2021.06.28-06.29
LM.C@Veats Shibuya
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.2- “No Emotion”」
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.3- “Shibuya Cantabile”」
15周年という節目の年を前に、LM.Cが「The Best Live Ever」(=史上最高のライブ)と冠したライブシリーズのVol.2、Vol.3を開催した。
ライブタイトルには、毎回彼らの楽曲の名前が付けられ、前回開催の「Vol.1- “LET ME’ CRAZY!! “」に始まり、「Vol.2- “No Emotion“」「Vol.3- “Shibuya Cantabile“」と続いている。
今回のライブは、4月に開催されたVol.1から2ヵ月の時を経て、彼らにとって初となるVeats Shibuyaで2日間に渡って行われた。
コロナ禍で、多くのエンタテインメントに制限がかかる中での開催ではあったが、今回も政府の要請と、彼ら自身が培ってきた感染予防対策に基づく万全の体制での実施となった。
2021.06.28
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.2- “No Emotion”」
静かでありながら、期待と興奮が充満した会場内。
不意に響いた「Be STRONG, Be POP.」のデジタルなサウンドがその空気を一気に増幅させ、満場のハンドクラップがメンバーを迎え入れる。SEがバンドサウンドに切り替わると同時に、ステージ後方にバックドロップ幕が高々と掲げられた。
maya(Vo)が「LM.C始めます!」と高らかに宣言し、投下されたのは極上のダンスナンバー「Chameleon Dance」。
〈湧き上がるフロア〉を〈湧き上がる渋谷〉に替え、「ライブは一瞬で終わっていくから、最初からぶち上げよう!」と煽って、更なる熱を生み出していく。「渋谷、音鳴らせ!」の声に応え、フロアにはカラフルな光を放つタンバリンの鈴の音が響き渡った。
「ライブが久しぶりって人も多いんじゃないの? それぞれ事情があると思うけど、色々開放して、ライブだけに集中して一緒に楽しみましょう!」という言葉と共に「@FUNNY PHANTOM@」をドロップ。
Aiji(G)の奏でる轟音が空気を揺らし、アグレッシブなギターソロを展開していく。彼らが目の前で生み出す非日常の空間、その圧倒的な没入感に酔いしれた。
MCではmayaがこのライブのテーマについて「(コロナ禍で)どうなるかわからない中、今まで以上に一本一本、最高と名付けられるようなライブをしていくべきだなと思ったんです」と語った。
一方で、「それぞれのライブのタイトルに曲名を付けてやっているんですが、今日のタイトルはわかりますか? あれ、誰もわかってない? じゃあ、やるのやめようかなー!」と頬を膨らませ、笑いを誘うシーンも。
そんな和やかな空気から、この日のライブタイトルでもある「No Emotion」へ。
リリースは昨年だが、ライブではこの日が初披露。そのせいか、mayaはSNSで「歌唱難易度高めでノーエモどころかマジエモ」、曲が始まる直前には「ドキドキしています。今何を考えているかというと、歌い出しの歌詞」と口にするほど。
しかし、始まってみればそんなことは杞憂に終わり、アンニュイでメロディアスなギターから、弾けるようなパワフルなサウンドへと滑らかに展開。オーディエンスが一斉に掲げた拳が視界を埋め尽くした。
LM.Cがこれまで生み出してきた楽曲たちは、いずれもライブで育ち、彼らの体になじんできた。ここから育ちゆく「No Emotion」がどんな成長を遂げるのか楽しみでならないが、既に一等星の輝きを放っていたことを記しておこう。
さらに、久々の登場でオーディエンスを歓喜させた2008年リリースの「mR.century」、〈きっと何が起きてもうまくゆく〉〈だから何が起きても大丈夫〉と明るい光に向かって力強く手を引いてくれるような歌詞が胸に響く2010年リリースの「DAYS」。そして、揺蕩うようなメロウなサウンドから、ラストをAijiの高速ピッキングで劇的に飾った2007年リリースの「marble-s」を奏で、多彩なサウンドスケープを描いて見せた。
この日のMCの話題は、mayaが見たという誕生日の夢の話。その中で「ハッピーに生きろ」という言葉が飛び出し、ハッピーなキラーチューン「Happy Zombies」へとなだれ込んだ。
会場全体が〈どんなウイルスも怖気付くほどシャイン〉な幸福感に満ちていて、いつか全員で叫ぶ〈Happy Zombies!〉が聞けるであろう未来が待ち遠しい。
「明日のことも、この後のことも考えないで、ぶち上げたいんでよろしくお願いします」と前置いて突入した最終ブロック。
「この曲で育ってきたんだ俺たちは!」の咆哮と共に、2007年リリースの「METALLY」を投下し、〈ガス欠上等で飛び出せ渋谷〉と煽り一気に駆け抜ける。
同年発表の「OH MY JULIET.」では、AijiとサポートベーシストのmACKAzがスイッチして力強くプレイ。オーディエンスを更なる熱狂の渦へと導いていった。
マイクレスで叫んだ「ラスト!」の声を合図に、オリエンタルな歌声が響き、Aijiが大きく腕を広げてフロアを煽る。パワフルに鳴らされる轟音と狂騒感の中、ステージもフロアも怖いほどの熱が溢れ、突き抜けたライブ感に酔いしれた。
この日のライブ中にmayaが口にした「もう二度と戻らない時間を共有しましょう」という言葉が強く印象に残っている。たとえ声が出せない状況下でもライブを楽しむことはできる。それを身をもって証明し、許された時間を貪欲に味わい尽くそうとするメンバーとファンの姿は、どんな困難をも吹き飛ばす力強さに満ちていた。
終演後、Aijiは「セトリがキツイ(笑)。すげー疲れたな」と嬉しそうに口にした後、「何とかこのコロナ禍でも一歩ずつ、元のやり方でできるように。今は一歩一歩重ねていくしかないなと思っています」と語った。そして、「この会場も指定席でやっているけど、ここもパンパンにしたら楽しそうだよね。みんな色々制限がある中、本当にどうもありがとう」と締めくくったのだった。
誰もが、楽しくてたまらないといった表情で駆け抜けたVol.2。
Vol.1とは全く違う、実にエモーショナルな「最高」を見せてくれた二人に、心からの拍手を送りたい。
2021.06.29
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.3- “Shibuya Cantabile”」
快哉を叫ぶように高らかに鳴り響く「In Future, New Sensation」。
その音に呼応するように、背後のスクリーンでは直線や曲線がめまぐるしく動き回り、様々な形を描き出していく。
前日とは一味違った演出に重なる、華やかなギターの音と、mayaの凛とした声。映し出された「さぁ、始めよう」の文字にmayaの声がぴたりと合わさり、「The Best Live Ever Vol.3」は幕を開けた。
この日、最初に投下されたのは「ChainDreamers」。疾走感溢れるサウンドに乗せたポジティブな歌詞が気持ちを掻き立て、フロアの熱を上げていく。
さらに、「それぞれの楽しみ方で今日のライブを完成させましょう」という言葉を添えて「レインメーカー」をドロップ。この日の夜はまるでこの曲とリンクするかのような土砂降りで、〈土砂降りの中に君の声が聞こえたんだ〉〈気が済むまで立ち尽くし ずぶ濡れになればいい〉そんな歌詞一つひとつがリアリティをもって心に迫ってくる。
ここからなだれ込んだ「@FUNNY PHANTOM@」では、Aijiが手のひらを上に向けて人差し指で客席を煽り、明滅する光の中で強烈なギターを掻き鳴らす。グリッターでカオティックな狂騒は、オーディエンスのテンションをぐんぐん上げていった。
続いて投下された「mosaïque city」「mR.century」「DAYS」の3曲は、いずれも前日のセットリストにも組み込まれていた曲たちだが、同じ曲を奏でながら、前日とは異なる表情のライブを展開してみせるのはさすがの一言に尽きる。
「すごく久しぶりの気がするんですけどね」と言い添えて奏でられた、この日のライブタイトルにもなっている「Shibuya Cantabile」。
シンフォニックなサウンドを彩るように、ミラーボールの光の粒が降り注ぐ中、mayaの伸びやかな声と、Aijiのメロディアスなギターが優しく心地よく響く。2012年のリリースから9年半もの時を経て、c/wであるこの曲がライブの主役となる。そんな奇跡が起こるのも15年という長い歴史があってこそなのだ。
鳴り響くホーンセクションにオーディエンスが色めき立った「A Blueberry Night」。「Shibuya Cantabile」に続く曲としては異色の流れのようでありながら、意外なほどにしっくりと馴染む。新旧の楽曲を行き来する、通常のリリースツアーとは一味違った意外性のあるセットリストが印象的だった。
この日のMCでは、タイトルと開催地にちなんだ「渋谷」が話題に。2006年のデビュー曲のMV撮影から始まり、O-EASTでの初ワンマンライブ、さらに2011年の5周年には「Shibuya Cantabile」の歌詞にも出てくる〈タワレコ〉の屋上で、無観客ライブを全世界配信した話などなど、渋谷の思い出を振り返った。
その最中に、チューニングでギターを鳴らしたAijiに「やる気っすね先輩!」と話しかけ、終始楽しそうな表情を浮かべていたmayaだったが、ラストのブロックに入る直前には「終わっちゃうの、すげー寂しいんだよね」と名残惜しそうに呟いていた。
そんな寂しさを振り払うように「お次はこの曲!」と投下したのは「Happy Zombies」! さらなる楽しさを追い求めてダンスチューン「Hangover」をドロップすると、mayaは衣装の肩をはだけさせ、お立ち台を踏み鳴らしてリズムを刻み、全身全霊でこの空間を味わっていた。
「この曲が生まれて10年経ちました。LM.Cにとっても、こうやって集まってくれるあなたにとっても大切な曲に育ったんじゃないかなと思います」
この日のラストを飾ったのは「星の在処。-ホシノアリカ-」。いつもはシンガロングで彩られる楽曲だが、今はそれが叶わない。それでも、オーディエンスの心の声は、確かに二人に届いたことだろう。
客席の隅々まで明るく照らされる中、ステージ中央に並び立った二人が客席を見渡す。その表情や奏でる音から、彼らが今この瞬間を心から楽しんでいることがひしひしと伝わってきた。
万雷の拍手と最高の笑顔、この日この場に居合わせた全員で作り上げた空間は、まさに「最高」の名に相応しいものだった。
終演後、Aijiはサポートメンバーの二人をサムズアップで称え、mACKAzとは10年超、スタッフの中には20年を超える長い時間を共に過ごしてきた人もいると語った。
「ありがたいなと思う。至る所で15周年の重みを感じる機会があります」と話し、「ライブの本数がないからこそ余計感じることがある。そういうことを噛み締めながら頑張っていこうと思います。昨日と今日、最高のライブができました。みんなの協力があって成り立っているなと改めて思います。どうもありがとう」と締めくくった。
SNSで「ファン、メンバー、スタッフ。みんなにとって最高な時間になるといいなぁと思います」と発信していた彼の願いは、見事に叶ったと言えるだろう。
振り返ってみると2日間のライブの所要時間は、どちらもちょうど95分。そんなミラクルも二人の歴史の成せる技なのかもしれない。
最高で最幸な時間を全員で共有した2日間。次なる展開として8月8日に大阪ESAKA MUSE、8月12日には渋谷 WOMBでの公演が決定している。
次回、真夏の夜に彼らが一体どんな “最高”を見せてくれるのか、今から楽しみでならない。
◆セットリスト◆
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.2- “No Emotion”」
01.Be STRONG, Be POP.
02.Chameleon Dance
03.@FUNNY PHANTOM@
04.DOUBLE DRAGON
05.mosaïque city
06.No Emotion
07.mR.century
08.DAYS
09.Campanella
10.marble-s
11.Happy Zombies
12.GAME of LIFE
13.METALLY
14.OH MY JULIET.
15.MOGURA
16.The BUDDHA
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.3- “Shibuya Cantabile”」
01.In Future, New Sensation
02.ChainDreamers
03.レインメーカー
04.@FUNNY PHANTOM@
05.GAME of LIFE
06.mosaïque city
07.mR.century
08.DAYS
09.Shibuya Cantabile
10.A Blueberry Night
11.Happy Zombies
12.Hangover
13.DOUBLE DRAGON
14.No Emotion
15.Chameleon Dance
16.星の在処。-ホシノアリカ-
(文・後藤るつ子)
【ライブ情報】
●LM.C LIVE 2021開催決定
8月8日(日)大阪 ESAKA MUSE
8月12日(木)渋谷 WOMB
※詳細は後日発表
LM.C オフィシャルサイト http://www.lovely-mocochang.com/