
番外編 ~レイヴ 終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」レポート~
“終活”を一時休止することを決めたレイヴが、終活再開前に行ったラストワンマンライブ「5×1=レイヴ」。連載の番外編として、バンドにとってもファンにとっても一つの大きな区切りとなるライブの模様と共に、これまで応援してくれた、そしてこれからも待っていてくれるであろうファンの皆様への4人からのメッセージをお届けする。
2020.12.18
レイヴ@TSUTAYA O-WEST
レイヴ 終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」

2020年いっぱいで全ての活動を終了することを宣言していたレイヴが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、この12月18日のワンマンライブをもって“終活”を一時休止することとなった。それに伴い、ラストワンマンツアーなど一部の日程は終活再開後に延期となる。
バンドにとってもファンにとっても一つの大きな区切りとなるこの日、ステージ後方には「5×1=レイヴ」の文字が書かれたバックドロップが高々と掲げられていた。このタイトルについてレンは、「元の数字に1という数字をどれだけ掛けても答えは変わらず元の数字のままであり続ける。だからレイヴにあなた一人を掛けたらレイヴのままであり続け、それがレイヴという答えになる」と教えてくれた。この夜、目の当たりにするであろう「レイヴ×あなた=レイヴ」の答えとは一体どんなものなのだろう――。
定刻の18時、明滅する光の中、爆音のSEと共に凪(Dr)、悠(B)、nisa(G)が姿を現し、ギターを持ったレン(Vo)がステージの中央に立つと、いよいよライブが幕を開けた。1曲目は、今年2月に開催されたワンマンツアー「序章」で会場限定発売されたシングル曲「ドリップ」。レンの静かな独唱、そして「ヒーロー見参!」という言葉に会場内に光の粒が弾ける。そして、何よりも4人から伝わる強い気迫に息を呑んだ。
天を指差し、絶叫し、時におどけたポーズで、フロアを先導していくレン。にこやかな笑みをたたえながら華やかに旋律を奏でるnisa。力強く心地よい極上のグルーヴを作り上げていく悠。安定感のある細やかなプレイでバンドの屋台骨を支える凪…この日、ステージに立つ一人一人が、いつにも増して圧巻の存在感を放っていた。そして、このステージがしばし観られなくなることへの飢餓感からか、会場内にはこの瞬間を楽しもうという貪欲な空気が満ちていて、発声やモッシュへの制限をものともせず、高く上がった拳が、ヘドバンの嵐が強烈な熱を生み出していた。


「カモン、凪すけ!」の声で始まった「アイコトバ」で、ここから再び彼らお得意のお祭り騒ぎがスタート。「フラチズムディナー」ではnisaと悠の力強いシャウトが会場の熱を上げ、「UKIYO」ではフロアに扇子が舞い、風を巻き起こす。盟友みくるとの最後の楽曲「ナミダヒロイン」、降り注ぐ光の中で丹念に奏でられた「タイムカプセル」、そして語り掛けるようにやさしく歌い上げた「初恋」と、メッセージ性の高い楽曲たちを次々に届けていった。
「よーWEST、元気か?」そんないつも通りのレンの挨拶。拍手のみの精いっぱいの反応に、「声は別に要らないっす。聞こえてるんで大丈夫」と優しく言葉をかけると、穏やかな空気が会場いっぱいに広がっていく。
そうかと思えば、本編後半には「サイコキラー」「ツミトバツ」「「転んだ。」」とヘヴィな暴れ曲が顔を揃え、レンらしい破天荒なセットリストが、まるでジェットコースターのように観る者の気持ちを揺さぶり、本編ラストを飾った「BOTEKURI」まで、強烈なインパクトを持った楽曲と共に駆け抜けたのだった。
間髪入れずに沸き起こった拍手に応え、笑顔で姿を現した4人。この日のチケットが見事ソールドアウトしたことに触れ、5年前の12月に行われたO-WEST公演の雪辱を5年越しに果たしたことを報告した。
アンコールにも最高のラインナップが用意されており、「俺らがお前らぶち上げてやるけんな!」の咆哮で「脳内プレイ」を投下。コロナ禍での感染防止対策のためメンバーもステージの際までは出られないものの、レン、nisa、悠は許されたギリギリのラインまでせり出して全力でライブを展開していく。コロナ禍での様々な制限の中で、今この瞬間できる最大限のライブをし、ファンもまたそれに見事に応えたのだった。


この日、メンバー一人一人からファンへのメッセージが送られた。
「この8年間は自分の今後の人生の中の、大切な宝物の時間だと思います。すごく色々経験できたし、かけがえのない仲間もできたし。このメンバー以外ではもうドラムを叩く気はないなと思えるくらいになれました。皆も8年間、長いようで短い時間、応援してくれて本当にありがとうございました」(凪)
「今日ライブをしてみて、やっぱりすごく制限があって。100%じゃないから、ちゃんとできるようになった状態でリベンジしたいなと思いました。僕らも新しい夢に進んでいくと思うけど、同じ空間に集まれる時がきたら、その時はまた皆で集まれたらと思います。また会いましょう! じゃあな!」(悠)
「すごくフラットな状態でまた帰ってきたいと思っているし、帰ってこさせたいなと思っています。万全の状態でやりたいという気持ちがあるので。僕らも、戻ってきてほしい人たちがいたら全うするために戻ってくるので、待っていて下さい」(nisa)
「今年はコロナもあって、絶対って本当にないなと思ったんです。明日でさえ絶対なんて言いきれないし、絶対5人で終わらせようねって言っていたけど、それも絶対ではなかった。だからライブをするんよね。明日がわかっていたらライブせんでよかやろ。今ここに集って同じ気持ちで共鳴するのがライヴだから、不確かだから皆で今を叫ぶんよ」(レン)
そして、「架け橋として、最後に最高のとんでもない1曲をお前らの細胞に埋め込んで終わりたいと思います」と奏でられたのは、本来の活動終了ラストワンマンツアーのタイトルにもなっていた「Day×Bye×day」。彼らが上京したときの思いを綴ったこの曲が、今の彼らに重なる。涙を抑えることのできないフロアに、4人の優しい視線が向けられ、温かな時間は終わりへと向かって行った。
歌い終えたレンが晴れやかな表情で、「楽しかったね。バンドって最高やけん!」と告げ、最後は全員が心の中で叫んだ「サディスティック!」のコールで、全23曲と共に、レイヴは8年4ヵ月の活動に一旦の終止符を打った。
また会う日までのしばしの別れ。不確かな時代の当てのない約束。でもいつかきっと果たされるに違いない再会を信じさせてくれる、彼ららしい希望に満ちたライブだった。それまで笑って待っていたいと思わせてくれた彼らと、彼らの音楽を求める全ての人がまた再び会い「おかえりなさい」と言えるその日まで。
「またね」。
セットリスト
- ドリップ
- SETSUDAN
- アンチメランコリック
- ミッドナイト盛場
- わりきりララバイ
- 妄想×カニバリズム
- アクメ狂詩曲
- アイコトバ
- フラチズムディナー
- UKIYO
- ナミダヒロイン
- タイムカプセル
- 初恋
- たかが世界の終わり
- サイコキラー
- ツミトバツ
- 「転んだ。」
- BOTEKURI
EN
- 脳内プレイ
- オヒトリセレナーデ
- サブカル
- 人生つらみちゃん
- Day×Bye×day
メンバーからファンの皆様へ
これまで応援してくれた、そしてこれからも応援してくださる皆様に、4人のコメントをお届け!
(写真・遠藤真樹/文・後藤るつ子)
レイヴ
レン(Vo)、nisa(G)、悠(B)、凪(Dr)によるロックバンド。2012年8月に福岡県で結成し、1stシングル『ALIVE』をリリース。2016年10月にみくる(G)が病気のため永眠。2017年3月に1stフルアルバム『不幸福論』をリリース。2018年3月、24RECORDSに移籍し、5月に移籍第1弾としてミニアルバム『メンブレさん通ります。』を、その後シングル『ハラスメント』『スーサイドBABY』『BOTEKURI』『初恋』、2020年2月に会場限定シングル『ドリップ』をリリース。2月25日に年内をもって活動を終了することを発表し、「終活」を宣言した。
オフィシャルサイト
リリース情報
無観客ライブ映像作品『レイヴ 8周年記念 無観客ライブ「フラチズム -∞-」』
2020年8月21日(金)デジタルリリース

¥5,000(税込)

¥3,000(税込)

¥3,000(税込)

¥3,000(税込)

¥3,000(税込)
収録曲
- ナミダヒロイン
- 人生つらみちゃん
- サイコフラチズム
- UKIYO
- ドリップ
- 形ないモノ
- メレンゲ
- わりきりララバイ
- 君がアバズレ
- オヒトリセレナーデ
- アクメ狂詩曲
- フラチズムディナー
■販売サイト
レイヴ終活一覧
#1 ONEMAN TOUR「序章」※開催済み
#2 6月 8周年ファン感謝祭『帰ってきた耐久レース!全曲ワンマン』開催
#3 2MAN LIVE SERIES『戦友-ライバル-』開催
#4 夏 8周年里帰りTOUR『原点回帰』開催 (開催予定地:長崎県・宮崎県・福岡県)
#5 秋 LAST ONEMAN TOUR開催
#6 10月 Gt.みくる追悼ライブ開催
#7 冬 LAST LIVE開催
ライブ情報
[“終活”再開後に延期]
●8周年里帰りTOUR「原点回帰」
宮崎公演、長崎公演、小倉公演
●LAST ONEMAN TOUR「Day×Bye×day」
東京公演、仙台公演、広島公演、大阪公演、名古屋公演、福岡公演
●LAST ONEMAN
※本来とは別の形での開催の可能性もございます
[協議中]
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs ベル」
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs DOF」
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs NEVERLAND」