Jupiter

Jupiterが奏でる究極のメロディックメタル。
ニューアルバム『THE HISTORY OF GENESIS』で描く「愛」と「美」。

2013年4月、Versaillesのメンバーとして活動を共にしてきたHIZAKI(G)、TERU(G)、MASASHI(B)、YUKI(Dr)に、ZIN(Vo)を加えた5人で活動をスタートさせたJupiter。これまでにシングル2枚、アルバム1枚、ライブ会場・オンライン・配信限定シングル2作を発表。国内ツアーはもちろん、2014年2月には早くもヨーロッパツアーを行うなど、激しくも美しいメタルサウンドで、ワールドワイドな展開を見せている。ギリシャ神話をモチーフに、愛と美を描いたJupiter待望の2ndアルバム『THE HISTORY OF GENESIS』について、初登場となるZIN(Vo)&HIZAKI(G)にたっぷりと語ってもらった。

◆ファン目線で見ていたバンドだった(ZIN)

――初登場ということで、まずはお互いの紹介をお願いします。

HIZAKI:ヴォーカルのJupiterです(笑)。(※取材前、ZINが誤って「ヴォーカルのJupiterです」と挨拶)

全員:(笑)

ZIN:すみません、緊張しているみたいで(笑)。

HIZAKI:ヴォーカルのZINです。

――ZINさんは一言で表すなら、どんな方でしょう?

HIZAKI:一言で言えるかなぁ。まぁ…可愛らしい息子ですよ(笑)。

ZIN:(笑)。

――HIZAKIさんはどんな方ですか?

ZIN:ストイックで尊敬できる人ですね。近くにいると刺激されます。いつも目標にしていて、彼の域に達さなきゃという思いでいますね。

――お二人の出会いは?

HIZAKI:以前ZIN以外のメンバーで活動していたVersaillesの時に、僕がソロを出すという話が上がって、ヴォーカルを探していたんです。それも新人の中で探していて、人づてに紹介されたのがZINだったんです。なので、出会いとしてはもう4年くらい前なんですけど。当時ZINは既にヴィジュアル系のシンガーではあったんですけど、ロック好き、メタル好きというか、幅がすごく広い人だなと。結局その話は流れてしまったんですけど、Jupiterを結成するにあたって思い出して、真っ先に連絡を取ってみたという感じです。

――連絡を受けたZINさんはいかがでしたか?

ZIN:当然Versaillesは知っていました。ライブも観させていただいていたんですけど、メタル好きとしては「やっぱりすごいな」という憧れの目線で。声を掛けていただいた時は「まさか」と(笑)。ファン目線で見ていたバンドだったので、本当に驚きしかなかったですね。

――憧れの先輩たちと一緒に活動することになって、最初はプレッシャーを感じる部分もありましたか?

ZIN:もちろんプレッシャーはあったんですけど、歌には自信があったので、僕の歌で引っ張っていくぞという気持ちもありますし、逆にそのプレッシャーをバネに変えて、起爆剤にしながらやってきました。

HIZAKI:引っ張っていってほしいですね(笑顔)。

ZIN:がんばります!

――結成当初と現在で、ご自身やバンド内の変化はありますか?

HIZAKI:プロ意識という面では、年を重ねるごとに強くなってきていて良い傾向にあるとは思うんですけど、今Jupiterを引っ張っていくという意味では、ZINの成長にかかっているところもあるので、その成長度合いがJupiterというバンドの変化の表れでもあるのかなと思います。

ZIN:1stアルバムを出した時は、僕はメジャーというフィールドでの音楽活動が初めてだったので、とにかく何から何まで初体験で。最初はあたふたしたところもありましたけど、今回二作目を出すにあたって、成長してきているぞというところをお見せできると思います。期待していてもらえればなと。

◆すぐにゴミ箱に捨てるんですよ(HIZAKI)

――この度リリースとなったアルバム『THE HISTORY OF GENESIS』のタイトルはどのように生まれたのでしょうか?

HIZAKI:今回のアルバムは、コンセプトを大事にしたいなと思いまして。バンド名がJupiterなので、自然とギリシャ神話に行き着いたというところがあります。今まで断片的にしか読んだことがなかったので、今回色々な本を読んだんですけど、何を伝えたいのかというのが、ずっといまいちわからなかったんですよ。歌詞を書いている時も半分くらい「?」があったんですけど、全部書き終わってから、「あ、ギリシャ神話ってこういうことが言いたかったんだ」というのが見えてきて。人間であるための愛と美の大事さを伝えたいのかなと感じたので、このアルバムはそういうことを言っていますね。

――夏から秋にかけての「ARCADIA」ツアーで、今作収録の新曲を披露してきたということですが、そうしたのは何かきっかけがあったんですか?

HIZAKI:それはですね、夏前にアルバムが出るはずだったんです(笑)。Jupiterとしては今までで一番長い、16本のツアーだったんですけど、それをアルバムを出さずにやるという。半分近くが新曲という形でツアーを回ったんですけど、本来はライブで曲を育てていくって、バンドの原点じゃないですか。それができたのは良い経験になったなと思います。

――逆にライブで披露していない曲はどのくらいあるんですか?

HIZAKI:半々くらいですね。ライブでやっていても、アルバムに入れてない曲もありますし。

――まだ音源化されていない新曲があるということですね。

HIZAKI:このアルバムを作るにあたって、曲出し会で挙がったのは30曲くらいはあったんです。前のアルバムが終わった時から曲は作り溜めていたので、僕で言ったらメンバーに聴かせていない曲も50曲くらいあると思うんですけど、僕、すぐにゴミ箱に捨てるんですよ(笑)。

全員:(笑)

ZIN:実は今回も、HIZAKIさんがボツにしかけた曲があるんですけど、それをメンバーで止めたんです(笑)。

――え! どの曲ですか?

ZIN:「THE MOON」という曲なんですけど。

HIZAKI:完全に僕のパソコンから消してたんです。

ZIN:でも、満場一致であの曲をやりたいということで。

HIZAKI:MASASHIくんが(データを)持ってたんだよね。

――残っていて良かったです。

ZIN:本当に。

HIZAKI:そういう曲がいっぱいあるんです(笑)。

――(笑)。ZINさんはツアーで新曲をたくさん披露してみて、いかがでしたか?

ZIN:ツアーとレコーディング同時進行だったので、パワーや感動を与え合って、それをそのままレコーディングに持っていくことができて、本当にファンの皆と一緒に作ったという感覚が強いですね。

HIZAKI:そうだね、アルバムを作ってる時にツアーもやってたもんね。

――同時進行はやはり大変でしたか?

HIZAKI:僕は体力が…三回くらい倒れました(笑)。今回はプロデュースも自分でやったり、僕らの場合、オーケストラ的なものもいっぱい入っていますし、歌詞もそんなに簡単にできるものじゃないし、プレイも難易度の高いことをやっているので、全てにおいて究極的に突き詰めていくと…切り替えが大変ですよね。でも、同時に三つくらいのことはできるようになりました。

――すごいです。

HIZAKI:ドラムを録りながら歌詞を作っていたり…できたもんね(笑)。

ZIN:人間、追い詰められるとできるようになるっていう(笑)。

◆大切なものに気付けた(ZIN)

――11月中のレコーディング時期のお二人のTwitterから、いくつかピックアップして伺いたいと思います。まずは11月4日。ZINさん「今までと違ったスタイルで歌ったから、とても新鮮だったし学ぶ事も多い曲だったよ☆」、そしてHIZAKIさんが「セクシーZINが録れて、ちょっと大人になりました」と(笑)。

全員:(笑)

――これは「THE MOON」でしょうか?

ZIN:正解です。

HIZAKI:セクシーZINを作るために、裸にさせたり(笑)。

――なんですか、それは(笑)。

ZIN:明かりをちょっと暗くしてみるとか、脱いでみるとか、そういう本当に些細なことが意外と歌にダイレクトに反映されるということがわかりまして、色々試しました(笑)。

――そうなんですね(笑)。この楽曲は本当に、ZINさんの歌声がひと際違いますよね。

ZIN:自分としてもすごく新しい挑戦ができたなと。成長を感じられるというか、引き出しが増えたなという喜びがありますね。

HIZAKI:そもそも、俺がこの曲をボツにしようとした理由というのは、多分まだZINにはこういう大人っぽい歌い方はできないだろうなって思ったんですよね。だから曲がどうこうではなくて、ヴォーカルスタイルを考えて、ゴミ箱に捨てたんです。まぁ、皆がそこまで言うならやってみようと。だから自分の中では、ヴォーカルが録り終わるまで、本当に入れるかどうかわからないっていう感じではありました。

――この曲はサウンド的にも、ジャジーな雰囲気の鍵盤が入っていたり、新しいJupiterですね。

HIZAKI:そうですね、ギターが脇役っていう。落ち着いてみました。

――続いて11月7日。HIZAKIさんが「アルバムを締めくくるギターソロは、ギター人生で一番のプレイが出来たよ!」と。

HIZAKI:レコーディングをやっていると、自分がギターを弾いているのかわからないっていうカチッとくる瞬間があるんですよね。ソロとかで感情を込めた時に。1アルバムに1回くらいの割合であるんですけど、その時って、自分がどこにいるのかもわからなくなる、本当に瞑想の世界というか。自分が高次の世界に辿り着けた瞬間というのは、やっぱり何とも言えないですね。

――そんな中、11月11日、ZINさんが「悔しいけど納得のいくテイクが録れなかった。難しい曲だから心も体も歌もベストな状態に持っていかないと。リベンジでは決めなければ」とのことでしたが、この曲とは?

ZIN:1曲目の「The Birth of Venus」も最後の「The History of Genesis」も、非常に難易度の高い曲だったんですけど、今回、自分自身で自分の歌に胸を打たれたいという思いでやってきて、どうしても次の次元に行った歌を歌いたかったんです。実は何回もレコーディングを延期してしまって。メンバー、マネージャーには迷惑をかけました。本当にすみませんでした!

HIZAKI:給料から引いておくんで(笑)。

――(笑)。HIZAKIさんのツイートにも「プロデューサーとしての目標は、ZINが自分の歌う声に感動して泣いてもらう事だね(*^^*)」という言葉がありましたね。

HIZAKI:プロデューサーがいると、その人を満足させるためにプレイするっていう現場が、すごく多いんですよね。自分じゃもうわからないことを言っているので、とりあえずプロデューサーがOKと言えばOKっていう。今回やっていく上で、ZINもちょっとそういう感じになってきたんですね。自分が満足することよりも、僕が「OK」と言うことが大事っていう。でも本当はそうじゃなくて、自分が納得するものを作ってほしいし、自分の歌で歌い終わったら泣くくらいの感動を。じゃないと人に伝わらないと思うので。どうやって泣かそうということばっかり考えてました(笑)。

ZIN:ミックスやマスタリングをしている時に、それまでのことが走馬灯のように蘇りまして、感極まりました。HIZAKIさんが「自分の中で納得する、感動するものを歌ってくれ」と言ってくれたことで、一つ大切なものに気付けて、より良い歌が歌えたのかなと思います。

――そして11月26日。HIZAKIさんが「次作アルバムを通して聴いてたんだが、この場所でLuminousが来て、更にトドメの1曲が来て。。泣きました…」と。曲順はすんなり決まったんですか?

HIZAKI:あるものを全部入れたわけではなくて、これを選んだという運命的なものがあると思うので、いつも曲の並びに悩むことはないですね。僕が叩き台を出して、3分くらいで決まるっていう。前作もそうだったな。

――すごく早いですね。このツイートの続きで「相変わらず歌詞は難しいから、セミナーでも開きたいなあ笑」とも書いてありましたが(笑)。

HIZAKI:「お前を愛してるぜ」みたいな歌詞に興味がないというか、僕が書かなくても違う人が書けばいいと思うので、自分に書ける歌詞って今回みたいなことだと思うんですけど、難しいものをちょっとわかりやすく言っていて、身近なものに置き換えられるというのも大事にしているので…説明会をしたいなぁと(笑)。言葉の一個一個を調べていくと、色々な意味が含まれているので、ちょっとでも気になった言葉は調べてもらったら、ものすごく広がっていくと思います。

◆ヴィジュアル系の原点、持つべきもの(HIZAKI)

――「Red Carnation」の女性の声はどなたですか?

ZIN:実は、私の歌の師匠です。なので、相性はバッチリだと思います。

HIZAKI:先生とのやり取りを見てると面白いですからね、すぐ怒られる(笑)。

ZIN:師弟関係なんで(笑)。

――(笑)。そして、「Shining」の爽やかさに驚きました。歌詞も他の楽曲よりもわかりやすいというか、リアリティがありますね。

HIZAKI:TERU(作曲者)はデザインもやっていて、ヴィジュアルを含めたイメージというのは強く持っているので、そのイメージを僕が言葉にしたという感じですね。TERUの頭の中を再現しました。お互い言っていることが難しくて、TERUも宇宙とか科学的なものは好きなんですけど、僕とは正反対のことが好きなんです。でも、最初はいつもぶつかるんですけど、話していくうちに結局「あれ? これ一緒のことじゃない?」っていうのが多くて。そこに辿り着くまでの話し合いが結構長いんです。

――同じバンドのメンバーなので、根本の考えは近いのかもしれないですね。

HIZAKI:客観的に見たら、全く逆のことを言っていたりするんですけどね(笑)。

ZIN:そのやり取りも非常に面白いんですよ(笑)。

――この曲に〈歳を重ねて強くなった? それとも臆病になった?〉という歌詞がありますが、お二人的にはいかがですか?

HIZAKI:…どっちでもある気はする。

ZIN:多くの人がどっちでもあるのかな。それが大人になるっていうことでもあるんですかね。

HIZAKI:やっぱり臆病にはなりたくないなと、誰もが思うことではあると思うので、自分のことを歌っている曲でもあるんですけど、バンドのことでもあって、何もビビらずに自分たちのやりたいことを信念を持ってやろうっていう気持ちも含まれていますし、あなたに向けてのメッセージでもあります。

――なるほど。ところで、今作のリード曲を「The History of Genesis」ではなく、「The Birth of Venus」にした理由というのは?

HIZAKI:まぁ…「The History of Genesis」は8分ありますからね(笑)。

――確かに(笑)。

HIZAKI:これでも短くしたんです(笑)。10分は超えるだろうなと思っていたんですけど、なるべく聴きやすく、シンプルな構成でやろうと思った結果、8分で。

ZIN:シンプルではないですけどね(笑)。

HIZAKI:でも、「The Birth of Venus」みたいな早くて綺麗なメロディというのは、僕たちの一番得意とするところでもあります。

――アルバムの幕開けを飾るにふさわしい、始まりを感じる楽曲ですよね。今日(取材日)のような晴天にもとても合うなと思いました。

HIZAKI:それは結構Jupiterのテーマ的なところでもあって。男性女性も、日本海外も関係なく、それこそ天候も、その人の精神状態も関係なく、どんな人でも聴けるというものをJupiterは目指しているんです。落ち込んだ時も元気な時も聴けるアーティストって、結構少ないと思うんですよね。全てっていうのはJupiterのやりたいところでもあります。

――さて、1月10日には主催ライブ、1月31日からツアー前哨戦としての東名阪公演、そして4月にはツアーがあります。主催ライブはまた濃い組み合わせですね(摩天楼オペラ、MEJIBRAY、NOCTURNAL BLOODLUST)。

HIZAKI:Jupiter主催としては2回目なんですけど、激しくて綺麗なバンドというのは、僕自身も中心となってもっと広げていきたいなと思うので、見た目も音楽もこだわっているバンドを集めました。僕が好きなバンドというのもあるんですけどね。こういうシーンがもっともっと広がっていけばなと思っています。

――リリースからツアーまで間が空くのは、何か意図してのことなのでしょうか?

HIZAKI:普通はアルバムを出したらすぐにツアーをやるじゃないですか。その時に新曲をやると反応が微妙だったりして、なんとなく早いなぁという思いは、いつもあったんですよね。だから、期間を与えるから、(曲を)覚えとけ(笑)。家で練習してから来い(笑)。

――(笑)。最後に、Vifをご覧の皆さんへメッセージをお願いします。

ZIN:素晴らしいメタルアルバムが完成しました。メタル好きな方はもちろんのこと、メタルに興味がある方、もしくはメタルに対して敷居が高く感じている方なども、洗練されたメロディがキャッチーで耳に残るものが多いので、メタルの世界にスッと入っていけるんじゃないかなと。入門編じゃないですけど、今回のアルバムが入口になれるんじゃないかなと思うので、少しでもメタルに興味がある方はぜひ聴いていただきたいなと思います。

HIZAKI:ヴィジュアル系の原点、持つべきものというのは、美しさだったり芸術的なところだと思うんですけど、僕自身美しいものを愛して、芸術として音楽をやっています。芸術というものを音楽に感じられることって少なくなってきていると思うし、そこを求めている人はJupiterの世界にハマると思うので、美しいものが好きなら、ぜひ聴いてみてください。

(文・金多賀歩美)

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Jupiter

<プロフィール>

2013年4月、Versaillesのメンバーとして活動を共にしてきたHIZAKI(G)、TERU(G)、MASASHI(B)、YUKI(Dr)に、ヴォーカリストZINを加えた5人で、Jupiterを結成。同年7月、UNIVERSAL INTERNATIONALよりシングル『Blessing of the Future』でデビューし、8月には1stアルバム『CLASSICAL ELEMENT』をリリース。2014年2月には早くもヨーロッパツアーを行うなど、ワールドワイドな活動を展開している。1月31日よりツアー前哨戦として東名阪公演を開催、4月4日よりJupiter Tour「Temple of Venus」の開催が決定している。

■オフィシャルサイト
http://jupiter.jp.net/

【リリース情報】


初回限定盤
(CD+DVD)
POCS-9080
¥3,500+税

通常盤
(CD)
POCS-1307
¥3,000+税

『THE HISTORY OF GENESIS』
2015年1月7日(水)発売
(発売元:zenorecords/販売元:ユニバーサルミュージック合同会社)
Jupiter待望の2ndアルバム。ギリシャ神話をモチーフに愛と美について描かれた、究極のメロディックメタル。

【収録曲】
[CD]
01. The Birth of Venus
02. LAST MOMENT
03. Darkness
04. B.L.A.S.T
05. THE MOON
06. 氷の中の少女
07. Church Candle
08. Red Carnation
09. 絶望ラビリンス
10. Shining
11. ARCADIA
12. Luminous
13. The History of Genesis
14. SACRED ALTAR(※通常盤のみ)

[初回限定盤DVD]
Music Video of
「LAST MOMENT」
「ARCADIA」
「The Birth of Venus」