特集-Special Feature-

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A9、1年ぶりに完全復活!
START-UP EP『銀河ノヲト』が映し出す彼らの「原点」と「今」。

2014年8月23日、富士急ハイランドコニファーフォレストでの10周年記念ライブを最後に、所属事務所から独立し、地下活動に入っていたA9。そこから1年となる2015年8月23日、START-UP EP『銀河ノヲト』を引っさげ豊洲PITで行われる11th Anniversary Live「Re:birth-飛翔-」をもって、ついに彼らが完全復活を遂げる。原点回帰をコンセプトに掲げながら、最新の5人のサウンドと思いが凝縮された最新作について話を聞くと、バンドの11年間、そして“今”が見えてきた。記念すべき新たな第一歩を踏み出すA9に迫るロングインタビュー。

◆このバンドにしか出せない独特のものを出したい(沙我)

――諸事情により虎さん(G)がいませんが、よろしくお願いします。昨年の10周年記念ライブから約1年が経ちますが、この1年を一言で表すと?

将:本当の意味で、仕事仲間が運命共同体になった1年でした。

沙我:家にいる時間が今までの10年の中で一番長かったので、一言で言うと「暇」ですね。人は働いてないとダメだなと。やれることはやっていたんですけど、やっている感を世に出す場がなくて、もう暇死しそうでしたね(笑)。辛かったです。

ヒロト:一文字で言うと「人」ですね。守ってもらっていたところから離れて、最少構成のチームで動くことになって、本当に親身になって僕らの考えていることを応援したいと思ってくれている人というのが、すごくはっきりと感じられたなと。改めて、「人」が音楽を作っているんだなと感じた1年でした。

Nao:この1年…「希望」。10年やってきて、気持ち新たにまた新しい夢を持てたり、やれること、やらなきゃいけないことが増えたので、新しい体験ができたり。基本はもちろん音楽浸けでした。

――START-UP EP『銀河ノヲト』は、アルバム『Supernova』(2014年3月)以来、約1年5ヶ月ぶりの音源となりますが、まず「Phoenix」のMVが3月1日に早くも公開されましたよね。

将:去年11月にFCライブをやっていて、数ヶ月しか空いていない間でも、ファンの人たちからは不安、待っていてくれている気持ちをすごく感じていたので、一刻も早く「僕たちはここにいるよ」って、復活の狼煙みたいな動きを見せてあげたくて。早めのタイミングで楽曲と映像を公開することで、僕たちの存在をアピールする曲になりました。

――その後公開された「Phoenix」のメイキング映像で、沙我さんが「これまでメジャー感のあるものを作ってきて、今はどこにも属していないわけだから、自由な感じを出そうかなと」と言っていましたが。

沙我:自然とそうなっていたんだと思います。制作時の空気感が全然違いますよね。今の環境になって、特に何も考えずに自由に作れるというのは、それが良いのかはわからないですけど、その判断は聴いてくれた人が良いなら、良いじゃんっていう。

ヒロト:自由にというのを軸にしたわけじゃないですけど、今のタイミングでそういうやり方をとるというのは、自分たちの新しい一歩を踏み出すタイミング、10年続けてきて次の10年を見た時に、今やって良かった、やる時だったんだなと思いました。完成した音を自分で聴いてみて、純度の高い5人の絞り汁…言葉が綺麗じゃないな(笑)。

Nao:男汁だよ。

ヒロト:ドリップ?

沙我:スムージー。

全員:(笑)

ヒロト:意図していた部分も、自然とそうなった部分もありつつ、5人以外の音がほぼ入っていない作品になって。それって実は本当に初期の頃の作品ぶりで。そういう5人感というか、ぶつかり合っている感と初期衝動のようなものが音に反映できたので良かったですね。

――作曲方法も変化したそうですね。リレー形式で。

沙我:1曲(「Spiegel」)だけなんですけどね。これはメタル、これはポップ、今回はジャジーにしてみましたとか、そういうやってみた感をなくして、僕らのバンドとしての癖、このバンドにしか出せない独特のものを出したいなと。そう思った時に、一人で作り込むと自分の色が出過ぎちゃうので、今までと違うものを作るためにやり方を変えてみたというのがありつつ。あとは、それぞれ個人活動を始めたので、そこで得たものを持ち寄って一つの曲を作るという。そうしていかないと、個々で活動する意味がないと思うから。

将:合理的じゃないですけど、この方法で作った意味はすごくありましたね。やっぱりバンドのせめぎ合っている感じって、そういう作り方じゃないとできない。イントロって人によってはサビと同じくらい重要で、ヒロトが作ったこのイントロは、サビを食ってやろうっていうくらいの勢いを感じるし。そういう熱量って、こういうやり方でしか出せないのかなと。

――作曲にあたり、事前に話し合ったんですか?

沙我:最初に、将くんにサビのメロディをちょうだいって言って、バッキングを作って。でも別にリレー形式でやろうぜって言って作ったわけじゃなくて、進行の中でやってみたことがどんどん広がっていったという感じでしたね。

ヒロト:きっかけはミーティングの途中でポロッと出てきたことで。

沙我:ヒロトくんが組曲をやりたいって言ってたんですよ。さすがに「GEMINI」(2011年2月発売のアルバム『GEMINI』収録、「GEMINI- 0- eternal」「GEMINI-Ⅰ- the void」「GEMINI-Ⅱ- the luv」)みたいなのは辛いなと思って(笑)。ある種「Spiegel」は組曲で、イントロ、Aメロ、サビ、作った人が全部違うんですよ。イントロはヒロト、サビとの間とか構成は虎で。

ヒロト:「GEMINI」は大好きな曲だし、大作だと思うんですね。あの時は、沙我くんが作り込んだものをバンドでやった感じで。このタイミングで、バンド全員でそういうものを作れないかなと、ポロッと言ったんです。そしたら沙我くんが、それをコンパクトに1曲に凝縮するアイディアを出してくれて。

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◆一人ひとりの中での原点(将)

――クラウドファンディングサイトの将さんのインタビューで、「ヴィジュアル系というのは総合芸術なんで、コンセプト→ヴィジュアル→音楽が同じラインにあって1本筋が通ってないと美しくないんじゃないかと10年バンドをやったいま、思った」という発言がありましたが、今はコンセプトありきで進行しているのでしょうか?

将:「Phoenix」は原点回帰というテーマを皆で話していて、和の曲を作ってほしいと沙我くんに伝えたら、その中で沙我くんなりのオルタナな感じとかを出してくれて。僕はアートワークや歌詞の世界観を作っているので、その辺の整合性がとれていないと、なぜメイクをしているのかとか、そういう理由が破綻していくなと思ったんです。「Spiegel」のアートワークはカメラマンやデザイナー、色々な外部の人を引き込んで、こういう世界観を作りましょうと話し合って作ったので、そういう意味では総合芸術として、僕らがヴィジュアル系の中に一つのあり方を提示し始められているという実感はあります。

――ずばり、1枚の作品『銀河ノヲト』としてのコンセプトを教えてください。

将:ゼロからのスタート、原点回帰ですね。最初の僕らって、和洋折衷というコンセプトだったんですけど、ファンの方にとっては初めて見た僕らが原点なわけで、このバンドの「原点」と言っても色々な人の中で解釈が違うなと思った時に、じゃあ何が共通点としてあったかというと、星や煌めきみたいな歌詞が多かったり、6年目にやった日本武道館のライブが「TOKYO GALAXY」というタイトルで、皆の共通認識の原点としてそこも一つあるんじゃないかなと、「銀河」というテーマを引っ張ってきて。一つひとつの曲が煌めくようにという意味で『銀河ノヲト』というタイトルにしました。ファン一人ひとりの中での、このバンドの原点を再確認してもらえたらいいなと。まっさらな気持ちで聴いてほしいですね。

――光や星というのは、確かに“らしい”ですよね。そして、今作はバンドの思いや現状を歌っているものも多いかと。

将:沙我くんの曲は自分の内面をえぐり出されることが多いので、リアリティのあることを言っていたり、俺の中で虎は、見た目はイカツイけど内面は優しいロマンチストなので、「流星群」(虎原曲)はロマンチックな歌詞になっていたり。「Phoenix」や「Spiegel」はバンドの現状を歌って、だからこそ皆と一つになりたいという思いを込めたので、その辺を聴いてほしいなと思います。

――ちなみに、前回も歌詞は原曲者の雰囲気に引っ張られるというお話が出ましたが、その時、虎さんに関しては「チャラい感じ」と。

全員:(笑)

将:『Supernova』の時は虎の曲というと「“KID”」だったから、「パーリーピーポー♪」みたいな感じの曲なので、そう言うしかなかった(笑)。「流星群」はチャラくしていった後のチークタイムみたいな(笑)。

ヒロト:でもチャラさは入ってくるんだ(笑)。

将:欠席裁判みたいになってる(笑)。

Nao:決して虎がチャラいわけではないということですよ。

沙我:うっ。

全員:(笑)

ヒロト:逆に嘘くさいよ(笑)。

将:苦しいフォロー(笑)。

――(笑)。「Spiegel」は、作曲方法が違うことによる作詞への影響はありましたか?

将:新しい切り口で表現できたと思います。難解な言い回しの部分もあるけど〈今、目の前に在る事が僕達の答えさ〉という、今僕たちがここにいるということが、皆と一緒にいたいということなんだよっていう素直な気持ちだったり、全員で作ったからこそ詞にも色々な要素を詰め込めた曲になったと思います。

――それにしても虎さん、現れませんね…。

将:「流星群」はぁ、なんか曲を作ることになってぇ。(※虎の真似)

沙我:なんかメロディ浮かんだんでぇ、なんとなくやったら選ばれた。(※虎の真似)

全員:(笑)

――そういえば「“KID”」に関しても、虎さんは「やりたい」とは言わずに「選ばれてしまった」と言っていたんですよね。

将:これを絶対にやりたいと押し通すタイプではないですね。

沙我:やりたいならやりたいって言ってくれたほうが楽なんだけど。

将:やるためにじゃあどうしようかってなるもんね。

Nao:じゃあ俺、5年以内に「GEMINI」を超える曲やりたいな。今ならもっとやれる気がする。

沙我:Naoさんドラムを叩いてる最中、顔が険しいからな(笑)。

Nao:そういうプレイを求めるからじゃないですか(笑)!

沙我:可愛いキャラでいきたいって言ってるのに、険しい。

――可愛いキャラ!

Nao:なんか求められているものがそういう空気なので。でもプレイが難しいものを求められるので、真剣になっちゃうんですよ。で、「Naoさん今日、機嫌悪かった」とか言われて(笑)。

――それは切ない(笑)。

将:虎みたいに口角を固定すればいい。

Nao:そういう練習必要かもね。

将:彼は3年目の渋公くらいの時には、もうあのスマイルを身に付けていましたから(笑)。