最終回 ~レイヴの2020年回想録、そして終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」へ~
世界中が未曽有の危機に陥った2020年も残すところあとわずか。そして、今年2月に活動終了と終活の開始を宣言し、混乱の年を駆け抜けてきたレイヴの活動も一時休止が発表され、12月18日に開催される終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」@渋谷TSUTAYA O-WESTを残すのみとなった。この連載の最終回となる今回は、バンドにとって大きな区切りとなるライブを目前に控えた4人のインタビューをお届けする。今この瞬間の彼らの思いを、ぜひ受け取っていただきたい。
とにかくライブがしたい年(レン)
2020年もいよいよ12月になりました。今年はどんな年でしたか?
レン:今年は、初めて家賃の元を取ったなと思いました(笑)。バンドをやっているとツアーに行ったりするからなかなか難しいんですけど、今年は100%に近いくらい回収したぞと。あと、とにかくライブがしたい年でしたね。
nisa:俺はすごくポジティブなことを言いたいんですけど、「うーん…」という感じです。活動終了が決まって、終活を始めることが決まったときは、すごくポジティブだったんですけど、今は気づいたらここまで来ていたというか。
早かったですか?
nisa:早かった気がしますね。全然東京から出ていないですし。いつも年末になると「今年はここを回ったなー」なんて思うんですけど、今年が全くですからね。
2月の「序章」ツアーと9月の「夏果て。」の福岡公演でしか東京から出ていないというのは、毎年ツアーで長距離移動をしているレイヴには前代未聞の出来事ですね。
レン:そうなんですよね。だから今年はよく「本当だったら、今頃は大阪だったのに」とか「宮崎にいたはずなのにな」ということを口にしていました。特にnisaは、地元宮崎でライブをするはずだった誕生日(※8月21日に8周年里帰りTOUR『原点回帰』が宮崎SR BOXで実施予定だった)にそう思ったんじゃないかな。
nisa:俺と凪の誕生日も延期になってしまいましたからね。誕生日当日にライブができないのは異例でした。3月2日のレンの誕生日(レイヴ Vo.レン 生誕記念ONEMAN「ねぇ、レンくん?下北沢で唄ってよ」@下北沢SHELTER)も全員マスクをして苦しい中やりましたし。
この連載で皆さんのパーソナルインタビューを行う度に、世の中の状況も変わっているという変化の激しい年でした。
nisa:そうですね。暗いニュースの間に、ちょいちょい明るいニュースを挟みつつという感じでした。
レン:俺、舞台系の関係者の方と話をしていた時に、その人から「普通に公演ができるようになるまで、あと3年はかかるだろうな」と言われたんですよ。「3年!?」ってびっくりしました。
とてもリアルな現場の声ですね…。悠さんは今どんな心境ですか?
悠:今年、もし何事もなくて発表していた通りに終活が行われていたとしたら、いよいよ18日がレイヴとしての活動のラストなんですよね。でも今はそれとはまた違った感情になっていると思うんです。ある種、活休していたような感覚というか。18日の終活再開前ラストライブが一旦ラストということになるんですけど、そこに向けての心持ちや来年の心持ちは、普通にやれていた場合とは違うんだろうなと思います。そういう意味ではこの状況も悪くはなかったですね。
悠さんがツイートしていた「もともと、この日この会場でレイヴは活動終了の予定だった」という言葉を見て、改めて18日がレイヴとしての活動のラストだったことを実感しました。
nisa:ちなみに今年、企画まではしていたけど発表すらできなかったライブもたくさんあるんですよ。
レン:そうやね。そして、nisaをライブで宮崎に帰らせてやりたかったです。
nisa:まさかこうなるとは思わなかったからね。悠を宮崎のサウナに連れて行ってやりたかったです。サウナがあると知ったら、宮崎行きにすごくポジティブになっていましたからね(笑)。
凪さんは今年を振り返ってどう感じますか?
凪:一気にネガティブにしちゃうんですけど、俺は、今年は今まであったものが無くなる年だなと思うんです。良い意味でも悪い意味でも清算できて、来年から本当に一から始めるんだなと。とにかく今年に関してはマジでネガティブしかないですね(笑)!
レン:相当ネガティブだったんでしょうね。何しろ今年は、凪が初めてメンバーに相談してきましたから。
こんなに長い付き合いなのに、初!?
レン:そうなんですよ。凪は感情を表に出さないというか、ミステリアスなところがあるじゃないですか。それだけに「やっぱり俺のほうが年上やな!」と思えて嬉しかったです(笑)。悠も悠で「おーおー、任せとけ!」みたいな感じでしたからね。相談を受けているときの悠は、人生の先輩風を吹かせていましたよ(笑)。
貴重な体験ができた年だったんですね(笑)。
感情論ではどうにもできない現実が目の前にあった(nisa)
改めて今年の1月からの出来事と共に、2020年を振り返っていただこうと思います。
1月13日 ONEMAN TOUR 「初恋」振替公演@名古屋ell.SIZE
nisa:「初恋」ツアー! すっかり忘れてた。
悠:もう遠い昔ですね(笑)。
レン:俺がインフルエンザになって振替になったんですよね。初めての公演延期で、振替する日をどうしようかと思っていたら、この日たまたまライブハウスが空いていたんです。偶然だったんですけど、不思議な感じでした。
悠:この時はまだ活動終了は決定していなかったんですよね。確定したのは2月1日頃だったから。
nisa:各自持ち帰って考えていた頃ですね。
2月9日~ レイヴONEMAN TOUR 2020 #1「序章」(2月9日@仙台spaceZero、2月14日@福岡DRUM SON、2月16日@広島Yise、2月21日@心斎橋FANJ、2月22日@名古屋HeartLand、2月24日@四谷LOTUS)
会場限定シングル『ドリップ』リリース
2月25日 活動終了発表
2月9日のツアー初日には活動終了も確定して、気持ちも切り替えていたんですね。
レン:そうです。ツアーを回り始める段階から、活動終了のことはツアーファイナルの東京公演が終わったら言おうと決めていました。でも、ツアータイトルが「序章」じゃないですか。いざ「活動を終えることにします」という発表をして動画を掲載したら、ファンが「終わりの始まりだから『序章』ってタイトルにしたんだろうね…」って(笑)。
nisa:実際に活動終了が確定したのは2月になってからだから、終わりの始まりという意味ではなかったんですけどね。元々は2020年に1年かけて何かやろうとしていたので、そういう意味での「序章」だったんですけど、その“何かやろう”が終活になったという(笑)。
悠:このツアー中、広島や福岡で皆で飲みに行ったよね。
レン:うん。凪すけは行かなかったけどね。
凪:広島で、僕以外のメンバーとスタッフが飲みに行ったんです。僕は寝ていたんですけど、皆が帰ってきたら隣の部屋で騒いで、うるさいうるさい(笑)。それでキレ散らかしました。
凪さんがキレ散らかすとどうなるんでしょう?
レン:一言「うるせーぞ!」って言われました(笑)。その時、俺以外の全員が隠れていたから、俺一人だけ凪すけに怒られたんですよ。おかしくないですか!? 凪すけには、俺が一人で騒いでいたと思われたみたいだけど、そんなわけないやろ!って。たしかに、時にあるんですけどね…まぁでも広島はすごく面白かったです。
nisa:そして、このツアー中、関係者の方々には少しずつ「実は…」と活動終了のことをお伝えしていたんです。
関係者の皆さんに直接会って伝えるという点でも、ツアーがコロナ禍に突入する前の2月だったのは本当にギリギリのタイミングでしたね。
レン:確かに。もしそれより後だったらツアーができなくて、会えなかった可能性がありますからね。今なら直接会って言えずに文字でお伝えすることになっていたかも。
悠:このツアーで、皆でご飯に行ったのはいい思い出です。
nisa:福岡ではみくるパパに報告したんだよね。
レン:そうそう。一緒に飲みに行って悠が「話があるんですけど…」って言ったら、「解散とか~?」って言われてね(笑)。しかも、フィリピンパブで。ゴリゴリにノリのいいモンスターママがいるお店でした。
nisa:「話をするので、どこか落ち着けるところに行きましょう」って伝えて、着いたらそこだったんです(笑)。
悠:このツアーは、集客率がすごく悪かったんですよ。でも、その時にはもう活動終了が決まっていたこともあって、変に納得した部分があったかな。
レン:前は集客率が悪いと、悔しいと思ったけど、活動終了が決まったことでそういう気持ちが減って伸び伸びやっていた気がしますね。
3月2日 レイヴ Vo.レン 生誕記念ONEMAN「ねぇ、レンくん?下北沢で唄ってよ」@下北沢SHELTER
レン:俺の誕生日が、活動終了発表後初のライブだったんです。
nisa:発表の1週間後だったよね。
レン:ライブが始まったら、ファンが皆泣いているんですよ。皆で「レンの生誕やりづらそう」とは言っていたんですけど、やっぱりこうなるかーと思いましたね。
nisa:あの日のライブはちょっと異様な感じだったんですよ。2月は、まだコロナは遠くの話だったのに、3月2日のレンの生誕記念の時にはもう全員マスク着用だったんです。そして皆泣いているという…。ライブの開始時は「おめでとう!」の空気ではなかったですね。
悠:俺は楽しかった記憶が強いな。
レン:最後は、皆笑顔だったからね。
活動終了を発表して初めてファンの皆さんの反応を生で見る機会でしたが、いかがでしたか?
悠:その日は確か撮影会もあって、直接話す機会もあったんですけど、俺のファンには「もう無理です…」って落ち込んでいる人は少なかったですね。むしろ「私はまだ何も考えません!」というタイプの子のほうが多かったかな。
nisa:確かに、むしろそのことについて触れてくる子がいなかったですね。
レン:俺らもいつも通り接して、向こうもいつも通りでした。最初だけでしたね、泣いていたのは。
凪:俺のファンの子たちは何か言いたげな顔をしていましたけど、あんまり言われなかったです。
ライブ開始直後にファンの皆さんが泣いているのを見てどう思いましたか?
凪:実は俺、最前しか見えないから全然知らなかったんですよ。後から「皆泣いてたんだ!」と思って。
レン:それに、泣いているのは1曲目までだろうなと思っていたんです。2曲目からは暴れ曲だったから、皆豹変するぞと思って(笑)。
nisa:発表の仕方がすごくポジティブでしたからね。むしろみくるが亡くなった後のライブのほうが「どうやって出よう…」「誰が最初に出る…?」って思っていましたから。
3月13日 anfiel PRESENTS 2MAN LIVE『#QUEST_2 レイヴ』@新宿RUIDO K4
悠:ふーん…そういえばやったねぇ。
レン:やったよ(笑)!
nisa:このツーマンも直前まで、やるやらないで調整していましたね。このライブの時は「俺らのツーマンシリーズで再会しような!」という空気感だったんですけど、今のところ叶っていないんですよね。
アンフィルのメンバーとは仲良しですが、活動終了のことはいつ伝えたんですか?
悠:俺は翔梧(Vo)に連絡した気がするけど、すごく素っ気なくて。「あーそうなんだー」という感じだったから、俺のほうが「えっ…」となりました(笑)。
レンさんと凪さんは、活動終了について誰かに伝えましたか?
レン:俺は4人くらいしか伝えていないです。
凪:俺はドラムの師匠くらいですね。色々お世話になったし、前にも相談したことがあったので、「まだ発表していないんですけど実は決まりました」って話しました。師匠は、前からずっとレイヴのことを良いって言ってくれていて、活動終了はもったいないって言ってくれたんです。そして、悠のことが大好きなんですよ。
悠:え、そうなの!?
凪:うん。なので、活動終了の話の時に「ベースの子はどうするの?」って聞かれました。「わからないけど、音楽は続けないかもしれないです」って言ったら「マジでもったいない。あんなに華があるのに。あの子はステージに立つべきだ」と言っていましたね。
悠:期待に沿えず申し訳ない(笑)。
3月27日 PUNCH RECORDS PRESENT’S「Wisteria Cirle Vol.2」@HOLIDAY SHINJUKU
4月6日 配信ライブ&トーク会 テレビレイヴ「無観客配信!」~リクエストアワード-2020-&凪のお誕生日会~
6月13日 AREA Presents 配信ONEMAN LIVE「STAY HOME」
7月15日 【2MAN LIVE SERIES 全公演開催延期のお知らせ】
7月27日 YouTube Live
8月21日 8周年記念無観客ライブ「フラチズム -∞-」デジタルリリース
3月27日のイベントの約1週間後、4月7日に緊急事態宣言が発令されたので、このイベントはまさにギリギリの開催でした。
nisa:俺らもライブハウスにほぼいませんでしたからね。メイクも他の場所でやって、リハもなしにしてもらって。直前に会場に行って、ライブが終わったらすぐ帰りました。
レン:このイベント以降ずっとライブができなくて、次にやったのが8月28日のAREAですからね。5ヵ月間ですよ。その間、配信と通販を頑張りました!
今年は、7月3日に七夕仕様のチェキ通販、10月30日ハロウィン仕様のチェキ通販が行われましたね。
レン:そうです。あとはお客さんのお名前入りのメッセージ動画も。
そんな最中、7月15日に2MAN LIVE SERIES 全公演開催延期が発表されました。直前まで調整を重ねていましたよね。
nisa:そうでしたね。あの時に、メンバー全員が年内で終わらないことを覚悟したと思うんです。ツーマンシリーズを延期したらラストワンマンツアー(レイヴ LAST ONEMAN TOUR 『Day×Bye×day』)も延期せざるを得ないという空気感だったので。
悠:8月のツアーができないんだったら、延期分が年内に収めきれなかったからね。
レン:それまでは、できるやろ!って思っていたんですけど、遂に延期が見えてきたぞと。これについては全員「これは延期でしょ」という意見だったよね。
nisa:感情論ではどうにもできない現実が目の前にありましたからね。
でもあの段階で、延期にするという判断をせずに無理にやっていたら、少なからず納得のいかない形になっていたかもしれませんね。
nisa:そうですね。それに、延期になったものをさらに延期にするということが少しずつ出始めていて、今後もそれをやるのが厳しいなというのもあったんです。俺らよりもファンのほうが、払い戻しや、ライブハウスまで来る交通手段のキャンセルで大変そうでしたし。
レン:ツーマンシリーズも延期になって今後どうなるかわからないですけど、昨日ちょうどDevelop One’s Facultiesのyuya(Vo&G)から「大変だろうけど、戻ってきたらツーマンやりてーよ」ってLINEが来たんですよ。
待っていてくれる人がいるというのは、とても心強いですね。
音楽できているという実感(悠)
8月28日 Takadanobaba AREA presents コスモタウン~45min~振替公演
レイヴ 2020 SUMMER PREMIUM LIVE「夏果て。」
(9月4日@渋谷REX(席数50席)、9月24日@福岡DRUM Be-1(席数78席))
この2公演は着席で行われました。本来であれば、この9月4日からはラストワンマンツアー(レイヴ LAST ONEMAN TOUR)がスタートするはずだったんですよね。
レン:そうです。それが、ツアー初日とファイナルの日程のみライブをやることになって。
悠:変な話、これはやっておかないと色々金がかかるんですよ。
レン:キャンセル料がね(笑)。
nisa:やってもやらなくてもお金はかかるんですけど、やったほうが良い場合もある(笑)。
悠:俺らはラストワンマンツアーを結局やっていないじゃないですか。なのに、そのやってもいないツアーの払い戻し手数料だけで、ウン十万の請求が来たんですよ。怖っ!と思いました。なので、やってもやらなくてもお金がかかるなら、最初と最後だけでもやろうということになったんです。
nisa:「夏果て。」ツアーの九州は、チケットの発券をしていなかったんだよね。
悠:うん。あれはギリギリ発券してなかった。
nisa:あれを発券していたら終わってたよね。俺、初めての体験だったもん。「やります」って発表してすぐに中止を発表したの。
悠:すぐに「やっぱりやめます!」って回収したよね(笑)。
レン:ヴォーカル的には、この「夏果て。」はすごく楽しかったです。全着席で、ほとんどの曲をギター&ヴォーカルでやったんですけど、すごくしっくりきましたし。REXでのライブが終わった後、店長の橋本さんに「このレイヴええな。ちょっと泣きそうになったわ」って言われて、さらに福岡ではBe-1のマスターから「何や、レイヴできるやっか。こういうのができるなら、もっと前からやっとけ」って、やっと少しだけ褒めてもらえたんですよ。嬉しかったですね。「夏果て。」は聴かせる系の曲が多いから、凪すけも叩きながら初めてジーンと来たって言っていたし。
悠:俺もレンと一緒で、楽しかったというか、音楽できているなという実感がすごくありました。音楽が楽しいな、ベースが楽しいなと思っていましたね。
凪:この頃、俺は一番しんどかったですね。8月後半~9月中盤が一番きつくて、「夏果て。」の頃は色々重なってどん底でした。「夏果て。」でやる曲も覚えないといけないし、他の仕事もすごく忙しくて、一気にドーンと来たせいで、4kg痩せましたからね。
そんなに!?
凪:顔もげっそりして、お客さんにもすごく心配されました。
もしや、先輩方が凪さんの相談を受けたのはその頃でしょうか?
レン:お、よく気づきましたね! そうなんです! 博多でライブが終わって皆でご飯を食べて、バーに行って…楽しい相談会でしたよ。
nisa:その時、相談なら静かなところで聞こうということで、前に行ったことがあるバーに行くことにしたんです。そのビルに行ったら、キャッチの女の子たちに声をかけられたんですけど、「○○というバーに行くので」って断ったんです。そうしたら「ご案内しますよ」と言われて、行ってみたら目的のバーが店名はそのままで、ガールズバーに変わっていたんです(笑)。
レン:みんなでガールズバーで凪の相談にのるという(笑)。
nisa:スタッフの女性たちに「頼むからテーブルに来ないでください!」ってお願いして、相談にのっていました(笑)。
10月5日 レイヴ Dr.凪 生誕記念ONEMAN「凪のお誕生日会」@高田馬場AREA
凪:誕生日、すごく楽しかったです。
あ、その頃にはもう、しんどさから復活していたんですね?
凪:はい! 全然問題なく。スッキリしていました(笑)。
半年越しのお誕生日というのは、コロナ禍ならではの出来事という感じがしますね。
nisa:俺の誕生日もフワッとしていますしね。まぁVifさんの配信で祝っていただきましたけど。
10月18日 “終活”一時休止を発表
10月26日 レイヴ Gt.みくる追悼 ONEMAN『Bora Bora Blue』@目黒鹿鳴館
11月16日 2MAN LIVE SERIES『戦友-ライバル- vs Chanty』振替公演@渋谷REX
11月21日 レイヴ 8周年ファン感謝祭「帰ってきた耐久レース!全曲ワンマン–2016~2020–」「–2012~2015–」振替公演@池袋EDGE
レン:ワンマンで普通に立ってライブを観てもらえるようになったのは、10月の凪の生誕からだから、ここ2ヵ月くらいの話なんですよね。
延期されていたツーマンシリーズも1本実施されて、このあたりから一気に動き出した感があります。
nisa:そうですね。やっぱり着席じゃなくなって、ソーシャルディスタンスを保てばスタンディングでライブをやってもよくなったというのが世間的にも大きいかもしれないです。
レン:ライブハウスもガイドラインを緩和してやりやすくなりましたからね。
11月21日には、全曲ワンマンも実施されました。
nisa:これは、この日程でやるかやらないか悩んだんですけどね。
レン:でも全曲ワンマンは「レイヴ 8周年ファン感謝祭 企画大臣総選挙」で、悠の公約が選ばれたわけで、悠を1位にしたい人たちがお金を使っているわけじゃないですか。それをやらなかったら、俺ら詐欺師やぞと(笑)。
nisa:そもそもこのライブは、終活を発表した直後にチケットを販売したこともあって、すごく売れていたんです。その後、当初は6月開催だったライブが延期になって、そうすると、すごく売れているだけにソーシャルディスタンスを保つために減らしたキャパでは収まらないかもしれなくて。やれるかかなり微妙な状況だったんです。
悠:でも直前にちょうど規制が緩和されたので、ギリギリ実施できたんですよ。
待望の全曲ワンマン、全67曲計6時間、お疲れ様でした。
レン:よくやりましたよね(笑)。
悠:楽しかったな。終わった後は疲れたけど、やっているときはしんどくなかったです。
レン:こうして振り返ってみると、色々大変なことがあった1年でしたね。でも、大変ながらも、形を変えながらうまくやってきたなと思います。
このライブをしっかり目に焼き付けてもらいたい(凪)
12月18日に、レイヴ 終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」@渋谷TSUTAYA O-WEST公演が行われます。このライブの実施を決めた理由を改めて聞かせてください。
悠:元々年内でバンドを終わらせる予定でしたし、12月18日のライブを延期するとなった場合、いつできるかわからないじゃないですか。レンが冒頭で、「普通にできるようになるまで、あと3年はかかるだろうな」という話をしていたけど、再開まで本当にそのくらいの時間がかかるかもしれないし、もしかしたら今後、「人が集まるイベントなんて」という風潮になってしまうかもしれない。確約ができないなと思ったんです。それなら、元々年内でという話だったわけだし、再開がいつになるかわからないのにO-WEST公演をやらないのもおかしいので、一旦区切りとしてやって、今後またやれるような状況になったら、消化しきれていない部分をまたみんなでやりましょうということになりました。
このライブの実施が決まったことで何か気持ちに変化はありましたか?
悠:僕は結構心境の変化がありましたね。冒頭でも話しましたけど、終活を全うしたときの今日の気持ちと、何もできなくて色々考えた今の気持ちってやっぱり違うと思うんです。今までの8年間は皆で売れるために頑張ってきたので、活動終了に対しても自分の音楽に対しても、最初はけじめとして終了にしましょうという結論に至ったんですけど、今年は考える時間がすごく多かったので、色々考えるうちに、もうちょっとフラットでいいのかなと思うようになりました。
「5×1=レイヴ」というタイトルにはどんな意味が込められているのでしょうか?
レン:元の数字に1という数字をどれだけ掛けても、答えは変わらず元の数字のままであり続ける、だからレイヴにあなた1人を掛けたらレイヴのままであり続け、むしろそれがレイヴという答えになる…という思いを込めました。「レイヴ×あなた=レイヴ」なんです。
秀逸なタイトルです。ところで、レンさんがパーソナルインタビューで「活動再開まではバンドとしては活動しませんけど、一人、もしくは二人で動くことがあるかもしれない。地下活動は行うかもしれませんし、準備が整ったらレコーディングに入るかも」と話してくれましたが、現時点での活動再開までの方針は?
悠:そのあたりも、当初の予定ではバンドは年内で、ということだったので、それぞれ新しい夢を見つけてそちらの道を歩んでいても良いと思っています。この状態で「俺はまだバンドマンだから」ってバンドマンをやっていても、活動再開が2年後、3年後になった場合、その時間はなんだったんだということになると思うんです。なので、音楽をやりたい人はやる、というように個々で続けていけばいいと思うんですよ。
では、凪さんは以前パーソナルインタビューで話していたように、学校に入るのでしょうか。
凪:それはまだ悩み中です(笑)。俺の気持ちとしては、言い方は悪いですけど、終わるのであれば早く終わらせたいというのが本音なんです。終われるなら今年で終わりたかった。“終活”が一時休止になったことで、一応、まだバンドマンとしての人生が続くわけじゃないですか。その再開までの期間、俺はどういう心持ちでいればいいんだろうと思うんですよ。「まだバンドが残っているのに、普通に髪を切って普通の人になるの?」って。もちろん、回れなかったツアーもある以上、一時休止は仕方のないことなんですけどね。
以前、nisaさんのパーソナルインタビューで「ファンのモチベーションがもつか否か」という話が出ましたが、メンバーのモチベーションも重要な要素ですね。
nisa:そうですね。俺らがやれなくなる可能性だってあるわけですから。
凪:可能性はゼロではないんですよ。やれなくなることもあり得ると思います。
悠:このコロナ禍で絶対ということはないんだとわかったので、下手なことは言えないですよね。
nisa:現状はもちろん再開するつもりではいますけど、実際ファンが「もう待てない」となって、俺らも「もうキツイです」となったときに、やる必要はあるの?とも思いますし。
そういう不明瞭な未来も含め、18日のライブは本当に大きな節目になりますが、どんな気持ちで臨みますか?
凪:僕はそこで終わるつもりで臨みます。
悠:ここが最後になってもおかしくない、という気持ちですね。あとは、最後というと重く考えがちですけど、それよりもレイヴの8年間の集大成のほうが大きいです。
nisa:一旦ここで締めくくるので、延期した後は延長戦に近い感じですね。
レン:俺はいつもと一緒でやりきります。
チケットの売れ行きが好調だそうですね。プレオーダー入金があと3分の1完了すればソールドアウト(11月12日時点)とのことだったようですが。
悠:元々キャパ制限はあるので、本来のWESTのキャパまでは入れられないんですけど、もうちょっとで売り切れそうです。それだけたくさんの人が来てくれるんだなと感慨深いです。
5年前の12月には上京後初のO-WESTワンマンが行われたんですよね。あの時は解散話が浮上するほど目標が達成できなかったようですが、今回はレンさんがツイートしていたように、「諦めずやってきたら1つの夢があの日から5年越しに今叶いそう」ですね。
レン:そうなんですよ。あのライブもちょうど同じ12月でしたからね。今回はソールドしたいですね。やり切りますよ。
nisa:ファンの子たちはどういう気持ちで来るのか気になるね。
レン:きっと泣くんじゃないかな。
nisa:また!?
レン:それでまた凪すけだけ気づいてないっていう(笑)。
凪:俺だけ後で、「知らんかったわー」って言うかも(笑)。
nisa:ファンの子たちが延期している終活がまだある、という気持ちでくるのか、一旦終わりだからという気持ちでくるのか気になりますね。
行ける方にはぜひ行ってほしいですね。今後のことは誰にもわからないですし。
レン:そうですね。でも、だからこそライブをするんじゃないですか。確かなことがわからないから、その一瞬一瞬ライブで魂をぶつけ合って、燃え尽きることができるんだと思うんです。だからバンドマンはライブをして、お客さんもライブを観に来るんですよ。
では、レイヴ 終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」開催直前の今、ファンの方にメッセージをお願いします。
凪:一旦活動休止ということで、再開はいつになるかわかりません。僕はレイヴが復活するまでドラムを叩く気はないので、一時観られなくなるかもしれません。なのでこのライブをしっかり目に焼き付けてもらいたいです。
悠:がんばりまーす。
nisa:ゆるっ!
悠:いや、難しいことを言うよりね、「がんばりまーす」と伝えたいです。8年間一生懸命やってきました。この日もがんばります。後は会場で受け取ってもらえればと思いますし、話す機会もあると思うので、そこで色々伝えたいです。
nisa:ここ1年くらい、やっと余計なことを考えずに、バンドが音楽で勝負できるようになってきたなと思っていました。O-WESTのセットリストも曲数が多めなので、音楽で勝負ができる日になったらいいなと思うし、僕らの音楽人生の提示ができればなと思います。
レン:18日はレイヴパーティーですよ。宴やぞと。騒いで踊って、たくさんゲラゲラ笑えたらいいなと思います。以上!
nisa:よーぉ!
レン:サディスティック!
<編集後記>
来たる12月18日、レイヴが活動再開前最後のライブの日を迎える。
今年1月の連載開始、2月の終活宣言、そしてみるみるうちに世界中を飲み込んでいったコロナ禍での活動と、かつてない緊張感の中で駆け抜けた2020年。その最後の月に開催される、彼らの活動の一旦のフィナーレを飾る終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」を目前にして、感慨深さと共に寂しさが募る。
そんな気持ちを吹き飛ばしてくれるかのように、今回のインタビューでレンの口から語られた「だからこそライブをするんじゃないですか。確かなことがわからないから、その一瞬一瞬ライブで魂をぶつけ合って、燃え尽きることができるんだと思うんです」という言葉。そこには彼らの、音楽、ライブ、そしてファンへの姿勢が端的に表れているように思う。そしてそんな4人だからこそ、“終活”という前向きな終わりを選べたのだろう。
18日は彼らの8年間の集大成ともいえる最高の一夜になるに違いない。
〈人は出会った数だけ別れをせがまれる〉〈なら残る時間大切にしながらハシャいでいきたい〉――そんな「タイムカプセル」の歌詞のように、参加できる方はぜひとも、その瞬間を全力で楽しんでいただきたいと思う。
レイヴの活動を1年に渡って掲載してきたこの連載も、今回で最終回となる。ここまでお付き合いいただいた皆様に心からの感謝を申し上げたい。
きっとまた一緒に同じ時間を過ごせる、再会の日を夢見て。
(文・後藤るつ子)
レイヴ
レン(Vo)、nisa(G)、悠(B)、凪(Dr)によるロックバンド。2012年8月に福岡県で結成し、1stシングル『ALIVE』をリリース。2016年10月にみくる(G)が病気のため永眠。2017年3月に1stフルアルバム『不幸福論』をリリース。2018年3月、24RECORDSに移籍し、5月に移籍第1弾としてミニアルバム『メンブレさん通ります。』を、その後シングル『ハラスメント』『スーサイドBABY』『BOTEKURI』『初恋』、2020年2月に会場限定シングル『ドリップ』をリリース。2月25日に年内をもって活動を終了することを発表し、「終活」を宣言した。
オフィシャルサイト
リリース情報
無観客ライブ映像作品『レイヴ 8周年記念 無観客ライブ「フラチズム -∞-」』
2020年8月21日(金)デジタルリリース
¥5,000(税込)
¥3,000(税込)
¥3,000(税込)
¥3,000(税込)
¥3,000(税込)
収録曲
- ナミダヒロイン
- 人生つらみちゃん
- サイコフラチズム
- UKIYO
- ドリップ
- 形ないモノ
- メレンゲ
- わりきりララバイ
- 君がアバズレ
- オヒトリセレナーデ
- アクメ狂詩曲
- フラチズムディナー
■販売サイト
レイヴ終活一覧
#1 ONEMAN TOUR「序章」※開催済み
#2 6月 8周年ファン感謝祭『帰ってきた耐久レース!全曲ワンマン』開催
#3 2MAN LIVE SERIES『戦友-ライバル-』開催
#4 夏 8周年里帰りTOUR『原点回帰』開催 (開催予定地:長崎県・宮崎県・福岡県)
#5 秋 LAST ONEMAN TOUR開催
#6 10月 Gt.みくる追悼ライブ開催
#7 冬 LAST LIVE開催
ライブ情報
●レイヴ 終活再開前 LAST ONEMAN「5×1=レイヴ」
12月18日(金)渋谷TSUTAYA O-WEST
[“終活”再開後に延期]
●8周年里帰りTOUR「原点回帰」
宮崎公演、長崎公演、小倉公演
●LAST ONEMAN TOUR「Day×Bye×day」
東京公演、仙台公演、広島公演、大阪公演、名古屋公演、福岡公演
●LAST ONEMAN
※本来とは別の形での開催の可能性もございます
[協議中]
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs ベル」
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs DOF」
●2MAN LIVE SERIES「戦友-ライバル- vs NEVERLAND」