特集-Special Feature-

Alice Nine

Alice Nine

結成10周年を迎えたAlice Nineが放つニューアルバム『Supernova』!
将(Vo)&沙我(B)が語る制作秘話、バンドの10年間とは。

結成9周年を機にレーベルを移籍し、技術的にも新たな挑戦に挑んだ1年間を経て、さらに輝きを増すAlice Nine。そんな彼らが結成10周年を迎え、新たに生み出したニューアルバム『Supernova』。制作の初期段階から“タイトでシンプルで人に伝わりやすいアルバム”になると思ったという今作は、現在のAlice Nineを映し出すかのように圧倒的な熱量を放つ。Alice Nine最新作の制作背景を紐解く、将&沙我によるスペシャルインタビュー!

◆基本を知った上で基本を壊したい(沙我)

――Alice Nineとしてはシングル『Daybreak』(2013年3月20日発売)以来1年ぶりのVif登場ですが、昨年の結成9周年イヤーを振り返ってみていかがですか?

将:ファンのリクエストに応えた9周年ライブがあったり、「アリス九號.」表記の時代の曲をやるツアーと、ここ4~5年の楽曲をやるツアーの二本立てでやったり。振り返りと恩返しの年だったなと思います。

沙我:2012年にアルバム『“9”』のリリースとそれに伴うツアーを終えて、一区切りついたような気がして、2013年にユニバーサルに移籍してキーワード的に「新しいAlice Nine」という事をみんな言っていたんです。プロデューサーの平出(悟)さんと初めて一緒に仕事をして、今までやってきた方法論を一度全部捨てて新しいことに色々挑戦しました。その中で今までのAlice Nineにはなかったタイプの曲がたくさん生まれたり、ライブでもそれまでの8年間になかったような景色が見られたりして、新しいタームに入った年でしたね。


――今年は10周年ですが、この10年はあっという間orやっと、どちらの感覚でしょうか?

将:10年っていう響きだけだと膨大なイメージですけど、あっという間な気はします。5年くらいまでは長かったなと思う部分と短かったなと思う部分の両方あったんですけど、10年に関しては早かったなと思います。

沙我:10年って小学校1年生だった子が高校生になるくらいなんだなって考えると、すごく長い時間だと思いますけど、僕らの活動の感覚的には、高校に入って高校を卒業したくらいの感覚(笑)。本当にあっという間で、良いことも悪いことも色々あって。10年って大したことないですね。でも、やっぱり周りはどんどん老けていくんですよね(笑)。親戚や同級生にたまに会ったりすると「なんでそんなに若いの?」って言われます。本当にやりたい事だけをやらせていただいた、良い10年だと思います。

――10年前の自分に声をかけるなら、何と言いたいですか?

将:「もっと練習しろよ」ですね。漠然とがんばりたいと思っているけど、がんばり方がわからなかった。でも、結局は地道に一つ一つ積み重ねていくしかないんだよってことを言いたいですね。

沙我:んー…当時の僕に何を言っても絶対聞かない気がするんですよね。よくわからない自信とかあるじゃないですか。でも、目の前に見えていて今やろうとしている事の3倍くらいはがんばれよってことは…伝えたい(笑)。

――この度ニューアルバム『Supernova』がリリースされましたが、2月にリリースしたシングル『SHINING』は、『Supernova』ありきの作品だったのでしょうか?

沙我:別でシングルとして作っていた曲があったんですけど、元々アルバムとシングルの制作は同時進行で進めていて、「SHINING」の原曲はアルバムの1曲目としてイメージして制作していたんです。その中で、実は「SHINING」はすごくシングル向きなんじゃないかという意見が出てきて、そこからシフトチェンジしました。

――随分と前からアルバムのテーマが見えていたのでしょうか?

沙我:去年、ツアー(6月25日~7月15日)が終わってからアルバムの曲作りをしようって話をしていて。曲作りをするに当たって方向性を決めると作りづらくなってしまうので、あんまりそういう話はしないんです。とりあえず思うがまま作ってみて、数を集めることから始まるんですけど、ライブハウスでイメージしやすい、前よりもシンプルで肉感的な曲がたくさん集まって、今までよりもタイトでシンプルで人に伝わりやすいアルバムが出来るんじゃないかなと、最初の時点で思っていましたね。

――「SHINING」が完成した時にはアルバムのタイトルはもう決まっていたのでしょうか?

将:アルバム全曲の全貌が見えてから考え始めました。どんな言葉がいいかすごく迷っていたんですけど、沙我くんが、僕たちがライブハウスで見てきたお客さんの表情や景色をイメージして、それに近い感じのアルバム曲をセレクトしたけど、この先に続く対比になるようなもっとディープな世界を今後考えているっていう話をしていて。その世界と対比になるような言葉は何がいいかなと思った時に、虚無の空間にすごい光を放って生まれる超新星というイメージが出てきて。アルバムが持つ熱量も光眩いものをすごく感じさせてくれるので、『Supernova』というタイトルになりました。

――今作の作曲者は、沙我さん5曲、将さん3曲、虎さん(G)2曲、ヒロトさん(G)1曲となっていますが、選曲会に出す曲数自体、沙我さんが一番多かったりするんですか?

沙我:1曲目、ラストの曲、中間にくる曲によって、僕の中で大体アルバムの色が決まってくるというか。そこをイメージしながら作るので、曲数が増えるのかなというのはあります。

将:沙我くんはビジョンがはっきりしているんですよね。どう伝えていくか、バンドにとってどういう曲なのかという意義まで考えてあるからやりやすいっていうのもあるよね。

――以前将さんが、沙我さんのデモはクオリティが高いから原曲からあまり変わらない、ということを言っていたのですが…

沙我:確かに変わらないですね。今回も割とそうでした(笑)。

――どの辺まで作り込むんですか?

沙我:人に伝えるとなると、どうしても細かくなっちゃって。ラフでいいだろって気持ちでも、やり出すと止まらなくなっちゃうんです。最低限ここまでやっておこうっていう“ここ”が、もうフルだったみたいな(笑)。気付いたらかなり作り込まれていて、ちょっと申し訳ないと思う部分もあるんです。

将:だからこそ、こだわりとか意図が伝わりやすくて、いいと思いますけどね。

――ちなみに虎さん曰く、ベースはあまり弾いてこないと。

沙我:(笑)曲を決定付けるものって僕は歌メロとドラムだと思っているんですよね。その曲が何を伝えたいかっていう表情となる主旋律と、どういうリズムで流れているのかという土台のビートですよね。そこで上モノのギターは味付けでしかなくて、二番目ですね。で、最後にベース。ヴォーカルとドラムのメインがあって、ギターがあって、それを縫い合わせるのがベースっていう感覚ですね。

――前回のインタビューで沙我さんについて、将さんは「純粋に音楽が好きなんですよ。お店の試聴機で“これすげー”って聴いてるような。音楽オタクなんですよ」、虎さんは「ベーシストじゃないですね(笑)。何の人だかわからないですけど、プロデューサーやった方がいいんじゃないの?って思っちゃうくらい、オールマイティーな人なので」と言っていました。これを受けてご本人的にはいかがですか?

沙我:常に音楽に対して危機感を持っていますね。例えば店に行っても、すごいなと思う最新の音楽が無数にあって「やべー」みたいな。最近になればなるほどクロスオーバーしていて。アーティストの数も90年代の倍くらいになっていると思うんですよ。なんですかね…最先端のものを追っておきたいというのはまずあるし、基本を知った上で基本を壊したいから、全部知っておきたいんですよね。

将:沙我くんみたいなタイプって、ミュージシャンでも珍しいと思います。いるとは思いますけど、皆がそうではないです。彼くらい誠実に音楽をやっている人はあんまりいないかなと思います。

――沙我さんから見て、将さんの楽曲にはどんなことを感じますか?

沙我:僕は余計なことを考え過ぎている部分もあるんですよね。将くんの曲からはそれを感じないです。メロディに対して全てをぶつけられているというか、純粋にいいと思うメロディを作れる。それって普通のことのように聞こえるかもしれないけど、意外と難しい。主旋律のメロがポーンッと前に来ているのが特徴だと思うんですよ。どういう曲かすごくわかりやすいから、アレンジもしやすいです。例えばドラム、ベース、シンセでちょっと凝ったことをしようとする時に、どれを軸に置いたらいいのかっていうのを見失いがちなんですよ。そういうことがないのが、ヴォーカリストの曲の特徴かなと思いますね。

――将さんはどんなことに気を付けて作曲していますか?

将:曲を作れる人が他に3人いるので、思いきって誤解を恐れずに、自分の歌いたいメロディを持ってきたらいいんじゃないかなと。それと、自分がこういう曲を作ることによって他のメンバーも自分がやりたい事をやりやすくなったりしないかなという思いで作っているので、そうなっていったらいいなと思います。