特集-Special Feature-

A9

A9

A9らしさを突き詰めた果てに完成した『PLANET NINE』。
共に行こう、光り輝く星の彼方まで――。

昨年4月のアルバム『IDEAL』発表後、シングル3枚を立て続けにリリース、二度の全国ツアー開催など、精力的に活動を展開してきたA9が、早くもニューアルバム『PLANET NINE』を完成させた。今作の制作において、改めてバンドを見つめ直した結果、L’Arc-en-CielのKenプロデュースによる退廃的でダーティーな雰囲気を纏ったリード曲「UNREAL」、5人ヴォーカルのパーティーソング「CASTLE OF THE NINE」など、A9ならではの振り切り方を見せるバラエティーに富んだ楽曲たちが誕生することとなった。そんな最新作について将(Vo)と沙我(B)にじっくりと話を聞くと、新たな次元へと歩み出そうとしているA9の現在が見えてきた。

◆僕たちは、今一番輝きたいと思っている(将)

将

――このお二人の組み合わせは、実はアルバム『Supernova』リリース時(2014年3月)以来です。

沙我:おっ、そうなんですね!

将:あっという間ですね。

――アルバム『IDEAL』(2017年4月リリース)後、シングル3枚のリリース、精力的なライブ活動と、この1年結構ハードだったんじゃないかなと。

沙我:社会人としては平均的に働いたんじゃないかな(笑)。

将:僕はブラック企業でしたけどね(笑)。

沙我:家でやらなきゃいけない残業は多かったね。

――アルバムを年に1枚出すというのは大変ですよね。

将:そうですね。その辛さをメジャーで経験して、これが大人のペースなのかと思っていたことを、なぜか今、自らやっちゃっています(笑)。より結束しなきゃいけない状況になって、メンバー全員の頑張りたいんだという気持ちを表現するには、一生懸命活動するしかないので、応援してくださる方に対しても、「僕たちは、今一番輝きたいと思っているんだよ」と伝えられるような活動ができた1年だったと思います。

――昨年の13周年ライブの時のファン投票で、難解な組曲のような「GEMINI」が総得票1位だったことは、とても印象深かったです。近年、また組曲のようなものを作りたいという話も出ていたので、バンドとファンが同じ方向を向いていて、ちゃんと音楽で繋がっている、すごく正しい関係性だなと思って。

沙我:他にもレア感のある曲はいっぱいあったと思うんですけど、「GEMINI」が1位というのは不思議な感覚でしたね。

――「GEMINI」が1位でありながら、「UNDEAD PARTY」のようなパーティーソングもランクインするという幅の広さが、A9ならではですよね。

沙我:普通はどっちかに寄っちゃうと思うんですよね。どっちもあるというのが、僕らの味というか。しかも、「GEMINI」を聴きたい人がいるというのが僕らの強みだなと、お客さんの素晴らしさを感じますね。でもやっぱり皆、パーティーソングも好きだし。バンドの特徴をすごく理解してくださっている方々が多いなと思います。

――ちなみに、そのライブで来場者に配布された「先行解禁写真集」(※昨秋発売のメンバーそれぞれの写真集から抜粋したもので構成)は衝撃的でした(笑)。皆さんセクシー写真が入っていますよね(笑)。

沙我:Naoさんのシャワーシーン(笑)。

将:(爆笑)

沙我:僕らが楽屋で見るNaoさんが、やっと世に出ました(笑)。

将:確かに(笑)。元々は、セクシー担当の沙我くんを脱がそうということでスタッフ間で盛り上がっていたんですけど、気付いたら皆巻き添えになっていました。

――それにしても、皆さんご自身の魅力をとてもわかっていますよね。

将:活動が10年を過ぎた時に、応援してくださる人たちがいるからバンドが続けられているし、その人たちのために何ができるかということを改めて考えたんですよね。それとは別に、アーティストとしてのエゴ、認められなくてもいいから伝えたいことも大事だと思って、今はその両方をやれるような包容力のあるバンドでいられている気がしますね。

――ニューアルバム『PLANET NINE』がリリースとなります。これまでA9の楽曲タイトルや歌詞の中には銀河や星といったモチーフがたくさん散りばめられてきましたが、このタイミングであえて直球とも言えるテーマを掲げたのはなぜでしょうか?

将:最初に沙我くんと虎で「UNREAL」を作って、前回までのA9とガラッと変えたような曲をリードにしようということで始まったアルバム制作だったんですけど、進めていくうちにA9とは何ぞやという問いかけが生まれて、色々と話し合ったんです。

沙我:僕らが残してきたものは僕らがやってきたことに変わりはないし、らしさそのものというか。それをわかりやすく言葉で表すために、その言葉に自分たちを寄せるのは違うのかなと思ったんですよね。僕らにしかないものって何だろうと考えたら、14年間変わらずにやっているということと、「GEMINI」や「UNDEAD PARTY」を一つのライブでやっても成り立たせてしまうバラエティー感、メンバーのバラバラなキャラ、そういうものは自然に出ちゃっているものなので、それを素直に突き詰めて、見ている人にもっとわかりやすく伝えるだけでいいんじゃないかなというところに行き着きました。そうするには、どういう活動、見せ方をすればいいんだろうかと整理したんです。

ヒロト

――A9そのものを出していこうとした結果が、今作に結び付いているんですね。

沙我:僕らが今やりたいことは、A9がやってきたことをもっと色濃くズバッと人に伝えるということ。何なら一言で、1曲で済むくらいのこともやりたいし。照準をしっかりと定めて伝えたいですね。

――『Supernova』の時に、将さんが「光とか夢を感じてもらえるようなバンドでいたいという気持ちが根底にある」と言っていましたよね。

将:影や闇を持っている人が光に手を伸ばすか、逆に闇を表現することによって、コントラストで希望や光を表現するか、ヴィジュアル系ってそのどちらかしかいないと思うんですよ。手法は色々とあるんですけど、精神性の光の部分と闇の部分、どちらを表現するか、すごくパキッと分かれているジャンルだと思って、僕らは光のほうだなと。どれだけ闇の部分を表現したとしても、やっぱりどこか輝いちゃうのが僕らかなっていう(笑)。

――確かに(笑)。

将:それと、「UNREAL」が1990年代の音楽シーンのイメージだったんですけど、あの世紀末の時って、逆に近未来に憧れを抱いていた時代だったんですよね。そこに来て、去年、『ゴースト・イン・ザ・シェル』や『ブレードランナー 2049』が映画公開されて、また近未来的なものがカッコいいものだと再定義されているタイミングなのかなと思って。銀河や星ということと、インダストリアル、サイバー的なアートが合体したらいいんじゃないかなという質感が、今回の『PLANET NINE』というタイトルなんです。

――だからアーティスト写真もこういうテイストなんですね。

将:そうですね。『IDEAL』の時点で、ちょっとそっちの流れだったんですけど、今回はより強く出しました。今までの僕たちって、アルバムを出す毎にガラッとイメージを変えていたんですけど、『IDEAL』がそれまでのA9の代表曲に僕たちが挑戦状を叩きつけるというコンセプトで、今回は『IDEAL』で曲たちと戦った経験を生かして、A9らしさをさらに突き詰めて、もう一歩先に行くにはというヒントがたくさん隠されているようなアルバムになりました。

――音楽的には益々マニアックで変態的になっているなと(笑)。一見キャッチーだけど、ものすごく色々なことをしていますよね。

沙我:僕らを表しているなと。一見キャッチーそうに見えても、話してみると変態だなみたいな(笑)。変にしてやろうという気持ちはないんですけど、自然とそうなっちゃうんですよね。まぁ、メンバーそれぞれ変態なところはあると思います。Naoさんが占いで「明るい変態」って言われてたし(笑)。

将:本質が「明るい変態」って(笑)。このフレーズ怖いよね(笑)。

沙我:いろんな変態が混在しているバンドなんですよね(笑)。感覚がそれぞれ普通じゃないところがあって、それが合わさってA9になっているんでしょうね。

◆まずバンドとしてどうなりたいかを整理した(沙我)

――タイトルについて聞いて腑に落ちましたが、オープニングSE「PLANET NINE-INVITATION-」が今までのA9の中で一番と言っていいほどEDM寄りというか、デジタルなもので驚きました。

将:僕がソロプロジェクトDIAWOLFで一緒にやっているDJと作ったんですけど、第一線で活躍している人なので、出て来るネタに今っぽさがあり過ぎて、これをどうA9の作品に落とし込もうかなと作業していきましたね。でも、沙我くんもソロで歌っているので、「ソナタ」は歌心がないと作れない曲だし、「ASYLUM」ではメインヴォーカルを奪われてしまったと思ったり(笑)、やっぱりそれぞれやってきたことには意味があるんだなと思いながら制作していました。

――シングル曲「F+IX=YOU」、今作のリード曲「UNREAL」はL’Arc-en-CielのKenさんプロデュースですが、原曲からどの程度変化したのでしょうか?

沙我:原曲という原曲はほぼないですね。とりあえず鉛筆で書いたラフがあって、全員で「どうしようか」と色を付けていったので、いつもみたいに原曲があって手を加えたという感じではなく、本当に骨組みから全員で作っていきました。

虎

――その段階からKenさんも参加して?

沙我:そうですね。「デモがあるので、これをどうにかしてください」というやり方ではなくて、まずバンドとしてどうなりたいかというのを整理して、ちゃんと着地点を定めて、そこから全部作っていったんです。

――具体的にどのようなところを目指したのでしょうか?

沙我:「F+IX=YOU」は、今まで僕らがやってきたものを一旦置いて、僕らがやれる別の可能性を探った結果、こういう武器があるじゃないか、こっちの武器をもっと研ぎ澄ませたらどうだいというミーティングをして。ヴィジュアル系と言うと、今多くの人がイメージするものってメタル系だと思うんです。激情型のダークでブラックな感じ。そうじゃないところをKenさんに教えてもらいました。80年代のニューロマンティックというジャンル。カルチャー・クラブやデュラン・デュランとか、その辺りもヴィジュアル系の原点の一つなんだよと。こういうところは今まで触れてなかったので、そこに挑戦しようということになりました。それが「F+IX=YOU」の完成予想図です。

――その世界観が映像化されたMVはかなりインパクトがありました。「F+IX=YOU」を聴くと、あのMVが脳内再生されます(笑)。

沙我:それはMVとして大成功ですね。最高のプロモーションになっています(笑)。「UNREAL」のほうは、次はどうしようかとKenさんと話している中で、「F+IX=YOU」でやったことをやめるんじゃなくて、シンセメインの同じ路線なんだけど別の見せ方でいこうと。「F+IX=YOU」はキラキラしていたけど、「UNREAL」はダーティーな感じ。90年代の退廃的だったり世紀末感のある雰囲気の曲を探っていって、スタートしました。

――「UNREAL」はKenさんカラーを感じます。

沙我:試しに90年代末期のダークな雰囲気で作ってみたら、ああいうメロディーができて、Kenさんっぽいなと(笑)。なぜかあれしか出てこなくて。僕はサビだけ作って、虎、ヒロトもそれぞれデモを作って、良いとこ取りでくっ付けてみて原型ができました。虎さんは最近シンセにハマっているらしくて、このシンセは全部虎さんが入れたんですよ。

――そうなんですね。沙我さんがラップを担当することになったのはどういう経緯だったんですか?

沙我:「何か欲しい」と言われてノリで入れました(笑)。

将:ヴォーカルはしっかり歌っていて、その他の要素をヴォーカルじゃない声で入れるのも、広がりが生まれて面白いんじゃないかなと思いました。沙我くんは普段からハモってくれているので、すごく馴染みが良いんですよね。お互い崩さずにちゃんと作品として一つのものを作り上げられるので、有り難いですね。

沙我:ちなみに、これKenさんっぽいなと思ったことがあって。ヴォーカルに1オクターブ下の同じメロディーを重ねようと言われたんです。実は俺がずっと感じていたことで、ラルクでよくこれをやっているけど、他でやっているバンドをあまり見ないなと。こういうの良いなと思っていたんですけど、遂に本人からウチに来た!と思って、嬉しかったです。そういうマニアックなところでテンションが上がっていました(笑)。これKenさんが提案していたのか!と。

――改めてKenさんのすごさを感じたエピソードはありますか?

将:テクニックも発想も考え方も一流なんですけど、何よりすごいなと思ったのが、その一流の人がどんな曲を作ろうかというところから僕らに入って来てくれて、超親身になってやってくれたんです。メンバー誰一人置いていかないようにちゃんと確認しながら、同じ目線で、押し付けることは全くなく、「俺はこれ面白いと思うけど、どう思う?」という聞き方で。本当にすごいなと思いました。報いたいなという気持ちになりますよね。

沙我:俺たち、Kenさんの無駄遣いをいっぱいしているんだなぁと。すごく高級な料理屋に、安い金でいっぱい行っているみたいな感覚(笑)。ライブや機材のことだったり、曲のプロデュースの範囲を超えたところでも色々とアドバイスしてくれて、5倍くらい金を払わないと割に合わないくらいのことをしてくださっているんです。本当に『PLANET NINE』はKenさんとの出会いがすごく影響していますね。

将:本当のタイトル『Ken』だもんね。

沙我:そう。裏テーマはKen!

将:コンセプトはKen!

沙我:Kenに捧ぐ! Kenさんが「お前ら、よくやったじゃないか!」となってくれたらいいですよね。ヒロトはよくプライベートでも遊んでいるみたいなんですけど、家で曲を聴いて踊っているらしいです。