2012.8.17

Angelo Presents@SHIBUYA-AX

「THE INTERSECTION OF DOGMA」

 

 

Angelo、ギルガメッシュ、lynch.、MERRY、Sadieという豪華かつ強力なラインナップの対バンイベントが実現した。Angelo・キリト(Vo)が希望し声をかけたバンドが集結したAngeloの初主催イベントだ。「なぜもっと大きい会場でやってくれないのかと、僕のところにクレームが来ています」と以前キリトが冗談交じりに話していたが、相当なチケット争奪戦となったようだ。まさに“ガチンコ”の対バン、汗が止まらないほどの灼熱の真夏日に負けないくらい熱いイベントになることは必至だった。

 

幸運にもチケットを入手できたオーディエンスでパンパンになったSHIBUYA-AX。場内が暗転しただけで「おー」という期待に満ちたどよめきが起こった。“七つの大罪”をモチーフにしたオープニング映像のあと、スクリーンに映し出されたのはトップバッターのバンド名…“MERRY”!

ガラ(Vo)が習字で「MERRYはじめます」と開幕宣言。〈お客様の拍手で「show」の始まり!さあ幕が開きます〉と歌う「不均衡キネマ」で文字通りの幕開けを飾る。初っ端からトップギアのメンバーたちに応戦しようと「絶望」ではワンマンさながらの満場の拳が上がり、その後も終始この気迫のまま一気に駆け抜けた。わずか30分という時間の中でこれほど完全燃焼させられる彼らには圧巻の一言。ガラの“ウサギの被り物”も登場、さらに“墨飲み”に“三点倒立”まで披露し、まさにフルコース。これぞMERRYという世界を展開しながらも、トップバッターの役割りを十二分に果たした熱いステージとなった。

 

二番手はSadieが登場! 激しさとキャッチーさと妖艶さを併せ持ったSadieの代表曲「迷彩」でライブはスタートを切る。最新曲「METEOR」ではオーディエンスのクラップが楽曲を盛りたてる。「俺の居場所はここだ! お前たちの居場所はここだ!」という真緒(Vo)の絶叫を合図に「Rosario」が放たれると、赤く照らされたステージにデスヴォイスが轟き、場内はヘッドバンギングの嵐に。続いてオーディエンスのoiコールで一体となった「陽炎」でSadieのステージはラストを迎えた。彼らの真骨頂であるメロディアス&ヘヴィネスのサウンドを存分に発揮し、オーディエンスを魅了した。

 

次なる出番は、勢いよくステージに姿を現したギルガメッシュ! 「Break Down」であっという間に彼らのテンションに巻き込まれてしまう。「今日はヤバいバンドばかりのお祭りだぜ!」と左迅(Vo)。「sunrise」のかけ合いでは「そいやっそいやっ」まで飛び出し、最新曲「絶頂BANG!!」では弐(G)がセンターでダンスのお手本をばっちりキメた。そんな彼らのキャラクターと骨太なサウンド&キャッチーなメロが相俟って繰り広げられるギルガメッシュのステージは、底抜けにパワフルでポジティブ、まるでスポーツを観ているかのような爽快な熱さをもたらしてくれた。


 

残りは2バンド。オーディエンスも既に次のバンドは予想ができている。そんな応戦準備万端の空気を裏切るように、場内にイントロのピアノの旋律が響くと、歓声が沸き起こった。「LAST NITE」だ。lynch.というバンドの存在感、美しいメロディーに釘付けになる。この存在感と安定感は一体なんなんだ…それが最初に感じたことだ。その後は高速ヘヴィーナンバーの連投で、準備万端だったオーディエンスもここぞとばかりに暴れ倒した。誤解を恐れずに書けば、どんなにヘヴィーなナンバーであっても、彼らはその楽曲の激しさや熱量に飲み込まれることなく、どこか客観視しながらプレイしているように思えた。そんなメンバー各々の意識がこの安定感を生むのだろう。ただがむしゃらにやればいいわけではない、ということを証明してくれる貴重なバンドの一つであると思った。

 

そして満を持してAngeloが登場! その圧倒的な存在感が会場の空気を一瞬にして支配する。始まりは意外にも「EDEN」。静かに歌い終えるとステージは一変し、Karyuとギルのツインギターの掛け合いから特効が放たれ最新曲「RIP」に突入! 攻撃的な激しさで場内を熱狂させると、「The Crime to Cradle」では妖しく重厚なサウンドで魅了し、「FEATHER」「CHAOTIC BELL」では会場全体が一体感に包まれた。さらに「PLOSIVE」を最高の盛り上がりで終え、彼らはひとたびステージを後にした。アンコールに迎えられ、「来てくれたみなさんに感謝の気持ちを込めて、爽やかに終わりたいと思います」というキリトの言葉から投入されたのは、もちろん暴れ曲「SCRAP」! 満場のヘッドバンギングの嵐は2階席から見ると爽快かつ圧巻。こうして最高の景色でAngeloのステージ、そしてこのイベントは幕を閉じた。

 

どのバンドもこのイベントに掛ける気合いが伝わってくる白熱のステージだった。そして舞台上の大蛇が絡みつく十字架や各バンド前に映し出された映像により、このイベントを全面的にプロデュースしたキリトの世界観で一つに繋がった至極のイベントであった。まさに「THE INTERSECTION OF DOGMA」。この交差の可能性は果てしない。

 

 

◆セットリスト◆

 

【MERRY】

1. 不均衡キネマ

2. 絶望

3. 演説~シュールレアリズム~

4. 【human farm】

5. ジャパニーズモダニスト

6. オリエンタルBLサーカス

 

【Sadie】

1. 迷彩

2. METEOR

3. クライモア

4.Rosario

5. 陽炎

 

【ギルガメッシュ】

1. Break Down

2. CRAZY-FLAG

3. sunrise

4. お前に捧げる醜い声

5. ULTIMATE 4

6. 絶頂BANG!!

7. evolution

 

【lynch.】

1. LAST NITE

2. MOMENT

3. THE FATAL HOUR HAS COME

4. NEW PSYCHO PARALYZE

5. -273.15℃

6. MIRRORS

7. ADORE

8. TIAMAT

 

【Angelo】

1. EDEN

2. RIP

3. FEATHER

4. The Crime to Cradle

5. CHAOTICBELL

6. PLOSIVE

EN1. SCRAP

 

 

(文・金多賀歩美)