2023.10.13
H.U.G@赤羽ReNY alpha
「H.U.G TOUR 2023 -HELIOS-」

昨年始動したryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani&Key&Per)によるH.U.G。今年6〜7月に初のワンマンツアー「H.U.G TOUR 2023 -LOVE THAT NEVER ENDS-」を完遂し、真の意味でのH.U.Gというバンドの形を確立させた彼らが、その後2本のイベント出演を経て、東名阪を巡る「H.U.G TOUR 2023 -HELIOS-」を開催。そのファイナルが10月13日、赤羽ReNY alphaで行われた。

前ツアーはアルバム『HELIOS』を引っ提げ行われたものであったが、その最中に新曲「HELIOS」が誕生し、最強のライブナンバーとして各地のステージを盛り上げてきたことは記憶に新しい。その「HELIOS」が今ツアー開催と同時に発売となったシングル『CORE』に収められた。つまり、アルバム『HELIOS』のツアーを終えて、今度は楽曲「HELIOS」のツアーを開催したと捉えることもできるわけで、7月のインタビュー時点で「アルバムで表現したいことを詰め込んだ感じにしたい」「今後アルバム『HELIOS』と繋がって色々遊べるなと思っています」とKaryuが述べていたことを踏まえると、現時点のH.U.Gというバンドを端的に表す1曲が「HELIOS」であると言っても過言ではないはずだ。

約2時間にわたったこの日のステージが「HELIOS」で始まり「HELIOS」で終わった事実、さらに言えば東名阪の3公演全てでこの形が取られていたことは今ツアーを象徴するものであるし、ダンサブルでありヘヴィーでありキャッチーという多彩な展開と、オーディエンス参加型の要素も持つこの楽曲の起爆力は言わずもがなで、まさに彼らの魅力が1曲に凝縮されたものであることを改めて実感させてくれた。それだけでもこの冠を掲げたツアーとして大成功と言えるが、他にも記しておきたいことが多々。

ryo
Karyu
横山和俊

“ベテラン揃いの新人バンド”ゆえ、その進化のスピードが圧倒的であることは前ツアーファイナルのレポートでお伝えした通り。そこでバンドの形を確立させ、また新たなスタート地点に立ったH.U.Gが次なるフェーズでどんな姿を見せてくれるのか、期待の高まるものだった。まず、特筆すべき点はセットリストの変化、すなわちライブ運びの変化があったこと。そこに至るには、シングル『CORE』に収められたもう一つの新曲「VENUS」の存在が大きいと言えよう。持ち曲の数としては前ツアーからこの1曲が加わったのみだが、逆に言えばこの1曲があるだけで表現の幅が広がると同時に、他の楽曲たちとの相乗効果が生まれ、1ステージの魅せ方に変化をもたらす結果となった。

「HELIOS」の対となる曲だとryoの紹介があった「VENUS」は、跳ねたリズムにアダルトな空気を纏うナンバーで、〈愛のVENUS 神風だ 愛を降らす 神風だ〉というサビの掛け合いも印象的な、横山の作曲によるもの。これまでのH.U.Gにはなかったタイプの楽曲だが、ハードなナンバーが並ぶ彼らのステージの中で良いフックになり、これが不思議と潤滑油のような役割も担う。事実、この日の本編では「VENUS」の後にダークサイドの「熾-OKI-」、アンコールでは「VENUS」の後にデジタル色の強いダンスナンバー「Flash dancers」と、毛色の異なる楽曲が続いたわけで、おそらく「VENUS」はどんなセクションにも入れることができる、場面転換に最適な楽曲なのだろうと感じる。

そんな楽曲が生まれたことにより、メインコンポーザーKaryuの楽曲たちが並ぶ中で異質な存在だったゆえ、以前までフックの立ち位置にあった横山作曲による「BUTTERFLY」の印象が少し変わり、良い意味で他の楽曲たちとより馴染んで聴こえてきたのが興味深い。また、活動初期に作られた「熾-OKI-」「Marry of the blood」「Flash dancers」は、これまで3曲続けて披露されることが常だったが、それが分離したのも今ツアーでの一つの変化だった。

MASASHI
TAKEO

さらに、昨年12月以降、サポートメンバーNAOKI(B/FANTASISTA、ex.Kagrra,)、TAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)と共に5人編成でステージを展開してきたH.U.Gだが、今ツアーではベースにMASASHI(Versailles)を迎え、新体制でのステージとなったことはバンドに良い刺激をもたらしたに違いない。実際、「MASASHI君が入って、また全然違うH.U.Gをお見せできて良かったと思っています」(横山)、「新しいグルーヴも最高です」(TAKEO)と話す一幕もあれば、MASASHIは「3本とは言え、すごく濃いツアーを回らせていただきまして、本当にH.U.Gのメンバーが大好きです」と述べ、その良好な関係性が垣間見られた。

百戦錬磨のリズム隊が土台を支え、鍵盤やドラムパッドのプレイ、コーラスワークのみならずムードメーカー的な役割も担う横山、圧倒的な華やかさを持ち、終始熱量の高いパフォーマンスで重厚かつ鋭利なサウンドを響かせるKaryu、シャウト、ファルセット、ウィスパーヴォイスなどあらゆる声色を使い分け楽曲を表現するryo。今宵、様々な場面を経ながら全18曲(二度演奏を除くと全15曲)を繰り広げ、最後は満場のH.U.Gコールをもって幕となったのだった。

ステージを重ねるごとに進化を遂げていくことは、バンドとしてのあるべき姿と言えるが、この日Karyuから「このツアーは短いんですけど、バンドの成長がすごいなと思って」、さらにryoからも「たった3本なんだけど、確実にボルテージが上がっていく感じとか、皆が応えてくれる感じとか、めっちゃ良いツアーしたなって思っています」という言葉が飛び出した通り、メンバー自身とても手応えを感じたようだった。

今後のH.U.Gの動向としては、10月25日にシングル『CORE』の流通盤(ライブ会場限定盤とジャケット違い)がいよいよ発売されるほか、10月29日にCrack6主催「Crazy Monsters Halloween Party 2023」、11月5日にD主催「Mad Tea Party Vol.37」、12月22日にEins:Vier主催「KATHARSIS 2023」と3本のイベント出演が控えていることに加え、12月9日にはKaryuのバースデーライブ「H.U.G Karyu BirthDay Live -CORE-」の開催が決定している。H.U.Gにとってはメンバーのバースデーライブ自体が初となり、ここに『CORE』が冠されている点も気になるところ。その記念すべき日に一体どんなステージを魅せてくれるのか、祝福の思いと共に楽しみに待ちたい。

◆セットリスト◆
01. HELIOS
02. HUG
03. BLOOD PIN
04. VENUS
05. 熾-OKI-
06. Marry of the blood
07. DON’T DOUBT
08. DROP
09. BUTTERFLY
10. LOVE THAT NEVER ENDS
11. MEMBER CALL
12. WHO IS THE ROMEO
13. SEEDS
14. HEART

En
01. VENUS
02. Flash dancers
03. BLOOD PIN
04. HELIOS

(文・金多賀歩美/写真・春川眞)


【リリース情報】
●New Single『CORE』(流通盤)
2023年10月25日(水)発売

[CD]SIXR-002 ¥1,500(税込)
<収録曲>
01. HELIOS
02. VENUS

【『CORE』リリース記念インストアイベント情報】
10月21日(土)20:00~ タワーレコード新宿店 ※先行販売
10月28日(土)13:00~ タワーレコード池袋店
10月28日(土)17:00~ littleHEARTS.新宿店

※発売日前のインストアイベントは、予約販売でのイベントとなります。
※サポートメンバーを含む5名での開催となります(10月28日のみ、MASASHIは欠席となります)。
※イベント内容はトークイベント+サイン会(A4ミニポスター)を予定しております。当日の状況により、イベント内容は変更になる可能性もございます。予めご了承くださいませ。

【ライブ情報】
●H.U.G Karyu BirthDay Live -CORE-
12月9日(土)横浜みなとみらいブロンテ(Bronth.LIVE)
※サポートメンバー:MASASHI(B)、TAKEO(Dr)

●Crazy Monsters Halloween Party 2023
Day.2:10月29日(日)新宿ReNY
出演:Crack6、THE MICRO HEAD 4N’S、Kneklid Romance、Kαin、H.U.G、Dacco、クマムシ
司会:NoGoD団長
※H.U.Gサポートメンバー:MASASHI(B)、TAKEO(Dr)

●D主催「Mad Tea Party Vol.37」
11月5日(日)新宿BLAZE
出演:D、GOTCHAROCKA、luz、THE MICRO HEAD 4N’S、H.U.G
※H.U.Gサポートメンバー:NAOKI(B)、TAKEO(Dr)

●Eins:Vier Presents “KATHARSIS 2023”
12月22日(金)赤羽ReNY alpha
出演:Eins:Vier、メリー、H.U.G
※H.U.Gサポートメンバー:NAOKI(B)、TAKEO(Dr)

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