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vistlipインタビュー

8thシングル『Recipe』を4月11日にリリースするvistlipが登場! 美しい歌声とメロディアスな楽曲、時折見せる激しさが織りなす彼らの音楽の魅力に迫る。

ラウド、ミクスチャー、コア、オルタナ…多彩なジャンルを織り交ぜ生み出されるvistlipの音楽。彼らが最新シングル『Recipe』で打ち出したのは、ポップなメロディラインと美しい歌声で描く、少女と死神のファンタジックな物語。現在、アルバム『ORDER MADE』、シングル『Recipe』を携えてのワンマンライブツアー[the end of ORDER MADE]真っ最中の彼らのスペシャルインタビューをお届け!

――ニューシングルのタイトル曲「Recipe」には明確なストーリーがありますが、いつもストーリーを作ってから歌詞を書くんですか?

智:復活してからはそういう作り方にしています。話になっていた方が歌詞を書きやすいというのもあるんですけど、リスナーにも伝わりやすいかなと思って。

――ストーリーは作詞者の智さんが? それとも作曲者が?

海:智です。いつも先に曲があって、そこに歌詞がのるので。歌詞の段階でストーリーも、という感じですね。

――智さんが書いた「Recipe」のストーリーを読んで、作曲者のYuhさんのご感想は?

Yuh:最初にあがったものを読んで、ここからここまではすごく好きだけど、ここはもう少しわかりやすい方が良いかなって智に言ったら書き直してくれたんです。わかりやすくなったし、良い意味で可愛いらしい曲になったので良かったです。前向きな感じになりましたね。

――「Recipe」のイメージストーリーによると、ストーリーテラーは“死神”ですが、死神は「Mr.Grim」(アルバム『-OZONE-』収録曲)にも出てきましたよね。気に入ったワードだったり、何かの比喩だったりするんでしょうか。

智:死神は命を刈り取るんじゃなくて、生かすためにどうすれば良いか考えてくれているようなイメージがあるんですよね。音楽を発信する側とそれを聴く側を命をテーマに考えた時にそういうキャラクターが出てくるというか。

――深いですね。今回の死神とラブストーリーというのもすごく面白い着眼点だなと。

智:実写化はできないですけどね。

海:実写化したいの(笑)?

Tohya:フルCGになるね(笑)。

智:『DEATH NOTE』みたいなね。よし、ピクサーで行こう。

Yuh:ピクサー!?

Tohya:ピクサーと言えば、僕はこの前『ファインディング・ニモ』を観ました。二回目なんですけど、ピクサー繋がりってことで。

――ニモ、良いですね。と言いつつ実は私観たことがないんですが。

智:あ、俺も観たことない。『崖の上のポニョ』とか、魚系はあんまり…

全員:魚系って(笑)。

――(笑)。今回の新曲は3曲入り(初回限定盤 visterは2曲入り)ですが、すごく聴きごたえがありました。今回のシングルはどんな基準で曲を選んだんですか?

Tohya:意識的ではないですが、いつもシングルの時は悪く言えばしっちゃかめっちゃかなんですよ。

海:いろんなもの詰め込んじゃうからね。

Tohya:それぞれの作曲者ごとにできることは違うけど、全部がvistlipのカラーだから、それをドーンと入れちゃう感じです。ミニアルバムほどではないんですけど。

――vistlipにとってシングルはどんな位置づけの音源なんでしょう?

智:コンセプト的なことでは、シングルにあまり意味を持たせていないんですよ。頭曲以外はカップリングという位置づけなので。昔、シングルなのにアルバムみたいにタイトル曲とは違う名前を付けるのがすごく流行ったんですけど、シングルにまるでアルバムかのような意味を持たせることに俺を含めメンバーは賛同しなくて。頭曲は頭曲であってほしい。

海:どういう作品なのか分かりにくくなっちゃうんですよね。うちは割と何でもやりたがるから、シングルの3曲、4曲で「vistlipはこういうバンドですよ」って出せるわけでもないし。頭曲は「今回メインに出したいもの」で、カップリングは「こういう武器も持ってます」っていう位置づけです。

――今回の武器もバリエーションが豊富でミニアルバムくらいの充実感でした。ところでアルバムに続くシングルですが、曲出しはスムーズだったんですか?

智:スムーズでしたね。俺は曲を作らないからみんながどれほど苦しんでいるのかわからないんですけど。

瑠伊:俺は出尽くしちゃった(笑)。

Yuh:出尽くしてたんだ(笑)。

瑠伊:うん。出尽くしてたねぇ。

――今回はYuhさんとTohyaさんの楽曲が2曲ずつですよね。

Tohya:僕は大体、録り終わったり、曲出しが終わった後は出尽くした感がいっぱいで「もう曲は作れない」って思うんですけど、締め切りが近付いてくるとそんなことを考える余裕もなくなってきて、「出さなきゃ!」ってなります。海は諦めてましたけど。

海:俺は今回初めから曲に手を付けてないです。ツアーのグッズとかレシピの衣装を作っていたので、デザイン関係でやることが多すぎて。

智:でも今回グッズが好評で良かったよね。

海:最近デザイン系で手掛けたものが好評なんです。これで評判悪かったら「曲も作らないで何やってたんだ!」ってことになるので(笑)。

Yuh:ほんとだよ! 「不評なものばっかり作って!」ってなるよ(笑)。

智:今回のツアーのグッズは珍しくファンからのブーイングがなかったです。

――珍しく!?

海:いつも必ずどこかからブーイングが来るんですよね。例えばこのグッズは黒じゃなくてピンクが良いとか。賛否が分かれることが多くて。いらなきゃ買わなきゃ良いって俺は思っちゃうんですけど。今回はキーホルダーにしか文句が出ませんでした。

――キーホルダーにどんな文句が?

海:ランダムになっていて、開けてみるまで中身がわからないんですよ。

智:商法に関するブーイングですね。

――大人の事情ですね(笑)。

Tohya:はい(笑)。でも、ああいう中身がわからないものは、集める楽しさがあるからね。

Yuh:引く楽しみを買っているようなものですよ。

Tohya:うちはせこい事にCDにもそういうのが入っているので。

海:ああいうの考えるの大概俺なんだよね。引くの好きだから。

Yuh:ちなみにCDに関しては海がブログで良いフォローをしてました。

海:インストアイベントやライブに一人で来たファンの子が、ランダムで出たものを交換するのをきっかけに他のファンの子と仲良くなってもらえたらなと。

智:そこまで気にして…。

海:実際、俺も昔そういうので友達が増えたことがあったので。

智:ドラゴンボールカードで?

瑠伊:筋肉マン?

海:仮面ライダーのカードです。

智:Jリーグチップスのカードもあったよね。

瑠伊:俺も集めてた!

智:俺もベルディばっかり集めてた!

――男性の方が集めるの好きですよね。

海:女性はあまりないらしいですね。

瑠伊:みんなあんまり集めないのかな。

海:見えないものを引くよりも、これがほしいから買うっていう方が良いみたいだね。

智:ランダムなのはギャンブル性が高いから。

――ギャンブル性も楽しみつつ、友達も増やしてね!と。

海:そうですね。とにかくファン同士仲良くしてほしいです。いがみ合っているのとか見たくないので。前、ライブ中に隣の人の髪をガッて掴んでいるのを見たことがあって。

全員:!!!

――メンバーへの愛が強いんでしょうか。

海:うーん…でも、そういうのがなくなると良いなと思います。

――ファンの方のメンバーへの愛の強さはわかりましたが、メンバー間はいかがですか? とても仲が好さそうですが。

智:仲が良いですよ。多分。

Tohya:なんで多分なの(笑)。

――そういえば『SINDRA』のときのアンケートで、海さんが「結成から今までで一番変わったこと」で「ここ1年くらいで急に大人びたメンバーがいる」と書いていましたが、それは誰だったんですか?

海:智ですね。別人です。顔つきもちょっと変わったし。服装も変わって、話す時の声のトーンも変わりました。こういう取材で話す内容も変わったし。

智:そんなに変わってないよ。

Tohya:変わったよ! 前は「わからないです」とかじゃなくて「わかんないっすねー」とかだった!

海:昔のコメント動画とか見てもらえると「智ってヤバかったんだ…」って思ってもらえると思いますよ(笑)。

――(笑)では智さん自身のご意見は?

智:自分でも考え方は昔と全然違うとは思うんですよ。大人になったのかはよくわからないですけど、ファンにも「変わっちゃいましたね」ってすごく言われます。でも「すごく素敵になっていきますね」って人もいれば、「昔の智が可愛かったなー」って人もいるし。結局はその人のタイプの問題なんじゃないかと思います(笑)。

――なるほど(笑)。話は変わりますが、今回のアートワークは海さんの監修ですよね。アルバム『ORDER MADE』はかなり意外性のあるジャケットでしたが、今作のコンセプトは?

海:ちょっと摩訶不思議な感じですね。

智:ファンタジーですからね。

海:今回は「Recipe」の歌詞の中の猫がすごく印象的だったので猫は入れようと。あと、漠然としたイメージで青い空がずっとあったのでそれも入れたくて。ただ、「Recipe」って曲なのに黒猫と空だけなのもどうかと思って、カトラリーを入れました。前に進むための歌なので道の感じで表現できたら良いなと思います。俺は曲が100%想像できてしまうジャケットはあんまり好きじゃなくて、何となく繋がるレベルで良いと思っているので。

――前作とはかなりギャップのあるデザインですよね。

海:前作はあれで完結しているので、意図的に。前のイメージが少しでも残っていると聴き手の印象も変わってくると思うので、全然違うものにすることは意識しましたね。

――曲の話に戻って2曲目の「Einstein」についてお聞きしたいと思います。この楽曲で使われている音が気になったのですが。

Tohya:この曲では、うちのバンドでは初めて使うプラグインソフトを使ってます。『ORDER MADE』でもいろんな音を使ったんですけど、自分の持っている音色で、もっと色々アプローチができないか、可能性を広げたいと思って。

――vistlipの楽曲には通常のバンドサウンド+αの個性的な音が入っていますよね。これは作曲者が決めるんですか?

Tohya:僕は最初からそういうのが好きで、楽曲はそれありきで考えています。バンドの音よりも先にシンセのフレーズや、こんな音を使いたいというアイディアが出てきたり。逆にYuhはギターメインで曲を作っていて、それがすごくかっこいい。うまい事それらが混ざり合っているのが今のvistlipの形かもしれないですね。

――なるほど。ところで、初回限定生産盤 lipperに収録されている「the surface[Re:birth]」はどういういきさつで収録されたんでしょうか。

智:『SINDRA』のときから1stミニアルバム『Revolver』の曲を1曲ずつ復活させていっているんです。こう言ってしまうとリスナーに申し訳ないんですが、その頃の感性やスキルが響いている作品だけど納得していない部分があって。このミニアルバムだけでも理想形に近付けたいなと。

――録り直してみていかがでした?

智:今はすごく気に入ってます。昔はそこまで曲にこだわってなかったことが録り直したことでわかったというか。

――今後も『Revolver』の楽曲が順次収録されていく予定ですか?

智:ちゃんとできたら。デビューアルバムの曲はファンにとっても大切だと思うんですよ。なので、まだリリースできないと思ったらそれは中止すべきだと思うし。

海:納得のいくものができたら出したい。あくまで予定ですね。

智:どうしてもアーティストって期限に追われがちなんですが、そこで妥協して下手なものを出したくはないです。

――通常盤のカップリングの「トロイ」は「Recipe」とは対照的なゴリゴリのロックですが、このあたりも今回のシングルに厚みを加えていますよね。

智:攻撃的な曲があったらいいなって思って。この曲は、曲出しの日に朝早く起きて、激しいリズムを入れてからの綺麗なサビっていうのをババッと作りました。ありがちな感じにならないように、イントロでカオスみたいなわけわかんない世界を入れてみたり。リフはYuhにつけてもらってます。

――サビがすごく綺麗で、1曲を通じて落差がすごく激しいですよね。そういう強弱というか緩急を明確に表現できるのはvistlipの強みだと思うのですが。

Tohya:歌声が一番表情が付くところだと思うので、智の歌い方のバリエーションにそれだけ力があるってことかもしれませんね。聴いている人が一番印象に残るのってやっぱり歌声だし。綺麗なフレーズを歌う時はすごく綺麗だし、攻撃的な部分はすごく攻撃的なので。

智:でも最近ファンが俺を迷わせるんですよ。「Recipe」よりも「トロイ」の方がカッコいいですっていう人が割といたりして。それを聞いた時、「うちってどういうバンドだったっけ?」って。まぁ、最終的には迷わないんですけどね(笑)。

海:(オフィシャルサイトの視聴で聴いているから)曲を全部聴いてるわけじゃないですからね。

智:うちの主体はポジティブな音と、ネガティブに見えてポジティブになっていく歌詞がメインなので、こういう感想はびっくりしちゃいますね。

――そういう意見は貴重ですね。

智:すごい参考にはなる、けど結局は自分たちでガッチリ決めちゃいます(笑)。でもうちらも「トロイ」みたいな曲が嫌いなわけじゃないですから。

Tohya:メインにはならないけど、ああいうのがあってこそのvistlipですからね。

――ライブは結構激しいですしね。

智:ライブは気合い入ってる風なんですよね。曲のイメージだけでライブに来ると、こんなに激しいんだって驚かれたり。ポップな曲だけチョイスして聴いていた人たちは圧倒されて帰っちゃいますね(笑)。

海:怖い!って言われて。

Tohya:vistlipってこんなに激しいんだ…いいや、みたいな(笑)。

――確かにポップな楽曲だけ聴いて来た人には衝撃かも(笑)。では今回のツアー『vistlip oneman live tour [the end of ORDER MADE]』はどんなライブになりそうですか?

Tohya:ライブ自体がすごく久々なんですよ。1月にファンクラブのライブはあったんですけど、そこから2カ月は空いてるし。長いツアーなので、会場が多い分色々できるし、一つの会場で良かったことを別の会場で活かしたりもできると思うんです。『ORDER MADE』を引っ提げてのツアーなので、アルバムの世界観を小さい箱でどのくらい表現できるかですね。

海:各個人が頭の中で見ている絵が合っていればいいんじゃないかと思います。

智:ただうまく演奏するだけじゃだめで、単純な話ですけどメンバーの表情一つだったり、そういうことが大切だと最近思うんですよ。自然とパフォーマンスにも現れると思うので。『ORDER MADE』をガッツリやってそれで終わるんじゃなくて、ファンの子たちがすごく大事にしてくれている過去曲を、俺たちも大事にしたいなと。もちろん『Recipe』も。

(文・後藤るつ子)

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<プロフィール>

智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2008年9月から3ヶ月連続シングルリリース。2010年5月には5th SINGLE『STRAWBERRY BUTTERFLY』、7月7日にディレクターにiNA氏が参加した作品6th SINGLE『Hameln』をリリース。2011年6月、約1年の沈黙を破り7枚目のシングル『SINDRA』、12月には2ndアルバム『ORDER MADE』をリリース。現在3月22日よりスタートしたワンマンライブツアー [the end of ORDER MADE]を行っている。

ライブ情報
【oneman live tour [the end of ORDER MADE]】
3/22(木)渋谷O-WEST
3/24(土)金沢AZ
3/25(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
4/07(土)札幌KRAPS HALL
4/08(日)札幌KRAPS HALL
4/14(土)仙台darwin
4/15(日)仙台darwin
4/21(土)宇都宮HEAVEN’S ROCK VJ2
4/22(日)水戸LIGHT HOUSE
4/28(土)浜松窓枠
4/29(日)神戸VARIT.
5/02(水)岡山IMAGE
5/03(木)松山サロンキティ
5/05(土)福岡Drum Be-1
5/06(日)福岡Drum Be-1
6/09(土)名古屋Electric Lady Land
6/10(日)名古屋Electric Lady Land
6/16(土)大阪AKASO
6/17(日)大阪AKASO

【THE END.】
7/07(土) TOKYO DOME CITY HALL

■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com

【リリース情報】


初回生産限定盤
vister
(CD+DVD)
MJSS-09075~6
¥1,890(tax in)

初回生産限定盤
lipper
(CD+BOOKLET)
MJSS-09077
¥1,890(tax in)

通常盤
(CD)
MJSS-09078
¥1,260(tax in)

『Recipe』
2012.04.11発売
(発売元:マーベラスAQL/販売元:ソニー・ミュージック ディストリビューション)
更なる進化を遂げたvistlip が放つ8枚目のシングル『Recipe』はポップなサウンドで彩るファンタジックな物語。

【収録曲】
初回生産限定盤 vister
[CD]
1.Recipe
2.Einstein

[DVD]
「Recipe」(music video+making)

初回生産限定盤 lipper
[CD]
1.Recipe
2.Einstein
3.the surface[Re:birth]
4.Recipe(inst)
5.Einstein(inst)

通常盤
[CD]
1.Recipe
2.Einstein
3.トロイ