2024.01.06
アンティック-珈琲店-@LINE CUBE SHIBUYA
「LIVE CAFE 20th Anniversary Final NYAPPY FOREVER o(≧∀≦)o Thank you all caffekko thank you all staff」

2019年1月6日をもって活動を休止したアンティック-珈琲店-が’22年6月24日に約3年半ぶりとなる復活ライブを行ったことは、カフェっ仔(アンティック-珈琲店-ファンの愛称)に限らず、多くのリスナーから注目を集めた。「OSAKA MUSE 35周年イベント“OUR CANVAS”」への出演依頼を受けて実現した同公演を経て、彼らはアンティック-珈琲店-が20周年を迎える’23年に活動を行うことを決意。活動再開を信じて待ち続けていたカフェっ仔や’19年以降にアンティック-珈琲店-を知った人達が快哉の声をあげたことは想像に難くない。

‘23年に入ってからのアンティック-珈琲店-は1月5日・6日にZepp Haneda(TOKYO)で「LIVE CAFE 20th Anniversary「令和で初NYAPPY o(≧∀≦)o>」」と銘打ったライブを行い、8月には東阪ツアーとなる「LIVE CAFE 20th Anniversary NYAPPY SUMMER NIGHT o(≧∀≦)o「アンカフェ、二十歳の夏~思い出せよ無邪気な頃~」」を開催。さらに、10月25日にドラマCD『バンドる!~バンドでアイドルしようぜ~』の主題歌となる『Fly again』をリリースするなど、充実した動きを見せた。

ライブは毎回大盛況で、「Fly again」も高い評価を得るなど、アンティック-珈琲店-の20周年は華々しいものとなった。そして、そんなアニバーサル・イヤーを締め括る公演「LIVE CAFE 20th Anniversary Final NYAPPY FOREVER o(≧∀≦)o Thank you all caffekko thank you all staff」が、’24年1月5日・6日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われた。今回の再集結は20周年限定だったことから、同公演は以降のスケジュールなどが完全に白紙の状態で開催。両日ともに多数のオーディエンスが集まり、大団円の1月6日公演はカフェっ仔の「2デイズでよかった。1日だと気持ちの整理がつかないから」といった声が聞こえてくる中でのライブとなった。

みく

落ち着いた雰囲気のオープニングSEが流れ、ステージ前面に下ろされた紗幕にメンバー達のシルエットが浮かびあがる。客席から起こる大歓声と拍手を圧するように「気合い入れていこうぜ、渋谷!」というみくの声が響くと共に紗幕が落ちて、「メープルガンマン」からライブは始まった。眩い光に染め上げられたステージにメンバー5人が並び立った情景とアッパーなサウンド、そしてオーディエンスが身につけた七色のサイリウムの光が揺れ動く客席。ライブが始まった瞬間からLINE CUBE SHIBUYAの場内は、アンティック-珈琲店-ならではの華やかな空気で満たされた。

takuya

その後は「ニャッピーo(≧∀≦)o!アンティック-珈琲店-です! 集まってくださって、本当にありがとうございます。20周年イヤーを一生懸命走り続けて来て、丸々1年経ったのかな。会えない時間とかも多くて思いが沢山胸の中にあると思うけど、それを余すことなく僕らにぶつけてもらいたいと思うし、僕らもしっかり届けたいと思います」というみくのMCを挟みつつ緊迫感を湛えた「逃避回路」やスタイリッシュ&パワフルな「生きるための3秒ルール」、’90sが香る「千年DIVE!!!!!」などが演奏された。

圧倒的なピッチの良さや絶妙の抑揚などが光るみくのヴォーカルと楽器陣による鉄壁のアンサンブルが生む上質なサウンドは心地よさに溢れているし、フィジカルなステージングを展開しながら演奏するメンバー達の姿に目を奪われずにいられない。オーディエンスも一体感のあるリアクションを見せ、場内の熱気はどんどん高まっていった。

カノン

ライブ中盤では「坊(アンティック-珈琲店-の旧ギタリストであり、バンドの創立者)くんへの沢山の感謝を込めて歌います」というみくの言葉と共に届けられた「オレンジドリーム」やウォームな「YOU」を経て、楽器陣にスポットをあてた「エトセトラ」を披露。お正月太りした身体を引き締めるエクササイズや“この人生で1度は言ってみたい甘いセリフ”などで、客席を大いに沸かせた。「ダックのマジカルアドベンチャー」で挿入された“それぞれが思うアンティック-珈琲店-のライブの定番曲を同時に言って、外したメンバーは罰ゲーム”という企画なども含めて、メンバーの素顔に触れられることも彼らのライブの大きな魅力といえる。今回のライブも大がかりな演出などに頼ることなく、等身大でオーディエンスを楽しませるメンバー達の姿が印象的だった。

ゆうき

ハイテンションな「モウソウモモウソロソロ」で幕を開けたライブ後半では、勢いと爽やかさを融合させた「Fly again」や疾走感を放つサウンドとキャッチーなメロディーを活かした「覚醒ヒロイズム」などが畳みかけるように演奏された。暴力的な激しさではなく、爽快感を湛えていき上げていくアプローチは気持ちを引き上げる力に溢れていて、オーディエンスの熱気もさらに高まっていく。本編のラストを飾った「スマイル一番イイ♀」で盛り上がりは最高潮となり、アンティック-珈琲店-がステージから去った場内は華やいだ余韻に包まれていた。

輝喜

数年のブランクをものともせず、1年間に亘ってより魅力を増していることを見せつけ、上質なライブで20周年を締め括ったアンティック-珈琲店-。エモさや心地よさを備えたハイ・クオリティーな楽曲や秀でた演奏力、メンバーのキャラクターを活かしたエンターテメント性などが折り重なった彼らのライブは、他では味わえない魅力に満ちている。アニバーサル・イヤーで唯一無二の存在であることをあらためて示しただけに、彼らが再び終結してくれることを強く願わずにいられない。

最後にアンコールを終えたメンバー達がステージ上で語った言葉を記しておこう。

「みんなのお陰で、本当に幸せな1年間をいただけました。この1年でメンバー全員音楽が好きで、アンティック-珈琲店-が好きだということと20年間なにがあっても支え続けてくれたみんなへの思いがあって、このバンドをやっていることを感じました。この後の僕達の予定はなにも決まっていないけど、僕達とみんなの中にある今の思いが次のライブにつながっていくと信じて、その日を楽しみに待っていようと思います。また、必ずアンティックカフェのライブで会いましょう。本当に、ありがとうございました」(輝喜)

「みんなに感謝しているし、このライブをしていてもこんな幸せを味わっていていいのかなと思うくらい幸福感に包まれていました。これだけファンのみんなとメンバーとスタッフが仲よしのバンドが終わることはないと思う。だから、またいつか会いましょう。20年間支えてくれて、ありがとうございました!」(ゆうき)

「この1年間、久しぶりの撮影だったり、久しぶりのスタジオだったり、いろんな経験をしてきて。この1年を通して、やっぱりバンドはすごく面白いなと思った。でも、20周年で活動しますと言った時にお客さんが1人だったら開催されなかったと思う。開催できたのはこれだけ集まってくれる皆さんのお陰だと思います。本当に、ありがとうございました」(カノン)

「今まで本当に沢山いろんな景色を見せてもらって、1つ1つが大切な思い出で、今日のライブも10年後、20年後、お爺ちゃんになっても忘れることはできないんじゃないかな。すぐに思い出せる、すごく幸せなライブだったと思います。さよならを言うつもりはなくて、またみんなで楽しい思い出をいっぱい作れたらいいなと思っています。また、会いましょう。ありがとうございました」(takuya)

「ずっと僕らのことを応援してくれて、心配してくれて、一緒にいてくれて、ありがとうございました。沢山活動を止めちゃったりして、いろいろ心配かけて。けど、戻ってくれて、待ってくれて、本当にありがとう。僕はたまに言われるんです、アンカフェを守ってくれてありがとう…みたいなことを。僕はそんなことは全く1ミリも思っていなくて、守ってくれていたのは本当に皆さんです。だから、僕の中ではメンバーと同じくらい大切な存在です。僕にとって家族のような存在で、本当にみんなの幸せを願っています。またこうやって集まれる時はみんなの顔を見たいですし、それまでどうか幸せに暮らしていてください。遠くから幸せを祈っています。ありがとうございました」(みく)

◆セットリスト◆
【2024.01.06】
01. メープルガンマン
02. 逃避回路
03. 生きるための3秒ルール
04. 千年DIVE!!!!!
05. テケスタ光線
06. スノーシーン
07. 恋のディペンデンス
08. オレンジドリーム
09. YOU
10. エトセトラ
11. NYAPPY in the world
12. AROMA
13. モウソウモモウソロソロ
14. ダックのマジカルアドベンチャー
15. Fly again
16. 覚醒ヒロイズム〜THE HERO WITHOUT A “NAME”〜
17. スマイル一番イイ♀

En1
01. ラフ・ソング
02. BondS 〜絆〜

En2
01. 世界にたった一つの温もり

(文・村上孝之/写真・菅沼剛弘)


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