2021.04.26
LM.C@恵比寿LIQUIDROOM
「LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.1- “LET ME’ CRAZY!!”」

“待望の”、そして、“最高の”ライブだった。

今年、活動15周年を迎えるLM.Cが、約半年ぶりとなるワンマンライブを開催した。
前回行われたのは、昨年10月30~31日のハロウィンライブ「LM.C Club Circuit’ 20 -Halloween-」。以降、長きに渡って沈黙していた彼らが本公演を告知したのは、今から僅か1ヵ月半前のこと。
この突然の発表は、沈黙の終わりを待ちわびていた人々にとって、この上ない朗報であり、歓喜の瞬間の到来だったに違いない。

ライブ前日、都内には緊急事態宣言が再発令され、街を行き交う人々にも緊張が漂っていたが、会場内は「会話、大声による発声や歓声の禁止」や「指定席、立ち位置指定」などが徹底され、感染予防のガイドラインに従った万全の体制での実施となった。

オープニングは「NO.9」。耳慣れたSEと共にメンバーがステージに姿を現すと、歓声はなくとも、空気が一気に華やぐのを感じる。
「お待たせ。LM.C、始めます!」
待ち焦がれていたライブは、mayaが投げかけたこの言葉で幕を開けた。

始めに投下されたのは、この日のライブタイトルにもなっている「LET ME’ CRAZY!!」。2010年のリリース以来、長きに渡って愛され続けているこの曲は、あっという間にファンの気持ちを一つにし、目の前に“いつものLM.Cのライブ”を作り上げた。
それと同時にこの光景は、これまで我々が当たり前のように享受していた時間が本当はとても儚く、そして大切なものだということを改めて感じさせるものでもあった。
〈変わらないよ 何が起こっても ずっと此処は君の居場所さ〉
そんな歌詞が胸を打ち、フロアにいる全員が、一瞬一瞬を噛み締めるように楽しんでいた。

この日、mayaの口から何度も「楽しみにしていた」「楽しくてしょうがない」という言葉や、感謝の言葉が伝えられた。何もかもが混沌としている時代の中で、この日を迎えられたことを喜ぶ気持ちは、メンバーもファンも同じなのだ。

そして、「15年分のLM.Cを詰め込んだ」というこの日のセットリストは、過去と現在を行き来しながら彼らの歴史を再確認できる、新旧織り交ぜた絶妙な楽曲たちで構成されていた。
「(今日のために)曲を選んだんですけど、どの曲も言葉が刺さってくるなと思いまして。だからこれをぶっ刺していこうかな」というmayaの言葉通り、14年前のものから昨年リリースの最新曲に至るまで、1曲1曲の歌詞が今改めて意味を持って迫ってくる。時代を経ても色褪せない、むしろ彼らが歌っているのは、今この瞬間にも通じる普遍的な真理なのだと改めて気づかされた。

そんな言葉たちを彼らの多彩なサウンドに乗せ、強烈な熱量とともにフロアに浴びせかければ、それを上回るような熱がフロアから打ち返され、空気がどんどん熱を帯びていく。ひたすらに熱く、文句なしに楽しい、これこそ彼らが「生のライブ」に重きを置いてきた理由なのだろう。

07年の楽曲「*BOOST+BUSTERz*」では、〈目を疑う人間爆弾〉を〈耳を疑う休業要請〉に替えた今の世を風刺する歌詞も飛び出し、〈ウイルスを片っ端からT・K・O〉してくれそうなパワフルなアクトを展開。続く「Fight Club」では、〈諦めるな 終わりじゃない〉〈逆境こそ楽しめ〉〈また この場所で逢おう〉という歌詞一つひとつが、まさにこの瞬間の世界を歌っているようで心が奮い立つ。

空気をガラリと変えてしっとりと奏でられた昨年リリースの最新曲「Campanella」では、星空のような光の粒の中、〈降りやまない雨も降らない雨も無い 陽はまた昇り また必ず落ちてゆく〉という静けさと強さを併せ持った言葉たちを、Aijiの奏でるギターが繊細に彩っていった。

この日のMCでAijiは「2020年は自分の音楽活動の歴史の中で最もライブをやらない年だった。去年より少なかったら俺の2021年は終わるから(笑)。今日もできるかわからなかったけど、やるしかないし、やらないことには次も見えないと思っている」と語った。
そして、去年実施したライブで、「政府の要請に従いつつ自分たちの基準でやれば、ライブはできるという実感を得た」と話し、今後も感染者を出さないためにスタッフ一丸となって取り組むことを約束した。

一方mayaは「久しぶりだね! 本物だよ?」「歌詞とかちょっとゴニョると『あー、こんな感じだった! こういうところありましたmaya!』という感じでお届けしています」と肩の力の抜けた言葉で笑いを誘い、「そこの扉を出たら現実が待っているから」「踊り倒していつも通りのLM.Cな感じでやってもらえたら」と、この瞬間を思い切り楽しむことの大切さを伝えた。

コロナ禍を予見したかのような歌詞が印象的な「Happy Zombies」に次いで、切ないラブソング「Yellow Beauty」が奏でられる。さらに、〈六識 全て捧げたい〉という至高の愛の言葉が織り込まれた「Avocado」では、「もっと踊ろうぜ!」というmayaの声に、フロアのそこかしこで今回のライブから導入された新たなグッズ、タンバリンのカラフルなライトが瞬いた。
曲が終わるたび、歓声やメンバーコールの代わりに響き渡るのはタンバリンの軽やかな音と拍手。これもまたライブの新たな景色の一コマとなるのだろう。

「(世の中が)1年前と何も変わっていないのであれば、今日ライブができているLM.Cは前に進んでいるのかなと。去年を経てライブをやれていることは幸せだと思います」というmayaの言葉どおり、彼らは前を見据え、意思をもって進み続けている。
そのことを裏付けるかのように、この日、初の配信ライブを検討していたことや、今後のライブの予定なども明かされ、ポジティブなニュースと、絶妙な掛け合いで展開されるmayaとAijiとの和やかな会話に、会場に笑顔が溢れた。

そして、不意に飛び出した「また会える日をね…あー、寂しいな既に!」というmayaの言葉に、彼らがこのライブを心の底から楽しんでいることが改めて伝わってきたのだった。

「ラストのブロックに入ったら駆け抜けて過ぎていくので、思い残しのないようにね。皆さんの代わりにヴォーカルmayaがたくさん声を出すので、その分踊って帰ってほしいと思います!」
そう言って投下されたのは、最高のダンスナンバー「Chameleon Dance」。強烈なライトが瞬く中、ハンドクラップが響き渡り、全員でフロアを揺らす。
mayaの「さーわーげー!」という咆哮に更に勢いは加速し、AijiもサポートベーシストのmACKAzとスイッチして下手へ。ハンドクラップで煽り、フロアを歓喜の渦に叩き込んだ。

間髪入れずに「DOUBLE DRAGON」が、そして「我々LM.Cは15年前に、この曲で始まりました。やるかやらないか…やるしかないだろ!」と彼らの歴史の出発点となった「☆Rock the LM.C☆」が投下され、ステージでバンドロゴが描かれたフラッグが大きく、力強く振られる。

そして畳みかけるように「ここにはマジで仲間しかいないから! いろんな夜を、いろんな日々を乗り越えて集った仲間しかいないんで! 行こうぜ!」と「The BUDDHA」が奏でられると、一瞬たりとも目が離せない強烈なアクトに応えるように、拳が力強く突き上げられた。

ここでラストの1曲に行く…はずだったのだが、「さっき『Chameleon Dance』の歌詞を思いっきり間違えちゃったから、もう1回やっていいですか?」という照れ臭そうなmayaの言葉が。レアな展開に客席も大いに沸き、メンバーも、そしてファンも、1回目に負けるとも劣らないテンションで嬉しいサプライズを堪能した。

この日のラストを飾ったのはポジティブなパワーに満ちた「PUNKY ❤ HEART」。まばゆい光の中、全員が高く高く上げた手が視界を埋め尽くし、その場にいた全員で力の限り駆け抜け、ライブはこの上ない幸福感と共に幕となった。

終演後、「ライブってこんなに暑かったっけ!?」と話すmayaの顔は実に幸せそうだった。Aijiが口にした「今まで当たり前だったことが当たり前ではなくなってしまって、これがいつまで続くかわからないけど、コロナが明けたら『声が出せないライブなんて貴重だった』って思えるんじゃないかな」という言葉どおり、きっといつか、この不安な日々を懐かしめる日が来ることだろう。そしてその日が一日も早く訪れることを願ってやまない。

そんな中で行われたこの日のライブは、そのタイトル「The Best Live Ever」(=史上最高のライブ)に恥じないもので、居合わせた全員が、彼らの2021年の力強いスタートを目の当たりにすることとなった。

このライブタイトルに書かれている“Vol.1”の文字。不透明な時代にあっても、彼らの目には“史上最高のライブ”が更新されていくヴィジョンが、しっかりと見えているに違いない。

そして、それを確かなものとするように、mayaの口から「6月、8月、10月にライブをやりたい」という言葉も飛び出し、客席を歓喜させた。まず、6月の公演が発表されたので、下記情報をチェックしていただきたい。

来月からはYouTubeでの企画もスタートさせ、決意も新たに15周年へと突き進むLM.C。この先も、我々を驚かせる新たな展開を用意していてくれることだろう。

どんな困難な状況下でも、LM.Cに悲観や絶望なんて言葉はふさわしくない。だから共に前を向いていよう。
そう、〈飛ばない言い訳を並べてうつむいて歩くなんて 僕らには似合わない〉のだから。

◆セットリスト◆

  1. LET ME’ CRAZY!!
  2. Loud_Mucker_Complex.
  3. Space Wannabiez
  4. GaMuShaRa
  5. *BOOST+BUSTERz*
  6. Fight Club
  7. Amnizia
  8. Campanella
  9. -SORA涙色-
  10. Happy Zombies
  11. Yellow Beauty
  12. Avocado
  13. Chameleon Dance
  14. DOUBLE DRAGON
  15. The BUDDHA
  16. ☆Rock the LM.C☆
  17. Chameleon Dance
  18. PUNKY ❤ HEART

(文・後藤るつ子)


【配信情報】
●LM.C Official Youtubeチャンネルメンバーシップスタート!
メンバー個人の生配信や、今までに無い企画動画等、ここでしか見れないコンテンツが盛りだくさん!
5月1日(土)19:00〜
URL:https://www.youtube.com/channel/UCUEaEhl0guunVj-Tq8W7jTw

【ライブ情報】
●LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.2- “No Emotion”
6月28日(月)Veats Shibuya

●LM.C LIVE 2021 -The Best Live Ever Vol.3- “Shibuya Cantabile”
6月29日(火)Veats Shibuya

※詳細は今後の情勢を鑑みて、追って告知となります。

LM.C オフィシャルサイト http://www.lovely-mocochang.com/