インタビュー

vistlip

vistlip

vistlipが放つ4枚目のフルアルバム『LAYOUT』。
7周年に大きな飛躍を見せた彼らの最新作をフィーチャー!

vistlipが4枚目のフルアルバムを完成させた。「現段階での集大成」と語っていた前アルバム『CHRONUS』(2013年発売)から1年8カ月、7周年という大きな節目の年に生み出された今回のアルバムは、前作をさらに超越した名盤となった。その完成度の高さは今回、ヴォーカルの智が語った「これを作れて良かった」という言葉に集約されている。この記念すべき作品について、そしてお互いについて、智、海(G)、Tohya(Dr)の3人に語ってもらった。

◆自分の中の闇を超えた「新しい自分」(智)

――今回は初の3人でのインタビューです。まずはお三方のことを教えてください。

智:この3人は打ち上げの出席率が一番高いですね。残りの二人は帰りたがりなんですよ。瑠伊(B)も飲んではくれるんですけど、味が好きなわけじゃない。俺とTohyaは味が好き。やっぱり、ご飯にはお酒ですね。

海:その意見、すごいよね。

智:この前TVで「ご飯の時にお酒を飲むか」というアンケートをやってたんだけど、何と結果は半々だったんです。俺は「その気持ちはわからない」という人がいることにびっくりしましたね。飯に合わせた飲み物として酒があるのに、何でソフトドリンクを飲むんだろう。

Tohya:俺はそもそもソフトドリンクってものが嫌いなんですよ。何であんなに高いんじゃ!

海:え、そっち(笑)? 特殊なソフトドリンクを飲めばいいじゃん。トマトジュースとかさ。

Tohya:それなら俺は水を飲む。…ってこれ、呑兵衛の考え方ですね(笑)。

海:俺はそのアンケートだったら「その気持ちはわからない派」だな。そもそも、みんなが飲んでいる時も、俺一人だけひたすら食べてるし。

智:でも、餃子を食べる時はビールでしょ?

海:いや、俺は餃子ならチャーハンとラーメンと食べる。炭水化物が好きだから米の上にお好み焼きをのせて食べたりするし。

――智さんとTohyaさんは飲んだら食べない人ですか?

海:二人とも飲むと食べないよね。Tohyaは泥酔すると目の前にある食べ物をとにかく食べるけど。みんなが残して冷めて固くなったものを「何だこれ!」って言いながら食べ出したら、酔ってる証拠。

Tohya:あれは本当に無駄なカロリーだよね! 味も何も覚えてないのに、ただカロリーを取ってる(笑)。

――お酒の話で思った以上に盛り上がってしまいました。さて、ニューアルバム『LAYOUT』が完成したわけですが、今回のアルバム制作はいかがでしたか?

智:今回はスケジュール的には余裕でしたね。欲を言うと、俺はレコーディングをかなりゆったりやらせてもらえたんですけど、楽器陣がかなり駆け足だったんですよね。

Tohya:でも、ゆとりがある感じでしたよ。曲もゆっくり作れましたし。

――vistlipはいつも忙しい中でレコーディングをしているイメージがありますが。

智:今回は前もってちゃんとやろうと決めていたんです。

Tohya:曲自体もかなり前からできているものもあったしね。

智:シングル『Period』(2014年4月発売)の時くらいから、アルバムについて少しずつ決めていたんです。曲を早く提出してもらって、選曲も含めてそれをいかに良くしていくかでした。

――選曲の時はどのくらい曲数がありましたか?

智:わりとあったよね。収録曲の倍くらいかな。

Tohya:たくさん没になりました。

智:そういうものです(笑)。曲数は収録曲の3倍あってもいいよ。

――没になった曲が敗者復活することはあるんですか?

Tohya:いや、それはあまり考えていないですね。やっぱりダメな曲はダメなんです。没になった曲を聴き直すとやっぱりピンと来ないんですよ。

智:今後、作り変える時の素材くらいにはなるかもしれないけど、そのままだとダメかもね。

Tohya:でもYuh(G)は、たまに敗者復活狙いで同じ曲を出してくるよね。

智:ちなみに俺、それをすごく嫌がってるからね。「これ聴いたことある」って思ったら5秒くらいで次の曲に行くから。同じものは通用しないです。その時に良くないと思った曲は、やっぱり良くないんですよ。

――なかなか手厳しいですね。ところで今回、海さんの曲は? 以前、パーツができていると言っていたので楽しみにしていたんですが。

海:作ってません。

Tohya:またパーツばっかり集めて! コレクターか!

智:収集やさんだね。

Tohya:パーツが家にレイアウトしてあるんだな。

――うまいこと言われました(笑)。

海:いやー、今回は曲に取りかかりはしたんですけど、衣装やらジャケットやらで時間がなくて…。

――ジャケット写真について、前回のインタビューでもチラッと聞かせていただきましたが、これまでのアルバムのイメージもあってカラフルなものを想像していたので、出来上がった作品はとても意外でした。

海:今回、アルバム自体の彩度が低いと思ったんです。彩度が低いっていうとあんまりいいイメージじゃないかもしれないけど、もっと澄んでいるというか。これまでは、色彩とか色調が強かったり、いろんな色が散りばめられているアルバムが多かったんですけど、今回は色味が少なくて全体的に大人っぽくすっきり仕上がっている曲が多かったのでこうなりました。最初、色を付けようか迷ったんです。でも、全曲完成した時点で、これは色を入れる必要はないなと。たくさんの色彩を使ったジャケットで、中身がこれだと誤差があると思うから。…まぁ、ここまで色々言いましたけど、本人(智)は今回のジャケットを嫌がっているんですよ。

智:うん。だって、そんなに自分の顔が好きじゃないし。今回メイクが薄いから、より素の自分に近い状態の写真が世界にばらまかれるなんて、何て生きにくくなるんだろうと。

Tohya:CD屋で手に取った人のそばにいたら「お!?」ってなるもんね。

――なるほど(笑)。メイクを薄くするというのは海さんの希望だったんですか?

智:前からみんなから言われていたんです。そもそも、『Period』、『Jack』(2014年8月発売のシングル)で、顔半分をどんどん濃くして自分の闇を表現していったので、『LAYOUT』ではメイクが一番濃くなるか、取るかのどちらかにしようと思っていたんです。MVにはその一番濃いバージョンが入っているんですが、それを超えて新しい自分になった、という意味での薄さだったらいいかなと。それに、毎回みんなが念仏のように「薄くしてくれー」って言うから、「うるせーなー」と思っていましたしね。

海:毎回言ってました。少しでもメイクが薄い日があると「お、そっちの方がいいよ」って言ったりして。

智:メイク時間はすごく短くなって嬉しいですけどね(笑)。

◆全部違うイメージにしたかった(海)

――ジャケット写真に対して、アーティスト写真は対照的な強い色味ですね。瑠伊さんのメイクも濃い目ですし。

海:アーティスト写真は彩度を上げて、でも現実味のある写真にしたかったんです。瑠伊は今、メイクを濃くしたい気分なんでしょうね。こうしたいっていう希望を、Yuhと瑠伊は言ってきましたから。バランス的には俺が薄くしたのでちょうどいいかな。

――そしてMVは、アーティスト写真とも、ジャケット写真とも異なる印象ですね。

海:今回、全部違うイメージにしたかったんです。シングルの時は全部同じに見えるようにしたかったんですけど、アルバムは一つのものだけで説明するのが難しいと思って。

――異なるイメージのアーティスト写真とジャケット写真とMV、全てがアルバムを表す要素なんですね。

海:そういうことです。

智:そういえば、ファンの子からMVは今までとイメージが違いますねって言われたね。

Tohya:これまでは、ただひたすら闇雲に演奏している感じだったからじゃないの?

――MVは「SINDRA」(2011年リリースのシングル)や「Jack」もモノトーンのイメージですが、今回の「REM SLEEP」はひときわ突き抜けた白と黒でした。

海:前は色があるものをモノトーンにするという手法で、彩度を落としたり、コントラストを下げたりしていたんですけど、今回はモノトーンで色を抑えるのではなくて、真っ白の中に赤や黒を置きました。そうすることで、非現実的な現実になるかなと。途中で出てくる人も全身黒にしてもらって。

――余計な色がない分、色の濃淡が目に残ります。「REM SLEEP」がリード曲ということは、この曲がアルバムのテーマに最も近いのでしょうか?

智:いや、そんなことはないんです。今回の『LAYOUT』というアルバムタイトルは曲ができてから探したんですけど、自分たちの歌詞や、サウンド、姿で、どうやったらみんなを前向きに導くことができるかなということから、言葉を作っていきました。それにふさわしい言葉として、配置だったり、角度だったり、色々含めた上で『LAYOUT』という言葉が出てきたんです。この言葉のルールや意味を調べたときに、ネガティブ、ポジティブ、過去、未来といろんな意味が込められていることがわかって、これほどぴったりな言葉はないなと。

海:意味は、一般的によく知られている意味そのままとも言えますね。

Tohya:曲はアルバムタイトルが決まる、ずっと前から作っていたんですけど、アルバムが完成してみてこのタイトルがふさわしいと思いました。最初は全然ピンと来なかったんですけどね(笑)。

――アルバムの全体像が見えてきたのはどの段階ですか?

智:最初から、目指すものはチラチラ見えていたので、そこにどう近づけるかという作業でしたね。みんなの希望としては、今の自分たちの年齢だったり、これまでに培ってきたものでできる音楽をやりたいというのが大きくて。それを表現するサウンドやカラーはちゃんと存在するはずだから、それを突き詰めていってステージで演奏したい、というのが大前提でした。なおかつ、自分たちが原点としてやってきたミクスチャーだったり、そこにTohyaの今の技術や、Yuhの今の好みを放り込んだらこういう形になったんです。

――今回のアルバムは前回の『CRONUS』からさらに突き抜けた感じがしました。

智:嬉しいです。ただ、俺もこのアルバムがすげー好きなんですけど、まだ自分たちが作った気がしないんですよ。

Tohya:わかる!

智:人のアルバムを聴いているような気がする。全部自分たちで作ったんですけどね…。

海:ゴーストライター疑惑が(笑)。

智:(笑)。まずは俺たち自身がこれをしっかり聴くところから始めないと、ツアーでふわふわしちゃいますね。こんな風に感じたことはこれまでになかったんですけど、今までは“捕らわれた色”が自分たちにあって、俺たちはこうしなきゃ、こうあるべきだっていう先入観があったからだと思うんです。だからどの曲をやってもvistlipっぽいね、という仕上がりだった。でも今回はその殻を破って前に進むというのがテーマだったので、こうなったんだと思います。このアルバムは、去年いろんな人と触れ合えたからこそできた作品ですね。ここには出会いの大切さも込めておきたいです。

◆自分のスキルにはないところに駆け上った(Tohya)

――先ほど海さんがアルバムの彩度が低いと言っていましたが、バリエーションはありますよね。

海:今までは1曲の中でいろんな色があったんですけど、今回は1曲1色強い色がある印象ですね。

――中でも異彩を放っていたのが「ROACH」だったのですが…。

智:あの曲、面白いですよね(笑)。でも、ゴキブリのことを歌いたいわけではないんです。vistlipのFC会員には誕生日のメールが届くようになっているんですけど、以前、「ここまで生きて来られました。生きただけでもすごいことだと思う」というメッセージを載せていたんです。それをFC以外の人にも伝えたいなと思っていたら、なぜかゴキブリが浮かんできちゃって(笑)。でも、悩んでいる人たちは本当にネガティブなので、自分たちが嫌われ者だったり、はみ出し者だって思っちゃうと思うんです。ゴキブリって、害虫扱いですけど害虫ではないんですよ。そんなところも俺的にはとてもリンクしていて。俺なりの応援歌です。

海:ゴキブリへの?

智:違う(笑)!

――レコーディングはいかがでした?

Tohya:大変でしたね。単純に楽曲のレベルが上がっているし、フレーズも今までの自分の手癖ではないものにしようとしたので。特にYuhの曲で単純にカッコよかったり、曲に合うものをチョイスしました。時間がかかったわけではないんですけど、ガツンとアレンジして自分のスキルにはないところに駆け上ってしまったので、単純に難しかったですね。『CHRONUS』が簡単過ぎてってくらい。総合的に「Good girl gone bed.」はヤバいです。

智:今回はみんな大変でした。

――智さんはメロディの音が高いですよね。

智:辛すぎます。あと単純に歌自体も難しいんですよ。こうしなきゃいけない、こうしなきゃかっこよくならないというものが結構あって。

海:「Idea」も厄介だよね。譜割りも、録っているのを聴いていても「これはきついだろうな」って思いましたから。これを読んだ人にはぜひカラオケで歌ってほしいですね。僕は絶対歌いませんけど(笑)。

――ファンの方に挑戦していただきたいですね。海さんはレコーディングはいかがでしたか?

海:音を作るのに時間がかかりました。いつもは悩まないんですけどね。レコーディングでマイクで録ると、自分の耳で聴いている物とは違う音になるんです。以前はその差は仕方ないとあきらめていたんですけど、今回はその差を埋めたいと思って音を作りました。弦1本を弾いているにしろ、コードを弾いているにしろ、できるだけ音の立体感を重視して作っています。ミックスでいじったり、音質やバランスを調整しなくても、録っている状態の音でガン!と来るように調整しようと思って。Yuhの音に今まで以上に合わせたり寄せたりしましたし、このレコーディングを機に新しいギターを買ったので、その音作りも今までとはかなり変わりました。今回、できるだけすっきり聴かせようと心がけたので、今までよりギターがしっかりハッキリすっきり聴こえると思います。

――4月からはツアー「Left Side LAYOUT[idea]」がスタートしますね。

Tohya:そうですね。発売から少し間が空くのでしっかり聴き込んでもらえたらと思います。

海:むしろ、そうしないとライブでキツイと思いますよ。

Tohya:『CHRONUS』の時は発売を延期してしまったので、ツアー初日に発売だったんですよね。だからファンの子たちが全然聴けていない状態でツアーが始まってしまって。

智:今回はしっかり聴き込んできてください。今回、本当に良い1歩になったと思います。これを作れて良かった。7周年にこれを出して、先に進めたらと思います。…ところで、最後に一つ、この二人に質問してもいいですか? 「一番仲が良いメンバーって誰ですか?」って聞きたいんですけど。

海:えー、状況によるなー。一番喧嘩するのはこいつ(Tohya)ですね。何でも言ってくれるし、何でも言えるから。「お前何なんだよ!」って先に言い出すしね。で、その日のうちに喧嘩は終わります。

Tohya:アメリカンスタイルですね。

全員:(笑)

海:智の場合は何も言わなくても伝わるからなぁ…。

智:それってコミュニケーションが少ないから逆に仲良くないよね。

海:ある意味ね。ていうか何でいつも俺と仲良くない設定にしたがるの(笑)。

智:海はビジネスパートナー色が強いからね。

海:そうだね。まぁ、ラーメン友達です。俺と瑠伊は好きな物が似てるから、一緒に買い物に行ったりしますね。音楽の話をするのはYuhが一番多いし、むこうも新しい機材を買ったりしたら言ってくるし。

Tohya:俺は、誰が一番ってことはないんじゃないですかね。

海:歯切れが悪いなぁ。

智:誰か挙げるなら、だよ。

Tohya:じゃあ瑠伊ですね。あ、(笑)って付けておいてください。

――智さんは誰と仲がいいんですか?

智:俺は誰とも仲良くないですよ(きっぱり)。

――え、そんなオチ!?

Tohya:そもそも仲が良いって何だろうね。

智:俺は仲が良いというより、みんなを笑わせたいと思っていますから。

海:芸人か(笑)!

(文・後藤るつ子)

vistlip

<プロフィール>

智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2014年4月にリリースしたシングル『Period』では初のオリコンチャート9位を獲得。その勢いのまま5月よりスタートした全国ツアー「Good vibes CIRCUIT Ⅱ」を終え、7周年のスペシャルプロジェクト「vistlip VIIth Anniversary Project SUPER NOVA」をスタートさせた。8月にはシングル『Jack』を、12月にはライブDVD『GOOD vibes CIRCUITⅡ』とシングル『夜』をリリース。4月24日(金)からニューアルバムを引っさげた全国ツアー「Left Side LAYOUT[idea]」を行う。


■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com


【リリース情報】

LIMITED EDITION
(CD+DVD)
<初回生産限定盤>
MJSA-01148~9
¥3,600+税

vister
(CD+DVD)
MJSA-01150~1
¥3,600+税

lipper
(CD)
MJSA-01152
¥3,000+税


『LAYOUT』
2015年3月18日発売
(発売元:マーベラス/販売元: ソニー・ミュージックマーケティング)
2014年7月7日に結成7周年を迎えたvistlipが放つ1年8カ月振りのオリジナルアルバム。ライブを意識して制作された楽曲群が揃う必聴の1枚。

【収録曲】※3種共通
[CD]
01. To be awake is to be alive.
02. Period
03. My second B-day.
04. REM SLEEP
05. Catastrophe
06. Idea
07. World is mine.
08. By the rain.
09. ROACH
10. Good girl gone bed.
11. Another one step.
12. Jack
13. LAYOUT

[DVD]※LIMITED EDITIONのみ
ROUGH the vistlip『釣り大好きvistlip』

[DVD]※visterのみ
「REM SLEEP」music video(original ver.+deregulation ver.)+making