vistlipがニューシングル『B』で描き出した“世界の終わり”。
“B”という一文字に込められたさまざまな想い、そしてその世界観に迫る!
ポップなメロディとは裏腹に、今回のタイトル曲「B」でvistlipが掲げたテーマは“世界の終わり”。終末を目前にした人間の絶望を歌っているのかと思いきや、綴られた言葉は潔く、力強さすら滲む。今回は、「B」の作詞を担当した智(Vo)、作曲を担当した瑠伊(B)が登場。シングル『B』の裏話から、二人のほっこりエピソードまで、スペシャルインタビューをお届け!
◆世界が終わっちゃうんだったら、メソメソしないで明るく終わろう(瑠伊)
――“世界の終わり”を歌った今回のタイトル曲が「B」ということで。これまでのvistlipにはない一文字タイトルですね。
瑠伊:タイトルを付けた智も不安がってました(笑)。
智:瑠伊にも相談したんですけど、意味が面白いからこれでいいかなと思って。
――歌の最後にも出てくる“BIRTH”の“B”じゃないんですか?
瑠伊:それもあります。他にも5個くらい意味があって。
智:当初8個くらい意味があったんですけど、忘れつつありますね(笑)。
――(笑)。では、覚えている意味を教えてください。
瑠伊:PVが地下(Basement)から這い上がる映像だから…まぁ、これは完全に後付けですけど。
智:後付けかい(笑)! 地下を這いずっている人間を表現した曲なんですよ。
瑠伊:PVでは地下の暗いところで撮影していて、最終的に上に出るんです。明るく終わろうということで。
智:あと“13”という意味もあります。1と3をくっつけて書くと“B”になるから。
伊:俺はこの“13”の意味が一番好きなんですよね。マヤ文明の暦が2012年の12月で止まっていることに由来しているんですけど、この日で世界が滅びるんじゃないかっていう都市伝説があって。でも滅びずに2013年を迎えたいねっていう意味があるんです。
――“B”という一文字にかなりたくさんの意味合いがあったんですね。
智:そうです。そして、歌詞の最後に出てくる「HAPPY BIRTHDAY」の文字数が13。
――すごい!
智:ずっと13にまつわるものを探していたんですよね。
瑠伊:智が1、2、3…って文字数を数えていて、13文字だってわかったら「キタ―!B―――!」って(笑)。他にも「黒い旗」という歌詞が出てくるので“Black”の“B”とか。
智:あとはみんなで探してください(笑)。
――ファンの方が思いついた“B”が、当初想い浮かんだ8個のうちの一つだったりするかもしれませんね。ところで「B」は、とても明るいメロディで終末を歌っていて、このギャップに驚いたのですが。
智:メロディが明るいからこそ、テーマが世界滅亡なんです。
瑠伊:世界が終わっちゃうんだったら、メソメソしないで明るく終わろうっていう。
智:反逆心だよね。バンドがみんなを先導しているような。みんなは滅亡を目の前にしてザワついてるけど、「俺たちは楽しく行くからみんな付いてきて」っていう歌詞です。
――曲の終りも物語のようですよね。
瑠伊:そうなんです。綺麗な終わり方にしたんですよ。
――今回、「“星”って字バラしたら“生まれる日”とも書けるね」という歌詞がとても印象的でした。
瑠伊:一番最初にその言葉があって、その言葉以外は全然違う歌詞だったんです。テーマも全然違っていて。
智:もっとロマンティック全開な感じだったんだよね。
瑠伊:智が歌詞を書ききる前にバンドのレコーディングが始まったんですけど、その仕上がりを聴いた智が、思いのほかロック調に仕上がったっていう印象を受けたらしくて。
智:曲から力強さを感じたんですよ。
――音を聴いてから歌詞を書き換える、ということはvistlipではよくあるんですか?
智:そうですね。前は曲の上がりを聴かないままレコーディングに行ったら全然違う仕上がりになっていたっていう失敗があったので、ちゃんと聴くようにしているんです。メンバーには音を録ったらすぐにくれって伝えてあって。曲と歌詞の印象が違ったら1日だろうが書き直します。メロディと歌詞が合っていないと、スッと入らないと思うから。
――歌詞の書き換えはスムーズだったんですか?
智:ちょっと穴抜け状態でスタジオまで持って行って、海と瑠伊を横につけて、「ここにはまる言葉、ないかな」って聞きながら進めました。たまにやるんですよ。とはいえ、二人から意見が出ても結局バッサリ切っちゃったりもするんだけど(笑)。
――曲作りはどんなふうに進行したんですか?
瑠伊:「B」はワンコーラスだけ作った状態で選曲に出して、それに対して智が最初のロマンティックな歌詞をすぐ書いて送ってきてくれたんです。それを見てイメージが沸いてフルコーラス作りました。相乗効果っていうのかな、二人の間を行き来する中でできたんですよ。
智:ここの二人(智・瑠伊)は、以前から力を合わせて曲を作っているので。
瑠伊:あと、俺は曲ができたらイメージを一度投げますね。「こういうイメージで作ったんだよ」って。結果、付いた歌詞が全く違うこともありますけど、一応伝えておこうと思って。
智:他のメンバーにはないですね。
――通常盤に収録される瑠伊さん作曲の「Little Fabre」も二人の間を行ったり来たりする中でできたんですか?
智:そうです。曲のイメージは“夏らしいもの”ということで瑠伊が曲を持ってきたところに俺が歌詞を書いて、即決っていう。
瑠伊:「Little Fabre」については、俺は何も口出ししなかったです。素敵過ぎて。
――この歌詞、大人は共感するところが多くてグッと来ると思います。
瑠伊:そうですよね。自分と合致しすぎてました(笑)。
――お二人ともこんな子どもでした?
瑠伊:うん。俺も智も子どもの時はこんな風に外で遊んでたのに、大人になるにつれてどんどん虫とか暑さが苦手な大人になりましたね。
智:でも今はひまわりみたいなファンを前にして夏を過ごしているっていう。子どもの頃とは変わったけど、良い夏を過ごしてるよという歌ですね。
――素敵な夏の過ごし方ですよね。
瑠伊:あと、俺、この曲の中の「骸骨がくれた双眼鏡」っていう歌詞が好きなんです。智の私事すぎて!
智:あはは!
瑠伊:だって意味わかんなくないですか? 「骸骨がくれた双眼鏡」。
――この歌詞、不思議だったんです。どういう意味なんでしょう。
瑠伊:智のおじいちゃんが骸骨に似ていて、双眼鏡をくれたらしいんですよ。その話を聞いて「良いなー」って思って。エピソードを聞いたことで歌詞全体の重みが増すというか。
智:形見の双眼鏡なんです。
――そのエピソードを聞いて一気に親近感が沸きました!
◆みんなを楽しく先導して行けるような、いつものライブがしたい(智)
――ところで、前回の『Recipe』のインタビューの時、瑠伊さんは「曲が出尽くした!」ということだったんですが、今回の曲出しはスムーズだったんですか?
瑠伊:実は5年目にして自分のパターンが発覚したんですけど、自分が曲を出せるのは一枚飛ばしなんです。『ORDER MADE』で出して、『Recipe』で出せず、『B』で出すっていう。「Little Fabre」は『Recipe』の時に未完成だった曲を完成させたものなんですけど、その作曲のテーマが夏だったので、まずキラキラした感じの曲を作って、作り終えたら夏の終わりっぽい曲を作りたいなと思って「B」ができたんです。
――夏の終わりっぽい曲?
瑠伊:憂鬱な感じ。学生時代の夏休みって、「夏休みが終わっちゃうな」っていう憂鬱と、「でも学校に行けばみんなに会える」っていうそのちょっとの希望があるじゃないですか。で、「休みが終わっちゃって学校が始まる」っていう憂鬱な感じを曲で表現したら、「世界の終り」になっちゃったっていう(笑)。かなりスケールが大きくなったのが「B」ですね。
――まさか世界の終りを歌った曲のベースになっていたのが「学校始まるのヤダな」という気持ちだとは(笑)。
瑠伊:(笑)。
――今回の曲もまた、智さんの声が映えるメロディですね。
瑠伊:でも智は大変だったんだよね。ごめんなさいね。
智:思いのほかキーが高かったんですよ。しかも音が詰まっていて休憩ポイントがない。ライブではツインヴォーカルで誰かに半分歌ってもらおうかな(笑)。
瑠伊:(笑)。俺の曲の音が詰まっていたり、休憩ポイントがないのは、ジャニーズさんの曲を聴きなれてるせいかもしれませんね。
智:ジャニーズさんは何人もいるから、音が被っていたりしても大丈夫なんですけど、一人で歌うのはきついですね。この前カラオケで関ジャニ∞の曲を歌ったんですけど、一人じゃ歌えない! 瑠伊の曲も同じことだよね。
――ところで今回のシングルは明るい曲揃いですよね。前回は1枚の中に曲の明暗があったので意外でした。
瑠伊:みんな夏を意識して曲を作ってきたから必然的に明るい曲が集まったのかなと。
智:暗い曲も何曲かありましたけど、収録されたのは、選び抜かれた曲ってことですかね。
――実に夏っぽい1枚です。
瑠伊:夏生まれのバンドなので、誕生月くらいは明るくいたいなと(笑)。
――その選び抜かれた曲の中にTohyaさん作曲の「PERFECT CRIME」もあるわけですが。
智:あー…他人の曲ね。この二人の曲じゃないから何だか他人の曲のイメージが…。
瑠伊:でもあんた歌詞書いてるからね!?
智:(笑)。この曲、サビとかガッツリ変えさせちゃったんですよ。「ヤです! もっと良くなります!」って言って。
――サビを変えるとは大胆。
智:イントロとか Aメロは結構印象的なのでそこはそのまま残していいよって言ったんですけどね。
――(笑)。「PERFECT CRIME」はバースデーソングですよね。
智:そうです。今まで7月にバンドの誕生日があるのでバンドに対してのバースデーソングを書いてきたけど、今回はみんなに向けて書こうかなと。Tohya的には曲のイメージはクルーザーの上でのパーティーだったらしいんですけど、無視しました。
――こういう誕生日のサプライズをメンバー間で仕掛けたりします?
瑠伊:3年くらい前の智の誕生日に、逆に俺がサプライズされたことがあります。みんなで朝まで飲んだ後、タクシーに乗って寝ちゃったんですよ。で、起きたらディズニーシーに着いていたっていう。「うわーーーーーーー!!!!(喜)」ってなりました(笑)。
智:瑠伊はもう酔ってぐでんぐでんなわけですよ。なのに起きたら一目散に走って行って、「あれ? どこ行った?」って探してたら、色々買ってスティッチになってました。
瑠伊:あはははは!!!
智:楽しかったねー。
瑠伊:俺が祝われたみたいになってたけどね(笑)。
智:俺はそのままディズニーシーで飲んだくれてて、その後夜まで遊んで、そのまままた飲みに行くっていう…すさまじかったね(笑)
――元気ですねぇ(笑)。とはいえ、目が覚めたらディズニーシー、というサプライズを女子にやったらすごく喜ばれると思いますが。
智:智:でも女子が酔ってつぶれてないとダメだからな。
瑠伊:しかも目が覚めて「え…?」みたいな感じのこと言われたらもうダメだね。
智:そしたらずっと外の喫煙所にいますよ。
瑠伊:「…どうする? 帰る?」みたいな。そんな切ない事は異性にはできない! 男同士だからこそ、だよね。
――なるほど(笑)。ところで、今年の7月7日のライブタイトルは「THE END.」ですが、このタイトルも意味深ですね。
智:あ、解散とか思いました?
瑠伊:「vistlip解散か!?」とか書いといてください(笑)。
――そんなこと書いたらファンの方からVifが怒られるじゃないですか!
智:大丈夫!「解散“か!?”」だから!
――そんな(笑)。タイトルの「THE END.」は「B」のテーマである世界の終わりを受けてのタイトルなんでしょうか。
智:結果そうなりました。最初『ORDER MADE』の世界をここで終わらせるって意味で付けたんですけど、それもまた違うなということになって。7月7日はただの記念日であって、『ORDER MADE』と絡ませる必要もないなと。今年のコンセプトにある滅亡からの何か…そういうところから、このタイトルにしようと思ったんです。
――今回のアーティスト写真やジャケット写真にも終末感が出ていますよね。ライブではその世界観が反映されたステージになりそうですか?
瑠伊:そういうステージにしたいですね。
智:「B」の世界じゃないですけど、みんなを楽しく先導して行けるような、いつものライブがしたいです。
(文・後藤るつ子)
vistlip
<プロフィール>
智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2010年5月には5th SINGLE『STRAWBERRY BUTTERFLY』、7月7日にディレクターにiNA氏が参加した作品6th SINGLE『Hameln』をリリース。2011年6月、約1年の沈黙を破り7枚目のシングル『SINDRA』、12月には2ndアルバム『ORDER MADE』、2012年4月に8thシングル『Recipe』をリリース。7月7日(土)TOKYO DOME CITY HALLにて【THE END.】が決定している。
■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com
『B』
2012年7月4日発売
(発売元:マーベラスAQL/販売元:ソニー・ミュージック ディストリビューション)
更なる進化を遂げたvistlip が放つ9枚目のシングル。ポップに力強くvistlip流「世界の終わり」を歌い上げたタイトル曲が印象的。
【収録曲】
豪華ブックレット盤(初回生産限定)
[CD]
1.B
2.PERFECT CRIME
3.偽善MASTER[Re:birth]
4.B(inst)
5.PERFECT CRIME(inst)
仕様:デジパック
初回限定封入特典:トレーディングカード10種類ランダム封入
vister(CD+DVD)
[CD]
1.B
2.PERFECT CRIME
[DVD]
B(music video+making)
初回限定封入特典:トレーディングカード10種類ランダム封入
lipper
[CD]
1.B
2.PERFECT CRIME
3.Little Fabre
初回限定封入特典:トレーディングカード10種類ランダム封入