2023.03.24
H.U.G@Spotify O-WEST
H.U.G First Showcase One-Man Live「SHOWCASE01」
昨年6月にLuv PARADE 主催イベント「DEVIL’S PARTY 2022」にてryo(Vo)、Karyu(G)、横山和俊(Mani&Key)の3人編成で初ステージを踏み、9月の同イベントからバンド名を“H.U.G”とし、正式始動した彼ら。そして12月、Luv PARADE vs H.U.Gのツーマン公演のステージ上で、3月24日Spotify O-WESTにてH.U.Gの1stワンマンライブを開催することが発表となった。
そこに冠されたのは「H.U.G First Showcase One-Man Live「SHOWCASE01」」。一般的に“ショーケースライブ”とは、デビュー時や新曲のお披露目などのプロモーション的要素を持つものや、次に控える公演への前哨戦として用いられ、通常のライブよりも比較的短い公演時間となることが多い。実際、本公演の発表時に「まだ動き出したばかりで突っ走っているバンドなので、フルサイズのワンマンになるかわからないけど、お試しという感じで」とryoが述べていたように、前ステージ時点でのH.U.Gの持ち曲数が8曲だったことを踏まえると、この冠にも頷ける。とはいえ初ワンマンを迎えるということは、バンドとして新たなスタート地点に立つと言えるはず。あれから約3ヵ月の間にどれだけの楽曲が生み出されることになるのかも注目の点であった。
前回のステージ同様、サポートメンバーにNAOKI(B/FANTASISTA、ex.Kagrra,)、TAKEO(Dr/Angelo、ex.PIERROT)を迎えたバンド編成で行われたこの日、横山が打ち鳴らすパッドとTAKEOが叩き出すドラムのユニゾンが楽曲の力強さを増幅させた、名刺代わりの1曲「HUG」でスタートを切り、様々な場面を経ながら最終的に披露されたのは全12曲(二度演奏を除く)。つまり、あれから4曲の新曲が加わったことになる。
大きく振り分ければハードな方向性の楽曲たちが並んだわけだが、それらはやはりこの5人編成となったことが多大な影響を与えているに違いない。と言うよりむしろ、それを前提とした曲作りであっただろう。TAKEOが口ずさむ姿も印象的だった序盤での「BLOOD PIN」、中盤に配されたH.U.G初となる横山書き下ろしの「BUTTERFLY」、そしてヘヴィーサウンドのヘドバン曲誕生となった「WHO IS THE ROMEO」では演奏を前に、間奏16小節でしゃがみ、ryoのカウントでジャンプしてほしいとのレクチャーがあり、見事に遂行してみせたオーディエンスに「一発でできたね。君たち最強」とryoが微笑む一幕も。
さらに「いくつになっても、どんな状況になっても、自分が一度描いた夢を決して諦めないでいると、その思いは必ず芽吹いて花になるよという歌です」(ryo)と、本編とアンコールのラストを飾った「SEEDS」は、横山が紡ぐ鍵盤のフレーズで始まり、聴かせる美しいサビのメロディー、イントロアウトロでのハードなリフ、NAOKIのスラップセクション、グッと来るKaryuのギターソロありと様々な魅力が詰まった楽曲であったことが印象深い。
また、既存曲のダンスチューン「Flash dancers」は元々ryoと横山によるユニットTAGの楽曲ゆえ打ち込み要素が強いものであったが、この日、よりバンドらしいサウンドに仕上がっていると感じられたのは5人編成2ステージ目にして早くもバンドとしての進化が表れた場面だったのではないだろうか。
なお、H.U.Gとしてはこの日が初の声出し可能な公演であったことから、「もっと声聞かせて?」(ryo)と求める場面もしばしば。それに応えるフロアの大歓声に喜びと恍惚の表情を浮かべるメンバーの姿は何とも微笑ましいものであったし、随所でメンバーコールが鳴り響いていたことはもちろん、オーディエンスと共に歌うことを想定して作られたであろう「HEART」がようやく真の形となったことは感慨深いものだった。
アンコールではメンバーそれぞれの声も届けられ、この日がコロナ禍以降初の声出し可能公演となったTAKEOが「久々にライブで皆の声を浴びて…本当に最高…」と実感のこもった言葉を吐露すれば、NAOKIは「H.U.Gっていいよねぇ!」と高まるテンションそのままにストレートな思いを。そして、横山が「去年の2月18日(自身のバースデー配信公演)にKaryu君を誘ったのが僕でした。フットワーク軽く出てくれて、そこからこんな展開になるとは思ってもいませんでした」とH.U.G結成の発端となった出来事を話すと、このバンドの首謀者であるKaryuは「思い返してみると、約1年でよくここまで来られたなと。忙しい皆さんに無理を言ってやってもらって今日ここに立っています! 結構しんどかったなと思いますけど、ここからもっとやっていくつもりなので、よろしくお願いします!」と宣言。それを受けryoは「あっという間に1年経って。まだこれが入り口ですけど、今日は今日で本当に最高の1日になったと思います」と述べたのだった。
本編で持ち曲全てを出し切ったため「さっき1回体験したから、もっと騒げるぞみたいな感じにならないかな!?」というryoの問い掛けから、二度目の「WHO IS THE ROMEO」「HEART」「SEEDS」を演奏したアンコール。KaryuがNAOKIと背中合わせになったり、横山と向き合いプレイするシーンも見られるなど、より自由度の高いステージングを魅せるバンドと、それに呼応するオーディエンスによって白熱の空間を描き出し、最後の最後に満場のH.U.Gコールで初ワンマンのステージを締め括ったのだった。
終わってみれば約2時間。多くの新曲を初披露する場であったことは確かだが、ショーケースと呼ぶにはあまりにも贅沢な一夜だった。しかしながらこの日、次なる展開としてH.U.G初となるツアー「H.U.G TOUR 2023 LOVE THAT NEVER ENDS」の開催が新たに発表されたわけで、すなわち今回のショーケースはスタート地点であると同時にツアーへ向けた前哨戦であったとも解釈できる。また、ツアータイトルから察するに、今宵のステージにおいてもこの上なくドラマティックだった愛の歌「LOVE THAT NEVER ENDS」が軸となっていくことは想像に難くない。「どんどんデカくなっていくH.U.Gを目撃しに全部来てください!」とはryoの言葉。その進化の過程を見逃さないでほしい。
◆セットリスト◆
01. HUG
02. DON’T DOUBT
03. BLOOD PIN
04. 熾-OKI-
05. Marry of the blood
06. Flash dancers
07. BUTTERFLY
08. LOVE THAT NEVER ENDS
09. HEART
10. WHO IS THE ROMEO
11. DROP
12. SEEDS
En
01. WHO IS THE ROMEO
02. HEART
03. SEEDS
(文・金多賀歩美/写真・岡本麻衣(ODD JOB LTD.))
【配信情報】
●H.U.G First Showcase One-Man Live「SHOWCASE01」
3月24日(金)Spotify O-WEST
アーカイブ配信中
【ライブ情報】
●H.U.G TOUR 2023 LOVE THAT NEVER ENDS
6月10日(土)西川口 Hearts
6月17日(土)福岡 DRUM Be 1
6月18日(日)山口 LIVE rise SHUNAN
6月23日(金)名古屋 E.L.L.
6月30日(金)OSAKA MUSE
7月7日(金)白金高輪 SELENE b2
<サポートメンバー>
Bass:NAOKI(FANTASISTA、ex.Kagrra)
Drums:TAKEO(Angelo、ex.PIERROT)