2022.08.18
GOTCHAROCKA@Spotify O-EAST
「GOTCHAROCKA TENTH ANNIVERSARY LIVE ~BEAUTIFUL DECADE~」

8月18日のO-EAST。それはGOTCHAROCKAの周年記念を祝う毎年恒例の大切な場。迎えた2022年、彼らの10周年記念公演「GOTCHAROCKA TENTH ANNIVERSARY LIVE ~BEAUTIFUL DECADE~」が行われた。

下記はGOTCHAROCKAの活動スタート時にオフィシャルサイトに記されたプロフィールの抜粋(JUNがこの日話した部分)。
『Vo.樹威の透明感と毒を持ち合わせる歌声そして聴くものを魅了する歌唱力・現代風刺を交えた印象的な歌詞が、メインコンポーザーを務めるGt.JUNが得意とするギターロックとPOPセンスに融合。そこにGt.十夜が加わり、抜群の歌唱力・演奏力、楽曲のクオリティを兼ね備えたヴィジュル系の枠に収まらない超本格的ロックバンドとして始動。まさに話題騒然の超大型新人バンドといえるだろう』

10周年を迎えるにあたってJUNはこれを読み返してみたのだという。ステージ上でこの文言についてメンバー三人が自虐的にツッコミながら談笑する場面があったわけだが、最終的には「改めて、これは目標なのかもしれないと思って。さらにプロフィールに近付くバンドになるように頑張ります!」(JUN)と告げたのだ。

彼らの最新作である10枚目のシングル『愛錠』がまさにソレであるように、実際このプロフィールはGOTCHAROCKAを表す文章としてしっくり来る。それは、彼らが元来持つ個性とバンドとしての方向性が10年前から現在も変わっていないことの証であり、そのうえでプレイヤーとしての個々のスキルの向上をはじめ表現の幅を広げ、バンドとして進化しているのだ。すなわちそれがGOTCHAROCKAの軸であり、魅力に違いない。

樹威

また今夏、GOTCHAROCKAは全国ツアーで各地を巡ってきた。延期となった3公演の振替が残っているものの、このアニバーサリーライブはツアーファイナルを兼ねた公演という位置付けでもある。緩急のある構成がドラマティックな「天秤」で幕を開け、様々な場面を経ながらラストナンバー「Ash」に至るまで全19曲が披露されたこの日。周年ライブと言えば、新旧の楽曲を織り交ぜたベスト盤のようなセットリストを想像しがちだが、先のインタビューにおいて樹威が「10年を総まとめしたツアーではなく、10年やってきて今こうですっていうツアーに」と述べていた通り、2020年以降に生み出された楽曲がセットリストの大半を占めていたことは特筆すべき点だ。

今年6月にリリースされたFC限定シングル収録の「BRAND NEW DEVIL」「DEATH FLOOR」はツアーを見据え遊び心を持って作られたものだけあって、フロアの熱を上げるのに十分な役割を果たしていたし、2021年12月に9.5枚目のシングルとして会場&通販限定リリースされた「SENSITIVE DARKSIDE」ではオーディエンスが“SENSITIVE BAT”なるツインメガホンを打ち鳴らしたり、2020年10月リリースの最新アルバム『POLYCHROME』収録曲であるハードナンバー「OUT OF SERVICE」では微笑ましくも見応え抜群のJUNと十夜によるツインのギターソロや、ステージ、フロアともにピースフルな暴れっぷりを見せるなど、歓声が聴こえてくるようなオーディエンス参加型のGOTCHAROCKAらしいライブを繰り広げていった。

なお、『POLYCHROME』は現在のGOTCHAROCKAにとって重要作品と言えるアルバムであり、発表当時から今後の活動の中でも重要なポジションを担っていくに違いないと思われたが、収録曲5曲がこの日のセットリストに配されたことはもちろん、リード曲「HYPER NEXT WORLD」が披露された場面では、らしさが詰まったメロディーとライブ映えするサウンド、場内全体を包んだ眩い光、不透明な未来へ恐れずに突き進むのだというメッセージ、その全てがあまりにも素晴らしかったことは記しておきたい。

JUN

また、中盤で披露された2020年の周年曲(GOTCHAROCKAでは周年記念公演用に制作した新曲をライブで初披露、来場者に同楽曲の音源を配布するのが恒例)であるバラードナンバー「サプライズ」は、闇から光を感じさせてくれるサウンドと〈手を伸ばせば触れられるのに 透明な壁が僕らを引き離す〉〈どうかお元気で お体には気をつけて いつかまた会える 時がまた動き出す〉といった実にリアルな言葉たちがやはり胸を打つものだった。歌い終えた樹威はここでこんな言葉を述べたのだった。

「10年間色々あったけど、例えるなら1枚の絵なのかなと。繊細な部分があれば豪快な部分があったり、色を付け忘れた箇所や、力が入り過ぎて破れた箇所があったり。俺たちにとって貴重で譲り渡すことができない10年間でした。ここまでやって来られたのは、皆がついてきてくれたお陰だと思っています」

本編ラストには、10周年というタイミングで生み出された「愛錠」をもって温かな空間を描きだしたわけだが、そこには〈気づけば遠くへ 悲しみも喜びも 戻りたい場所はない いつだって君がいる〉という歌詞が綴られている。そして、アンコールで披露された今年の周年曲は「Bring back memories」。一見、ここに矛盾のようなものを感じるが、進むために一度止まって振り返ってもいい、過去を思い出すことによって、そこには二度と戻れないのだということを逆説的に表していると考えるのは想像が過ぎるだろうか。ただ、少なくとも彼ら自身にとっては今が一番であり、過去に戻りたいとは思っていないというのが先のインタビューから明白だ。

十夜

テッパン曲「撃愛」「Hydrag」で暴れ倒した後、光溢れる「Ash」でこの記念公演は幕となったが、GOTCHAROCKAの今後の展開がこの日一挙に発表された。毎年8月18日に発表されてきた歴代周年曲をコンパイルしたAnnual songs collection『Scenes』を今秋リリース、そして11月19日の西川口Heartsを皮切りに全12公演にわたる「GOTCHAROCKA winter tour ‘22~’23「Once upon a time」」を開催。また、10月29、30日にはSHIBUYA REXにて2days公演「Review the GOTCHABEST」、11月13日には新宿ReNYにてJUNのバースデーライブも。

「1本1本これからのライブを、命を削るくらいの覚悟で届けていきたい」という樹威の言葉があったように、全身全霊で突き進むGOTCHAROCKAの10周年イヤーをぜひ後悔なきよう味わい尽くしてほしい。過ぎた時間は二度と戻らないのだから。

◆セットリスト◆
01. 天秤
02. BRAND NEW DEVIL
03. Baccarat
04. 花怨
05. SENSITIVE DARKSIDE
06. #スグ消シマス
07. PRISM
08. 桃源郷
09. 白いDIA
10. サプライズ
11. DEATH FLOOR
12. Chase!!!
13. HYPER NEXT WORLD
14. OUT OF SERVICE
15. 愛錠

En
01. Bring back memories
02. 撃愛
03. Hydrag
04. Ash

(文・金多賀歩美/写真・YOSUKE KOMATSU(ODD JOB LTD.))


【リリース情報】
●Annual songs collection『Scenes』
2022年秋リリース

【ライブ情報】
●Luv PARADE主催 DEVIL’S PARTY 2022 Vol.2
9月8日(木)Spotify O-EAST
出演:Luv PARADE(ゲストヴォーカル:TAKA)、Karyu Session BAND、NUL.、GOTCHAROCKA

●TENTH ANNIVERSARY TOUR ~COUNT DOWN~
9月12日(月)仙台Rensa ※7月13日の振替
9月15日(木)西川口Hearts ※7月9日の振替
9月16日(金)西川口Hearts ※7月10日の振替

●GOTCHAROCKA winter tour ‘22~’23「Once upon a time」
11月19日(土)西川口Hearts
11月23日(水・祝)川崎セルビアンナイト
11月26日(土)札幌SPiCE
11月27日(日)札幌SPiCE
12月3日(土)岡山IMAGE
12月4日(日)KYOTO MUSE
12月16日(金)仙台darwin
12月17日(土)郡山HIP SHOT JAPAN
12月18日(日)HEAVEN’S ROCK宇都宮2/3 VJ-4
2023年
1月13日(金)名古屋E.L.L
1月15日(日)OSAKA MUSE
TOUR FINAL
1月22日(日)池袋harevutai

●GOTCHAROCKA 2DAYS ONEMAN「Review the GOTCHABEST」
10月29日(土)&30日(日)SHIBUYA REX

●GOTCHAROCKA JUN Birthday Live開催!
11月13日(日)新宿ReNY

GOTCHAROCKA オフィシャルサイト