2024.12.28
HIROTO@赤羽ReNY alpha
「HIROTO 1st ONE MAN LIVE『THE START UP CIRCLE GIG』at Akabane ReNY alpha」

2023年9月をもってAlice Nine.が無期限活動“凍結”となって以降、いち早く活発な動きを見せてきたギタリスト、HIROTO。彼がソロアーティストとしての本格始動を前に、“ep.0”としてHIROTO名義の初ステージを踏んだのが、同年12月25日のことだった。そして2024年、自身の誕生日である5月4日に開催したソロ本格始動の「ep.1『Starlight Festival』」公演では、HIROTOおよびAlice Nine.と関わりの深い総勢12名ものアーティストが顔を揃え、スペシャルな一夜となったことは記憶に新しい。
その後、イベント出演やサポートギタリストとしての動きもありながら、9月10日にはソロ初の音源となるデジタルシングル『Starlight Festival』を発表。かくして初ステージから約1年を経た12月28日、赤羽ReNY alphaを舞台に開催された「HIROTO 1st ONE MAN LIVE『THE START UP CIRCLE GIG』at Akabane ReNY alpha」は、ここまで記してきた流れと、その冠が示す通り、純粋なワンマン公演という形としては初のステージであり、HIROTOにとってまた新たな始まりの日となった。


そんな本公演のサポートを務めたのは、ナカヤマアキラ(G/Plastic Tree)、AKi(B)、Shinya(Dr/DIR EN GREY)、青(Key)という豪華布陣。加えてNao(Dr/Alice Nine.)、武瑠(Vo)、小林正典(Vo)、takuto(G/about tess)のゲスト出演もありながら、ハイライト尽くしのステージが繰り広げられることに。
まずはオープニングアクトとして、盟友Naoがなんと一人でオンステージ。「今日はHIROTOの1stワンマンにお越しいただき、ありがとうございます! HIROTOからドラム以外で何かやってくれと言われて」と、まさかのアコースティックギターを手に弾き語るスタイルで3曲(しかも1曲はオリジナルの「察して彼女」)を披露するという、鋼のメンタル(HIROTO談)で場を温めたのだった。なんでも2025年にギターヴォーカルデビューするとのこと。その暁にはぜひ彼の勇姿を見届けてほしい。


いよいよ迎えたHIROTOのステージは「zero gravity」「The New World」と、まさに新たな始まりを示すナンバーで幕を開け、ソロオリジナル曲とAlice Nine.のセルフカバー曲を中心に、様々な場面を経ながら全17曲が繰り広げられた。
ソロ曲としては、HIROTOから「思い思いに体を揺らしながら聴いてください」との言葉もあった、シティポップ的な要素を持つ「a crazy kiss」が前半戦での良いフックとなり、そこに「2024年のHIROTOを形にした曲」だという新曲「ALTERNA」が初披露されたのは当夜の大きなトピックの一つ。文字通りオルタナティブロックのこのナンバーは、ギター&ベースのユニゾンによるリフや〈限界なんてないさ〉〈終わりなんてないさ〉といったリリックも印象的で、そこに〈何度だって立ち上がれ〉と歌う「Bring It On Down」が続いた流れは実に見事だった。


3部構成で展開された本編前半ブロックと後半ブロックの間に配されたのが、「プログレッシブなバンドをやっているtakutoさんだけど、今日はメロウなギターで一緒に音を奏でていければ」と、HIROTO、takuto、青の3人編成で披露された2曲。「2020年のコロナ禍真っ只中にやったライブの時に原型があった曲を、4年越しに音源化しようとレコーディング中です。君が月で僕が太陽、僕が月で君が太陽、そんな僕らの関係を歌った曲」との言葉から、しっとりと、しかし確かな熱を込めて「君と僕と月夜の物語」が届けられれば、これまでAlice Nine.として12月25日にクリスマスライブを開催するのが恒例だったゆえ、「俺たちのクリスマスは今日だ!」との発言通り、〈心から大切な人に伝えたい〉と歌う「Merry Xmas to U」(Alice Nine.)で場内が温かな空気に包まれた場面も忘れ難い。


また、ゲストを迎えたナンバーは、前半ブロックにおいて「大切な仲間と大切にしてきたこの曲を贈ります」と、小林正典と共に披露した「cosmic world」(Alice Nine.)、後半ブロックで武瑠とプレイした熱量の高いAlice Nine.の2曲「ヴェルヴェット」「WHITE PRAYER」、さらに両名を迎え入れたハードチューン「DANCE LIKE CRAZY」。いずれもHIROTOがギターをプレイするのはもちろんだが、ギタリストに徹するわけではなく、ツインヴォーカル、トリプルヴォーカルで白熱のプレイを見せたのはHIROTOソロならではの光景と言えよう。


時系列は前後するが、後半戦の1曲目という重要なポジションに供されたのは、フロアを揺らしたHIROTOソロの始まりの曲「Starlight Festival」で、後に控えていたハードナンバーへの入口として十二分な役割を担えば、「一人になっちゃったと思っていたけど、応援してくれる仲間たちがいることを改めて実感しました。歩みを止めるわけにはいかない。これからも皆の前に立ち続けたいと思います。心を込めて今、そしてここからも大事に紡いでいきたいと思います」と、「FANTASY」(Alice Nine.)が本編ラストナンバーとなった。


アンコールでは「出会って21 年目だけど、こういうの初めてかも」と、ギターヴォーカルHIROTO、カホンNaoによるアコースティックの2人編成で「ブループラネット」(Alice Nine.)を演奏するというレアなシーンが繰り広げられたほか、「全力でぶつかるんで、全力で暴れてくれますか!?」と、再びのバンド編成でロックチューン「THE LAST EMPIRE」(Alice Nine.)を。そして、「AND U」でのエモーショナルなプレイをもって、この夜を締めくくったわけだが、その楽曲を前にHIROTOはこんな言葉を述べていたのだった。

「アーティストにできることはきっと、真心を込めて世界中のどこかにいる君に向けて音を鳴らし続けることだと思います。それに尽きると思います。素晴らしい仲間、先輩、色々な人の助けがあって、このステージができました。力を借りたからには、進まないわけにはいかない。2025年も世界中どこでも飛び回っていきます! もちろん日本も来年はもっともっと会いに行きたいと思います!」
その宣言を具現化する第1弾として、5月に生誕祭を含む東名阪ツアーを開催することが決定した。そして今後、2024年に制作を進めてきた音源の発表にも期待したい。この日、自身のソロ曲について「気づけば、ここから走り出そうという曲ばかり」との発言もあったが、新たな始まりとなった一夜を経て、ここから先もHIROTOは未来へ続く道を突き進んでいくだろう。



◆セットリスト◆
01. zero gravity
02. The New World
03. RAINBOW/エレファントカシマシ
04. cosmic world/Alice Nine.
05. a crazy kiss
06. ALTERNA
07. Bring It On Down
08. 君と僕と月夜の物語
09. Merry Xmas to U/Alice Nine.
10. Starlight Festival
11. ヴェルヴェット/Alice Nine.
12. WHITE PRAYER/Alice Nine.
13. DANCE LIKE CRAZY
14. FANTASY/Alice Nine.
En
01. ブループラネット/Alice Nine.
02. THE LAST EMPIRE/Alice Nine.
03. AND U
(文・金多賀歩美/写真・Lestat C&M Project)
【ライブ情報】
●HIROTO TOUR 2025 #1 『Fragment Galaxy』
5月4日(日)新宿ReNY ※生誕祭
開場16:00/開演17:00
GUEST:Shou(Vo/Alice Nine.、Verde/)
5月6日(火・祝)名古屋HeartLand
開場16:30/開演17:00
5月25日(日)心斎橋BEYOND
開場16:30/開演17:00
SUPPORT MEMBER:K(B)、影丸 -kagemaru-(Dr/-真天地開闢集団-ジグザグ)、青(Mani&Pf)