそれに名前を付けようと思ったときに、当てはまる言葉がなかなかなくて。EDENという言葉はありきたりだと思うんですけど、でもそこから想像するものは、最上級だと思うんです。それぞれ考え方や目指すものが違う中で、これが唯一言葉のテーマとして合うものなんじゃないかと思って、あえてこの聞きなれた言葉を付けました。
――それぞれが自分の中の最上級を容易に思い描ける言葉ですよね。
ミケ:そうです。なのでこの言葉以外になかったんですよ。
――旧約聖書の第一書「創世記」や「起源」を意味する前作アルバム『GENESIS』からの関連性を感じさせるタイトルでもありますが。
宗弥:起源があって、そこから楽園があって…そう考えたらオシャレですね(笑)。でも、リアルタイムにテーマを閉じ込めているつもりではあるので、バンドがそういう状態なんだと思います。意図せずとも、そういう流れになっているのかなと。
ミケ:最近、そういうタイミングが合うことが多々あるんですよ。前作のシングル『The Awakening of Revolution』では急に真っ黒な衣装にしたんですけど、その曲が『メサイア外伝』というダークヒーローをフィーチャーした映画の主題歌になったんです。衣装も曲調も、自分たちが合わせにいったというよりは、自分たちの今を書いた曲にたまたま合って。
宗弥:歌詞の内容もリンクしていたりしたしね。偶然かと思ったんですけど、今自分たちの活動にストーリー性があるのはすごく理解できるし、バンドとしても真っすぐ進んでいるんだと思います。
――衣装のお話が出ましたが、今回はかつてないほどの青ですね。
宗弥:そうなんですよ。これまでにも青を基調にしたり、挿色に入っていることはあったんですけど、全員が思いっきり青というのはやったことがなかったんです。これは自分たちの覚悟でもあって。これまで、「Blu-BiLLioNという名前で青い衣装を着ていたらダサくない?」と思っていたんですけど、それを背負う勇気と言うか、「今、青を着てもカッコ良く見せられる」という自信が生まれたからこその衣装でもあるんです。
◆バンドとして一番自信を持って見せられるのは、自分たちで経験してきたことや自分たちの中にあるもの(宗弥)
――今回のアルバムで、楽曲のバリエーションがこれまで以上に広がった感じがします。
宗弥:そうですね。毎回作品を出す度にそういう気持ちではいるんですけど、アルバムでは新曲をたくさん書けるので、なおさらそういう振り幅も見せることができたと思います。
――リード曲の「Believer’s High」はかなりラウドな仕上がりですが、その印象を持って1曲目の「群青」を聴くと、また違う鮮烈な印象を受けました。今回はそういう点も意識して曲を配置したんですか?
ミケ:今回のアルバムは、最初に「ここにこういうテーマの曲がほしいよね」というところから決めていったんです。いつもは曲が全部揃ってから曲順を決めるんですけど、初めてコンセプチュアルにと言うか、この曲はこういう内容の歌詞にしよう、というように歌詞の内容から決めていったんです。
――それはかなり難易度が高いのでは?
ミケ:難しかったです! でも形になったときには、今までとは比べ物にならないくらい、一つの作品としての形を成していましたね。
――歌詞を読んでいて、これまでの作品によく出てきた〈キミ〉という言葉が、今回の作品では〈未来〉や〈明日〉、そして〈世界〉という言葉に変化したなと思ったんです。そこは意識したんですか?
ミケ:最近の俺たちの方向がそうだからなのかなと。今までは聴いてくれるファンの方に対して、「こういうことがあるよね、でも大丈夫だよ」というスタンスだったんですけど、最近は自分と向き合って感じたことを書くことが多くなって。「でも君は大丈夫」ではなくて、「俺はこうだよ」ということを示しているから、自ずと〈キミ〉がなくなってきたのかなと思うんです。
宗弥:所々に出てくる〈キミ〉の意味合いが変化していますね。個人だけを指しているわけではなくて、対外的なものだったり。そういう意味で指し示すものが広がっているなと。それに、バンドとして一番自信を持って見せられるのは、自分たちで経験してきたことや自分たちの中にあるものだと思うんです。知らないことを知っているように歌うことはできないし、叶っていない夢を叶ったように歌うことも説得力がないからできない。ちょうどこのアルバム制作の少し前に、そういうものと向き合うタイミングがあったんです。それが歌詞や曲調に、多少なりとも変化を及ぼしたのかなと思いますね。
珀:僕も歌詞には知らないことや想像上のものではなく、自分の体験に基づいたものしか書いていません。歌詞は今までずっとミケが書いてきていたので、僕の場合は今回の作詞で視野が広がったというわけではないんですけど、その中でも、「衝動」に関してはなるべく視野が狭くないようにはしたいと思いましたね。
――等身大の歌詞なんですね。
珀:そうですね。でも、歌詞を書くと気付くことが多くて、ちょっと恥ずかしい(笑)。
宗弥:自分で改めて「俺はこういう人間なんだ」って思ったりするからね。
珀:そうそう。歌詞って人間性がすごく出ると思うんです。例えば宗弥は、難しい言葉を歌詞に乗せるんですけど、彼は普段からそういう言葉を使っているんですよ。だから無理して使った言葉ではないんです。ミケだったら、視点や考え方がやっぱり真っすぐな男だなと思うし(笑)。
宗弥:あとは、「これ、前に言ってた!」ということもあるよね。歌詞ってドキュメンタリーなんですよ。
珀:だからこそ自分が書いた歌詞を見返すと、自分を改めて客観的に見ることになるので、ちょっとだけ恥ずかしくなるんです。自分を見つめ直すということですからね。
――自分の中にずっとしまっていたことも、出てきたりするかもしれないですね。
珀:そうですね。僕は大人になっても気持ちはずっとガキでいようと昔から思っていたんですけど、歌詞を見てそれを感じましたから(笑)。
◆とてつもないラウドな音とミケの高音とが織りなすサウンドがこのアルバムの一番の魅力(珀)
――今回のアルバムの聴きどころを教えてください。
Seika:まずは1枚を通して流れで聴いてほしいなと思うんです。もちろん聴き方は自由なんですけど、意図してこういうふうに作っているので、望みを言えば最初に1曲目から「宙言」までを1度聴いてアルバムの流れを感じてほしい。あと、前回のアルバム『GENESIS』と比べると、弦楽器隊がローチューニングにしていたりして音質が明らかに違うので、そういうことも楽しんでもらえたらと思います。ドラムに関しては全部気に入っているんですけど、一番は「Believer’s High」ですね。今回初めて挑戦した32分音符のめちゃくちゃ細かいフレーズが入っているので聴いていただけたらなと。
――そこはMVに映っていますか?
Seika:残念ながら映っていないんですよ(笑)。でも、豪華盤には「Solo Feature Clip」というのが入っているので、そちらで見ていただければ、「なるほど、こうやって叩いているんだ!」というのが見られると思いますので、ぜひ。
teru:僕も新曲の中では、「Believer’s High」ですね。全体的にシンセとピアノが入っているんですけど、ピアノソロのところはいつもとちょっと違って、激しく弾いてくれという宗弥の要望に応えています。それに反して「Refrain(Album-mix)」は全体を通して流れるような感じになっていて、オーケストラとピアノとミケの声を聴いていると気持ちいいです。
――「Refrain」はシングルとアルバムミックスでの全く異なる表情に驚かされました。
teru:そうですよね。「心灯-こころび-」もそうなんですけど、この2曲は元々アルバムではリミックスしようという話があったので、最初から振り切っていこうと皆で話していたんです。どちらのアレンジもいいなと思いました。
珀:僕の一番の推しは新曲です。とてつもないラウドな音とミケの高音とが織りなすサウンド、そこがこのアルバムの一番の魅力になってくるのかなと。ここまで太くて低いサウンドだと、普通はシャウトやデスボイスをする方が多いと思うんです。でも、そこを歌い上げるというのが新しいなと思って。そこを一番聴いてほしいですね。そして「Believer’s High」や「I’m a loser」は、曲の展開が面白いので驚かせられるんじゃないかなと思います。「Believer’s High」は、サビが終わってからのEメロで急に世界観が変わったり、歌詞の中でも世界観が違ったりして、サウンドとしても全く別の曲が入ってきたという印象を受けると思います。「Refrain」と「心灯-こころび-」のアルバムミックスもそうだし、驚きがいっぱいあると思うので、全体的に満遍なく聴いてほしいです。
――中でも「I’m a loser」はとても新鮮な印象でした。
珀:この流れで最初はラップをやるというのは、いろんな人がやっていると思うんですけど、激しくないラップからこのサウンドに入ってくる感じは、これまでにないと思います。元々はもっと攻撃的なラップでいくイメージだったんですけど、ミケが一番いいラップができるのはこっちだろうと思ったし、サウンド的にも別のものが合体している感じの方が振り幅があって驚きがあるだろうということでこういう感じになりました。
――これはミケさんだから歌える曲かもしれないですね。
珀:そうですね。もしヴォーカルが違ったら、最初に思っていた通りにやっていたと思います。ミケはこういうラップが上手いんですよ。初めて一緒にカラオケに行ったときもラップ曲を歌っていたんですけど、すごく上手くて。
ミケ:ちょっと! そういう言い方だと普段からカラオケに行っているみたいになるじゃん(笑)!
珀:(笑)。でも、昔一緒に行ったときに聴いたのがすごく印象的だったので、良いものは皆に聴かせたいなと。
――その時はミケさんは何を歌ったんですか。
珀:SOUL’d OUTだったよね。
――SOUL’d OUTはどの曲もすごく難しいですよね。
ミケ:そうですね。でも難しいだけに歌えると気持ちがいいんです。難しいけど、それをカッコいいなと思わせるSOUL’d OUTのラップ力はすごいと思ったし、そのスキルはずっと僕の印象に残っているので、今後も曲中に入ってくると思いますよ。
◆『EDEN』を出した今が本当のスタート地点(Seika)
宗弥:俺は今回、曲を作ってみて、並べてみて、聴いてみて、改めて曲を作るのが好きなんだなと思いました。それに情景が浮かぶ曲を作ることが得意で、そこが自分の持っているカラーなのかなと。「心灯-こころび-」もそうなんですけど、今回自分の中でアンビエントというのが裏コンセプトだったんです。だからEDMをやろうと思った時も、どちらかと言うとアンビエントに寄せて、BGMにできるぐらいのものにしました。曲にのせることも好きなんだけど、それよりまず情景が浮かばないと嫌なんだなと自覚しましたね。1曲ずつの情景を楽しんでもらえたらいいと思うし、一々歌詞を読まなくてもそこはすごく楽しめるんじゃないかな、と思います。そしてライブで観てもらったらまた違うだろうし、きっと自分もやる度に違うだろうし。そういうところが楽しいんじゃないかなと思いました。
――宗弥さんは今回「Epilogue」では一人で、「宙言」ではミケさんと二人で歌詞を書いていますが、作曲に比べて苦労するところはありますか?
宗弥:むしろ作曲のほうが苦労します。言葉を出すほうが楽なんですよ。例えば「それ取って」というのを音で表現するのは難しいじゃないですか。それに俺は喋るのが好きなので(笑)。もちろん作詞も苦労しないこともないですし、目一杯考えますけど、作曲と比べたらという感じです。中でも「Epilogue」は作曲の最後にやったのと、テーマも何となくあったので書きやすかったですよ。
――「Epilogue」というと言葉の印象から、最後に入る曲という印象があるのですが、アルバムのラストは「宙音」なんですね。
宗弥:これは、後書きの後にまだあるよということですね。最後にするんだったらタイトルは「ピリオド」だったかもしれないな。僕としては最後に「宙言」を聴かせたかったし、「宙言」が、ちゃんとピリオドになっていると思うんです。完全生産限定豪華盤と通常盤には「yell」が入るんですけど、初回盤ではここで一区切りなので、そういう意味では、辻褄が合っているなと。
mag:俺は1曲目の「群青」が一番好きな曲なので、それを聴いてほしいですね。俺、アルバムを全部聴くのが好きじゃないんですよ。面倒くさいじゃないですか。長いし(笑)。
――率直な意見ですね! 作り手からそんな言葉が出てくるとは意外でした(笑)。
mag:だって、1時間ぐらいかけて、人の曲を全部聴くのは大変じゃないですか。初めて買ったCDは聴きますけど、その後に集中して聴くことってあまりないと思うんですよ。
宗弥:確かに「よし、聴こう!」という感じで聴くのは、1回だけかもしれないね。
mag:でしょ? だからこそ俺は、1曲目が一番好きな「群青」で嬉しかったんです。アルバムのイメージって1曲目の感じがするじゃないですか。
teru:そうだね。それはわかる。
mag:俺たち的には「Believer’s High」が表題ですけど、普通に聴いていたら大体1曲目が印象に残りますからね。
ミケ:『GENESIS』だったら「コノセカイ」、『Sicks』だと「Clytie~クリュティエ~」…確かにそうだね。
――物語が始まるような「群青」は、このアルバムの幕開けにふさわしい1曲という感じがします。
ミケ:そうですね。子供の頃に思い描いていたものから始まるという。
宗弥:この歌詞の1行目で俺は泣くかと思ったからね! 〈号令〉って超好きなんだよ。すごくイメージが広がるじゃない。
ミケ:確かにそうかも(笑)。個人的には「宙言」が好きなんですけど、それより何よりこのアルバムを聴いて皆さんそれぞれ色々な印象を受けたら、その印象を持ってもらったままで良いのでライブで観てほしいんです。例えば、「私はこの曲はあまり好きじゃないな」と思っても、ライブで印象がガラリと変わる曲はたくさんあると思うんですよ。逆にライブで先に観て、「あの曲は良かった!」と思うこともあると思う。その良さは、やっぱりライブで一緒に体感しないとわからないと思うので、それを感じに来てほしいですね。
宗弥:曲によっては、アルバムを聴いた以上のインパクトを感じることもあるかもしれないですよ。このアルバムにはライブを意識せずに作った曲は1曲もないですからね。
――全てがBlu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」を見据えての作品なんですね。
宗弥:そうです。ステージ上のこともそうだし、観に来ている人とのコミュニケーションのあり方もそうだし、全体の画を考えて作っていますから。
ミケ:低音もライブで聴くと相当変わるだろうし、印象の残り方も違うと思います。ライブはすごく重要だと思うんですよ。
――楽曲たちはツアーの中でも、どんどん変化していきそうですね。
ミケ:ライブでの表現の仕方も、CD通りの方法だけでやるわけではないですし、うちのバンドはわりと頭の入り方を変えたりしますから。毎回一番良いライブが見せられるようにしているので、それを楽しみに来てくれたら嬉しいです。
Seika:今回のアルバムを出して、今が本当のスタート地点という感じなんです。アルバムを聴いてもらって、そこで満足せずにライブに足を運んでもらえたら、そこで本当の『EDEN』というものを自分たちで作っていけると思うので。それに尽きます。ぜひ遊びに来てください。
(文・後藤るつ子)
Blu-BiLLioN
<プロフィール>
ミケ(Vo)、mag(G)、宗弥(G)、珀(B)、teru(Key)、Seika(Dr)からなるロックバンド。2010年に結成し、同年10月に1stシングル『Count Down』をリリース。以降、精力的にライブ活動を展開しながら数々の作品をコンスタントにリリースし、2013年7月に1stアルバム『SicKs』、2015年7月に2ndアルバム『GENESIS』、2016年2月には13枚目のシングル『S.O.S.』をリリースした。2017年10月23日渋谷WWWを皮切りに、Blu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」がスタートする。
■オフィシャルサイト
http://blu-billion.jp/
【リリース情報】
『EDEN』
2017年10月17日発売
(Resistar Records)
【収録曲】
[CD]
01. 群青
02. The Awakening of Revolution
03. Believer’s High
04. 衝動
05. S.O.S.
06. 心灯-こころび- (Album-mix)
07. Refrain (Album-mix)
08. I’m a loser
09. Reach out
10. 響心identity
11. この手に在るもの
12. Epilogue
13. 宙言
14. yell(※完全生産限定豪華盤と通常版のみ収録)
【完全生産限定豪華盤】
[2DVD]
●DISC1
・Believer’s High -Music Clip-
・Believer’s High -Solo Feature Clip-
・宙言 -Lyric Video-
・スタジオライブ
・メンバーインタビュー
●DISC2
Blu-BiLLioN 6th Anniversary TOUR「Sing×Dance×Rock」ダイジェスト
(Member Director’s cut)
※BOX仕様&豪華ブックレット付。ポートレイト封入(完全生産限定豪華盤のみ/全6種封入)
【初回生産限定盤】
[DVD]
・Believer’s High -Music Clip-
・「EDEN」メイキングオフショット
※28Pブックレット付着せ替えジャケット封入(初回生産限定盤のみ/全6種よりランダム1種封入)
【ライブ情報】
●Blu-BiLLioN TOUR17-18-19「Strive for EDEN」
10月23日(月)渋谷WWW -7th Anniversary LIVE-
10月27日(金)名古屋APOLLO BASE
10月28日(土)静岡Sunash
11月4日(土)仙台HooK
11月5日(日)盛岡the five morioka
11月11日(土)熊本B.9 V2
11月12日(日)福岡Early Believers
11月18日(土)岡山IMAGE
11月25日(土)奈良NEVER LAND
11月26日(日)神戸VARIT.
12月2日(土)甲府CONVICTION
12月3日(日)水戸LIGHT HOUSE
12月9日(土)DUCE SAPPORO
12月10日(日)DUCE SAPPORO
12月16日(土)長野LIVE HOUSE J
12月17日(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
12月22日(金)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
12月24日(日)大阪ROCKTOWN
1月19日(金)新宿ReNY