2023.12.09
H.U.G@横浜みなとみらいブロンテ
「H.U.G Karyu BirthDay Live -CORE-」

ryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani&Key&Per)により昨年始動し、今年6〜7月に開催した初のワンマンツアー「H.U.G TOUR 2023 -LOVE THAT NEVER ENDS-」で真の意味でのH.U.Gというバンドの形を確立させた後、10月には東名阪ツアー「H.U.G TOUR 2023 -HELIOS-」を、さらに7月以降4本のイベント出演も重ねるなど、精力的なライブ活動を通して、その都度進化を遂げてきたH.U.G。そんな彼らにとって初のバースデーライブ「H.U.G Karyu BirthDay Live -CORE-」が12月9日、横浜みなとみらいブロンテにて開催された。

改めて振り返ると、1stツアーはアルバム『HELIOS』を引っ提げ行われたものであり、そのツアー中に誕生した楽曲「HELIOS」がシングル『CORE』に収められ、東名阪ツアーの軸となった。そして迎えたKaryuのバースデー公演には、「CORE」というワードが掲げられていたわけで、このスライドしていくようなこれまでの彼らの流れから考えれば、ごく自然ではあるものの、そこにはもう少し踏み込んだ意味合いがあるのではないか、その答えはステージで明らかになるだろうと期待に胸を膨らませた。

ryo
Karyu
横山和俊

前ツアーから引き続きMASASHI(B/Versailles)、TAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)をサポートメンバーに迎え、祝福の思いを持って多くのオーディエンスが集結した記念すべき一夜は、メンバーのキャリアに裏打ちされた余裕さえ感じる「DON’T DOUBT」で幕を開け、バンド名の発端になった「HUG」で一気に勢いづけると、「今日が皆にとって特別な日になりますように!」とKaryu。ステージでの第一声を彼が発するのはこの日ならではだ。

前ツアーにおいて、僅か1曲の追加であっても楽曲の幅が広がるに伴いライブ運びに大きな変化が生まれることを実感させられたわけだが、ryoと横山によるユニットTAGの楽曲をアレンジした「Flash dancers」や、D’ESPAIRSRAYを起源としたダークサイドの「Marry of the blood」「熾-OKI-」も、回数を重ねる度にH.U.G色に染まり、他の楽曲たちと見事なグラデーションを描くのだから面白い。

その前ツアーで追加された曲である、跳ねたリズムにアダルトな空気を纏う「VENUS」は、やはり今宵も潤滑油のような良い役割を担い、さらにこの日、初披露となった新曲「ロゼ」はシティポップ的な軽やかなメロディーをH.U.G流のヘヴィーサウンドに落とし込んだ、これまでの彼らにはないタイプの楽曲だったことが新鮮で、ryoの歌声との相性も抜群。そこにドラマティックなバラードナンバー「LOVE THAT NEVER ENDS」、機械的でもあり浮遊感もある異質な「BUTTERFLY」が続き、聴かせるブロックとなった。

なお、「VENUS」「ロゼ」「BUTTERFLY」は横山の作曲によるもので、彼はメインコンポーザーであるKaryuが作らないようなタイプの楽曲を意識的に作っているとのことなので、この二人のベクトルの差によってH.U.Gというバンドの表現が広がっていくことも頷ける。この日のラインナップとしては、横山の楽曲が一つのブロックに並ぶ結果となったのが、かつてない形。今後、様々な組み方を試みた時に、それぞれがどんな聴こえ方をしてくるのかも興味深い。

MASASHI
TAKEO

また、MCでは11月のイベント出演以来、約1ヵ月ぶりのH.U.Gのステージということもあり、TAKEOが「うずうずしていました」と話せば、そのイベント時にはluzのサポートメンバーとして出演し、H.U.Gと対バンという形になったMASASHIは、「あの時は不思議でした(笑)。今日はしっくり来てる」と、その心境を述べる一幕も。

そして、メンバーのソロ回しを含む「MEMBER CALL」を皮切りに突入した本編最終ブロック。鉄板のライブチューン「WHO IS THE ROMEO」の途中で、横山がKaryuに「今日の主役です」と印字されたタスキをかければ、「一緒に歌ってください!」というryoの言葉からラストに「HEART」が届けられ、Karyuがオーディエンスの声を求めるように耳に手を当て、最後には投げキッスを送るシーンも見られた。

アンコールでは、MASASHIに代わり祥平(B/ΛrlequiΩ(アルルカン))がゲスト出演し、「BLOOD PIN」「HELIOS」「SEEDS」をプレイ。「H.U.Gはベーシストに困難の相が出ていて、固定しないという。H.U.Gは好きですか?」との横山からの問いに、祥平は「大好きです!」と即答したのだった。ちなみに、Karyuと祥平はオンライン飲み会から始まった関係とのこと。その後、ケーキを持ったMASASHIが再登場し、皆で「Happy Birthday」の大合唱を。さらに押すと鳴く鳥のオモチャをプレゼントすると、爆笑したKaryuは次なる楽曲「DROP」の最中にそれを咥えながらプレイする場面も。そして、再びの「HEART」をもって、この特別な一夜は幕を下ろしたのだった。

祥平(ΛrlequiΩ)
祥平(ΛrlequiΩ)/Karyu

1stツアー以降、最強のライブチューンとしてステージに欠かせない存在となり、10月時点でH.U.Gというバンドを端的に表す名刺代わりの1曲、すなわちバンドにとって重要なポジションを担ってきた「HELIOS」が、今宵このような配置となったことは意外で、それはH.U.Gがまた新たなフェーズに進んだことの証と言えるのかもしれない。

そして、ryoが随所で口にしていた「H.U.Gの核になっているKaryu君」という言葉は、元々このバンドの首謀者がKaryuであることに起因するものだが、つまり核=「CORE」、そしてシングル『CORE』、さらに本編とアンコール両方のラストナンバーが「HEART」であったこと、それは心臓すなわち人間の「CORE」の部分…そんな様々な意味合いが込められた冠だったのではないだろうか。

また、全ての楽曲において、難易度の高そうなキメすらも完璧に合わせるオーディエンスの抜群のノリに、H.U.Gと彼らを愛する人たちが共に積み重ねてきた時間の結晶が、この光景なのだと温かな感覚を覚えたことも記しておきたい。

H.U.Gの今後の動向としては、12月22日にEins:Vier主催「KATHARSIS 2023」への出演が控えているが、2024年3月に、ryoと横山の地元新潟を含む全5公演のツアー「H.U.G TOUR 2024 -VERSE-」を開催することが新たに決定した。サポートメンバーには、これまでもステージを共にしてきたTAKEOに加え、初参加となるベーシストNi~ya(NIGHTMARE)を迎える。新たな布陣で臨む春ツアーに期待したい。

◆セットリスト◆
01. DON’T DOUBT
02. HUG
03. DROP
04. BLOOD PIN
05. Flash dancers
06. Marry of the blood
07. 熾-OKI-
08. VENUS
09. ロゼ
10. LOVE THAT NEVER ENDS
11. BUTTERFLY
12. MEMBER CALL
13. WHO IS THE ROMEO
14. HEART

En
01. BLOOD PIN
02. HELIOS
03. SEEDS
04. DROP
05. HEART

(文・金多賀歩美/写真・折田琢矢)


【配信情報】
●H.U.G Karyu BirthDay Live -CORE-
配信チケット販売中

【ライブ情報】
●Eins:Vier Presents “KATHARSIS 2023”
12月22日(金)赤羽ReNY alpha
出演:Eins:Vier、メリー、H.U.G
※H.U.Gサポートメンバー:NAOKI(B/FANTASISTA、ex.Kagrra,)、TAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)

●H.U.G TOUR 2024 -VERSE-
2024年
3月8日(金)OSAKA MUSE
3月9日(土)名古屋SPADE BOX
3月17日(日)仙台ROCKATERIA
3月23日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
3月30日(土)赤羽ReNY alpha
※サポートメンバー:Ni~ya(B/NIGHTMARE)、TAKEO(Dr/PIERROT、Angelo)

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