2024.01.20
Luv PARADE@SHIBUYA DIVE
Luv PARADE Tour 2024「WAKE UP and REVOLT」
TAKA(Vo)、Karyu(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)によるLuv PARADEが、2024年の幕開けを飾る全5公演にわたるツアー「WAKE UP and REVOLT」の終着地で見せたのは、バンドとして一段階上に歩を進め、新たなフェーズへと向かう姿だった。
改めて振り返ると、Luv PARADEは2009年にD’ESPAIRSRAYのツアーの中でセッションバンドとして誕生し、2011年にD’ESPAIRSRAY解散発表後、HIZUMI(Vo)の喉の不調により解散ライブが行えない状況の中、サポートとしてTAKAがヴォーカルを務め、イベント出演を実現させた。その後、各々が精力的な音楽活動を続けてきたわけだが、2022年4月、約11年ぶりとなる再始動を発表。これまでに三度の主催イベント「DEVIL’S PARTY」を重ねてきたことに加え、2023年春には初の東名阪ワンマンツアー「Luv PARADE Tour PANDEMONIUM」を完遂した。
これまでの彼らはLuv PARADE流のアレンジを施した洋楽のカバーと、セルフカバーを中心にステージを展開してきたバンドであり、「平たく言うとカバーバンドではあるけど、それだけではないものがあると思っています」とは、先の東名阪ツアーファイナルでのTAKAの言葉。そのツアーをもって彼らは“セッションバンド”から真の“バンド”へと進化を遂げたと言って過言ではない。それを示すように、D’ESPAIRSRAYの結成記念日である9月9日に行った「DEVIL’S NEW WORLD」公演では、Luv PARADEとして初のオリジナル曲「NEW WORLD」を発表したのだった。
さて、今ツアー及び今宵の大きなトピックスと言えば、オリジナル曲第2弾となる新曲「MIDNIGHT SUN」と、新たなカバー曲「BORN」「BRILLIANT」(D’ESPAIRSRAY)、「インソムニア」(the Underneath)、「NEW WORLD」(BUG)が追加されたこと。本公演の1曲目を飾った新曲は、イントロからヘドバンの嵐を巻き起こす起爆力抜群のハードチューンで、アンコールでは同曲の動画撮影を可能としたことから、SNSで拡散されているので、ぜひ「#LuvPARADE」で検索してみてほしい(※VifオフィシャルXのポストはこちら)。
序盤に供された退廃的でヘヴィーな「BORN」では、赤青の照明が激しく明滅し、KaryuとZEROが立ち位置をスイッチしながらフロアの熱量を高めれば、どっしりとしたテンポ感のダークな「インソムニア」では、マイクスタンドを操り歌い上げるTAKAのパフォーマンスが目を引くものだった。さらに、本編ラストブロックに配された「BRILLIANT」には〈新しい未来〉という歌詞が含まれるわけで、今現在の彼らの思いともリンクするものだと感じずにはいられない。
なお、「NEW WORLD」(BUG)については「12年くらい前、この4人でLuv PARADEとして初めてステージに立った時にやっていた曲」(TAKA)であることから、厳密に言えば新たなカバー曲ではないものの、再始動後のLuv PARADEとしては今ツアーが初披露。もちろんこの日のラインナップにも組み込まれていた、記念すべき初オリジナル曲が同タイトルであるという事実は、その流れから考えると実に感慨深いものであるし、新たな世界を切り開いていくというメッセージは、これから先もこのバンドの核となっていくに違いない。
また、本公演において少しばかり意外性を感じたのが本編中盤の辺り。ダークなムードの「インソムニア」から、どうしたって体を揺らしたくなる「BAD GUY」(Billie Eilish)を挟み、次にTSUKASAのタム使いも映えるヘヴィーな「DAMNED」(D’ESPAIRSRAY)を。そしてドラマティックなバラードナンバー「My Heart Will Go On」(Celine Dion)、壮大かつリズミカルなアレンジの「Hyperballad」(Björk)と聴かせる2曲を続けた後、ポップなダンスチューンに色気を纏わせた「Dub-I-Dub」(Me & My)、主催イベントのテーマソング的立ち位置になっていることから現在の彼らに欠かせない「DEVILS’ PARADE」(D’ESPAIRSRAY)へ。
言わば曲調として近い雰囲気を持つ楽曲が一箇所にまとまらずに散りばめられながらも、終始熱量の高いステージを展開してみせたのだ。それを可能にしたのは、上記の楽曲たち以外も含め、カバー、セルフカバー、オリジナルに関わらず、全ての楽曲が今まで以上に“Luv PARADEの曲”としてバンド自身に浸透し、1ステージとしての表現に磨きがかかったからではないだろうか。無論、その結果に至ったのは「自分の中でLuv PARADE始まって以来、最高潮の記録を破ってしまいました!」(TSUKASA)、「5本目でこれだけ覚醒できるということは、今後のLuv PARADEにも期待していてください! もっとスゲー景色、皆で見ようぜ」(ZERO)というメンバーらの言葉が飛び出した通り、今ツアーあってこそのものであることは間違いない。
さらに、先に記した成り立ちのバンドであることから、「それぞれのバンドがありながら集まってライブをやったりして、ちょっとしたお祭りバンドかなみたいな感じで最初は捉えられていたかもしれません」とTAKA。そんな中、Karyuから「サイドプロジェクトとか、過去の延長上の感じではなく、新しい気持ちでLuv PARADEというバンドを本格的にやりたいなと思っています。色々形にしていくので、応援よろしくお願いします」との宣言があったことは、今後のLuv PARADEにとって極めて重要な意味合いを持つだろう。また、「相変わらず『ゲストヴォーカルTAKA』と書いてありますけど、この座を誰かに譲る気は全くありません! まぁ、代わりができるヤツなんていないと思っているので、よろしくお願いします!」と、TAKAが頼もしい言葉を残したことも記しておきたい。
今後のLuv PARADEの動きとして、早くも6月に「JOKER」と冠した全5公演のツアー開催が新たに発表された。2011年のステージ、2022年の再始動後初ステージが6月だったことから、「僕らからしたら周年なわけですよ。だから6月という月を大事にして、皆さん参加してもらいたいなと思います!」とZERO。しかも、そのツアーに合わせて音源の制作を進めるという。「皆さんそれぞれ好きなメンバー、推しのいるバンドとして遊びに来てくれている人もいると思うんですけど、そうじゃなくて、“推しのバンドLuv PARADE”と思われるように活動していきたいと思います」(TAKA)とのこと。待望の音源の完成と次期ツアー、新たなフェーズへ歩を進めるLuv PARADEに期待したい。
◆セットリスト◆
01. MIDNIGHT SUN
02. Toxic/Britney Spears
03. Poker Face/Lady Gaga
04. LOVE IS DEAD/D’ESPAIRSRAY
05. BORN/D’ESPAIRSRAY
06. インソムニア/the Underneath
07. BAD GUY/Billie Eilish
08. DAMNED/D’ESPAIRSRAY
09. My Heart Will Go On/Celine Dion
10. Hyperballad/Björk
11. Dub-I-Dub/Me & My
12. DEVILS’ PARADE/D’ESPAIRSRAY
13. BITE THE BULLET/the Underneath
14. Forbidden/D’ESPAIRSRAY
15. BRILLIANT/D’ESPAIRSRAY
16. MIRROR/D’ESPAIRSRAY
En1
01. NEW WORLD/BUG
02. sk8er boi/Avril Lavigne
03. The NeverEnding Story/Limahl
04. NEW WORLD
En2
01. MIDNIGHT SUN
(文・金多賀歩美/写真・堅田ひとみ)
【配信情報】
●Luv PARADE Tour 2024「WAKE UP and REVOLT」
1月20日(土)SHIBUYA DIVE公演
アーカイブ配信中
販売:2024年2月19日(月)21:00まで
アーカイブ視聴期間(最長):2024年2月19日(月)23:59まで
【ライブ情報】
●Luv PARADE TOUR 2024「JOKER」
6月1日(土)新横浜NEW SIDE BEACH!!
6月2日(日)西川口Hearts
6月8日(土)名古屋 SPADE BOX
6月9日(日)OSAKA MUSE
6月16日(日)新宿ReNY